チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

王羲之と日本の書

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四世紀。中国の書家・王羲之

楷書、行書、草書を芸術的な書体へと完成させました。

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王羲之の書は残されていませんが、七世紀、唐の皇帝によって精巧に模写された本が作られました。

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弘法大師空海の肉筆です。

当時、唐に渡った空海は、王羲之の書法を学びました。

草書で書かれたこの書は筆の運びが早く、

穂先の弾力を有効に使っています。

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空海とともに三筆の一人とされる嵯峨天皇の書。

丁寧な筆運びと文字感のバランスにその几帳面さまで伺える貴重な真筆です。

千年ほどの時を経て達人たちが残した書の世界展です。

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会場:九州国立博物館

会期:2018年2月10日~4月8日

歌心と絵ごころの交わり 二豊路 漂泊の画人 佐藤 溪 と 俳人 種田山頭火

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画家・佐藤渓と俳人種田山頭火
旅と創作の関わりを絵と言葉で辿ります。

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佐藤渓が大分に立ち寄った時描いた風景。
草原を歩く二人の修行僧。
絵の具のにじみやボカシを効果的に使い、情感豊かに表現しています。

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「青い空と緑の畑」
白い雲はわざと塗り残しています。
山頭火の代表的な一句。

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「分け入っても分け入っても青い山」
なかなか目的地にたどり着かない思いと、人生とを重ね合わせています。

 

youtu.be

 

 由布院の地で生涯を終えた詩人画家・佐藤溪の旅情あふれる作品群と、かつて二豊路を旅したこともある漂泊の俳人種田山頭火に関する資料類をあわせて展示し、旅にまつわる創作の醍醐味を作画と詩作両面から紹介します。

会場:大分県立美術館

会期:2018年2月9日~3月11日

寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽

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17世紀初め。寛永時代。

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徳川二代将軍秀忠の五女、和子が後水尾天皇に嫁ぎ、

宮廷と武士の文化の結びつきが強くなります。

そして寛永文化が花開いて行きました。

この時代の文化を代表する三人の人物。

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一人目は茶人の小堀遠州

城の建築や造園にも才能を発揮し、寛永文化の美意識を牽引しました。

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京焼の名工。野々村仁清

色彩豊かな御室焼で知られますが、はじまりはモノクロームの世界でした。

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そして幕府の御用絵師として活躍した狩野探幽

桃山時代狩野派の画風を変え、新しい探幽様式を確立しました。

江戸寛永のみやびを三人の文化人を通して探っていきます。

 

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茶の湯に宮廷文化の雅を取り入れた小堀遠州は、

様々な文化人を集めて茶会を開きます。

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そうした中で遠州好みと呼ばれた茶道具が広まって行きます。

遠州好みの茶道具は海外でも作られました。

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当時オランダに発注されたこの茶碗もその一つです。

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この茶入は優美な曲線と黒い雪崩の景色が特徴。

遠州茶の湯は「きれい寂」と呼ばれました。

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野々村仁清御室焼の制作をはじめたのもこの時代です。

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白濁した釉薬をかけた透かしばち。

鉢全体に穴を開けるという斬新な形。

寛永文化の美意識を象徴する一点です。

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この水差しも白一色。

高いろくろの技術に寄る造形。

白のシンプルさの中に、さらに深い美を見出そうとしています。

江戸時代の絵画を構築してきたのは狩野派でした。

なかでも狩野探幽は新しい絵画を目指します。

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これは探幽、33歳の時の作品。

豪壮な狩野派の画風を大きく変えています。

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モチーフを少なくし、

画面をゆったりと構成しています。

大きな余白と淡い色彩。

探幽様式が確立された作品です。

余白を大胆にとった屏風絵。

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穏やかな水流を背景に互いを見合う鳳凰が描かれています。

探幽は遠州の茶会にも参加し、その美意識も取り入れたと思われます。

 

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www.suntory.co.jp

 

会場:サントリー美術館

会期:2018年2月14日~4月8日

版画の景色 現代版画センターの軌跡

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1970年代。新しい版画運動が生まれました。

現代版画センターです。 

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虹の作品で世界的な評価を受けた画家・靉嘔(あいおう)。

現代版画センターに参加してできた版画です。

この時代、多くの作家が版画表現の可能性を追求していました。

立体作品で知られる関根伸夫は、

版画センターのブレーンとしても活躍しました。

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形と色彩が分離したリンゴ。

輪郭だけをのこして色彩がずり落ちてしまいそうです。

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銅版画とシルクスクリーンの組み合わせ。
版画家・柳沢紀子は、版画センターの摺り職人の高い技術で
この作品に挑戦しました。

 

元永定正《白い光が出ているみたい》1977年

深いグラデーションを得意とした元永定正

様々な色合いの版を重ねて深みのある色調を作り出しています。

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現代版画センターでは80人に及ぶ美術家たちが、

700点以上の作品を世に送り出しました。

 

 

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多くの人々が手にすることのできる「版画」というメディアの特性を生かし、その普及とコレクターの育成を目ざして誕生した「現代版画センター」(1974-85)。同センターは10年あまりの活動の中で、およそ80人におよぶ美術家と協力して700点を超える作品を次々に世に送り出し、同時代の美術の一角を牽引したことで知られています。

youtu.be

 センターで作品を発表した作家には、平面作品を中心に制作する美術家のみならず、彫刻家・工芸家・映像作家・建築家にいたるまで、さまざまなジャンルのアーティストが含まれていました。こうしたジャンルの垣根を越えた活動のあり方は、当時画期的なものとして大きな関心を集めました。

 またセンターの活動は版画の制作にとどまりませんでした。数多くの美術家や批評家が寄稿した「現代版画センターニュース」や、主催の展覧会カタログを中心とする出版事業を活発に行い、美術界に大きな影響を与えたことが注目されます。

 こうした活動は、版画表現の可能性を最大限に追い求めた時代の熱気を今に伝えます。本展覧会は、現代版画センターが制作した作品と資料から、その活動の軌跡をたどります。

 

www.pref.spec.ed.jp

 

 

会場:埼玉県立近代美術館

会期:2018年1月16日~3月25日

生誕110年 人、鶴岡政男

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画家、鶴岡政男は、戦前戦後を通じ前衛的な作品を描き続けました。

小鳥に愛情を注いでいる少女。

鶴岡の長女をモデルにガラスに描きました。

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戦後、苦しい生活の中で魚を描いた作品。

当時はどの家も食糧難でした。

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家族で出かけた魚釣り。

どこか滑稽な魚達が食卓を賑わせます。

鶴岡の表現は立体制作にも及びます。

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おどけた雰囲気のある素焼きの彫刻。

戦争や貧困がもたらす生活の中で、

絶えず人そのものを見つめました。

抽象の中にユーモアもある作品たち。

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特集展示 生誕110年 人、鶴岡政男 | 高崎市

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 群馬県高崎市出身の画家、鶴岡政男(1907-1979)は、戦争体験や友人である靉光(あいみつ)、松本竣介の死の影、みずからの生活苦の中、絶えず人をみつめ、人そのものを描き続けました。1930年代より日本近代、さらには同時代美術を鋭いまなざしで射抜きながら、鶴岡自身の心の影や身体をありありと想像させる油彩を残しました。また1961年以降制作したパステルは、「動きの中にリアリティを把握する」と語る目と手と心が刻まれ、ときに色鮮やかで温かくユーモラスな表情をみせながら、一筋縄ではいかない鶴岡その人の真実を宿します。鶴岡政男がみつめ続けた「人」とは、そして人の光と影を描き出した「鶴岡政男」とは、いったい…。


本展では平成29年2月の生誕110年を記念して、当館コレクション、県内美術館の300点を越える鶴岡作品コレクションなどから、油彩34点、パステル17点、素描38点、さらには立体など9点、計98点をご紹介します。

http://www.city.takasaki.gunma.jp/docs/2017122400012/files/04yorunokishi1.jpg

同時に戦時下にあっても純粋な制作発表を続けた「新人画会」からの友人たちや、鶴岡に立体制作の手ほどきをした木内克(きのうち よし)など、鶴岡を取り巻く同時代作家たちとのかかわりにも触れ、内と外から鶴岡の深層に迫ります。

会場:高崎市美術館

会期:2018年2月10日~3月25日

日曜美術館「イレーヌ ルノワールの名画がたどった140年」

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この絵のコレクター・エミール・ゲオルグ・ビュールレは、

第二次世界大戦で成功し"死の商人"だった。

ルノワールが描いた肖像画のモデルとその家族の知られざる秘話。

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日曜美術館「イレーヌ ルノワールの名画がたどった140年」

愛らしい少女の肖像「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」。

ルノワールの代表作は、ナチスによる略奪など想像を超える物語を秘めていた。

一枚の絵を多面的に語り尽くす。

ルノワールの代表作「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」。

裕福なユダヤ人富豪の令嬢を描いた肖像画には、想像を超える激動の物語が秘められている。

モデル・イレーヌの家族を襲ったホロコーストの悲劇。

ナチスによる肖像画の略奪。

そして戦後、奇跡的な肖像画の再会。

ピアニスト・西村由紀江さん、カメラマン・渡辺達生さん、多摩美術大学教授・西岡文彦さんが、それぞれの視点から名画が秘めた「美の物語」を語る。

【ゲスト】ピアニスト/作曲家…西村由紀江,カメラマン…渡辺達生,多摩美術大学教授…西岡文彦,【司会】井浦新,高橋美鈴

放送日

2018年3月4日

そして“カワイイ”が生まれた ~内藤ルネ 光と影~

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その生みの親といわれるのが愛知県出身のアーティスト・内藤ルネ

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それまで誰も見たことのない「明るく元気な少女のイラスト」から「パンダのキャラクター」まで、社会にカワイイを浸透させてきましたが、その存在は謎に包まれてきました。

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しかし死後10年を経た今年、NHKはその胸の内を語った手記を独占入手、数奇な人生が明らかになってきました。


戦後の日本人女性やLGBTといった社会的マイノリティだった人々を肯定し、勇気を与えてきたルネの生涯。

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“自分らしさ”を貫き通した信念の裏側には何があったのか――多様性と不寛容が混交する現代を生きるあなたへ、ルネが「カワイイ」に込めた本当のメッセージをお伝えします。

「少女」の付録|内藤ルネの乙女チック「ら・り・るね」

出演 ピーコさん(タレント),増田セバスチャンさん(アートディレクター),香山リカさん (精神科医立教大学教授),伊藤文學さん(雑誌『薔薇族』初代編集長),池田理代子さん(漫画家),宇野亜喜良さん(イラストレーター) ほか

そして“カワイイ”が生まれた ~内藤ルネ 光と影~

放送:2018年3月7日