チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

おそ松さんを読む

おそ松さんは久々に楽しめたギャグアニメでした。脚本や構成が他の作品には見られない緻密さがありました。的を射た批評を探していたところ、わかりやすく解説したサイトを見つけました。 

■閉塞した社会を起点にした成長の物語

 その上で本作が提供するのは、成長物語であり、若者の未来像です。

 本作では「ドラえもん」や「サザエさん」のように前回までの全ての顛末がリセットされるわけではありません。作中で描かれた挑戦や失敗は、翌週のネタや設定として部分的に引き継がれ、物語がつむがれています。そしてそこからは、手酷い失敗をしてもなお包摂されているという人間関係への安心感や、諦めずに挑戦し続けるなかで少しずつ変化するキャラクター像を読み込むことができます。

 一話完結のコメディでありながら状況は引き継がれていくこの種の演出は、「8時だョ!全員集合」や「ダウンタウンのごっつええ感じ」などで見られる、コントの手法だといえるでしょう。実際、本作のスタッフには、シリーズ構成・脚本の松原秀氏をはじめ、バラエティー番組やお笑いの経験を持つ人材が配置されています。コントを選択したことで、若者の変化や成長をおしつけがましくない形で提供できた点が、本作の隠れた成功の秘密です。

ニートで童貞の6人兄弟によるコメディは、信頼できる所属集団をあらかじめ欠いた若者がコミュニケーションやキャラクターを武器に大人になろうとする成長物語、ビルドゥングスロマンとしても鑑賞できます。これは古くから繰り返し描かれてきた、古典的かつ普遍的なテーマです。閉塞的で暗い日本の現状を起点としながらも成長と未来を志向している本作の見取り図にこそ、多くの人を魅了して止まない理由があるといえそうです。

 

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最終話には続編を予告させるメッセージも画面の片隅に記されていたようです。番組の隅から隅まで使った演出がどう変化するのか楽しみです。