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チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

日曜美術館「禅 “円”が語る美とこころ」

日曜美術館

京都国立博物館で「臨済禅師1150年 白隠禅師250年遠諱記念 禅ー心をかたちにー」が開催されました。日本文化を形作ってきた禅宗美術に触れることができる特別展覧会です。

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日曜美術館「禅 “円”が語る美とこころ」

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国宝「秋冬山水図」(雪舟筆)や「達磨像(だるまぞう)」(白隠筆)など禅宗美術の傑作200点が京都に大集合!作品に込められたメッセージを読み解き、魅力に迫る。

放送:2016年5月20日

国宝「秋冬山水図」(雪舟筆)や「達磨像(だるまぞう)」(白隠筆)など、禅宗美術の傑作200点が、この春、京都国立博物館に大集合。秘蔵されてきた寺の至宝や、テレビ初公開の新発見の“謎の禅画”も登場。一つ一つの作品に込められたメッセージを読み解き、ジョン・レノンをはじめ多くのアーティストたちも影響を受けたといわれる禅宗美術の魅力に迫る。井浦新が、京都の古刹・天龍寺の極上の庭で、座禅に挑戦!

【出演】知花くらら,橋本麻里,【司会】井浦新,【語り】伊東敏恵

番組内容

いきなりですがお題です。「円を描いてください」

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円であることがわかると言います。それは描いた人の心。円は禅の悟りの象徴とされ円相と呼ばれます。筆の勢いや墨の濃淡に心が映し出されると言います。線が一つにつながった円相。禅から生まれた絵画や書、禅宗美術が注目されています。それが日本文化に多くの潮流を生み出してきたか。禅宗美術を杖得たのが江戸時代の禅僧・白隠です。

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謎めいた作品の魅力をひもとくと何かを語りかけてくる禅宗美術を探検します。

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禅が中国から本格的に伝わったのは鎌倉時代。禅の僧侶で水墨画の巨匠でもあった牧𧮾作の「龍虎図」もこの頃伝えられました。龍と虎で禅問答する師匠と弟子の関係を表現しています。

 

室町時代水墨画を吸収した絵師たちはさらに新しい画風を生み出していきます。 

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狩野元信が描いたものです。仏像が描かれていないこの絵は大徳寺の大聖院にかつて描かれたものです。禅宗のお寺に絵を隠し事を担ったのはお坊さんであり絵も描く画僧でした。ところが、この狩野派足利将軍家に使えた御用絵師・俗人の絵師です。俗人の絵師がお寺の中に絵を描くようになっていく。融合する瞬間です。水墨画の中に色が入っています。

禅宗では書も重要な役割を担ってきました。これは一休さんの書です。さっと描いているように見えていますが、結構力を入れて書いていたようで、紙の下の畳の部分がこすれて見えるところもある書です。一休さんは彼女がいたり酒やたばこを吸ったり、肉を食べちゃったりとか戒律を破るような個性的な僧でした。しかしそれを超えて教えに転化していける力を持った僧でした。

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「諸悪莫作衆善奉行」一休禅師が残した書です。「もろものろ悪をなさず、もろもろの善をしなさい」というシンプルな意味です。しかし、簡単そうに見えますが実行することがどれだけ難しいことかということが身に迫る書きぶりです。好き勝手やっていた一休さんだからこそ含蓄がある言葉。

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禅宗の書はうまい下手というより、その全人格が投影されているものとして見るのです。あたかもその人がそこにいるような。それは禅宗の教えというものは基本的に師から弟子へ、一対一で伝わっていくものですから、墨跡というものをまさに師の教えそのものとして見るのです。

 

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地味で渋いと思わせる禅宗美術の常識を覆す作品があります。お腹を開いて見せているのはお釈迦様です。釈迦の息子である羅怙羅尊者(らごらそんじゃ)は仏というより修行中の人間として描かれています。

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どんな人の中にも仏性がある。仏につながる種のようなものがあるので、それを育てていくことで仏になる。可能性を具象的に表しています。人間の本質は内側にある。外見ではないということがわかる像です。

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禅宗を開いたとされるのが達磨大師です。座禅は仏教の修行として以前から行われていました。達磨は座禅を修行の中心にすることを始めたことで知られています。

 

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白隠という江戸時代初期の禅宗の僧が書いた絵です。白隠は絵を多く書きのこしましたが、達磨だけでも数千枚に及ぶ絵を描いたことでも知られます。

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一気呵成に引かれた太い線。赤と黒のコントラスト。迫力あるのにどこかユーモラスです。白隠はそれまでの禅宗美術を大きく変えた人物としても知られています。武家や貴族に受け入れられてきた禅宗白隠は禅画を使って庶民にまで広めました。

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 白隠はまるでマンガのような作品を次々と書いて行きます。金の文字の着物を着た男が痔にお灸を据えられています。

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金は欲望、痔は持病。どちらも根本の病です。それを治すためお福さんにきついお灸を据えられているのです。

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黒々と太い筆の線。地獄の鬼が持つ金棒です。自分が地獄に落ちるような振る舞いをしていないか。それに気づいて向き合うことが出来れば極楽に行けると説いているのです。

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静岡県沼津市白隠のふるさとです。江戸時代の初め東海道を行き来する人馬の手配をする家に生まれました。白隠は親の反対を押し切り15歳で仏の道に入ります。

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根を詰めて修行をするあまり、白隠は病を患ってしまいます。

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心火逆上は、今で言う鬱病とみられています。数年掛けて病を克服した白隠は沼津にある寺の住職になります。42歳の秋。法華経を読んでいるとコオロギがしきりに鳴きます。そのとき、突如として深い真理を悟ったといいます。

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修行は自分のためではなく、苦しむ人のためにするべきだと、白隠は禅の教えを庶民のためにするようになります。

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宙に浮く男が掴んでいるのは巨大なウナギ。人間が知らず知らずのうちに欲にとりつかれていないかと問いかけています。

 

 

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白隠が生涯にわたって絵にしたのが達磨です。数千枚ともいわれる作品は年齢とともに変化しています。眉毛の大きさに注目。変化は白隠の悩みが反映しているという人もいます。

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40代の達磨は達磨らしく見せることにこだわりすぎているといいます。ひげとか皺とかリアルに描こうという意識が絵に現れています。

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80代の作品にはリアルに描くことが減り、そのかわりシンボリックな表現に画風が変化します。

誰にでも心の中に仏がいる。それを見つければ苦しみから解放される

すべての人に禅の心を伝え、苦しみから救いたい

画面に文字を書き込むなど誰にでもわかる工夫が盛り込まれています。

白隠は この作品を書いた翌年83歳で世を去りました。

2015年白隠の書いた新たな絵が発見されました。絵が見つかったのは大分県臼杵市です。豊後国には禅宗寺院が多く建てられました。

見星寺の住職は以前から不思議な絵だと思っていた掛け軸の鑑定を専門家に依頼しました。筆跡の特徴などから白隠60代の作品だということがわかりました。

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円の中の達磨。この絵は何を意味しているのでしょうか。

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慧下(えか)」と言えば雪舟の描いた国宝が知られています。達磨の弟子である慧下の有名なエピソードがあります。

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洞窟で9年間の修行を続ける達磨の前に、弟子入りを希望する慧下が現れます。ところが慧下が何度呼びかけても達磨は振り向いてくれません。ついに慧下は自分の腕を切り落とし、修行への覚悟を伝えます。それがきっかけとなって達磨は耳を傾けてくれます。

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雪舟が描くのは切り落とした腕を抱えた慧下が入門の覚悟を達磨に伝える場面。いっぽう白隠の絵は、さあこれから腕を切り落とすぞと慧下が達磨に迫る場面です。

この絵は、修行のあり方を問う教えではないかと考えられています。ヒントは右上の漢詩にあります。

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腕を切って悟ったかもしれないが、立派な身体に傷をつけてまでしたこと・・・

白隠はその先になにをめざすことが大事なのかと、暗に問いかけます。禅の僧侶が本来めざすべきは何か?それを象徴するのが「円相」の中の達磨です。己ではなくもっと壮大なもの。円は禅の求める究極の真理。心とはなにかを追求すること。その大きなものの存在を気づかせようとしているのではないか。その物語を達磨と慧下の関係を使って即物的でない形で伝えようとしたのです。問いかけに対してどう答えるかを考える。参加する楽しみが禅宗美術には込められています。

 

「若い衆 どうせ死ぬなら いま死にゃれ 一度死んだら二度死なぬ」 白隠禅師

 

ディレクター:大福由喜

制作協力:NHKエデュケーショナル

制作著作:NHK京都

取材先など 

av98ingram.wpblog.jp

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展覧会

www.tnm.jp

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