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チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

漫勉 池上遼一 2

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続いて書きだしたのは最新作「アダムとイブ」その主人公・スメルを描きます。

「今回の男前はこういうタイプだなってのが新しくなってますよね」

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「こだわりは美男美女なんですよ。いい男前が出てこないと描いてても面白くないのですよね」

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「美男・美女に思い入れが強すぎる。僕自身は普通だと思っていても女房からいわすと異常者だということになる」

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「神の創造物として、一番理想的なものを描こうとしている。理想ばかり描いているからね。日本人として生まれて良かったなって思ってもらいたいのですよ。こんないい男や女がいて、僕の漫画読んでもっと前向きに生きれるなっていうか」

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池上さんは1944年福井県生まれ。中学の時から漫画家を夢見ていました。

山川惣治絵物語とか、ああいうリアルなものが好きだった。さいとうたかを先生の台風五郎とかね」

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17歳でいったんデビュー。しかし生計は立たず、看板の絵を描く仕事をしながら地道に漫画を描き続けていました。鬱屈していたた当時、共感したのが社会の暗部を描くつげ義春の作品でした。

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「暗い。救いのない漫画を描いていたんだけど、僕の中ではリアリティがすごくあった。リアリティのあるものと願望と。僕のやりたいこと。好きだったのはこの二つだった」

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22歳の時転機が訪れます。池上さんのが緑に注目した水木しげるさんからスタッフに誘われたのです。そこでは思わぬ出会いもありました。

「さん四人集まって自己紹介していたら、つげ義春ですといわれて仰天しました。バンザイ神に感謝って感じです」

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二人の教えを受け、社会派でリアリティのある作風を磨きます。そして小池和夫、雁屋哲武論尊などの実力派とタッグを組み一気に飛躍します。描いたのは単なる正義の味方ではないダーク・ヒーローでした。

アウトローに染まりながらも社会の不条理と戦う主人公。その姿が時代の読者を熱狂させてきました。

「この社会は矛盾を孕んでいるじゃないですか。すべて両面がある。だから前途か正義とかに抵抗する主人公にシンパシーを感じる。だからアウトローになっちゃう」

「善とか言った段階で、怪しいぞって思っちゃうんですね」

「偽善とか欺瞞というのは嫌い」 

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55年にわたり人々のあこがれを描こうとしてきた池上さん、読者を引きつけるために時代に常に寄り添ってきました。

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「ネットで大騒ぎになりましたね」

女の子のキャラクターが戦車で戦うガルパンことガールズ・アンド・パンツァー。池上さんはコラボしたことがあります。

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「池上さんの漫画に若い女の子がでてきた」

「あの時代は高橋留美子先生が出てきて、ラブコメが台頭してきたんです。だから大人の女だと読者はついて来れないのではないかということで」

「対応していかないと古く見えちゃう。手塚先生とか石ノ森先生っていうのはファッションはすっと、足は丸いし」

「あれは本来の漫画の姿だと思う。僕なんかがやっているのは時代がちょっと変わるとすごく古くなったり、画風的にね」

「今とどう折り合いをつけるかってのが大変」 

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新連載の作品。主人公の名は「新海」です。激しいシーンで池上さんが描いたのは意外にも涼やかな表情でした。池上さんは主人公の表情でたどってきた人生までも描こうとします。

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「アクションで相手をぶちかましたとしても、どこかもの悲しそうな顔になったりとか、それはシナリオに書いてないわけです。原作に書かれていないことを探し出すのが僕の仕事だと思っているから、そこらへんを出したいと思うのですよ」

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「今まで描いたことがないよう野生美のあるキャラにして、ところが目はちょっと憂いがあって、何か過去に悲しいことがあったのかなとか、愛していた愛娘を何かの形で死なせた過去を持っているとか、だから今女の子にはやさしてとか、そうなんだろうなと、勝手に想像してこの目をつくっている。それがエピソードとしてでて来なくても、何かの時に読者に感じてもらえる表情をめざしている」

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「演技としてタバコってすごい(効果的)」

「いいですよ。タバコの吸い方にね、すごいエロティックなものを感じる」持ち方で・・・

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「こう挟むのと、こう持つのと、いろんな持ち方で、演技には取っても重要な間合いがとれる」

「感情表現は顔だけでなく、その男が持っているライターとか、たとえば指の形とか、全てが感情表現の道具になる」

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「絵にね、色香というか、色気がなくなったら、もう駄目だと思っているんで・・・。僕は、男の肉体が好きなんですよ。京都府警を取材させてもらったことがある。そこで若い警察官が車を洗っているんですけど、Tシャツをまくり上げると、三角筋にプププッと汗が噴き出ているわけ。すっごい色気を感じたんですよね。それからそのあと「覇LOAD」という、三国志をやることになるんですけど、服のデザインを全部上腕を出すデザインにしている」「そこから着ているんですか」

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池上さんは解剖学を学び、筋肉の研究もしているそうです。

仕上げ作業。ペンと筆を両手に持ちました。

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「これ、ためになっちゃった。僕これまでフッて吹いてたんですよ。これでこんなになるんですね。大事故になるんですよ。吹くと。吹くエリアにマスキングして、そこにフッてやるんですけれど、思ったところに行かなかったりとか、こんな風にやるんですね、初めて知った」

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クライマックスの作画に入ります。 

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ガイドの線を引き、迫力と安定感を 出す構図を探します。

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「どこか本人自体が照れながら言っているような表情が欲しいなあと思って」

人物像が伝わる表情を生み出すため、細かな修正を加えます。

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「池上先生の描く絵がね、偽善感がないんでしょうね」

「そういう目が描けるまでは、何回も描き直すんですよ。どこか、心の奥で茶化しているとか、虚無感みたいなものを目出したいなってのがありますね」

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続いてペン入れです。

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「他はGペン出描くんですけど、目だけはかぶらペンを使う」それは何か・・・

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「男同士の話なんで、ガサツな線になってもいいんだけど目だけはかぶらペンのほうが」繊細な絵が描ける・・・

「固いんです。強弱がつかなくて」 

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Gペンでほかの細部を描いていきます。

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「一つ間違えば、時代の迷子になってしまうような古い人間かもしれないけど、自分に忠実に生きたというか、そういう男の生き方が僕は好きですね」

「しかしそれは見方を変えると、終わりゆく時代の人たちですよね」そうですね

「池上さんが描くキャラクターたちは、自分たちが終わりゆくってわかっているからああいう目なのかもしれない」

「そうかもね。悲しみがね。無意識にでちゃうのかもね。僕の中で」

「俺は正しいって全肯定してないんだよね、目がね。そういうことかもしれない。このかっこよさはね」

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このページに取り組むこと3時間。完成です。

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単純な正義のヒーローではない、屈折を抱えた表情。池上さんの思いがこもった新たなヒーローが誕生しました。

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「絵を志している人は必ず、すげえなあって思う。それだけでもありがたい映像ですよね」

「最近の若い作家さんは等身大の主人公が多いじゃないですか。僕なんかが古いなと思われるような気がするけれども、僕は願望しか描けないから、これを続けていくしかない」

ディレクター:斎藤勇太

プロデューサー:岩井礼

制作統括:北生大介

 

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