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チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

仕事の流儀「人生に寄り添う一着を デザイナー・皆川明」

未完のバランスを大切にしています。自己完結したものよりも、偶然性やそのときの気分を取り込んだもののほうが、未完成ながらも存在感があり、不思議と心に引っかかるものです。

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デザイナー・皆川明さん 1967年東京生まれ。文化服装学院卒業後、95年に自身のブランド「minä(ミナ)」を設立。2003年ブランド名を「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」とする。2006年毎日ファッション大賞(毎日新聞社主催)大賞受賞

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「ミナ ペルホネン」1995年にデザイナーの皆川 明により設立されたファッションブランドです。オリジナルの図案によるファブリックを作るところから服作りを進めます。国内外の生地産地と連携し、素材開発や技術開発にも精力的に取り組んでいます。

「minä」は「私」、「perhonen」は「ちょうちょ」。蝶の持っている軽やかな美しさをデザインで表現したいと。蝶の種類が多様であるように、僕たちのデザインも無数に、多様に、広がり羽ばたいていく。そんなことを願って名付けたんです。フィンランドは若い頃に訪れて以来、すごく愛着を抱いている国なんです。

放送日

2016年10月17日(月)

番組

今、異彩を放つ一人のファッションデザイナーが、国内外から注目を集めている。
流行がめまぐるしく変わるファッションの世界。だが皆川は、トレンドはいっさい追わない。マーケティングもしない。ただ作りたい物を作る。そのために、通常はテキスタイルデザイナーに任せることが多い生地の図案作りも自ら行う。花や動物、幾何学模様などをモチーフに、素朴だが印象的な皆川のデザイン。近年では服というジャンルを超え、海外の家具メーカーや食器メーカーからもデザインの依頼が相次ぐほど評価されている。しかし若き日、ファッションの世界を志し入学した専門学校では、簡単な裁縫の課題さえできなかった。独立した当時には、早朝から魚市場で働き生活費を稼いだ。それでもなお服作りを続けた裏にはどんな思いがあったのか。この夏、皆川は新たな刺しゅうのデザインに挑んだ。やがてそれは、「表現すること」の根源的な問いと改めて向き合う挑戦となった。デザインに人生をかける男の、熱く、静かな闘いに密着する。

 

 

自分が喜んで描いているものは、人が喜んでくれるものだと信じて精一杯やろうかなと思うんですよ。

デザイナー・皆川明。49歳。誰も真似ができない独創的なデザイン。何度も修理して長く来てもらうことを前提とした服作り。その目的が、その姿勢が、大量生産・大量消費のファストファッションへの異議申し立て。トレンドからはまったくかけ離れているが、でも様々な分野で活躍する人たちから熱いまなざしを受ける。

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自分たちの服がワンシーズンというよりは、ずっとその人の生活によりそってほしいなってのはずっと思うんですよ。

皆川の仕事場は11階建てのビルの最上階にある。学生時代長距離選手だった皆川の日課は一階から最上階の仕事場まで200段ある階段を上ること。

皆川の会社はスタッフ90名ほど。服を売る直営店は全国に8カ所ほど。むやみに増やすことは考えていない。しかし、21年間で売り上げが下がったことは1度もないという。その堅実さは浮き沈みが激しいアパレル業界ではきわめて珍しい。

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「これは余白の部分が主体となっているドットなんですけど、ドットそのものは描かずにまわりの細かなドットによって主体のドットが浮かんでくる」

皆川のデザインの特徴はオリジナルの生地作りからはじめること。通常、ファッションデザイナーが描くのは「絵型」と呼ばれるデザイン画。これをもとに生地を作る専門のテキスタイルデザイナーが柄の図案を起こすのが普通だ。だが、図案を皆川自らが手がけるところにこの服の存在価値がある。

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皆川の服は形自体はきわめてシンプルだといわれる。しかし、その独特の柄が人気を集めてきた。鼻や動物、幾何学模様などの素朴なモチーフ。古い絵本に出てくるようで懐かしくて楽しい。身にまとえば風や体の動きに合わせて踊るように見える。

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なるべく素材を生かして、着心地が良くて、それでいて自分たちのテキスタイルから気持ちが高揚するっていう・・・それが満たされているようにと考えます。

皆川がモチーフにするのは旅先などで見かけた何気ないものが多い。この日描いたのは2週間前イタリアで見かけた砂時計。

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ある意味、すごく人生に近いというか、持ち時間がだんだん減りながら、記憶が増えていくという考え方で捉えたんですけど。説明になりたくないんで、どれくらい抽象的なところにもっていけるかな

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作業の途中、消しゴムのかすが目にとまった。偶然の発見がアイデアを生み出す。まわりを喜ばせたいと思いすぎると作為すぎる。描いている自分が喜べないといいデザインは生まれないと、皆川さんは思います。

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自分のこんなものが布になったら素敵だなと思うことだけですね。

「周りの人に喜んで貰えるだろう」というふうに描けば描くほど、自分の思いが小さくなるというのがわかっているので、自分が喜んで描いているものは、人が喜んでくれるものだと信じて(奢った意味じゃなく)精一杯やろうと思うんです

日常にある普通のモチーフなのに、どこか不思議さのあるデザイン。皆川さんのデザインの秘密は「マイナスの中にプラスを見いだす」という発想にある。

 

この世の中にマイナスしか持っていないという事象ってあるのだろうかと思うのです。マイナスに見えても、俯瞰していくとそのマイナス要因から生まれてくるさまざまな要素はとてもいいことがたくさんある。マイナスだけのものって実はないのではないかと思うことが私のデザインの根っこにある

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