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アートシーン・博多の僧・仙厓の禅画

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江戸時代の博多の僧・仙厓(せんがい)(1750~1837)が描いた禅画の世界。豊富なコレクションを誇る出光美術館福岡市美術館九州大学文学部の所蔵品が30年ぶりに集結しました。

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美濃国岐阜県)の農民に生まれた仙厓は11歳の時仏門に入ります。各地で修行を積み40歳の時福岡にある日本最古の禅寺・聖福寺の住職に抜擢されます。

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水墨画を始めたときに描いたとされるものです。手本をもとに慎重な筆遣いを見せています。

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こちらは50代の時に描いたもの。柔らかい筆遣いですが、全体を見ると禅画の様式を守り端正に整えられています。

仙厓の絵に大きな転機が訪れたのは62歳ので住職を退いてからでした。

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花見に浮かれる人々。

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仙厓は禅を広く庶民に伝えようとしました。人柄を慕い、隠居所にはいつもたくさんの人が集まっていたとされています。

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皺が寄る。ほくろが出来る。腰曲がる。

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年老いた人々がどこかユーモラスに描かれています。庶民と交わる中で禅画にない自由な絵が生まれました。

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お月さんいくつ。十三、七つ・・・。踊るように月を見上げる子ども。

「指月布袋画賛」は画面にはない月が悟りを、指が経典を象徴しています。安易に経典に頼ることを戒める画です。仙厓は禅の心を広く庶民の心にまで届けようとしました。

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八波浩一・出光美術館学芸課長代理は「笑いで包み込むことで、禅に躊躇(ちゅうちょ)する人も近づきやすくなる。日々、市井の人々に接した仙がいならではのアプローチ」だといいます。

仙厓自身は、晩年になっても禅の心を探究し続けました。それまでの禅画にない図形の組み合わせ。「円相(えんそう)図」です。禅僧が悟りの境地を込めた画だが、仙がいは○を菓子に見立てて「これくふて茶のめ」などと賛をしたためています。

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一帯何を表しているのでしょうか?その謎に迫る資料があります。

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「今の自分は三角で、このあと修行を積んで丸になる・・・つまり修行をする前の自分は四角であると考えることも出来る」

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「この三つの図形は仙厓自身を表現したものとして捉えることが出来る。自分に向けて自分を戒めるメッセージなのではないかと解釈することも出来るのではないでしょうか」

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都内2館で開催中の個展は、流行に敏感で好奇心旺盛だった実像も浮き彫りになります。書画の人気ぶりは一時、絶筆宣言までしたほどです。仙厓は73歳で「厓画無法」を宣言し、その画は晩年にかけてさらに自由になっていったといわれます。厳しく禅の道を究めた一方ユーモアあふれる絵、今なお人々を魅了します。

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 展示は別の仙厓像も示す。禅の画題の他にも、動植物から風景、風俗、戯画まで多彩な画を描いた。遠めがねや万国地図を持ち、珍奇な石を集め、登山を好んだという話からは、好奇心いっぱいで元気な老僧の姿が浮かび上がる。

 ぬめりまで表現したような「章魚(たこ)図」や、実際に見たトドを書物でも調べた「トド画賛」は「当時の博物学の流行が背景にある」と八波さん。訪れた名所などの画も、実際に見た景色を描く「真景図」の流行を反映しているとみる。ただ、見たままの写生ではない「仙がい流」ではある。

 永青文庫(東京・目白台)の「仙がいワールド」は、所蔵する135点のうち104点を、来年1月29日まで4期に分けて紹介する。全作品を今夏改めて調査し、おおよその制作年代を判断した。

 「あまり知られていなかった」というコレクションは、初期から晩年まで、多彩な画題がそろう。監修した中山さんによると「龍虎図」(現在は二幅、6日まで展示)は元が襖(ふすま)絵だったことがわかる現存唯一の画で、ふんどし一丁の賢人が集う「竹林七賢図」、「鏡餅と鼠(ねずみ)図」(どちらも来年1月7~29日展示)などは他に例がないという。

 

仙厓(せんがい):ユーモアあふれる禅のこころ (別冊太陽 日本のこころ)

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仙厓(せんがい) 無法の禅

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見て感じるかわいい禅画 白隠と仙厓 (三才ムックvol.874)

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死にとうない―仙ガイ和尚伝 (新潮文庫)

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