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ブリューゲル「バベルの塔」展・必見の三点

ブリューゲルバベルの塔」展・必見の三点

バベルの塔ピーテル・ブリューゲル1世 

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人々が天まで届く塔の建設を企て神の怒りを買う旧約聖書の物語。無数の作業者や建設機器が描かれている。絵が描かれた1568年頃、舞台とされたアントワープは国際交易のハブとして盛期を迎え建設ラッシュを迎えていました。ボイマンス美術館のフリーゾ・ラメルツェ学芸員は「建設機材は当時の者で、ブリューゲルは実際に人々が現場で働く姿を観察し、塔建設に必要な機材を想像したのでは」と述べています。

リアルを追求したブリューゲルは米粒ほどの大きさの人を総勢1,400人近くも描きました。ローマのコロセウムを思わせる螺旋状の塔は、木で組んだ足場の描写もリアルで、塔の上層と下層では色合いが変わり、建設に長い年月がかかったように見えます。石工や煉瓦工など職業別に描き分け、現場で働く作業員たちの休息所や宿舎、作業着を干す様子まで描いています。

「三次元のダイナミックな画面構成と、細部の描写が寸分の狂いもなく統合されている」この作品の傑作たる最大の理由はミクロな世界とマクロな構図の一体感と、東京都美術館の中村仁志さんは指摘します。

 

 

 

人々の暮らしに対する観察眼と豊かな想像力が特徴のネーデルランド絵画で、ひときわ異彩を放つのがヒエロニムス・ボスです。現存するボスの絵画は25点ほどですが、そのうち2点が来日します。

「放浪者」ヒエロニムス・ボス

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旅人が娼館の誘惑に後ろ髪を引かれる一場面を描いたこの作品は、それまで一般的だった宗教画とは異なる画題を選び16世紀のネーデルランド画壇に一大旋風を巻き起こしました。画面左で誘惑し合う男女などを子細に描く姿勢には、世俗の営みに対するボスの関心が現れています。

 

「聖クリストフォロス」ヒエロニムス・ボス

 

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キリストを背負って危険な川を渡った聖クリストフォロスは旅人の守護神です。伝統的な絵画のモチーフですが、この絵からはどこか奇妙な気配が漂います。服は強風に煽られているのに川面は静か。背景をよく見ると木に吊された熊や、細い枝先の蜂の巣に手を伸ばす小人、川向こうの石垣にはモンスターが顔をのぞかせています。

力強い想像力と独自の画風はブリューゲルらに大きな影響を与えました。

 朝日新聞1月17日紙面から (東京周辺) 

「快楽の園」―ボスが描いた天国と地獄 (ビジュアル選書)

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図説 ヒエロニムス・ボス: 世紀末の奇想の画家 (ふくろうの本)

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ボス (新潮美術文庫 7)

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ヒエロ二ムス・ボス (ニューベーシック)

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ボス―光と闇の中世

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日経おとなのOFF2017年1月号

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