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チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

人類史上最高の焼き物「汝窯(じょよう)の青磁」

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中国の伝統的な文物をこよなく愛し、現在も故宮博物院に残る多くのコレクションを収集したのが文人皇帝・清の乾隆帝です。その乾隆帝が「趙宋の官窯は晨の星を看るごとし」と詠んだ陶磁器が北宋汝窯南宋の官窯及びその系統の窯から焼かれた陶磁器です。汝窯青磁の名品が多い水仙盆(すいせんぼん)は乾隆帝が好み、乾隆帝の詩などから「子犬のえさ入れ」「猫のえさ入れ」とも呼ばれました。

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とりわけ、北宋時代(960~1127年)末に宮廷用の青磁を作り出した汝窯(じょよう)、中でも青磁中国河南省宝豊県清涼寺の汝窯で焼かれた青磁は、薄手のボディと、失透性の天青(てんせい:スカイブルー)色といわれる藍色がかった粉青色の青磁釉が特徴です。「雨過天青」(うかてんせい:雨上がりのしめった空の青色)の青といわれ中国陶磁の最高峰とも、人類史上最高の焼き物とも呼ばれています。

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汝窯(じょよう)でつくられた品は清朝が崩壊したときに流出し、現在は北京・台北の両故宮博物院が所蔵するほか、日本では東洋陶磁美術館所蔵の「青磁水仙盆」が有名です。現存するものは数十点しかなく、公開オークションに出品された小皿が一枚一億円以上の値をつけたこともあるほどで、ほとんど市場に出回る事はありません。

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汝窯(じょよう)が稼動したのは北宋哲宗から徽宗の20年間で、おもに宮中御用の定窯白瓷とともに焼かれていました。最近まで北宋末期の汝窯は、当時の都・汴京にあった汝官窯と考えられてきましたが、窯址の特定ができず、その存在は謎につつまれていました。1950年、中国の研究者・陳万里が河南省宝豊県清涼寺に汝窯古窯址があると指摘したことから、1986年、上海博物館がこの古窯址に研究者を派遣し、表面採集により汝窯古窯址であることを確認しました。

 

1995年訪中し、汝州市や禹県、磁州などのの各窯跡と、各地の博物館、考古学研究所、古陶磁研究所などを見学した陶芸家の川瀬忍さんは現地を歩いた感想を述べています。

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 数多くの窯跡の中で、河南省禹県「扒村窯」の見学の折り、窯跡といっても現在は麦畑になっており、崖の断面と、畑の畦に沢山の破片と窯道具が散積している状態でした。畦道を歩いていると、ふと、足元の泥塊の中に、小さな穴のあいた一センチ位の印文ある丸い梅干の種のようなものを見付けました。 拾い上げて付いている泥と、穴の中の詰まった泥を細い木片でつついてみると、ひょっとするとこれは・・・・・。口を当てて息を吹くとピィーと音がでました。
ご案内頂いた現地の考古学研究所の先生に見せたところ、笛とのこと、しかし窯に入っておらず生素地とかで手渡してくださいました。その夜、ホテルで恐る恐る歯ブラシで泥を取り、水に浸してみても溶けませんでした。扒村の窯跡では、釣窯風のもの、磁州窯風の鉄絵、黒釉が沢山あり、そして宋三彩の破片を少し見ることが出来ました。となると、この笛はきっと三彩にする半製品ではないかと確信しました。きれいに洗っておもいきり吹くと、中国、扒村の大平原のまっただなか、数里は響く、高くすみきったきれいな音がします。「よびこ」か「子供のおもちゃ」なのか。中国宋磁に憧れる私にとって、これは、宋時代からの音のメッセージ、この上ない今回の賜り物となりました。吹き口の反対側には針でつついたような小さな穴があり、これも何とも言えぬあき具合で、早速、糸を通し首に掛け、肌身離さず帰国いたしました。
 最近の発掘調査で知ってはいましたが、数多くの窯跡をこの目で見、驚きました。それは、北方の窯々ではなんでも焼いていたこと、たとえば、耀州窯では磁州窯風、釣窯風、三彩もあり。釣窯では磁州窯風、耀州窯風の物が沢山あり。磁州窯では白磁があり。定窯でも磁州窯風の物があり。交通の便の不自由な時代、あの荒涼たる大平原を数百里も離れていても、時のニーズに応えそれを作っていった、中国の「焼き物人」の逞しさを感じました。

川瀬忍の世界

 

汝窯(じょよう)の青磁釉は皇帝の食器が主であったため非常に軽いのが特徴です。汝窯作品の多くは高台内側に多くの支釘跡があります。宮廷御用品ということから、卓越した技術と精密な寸法が求められていたと見られています。釉薬には瑪瑙(めのう)を粉にして入れてあるそうです。作品は底まですべて釉をかけてあります。口縁と角の釉が薄い部分は淡い桃色を呈し、細かな貫入が入っています。

 

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陶芸家の塚本満さんは「白磁・青白磁」の重要無形文化財保持者(人間国宝)、塚本快示氏(1912~90)の長男として生まれ、清明な色調の青白磁の作品に真骨頂を見せる作家です。「この高雅な雰囲気をまとった花に、清潔感やなめらかさ、高潔さ、シャープさなど、私の目指す焼き物に通じる要素が感じられたのです」中国・定窯跡や景徳鎮、台湾・故宮博物院など陶技研修の経験を持つ塚本さんは 「瓷の世界を求めて」瓷の器づくりに挑み続けています。

快山窯 

 

日曜美術館「幻の青磁 千年の謎」では、ふたりの陶芸家が汝窯青磁の世界に挑む模様が放送されると聞きました。

blog.kenfru.xyz

 

 

展覧会

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特別展「台北 國立故宮博物院北宋汝窯青磁水仙盆」

大阪市立東洋陶磁美術館

2017年12月10日(土)~3月26日(日)

本展では、中国北宋時代(960〜1127)末に宮廷用の青磁を焼成した汝窯を代表する青磁水仙盆の名品をご紹介します。汝窯は「天青色(てんせいしょく)」とも形容される典雅な釉色と端正な造形を特徴とします。
 今回、台北の國立故宮博物院から、汝窯の最高傑作であり、中国陶磁の名品中の名品といわれる「青磁無紋水仙盆」をはじめとした北宋汝窯青磁水仙盆4点と、さらに清朝の皇帝がその「青磁無紋水仙盆」を手本につくらせた景徳鎮官窯の青磁水仙盆1点が初めて揃って海外に出品されます。そして、日本を代表する汝窯青磁である当館の青磁水仙盆と歴史的な「再会」が実現します。汝窯青磁を代表する青磁水仙盆の名品が初めて一堂に集う本展は、千載一遇の機会です。青磁水仙盆の名品を通して、歴代の皇帝たちが愛した汝窯青磁の美の真髄をご堪能下さい。

現在の展覧会 | 展覧会情報 |大阪市立東洋陶磁美術館

 

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青磁無紋水仙盆 台北 國立故宮博物院

 

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青磁水仙盆 台北 國立故宮博物院

 

 

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青磁水仙盆 台北 國立故宮博物院

 

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青磁盤 東京国立博物館

 

 国内に現存する2点は川端康成が愛蔵し、東京国立博物館(東京都台東区)所蔵の「青磁盤」(来年2月26日まで同博物館東洋館で展示)と、東洋陶磁美術館所蔵の「青磁水仙盆」(今月10日から同美術館で展示)。個人所蔵でもう1点あったが、2012年に香港のオークションで約23億円で落札された。

「最高峰」汝窯青磁、国内3点目を確認 大阪で公開へ:朝日新聞デジタル

書籍 

 


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