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響くアートの愛好家

エリザベス ペイトン:Still life 静/生

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(「ニック(最初のドローイング」2002 Collection David Teiger Trust)

90年代初頭にあらわれたアメリカの女性作家、エリザベス・ペイトン*1の絵画は、美術は一部の特権的な人たちだけの持ち物ではないことを多くの若者たちに伝えてくれました。

 

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(「眠るカート」1995 Private Collection, New York 現代の聖人画としても見ることができるカート・コバーン肖像画は、1994年のカートの死の後に構想され、描かれた。)

ペイトンが描いたのは、ミュージシャンや歴史上の人物、あるいは恋人や愛犬など、自身にとって“憧れ”の存在や“美”の姿でした。実在のモデルや実物を描くのではなく、ペイトンが観察したのは主に雑誌などの写真でした。しかし、ペイトンが描いた作品は、透明感のある特有な色彩や、絵筆の繊細な線とあいまって、見る人に届きました。時代に新風をもたらす“新しい具象画”と称されました。

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(「エジプトのフロベールドラクロワにならって)」2009−2010 Collection of Harm Müller _Spzer 「ドラクロワ《アルジェの女たち》」1834の一部分をもとに描いた。「すでに世の中にある絵から描くのは、描いているうちに自分がどんどん無意識になっていくから」)

「私は、何かをつくり出している人に興味があるんです。それによって他のみんなの気分がよくなるようなものをつくり出すことは、とても英雄的な行為だと思います。彼らがつくり出すものは私の人生を助けてくれる。彼らがつくり出す音楽によって、自分の人生がとてもいいものになったと思うんです」

観察に時間をかけるのがペイトンの創作スタイルだといわれます。時間をかけて観察していて、その人が今にすごい人になると感じたその瞬間を描くのがペイトン流なのだそうです。最近はオペラ、花、文学史や絵画史にも言及しながら、肖像画の世界を拡げ続けています。

 

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(「ルイ14世と廷臣たち 1673年」2016 Courtesy of the Artist and Gladstone Gallery, New York and Brussels 2016年12月までニューヨークのグラッドストーンギャラリーで開催していた展覧会 『SPEED POWER TIME HEART』で発表された最新作品)

「私の作家生活は、エリザベス女王やルートヴィヒの肖像を描くところから始まりました。私の関心は次第に自分の生活のなかにいるヒロイックな人物にひかれるようになって行きました。しばらくは、アーティストやミュージシャン、作家を描いていました。が、合間に過去の人物もずっと描いていました。最近は過去の人物を描くことに関心が戻ってきています」

 

日本では紹介される機会の少なかったペイトンの25年の画業を40点を越える作品群にて一望する、日本の美術館での待望の初個展です。

http://www.art-it.asia/u/HaraMuseum

Hara Museum Web

 

Live forever

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Paradis [France] No. 6 2012 (単号)

Paradis [France] No. 6 2012 (単号)

 

 

 

*1:1965年生まれ。「ニュー・フィギュラティヴ・ペインティング(新具象派)」の画家として、90年代初頭に颯爽とデビュー。人物や静物の絵には何層もの意味が込められ、さまざまに読み解くことができる