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チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

日曜美術館・海北友松 龍の世界

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1599年。67歳を迎えた友松に大きな仕事が舞い込みます。

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京都最古の禅寺・建仁寺。この寺の中心的な建物の部屋すべてに襖絵を描くというものでした。その数50面。その中で最高傑作と呼ばれる絵が二頭の巨大な龍の絵です。

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水墨画の傑作として後世に大きな影響を与えた友松の代表作です。

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日本画家の土屋禮一さんが友松の龍に出会ったのは48歳のときでした。ある寺の依頼で龍の襖絵を手がけることになったときのことです。準備のため日本や中国で描かれたあらゆる龍の絵を調べる中、最も惹かれたのが友松の龍でした。f:id:tanazashi:20170429112153p:plain土屋さんは墨を自在に操る友松の筆運びに注目しました。

 

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「どんな絵の具より粒子が細かいから和紙に食い込むのが一番早い。だから一番最初に描いた上にもどうにもならない。墨を上書きしても、下に書いた墨の跡が浮かび上がってしまう。描く前に覚悟が決まっていないと墨が生きてこない」

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さらに土屋さんを惹きつけてやまない表現があります。画面の左上。龍の背景に流れ落ちる墨のあと。友松は偶然流れた墨のあとを絵の一部として取り込んでいたのです。

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「わざとやっているのではないところが魅力的です。偶然たれたことは予想外で、龍のリズムが生きると思って、へっちゃらでこれを活かしたという気がします。生まれてくる喜びをいつも期待している人で、僕は友松の絵を見ていると絵が呼吸してます。友松はきっと龍に出会っている感じがします」

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一番太い線はどれかと見ていると、そんな太い線はない。1センチか2センチくらい。その単位の筆でこんな大きな絵を持たせるというのか、空間と輪郭線をつなげていく技。ぼかし、かたぼかしをグイグイと描いていくのも技だと思います。

描く側から言うと、どこから始めるか考えてしまいます。 あそこらへんからはじめるとそのへんで泣きを見るとか。絶対あそこではけ足が残ってしまうとか。先に水を引いたほうがいいのかとか。引かないであとからちょっととか。筆を入れるのは鼻のあたりか、眉間のあたりか・・・ぞっとするけど楽しそうです。 

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展覧会では暗い照明に落として見せているのが「雲龍図屏風」です。描かれた当時は行灯の光の中で鑑賞したと思われることからそれを再現してみようというのが館側の狙いです。建仁寺のあとに描かれた北野天満宮の龍の絵は顔に特徴があります。

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人間の言葉で語りかけてきそうな龍の絵は「人面龍」と関係者の間では呼ばれています。立てかけて描いた近衛には、墨がたれたような跡も見て取れます。

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手で書こうとしても描けない表現に水墨画の名手としての友松のちからを感じます。

 

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