チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

日曜美術館「小さな家たちの冒険」ブルーボックスハウス・宮脇檀

1970年代。高度経済成長が頂点を迎えた日本。ファッションや音楽、アートなどに斬新な挑戦が繰り広げられます。

そうした時代の空気を映し出すような住宅も登場しました。

f:id:tanazashi:20170827134410p:plain

 

斜面から青い箱が飛び出しています。

f:id:tanazashi:20170827175300p:plain

名付けて「ブルーボックスハウス」(東京都世田谷区上野毛)。

箱を支える柱は見えず。まるで宙に浮いているかのようです。

f:id:tanazashi:20170827175522p:plain

そしてこの丸い部分はなんなのでしょうか。

f:id:tanazashi:20170827134416p:plain

玄関から中に入るとそこはリビングルームです。

f:id:tanazashi:20170827134426p:plain

あの丸い部分はこれ。来客とともにくつろぐスペースです。四角い箱の一階はリビングと台所。二階には寝室と子供部屋、浴室が収まっています。

f:id:tanazashi:20170827134430p:plain

施主は写真家・早崎治です。

f:id:tanazashi:20170827134434p:plain

東京オリンピックのポスターの写真を手がけ、商業写真をリードする存在でした。

f:id:tanazashi:20170827134438p:plain

設計をしたのは宮脇檀。「かっこよければすべてよし」が口癖で、当時最もスタイリッシュな建築家と呼ばれました。

 

f:id:tanazashi:20170827134442p:plain

「ブルーボックスハウス」はそんな二人の合作とも言える住宅です。

f:id:tanazashi:20170827134448p:plain

「宮脇さんと二人で何かを企んでああゆう傾斜のところに、おもしろいから、とにかく普通じゃない家を建てよう、とお互いに芸術的な感性を出しながら、これは絶対いい家が建つし宮脇さんはその当時最も売り出し中の建築家ですので、絶対任せてくれということで、主人は私にその当時の図面を先に見せると反対するだろうということがわかってたんじゃないかと思うのですけど、勝手に二人でやってましたようで、宮脇さん自身が四角い家をその当時こだわってらして・・」

f:id:tanazashi:20170827134453p:plain

宮脇による単純明快な建築は当時の現代美術からインスピレーションを得たものでした。

f:id:tanazashi:20170827134458p:plain

「下の駐車場は山下有三さん。当時有名なイラストレーター。主人のお友達だった方がとても可愛い絵を描いてくださって、下も派手で上も派手な。二人も若かったですから」

f:id:tanazashi:20170827134504p:plain

宮脇のもとで「ブルーボックスハウス」の建築に携わった建築家の椎名英三さん。

「当時写真界ではずば抜けていた方なんですが、その方が宮脇さんに依頼する時、この崖の斜面地ですが、そういうところで柱を立てて家を立てたら、俺もあんたも笑われちゃうぜという言葉を宮脇さんに話したんです。ですから単なる普通の家じゃないものをクライアントの方も望んでいたし、宮脇さんも何か普通じゃない強烈に固有性のある形のものを求めていったのです」

 

f:id:tanazashi:20170827134511p:plain

柱無しで宙に浮くアート作品のような家には技術的な工夫が必要でした。

f:id:tanazashi:20170827134519p:plain

「家は斜面に出っ張ってまして、ここに支持点があります」

f:id:tanazashi:20170827134524p:plain

「これを軸として、こっちとこっちを比べてみるとこっちのほうがこっちより軽い。よってこれがこうはならないよ。という説明を受けて、あっそうなんだと僕も思って安心したのです。当初全部コンクリートでやる予定だったのですが、是線武コンクリートだと重くなる。で二階部分とか、浴室周りはブロックですが、その他は全部木造でやる」

f:id:tanazashi:20170827134528p:plain

スタイリッシュな家には緻密な計算が施されていたのです。

 

f:id:tanazashi:20170827134534p:plain

現在この家に暮らしているのはファッション関係の企業に務める菅泉さん夫妻です。

「ほんとに衝撃的でした。緑の中に四角い無機質なコンクリートの箱が刺さって宙に浮いている。衝撃的でしたが外から見た時未来的でかっこいいという感じがして」

f:id:tanazashi:20170827134539p:plain

壁は白く塗られていましたが、二人は本来の色に近い青に戻しました。すると外観はますます未来的に。家の内部でも完成当時の面影を残す部分に愛着を感じています。

「当時からあまり代わっていない部分です。手すりですとか、趣のある形で最初からの姿になってます」

f:id:tanazashi:20170827134545p:plain

ここは かつての子供部屋。

f:id:tanazashi:20170827134551p:plain

宮脇デザインのユニークなベッドです。

f:id:tanazashi:20170827134558p:plain

舟を思わせるディテールに宮脇の遊び心が感じられます。

f:id:tanazashi:20170827134604p:plain

菅泉さん夫妻も70年代の施主と建築家の熱気を感じ取っています。

「その時代は挑戦的というか、いろんなトライをした。それが芸術であったり建築であったり音楽だったり。いろんなものが生まれてきた時代だと聞きますので、そのなかで生まれた建築の一つなんだなと思います」

f:id:tanazashi:20170827134608p:plain

スタイリッシュを極めるという冒険。半世紀近くたっても見る人を驚かせる新しさです。

http://acehome.sakura.ne.jp/stuff/s/miyawaki.pdf