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響くアートの愛好家

日曜美術館「小さな家たちの冒険」開拓者の家・石山修武

 

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建築家と住い手の深い関係。その際立った例を示す家があります。

レタス畑の中いくつものビニールハウスに囲まれて小さな家が見えてきました。

 

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なんとも不思議な筒型の建物。

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「開拓者の家」は、建築家と住まい手が12年にわたって作り上げたセルフビルドの家です。

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土木工事に使う鋼鉄の板をつなぎ合わせた「コルゲートパイプ」で作られています。

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軽量で強度、耐久性にすぐれたコルゲートパイプは取扱いや運搬が容易。経済性にも優れた鋼製品です。半円形・円弧形・直材などの部材を組み合わせボルトでつなぐことでパイプ形状やU 字形状に組み上げます。

 

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板をつなぐのも、コンクリートを打つのも、窓枠を溶接するのも住人が自らの手で行いました。

 

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この家を建てた正橋孝一さんです。開拓農家の二代目として自分で作れるものはなんでも作ってきました。

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中に入ると吹き抜けの空間に鉄の階段が思いの外華やかな形で広がっています。

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ステンドグラスから光が指す二階はこの家の客間です。

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長さ12メートル幅およそ10メートルの筒。階段を囲むように茶の間や寝室が配置されています。正橋さんはこの家を24歳のときに建て始め住めるようになるまで10年以上を費やしました。

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この家の設計をしたのは建築家・石山修武さんです。10年あまりにわたって膨大な図面が送られてきました。正橋さんは図面を見ながら家造りに挑戦したのです。

 

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「どんどん新しい図面ができて、施工するときは最新の図面でやってください」

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コルゲートパイプで家を作れば柱や基礎工事がいりません。自分で建てられる方法としていくつかの先例が知られていました。

正橋さんは農閑期に一人作業を続けます。

開拓者の家と名づけられた家は1980年代半ばに住めるようになりました。

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設計者の石山修武さん。

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石山さんも東京の自宅を自力で建てました。

人間にとってなによりも大切なすまいが安易な商品になっていることに異議を唱えたのです。

「自分で作って自分で細工して自分で使うわけですから、商品のやり取りではないのです。簡単にできてしまうようなものは面白くないじゃないですか」

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「これは自転車。そこらにあるものでいいんだけと」石山さんは中古自転車を使って水力発電をつくろうという提案を携えていました。

 

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ほかのどの作品よりも長く深く関わった開拓者の家は石山さんにとって原典と呼べるものです。

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正橋さんが常に手を入れ、この家は今も変わり続けています。

建築家に支えられ、自力で家を建てる人。その家を精神の支えにする建築家。二人の冒険に完成という言葉はありません。

 

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