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響くアートの愛好家

歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」ー138年ぶりの夢の再会ー

 

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三年前、行方不明だった喜多川歌麿の肉筆画が発見され注目を集めました。

浮世絵師の肉筆画としては最大級の大きさです。

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深川の料亭の賑わい。人々の表情や仕草。調度品に至るまで丁寧に描かれています。

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実はこれ、単独の作品ではなく、「雪月花」と呼ばれる三部作の一つだったといいます。

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日本で三点揃って展示されたのは明治12年が最後。

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一点は行方不明。他の二点はアメリカに渡りました。

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三つの作品を並べてみてみたい。

浮世絵ファンの長年の夢を叶える展覧会です。

歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」

ー138年ぶりの夢の再会ー(岡田美術館)

会期 2017年7月28日(金)~10月29日(日)

www.okada-museum.com

 

http://editorsnote.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2014/05/20/photo.jpg

箱根・小涌谷に建つ岡田美術館は、明治時代に存在した欧米人向けのホテル「開化亭」の跡地(約6,300m2)に2013年建設された新しい美術館です。名誉館長岡田和生が蒐集した、日本・中国・韓国を中心とする古代から現代までの美術品が展示されています。

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「雪月花の三幅は、栃木の町人が歌麿を呼んで描かせたもので、桁外れのサイズのサイズの三点が残ってくれていたのは大変な幸運としか思えない」館長・小林忠*1さん。

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三作品のうち最初に描かれたのは「品川の月」。現在はアメリカの美術館(フリーア美術館)に所蔵されています。

遠くの空に浮かぶ月を背景に遊びに興じる遊女たちの姿が描かれています。

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二作目はアメリカから里帰りした「吉原の花」。(ワズワース・アセーニアム美術館

満開の桜で華やぐ春の宵を描いています。

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登場人物はなんと52人。その全てを個性豊かに描き分けています。

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美人がを得意とした歌麿の真骨頂です。

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茶屋の二階では宴もたけなわ。花笠踊りを観ながら楽しんでいるのは武家の女性たち。

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実はこの絵が描かれたのは幕府が贅沢を禁じた寛政の改革の頃。

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主演に興じる武家の女性を描くことでお上への批判精神も匂わせているのです。

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三作を並べてみると歌麿がどのような画面構成を目指していたのかも見えてきます。

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「品川の月」は遠くのものを小さく、近くのものを大きく描く遠近法を使った明快な構図。 

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「吉原の花」は店の前に花魁を立たせたり、座敷の奥に衝立を立たせるなどして奥行きを切り、上下に視線が行くような仕掛けに。

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そして最晩年に描かれた「深川の雪」。 

お膳を運ぶ女性の向こうに雪を眺める芸者の姿。

 その見つめる先には火鉢に当たるグループ。

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人の動きで奥へ奥へと視線を誘導する歌麿の人並み外れた構成力を物語ります。

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歌麿の晩年は腕が落ちてゆくと言われてきましたが、なかなかどうして、巨大な画面にも負けない底力を感じさせてくれます」

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www.okada-museum.com

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*1:1941年東京都生まれ、岡田美術館館長。『國華』主幹。東京大学大学院美術史学修士課程修了。東京国立博物館情報調査研究室長、学習院大学教授などを経て、現職。専門は江戸時代絵画史。著書に『江戸絵画史論』(瑠璃書房)、『新潮日本美術文庫10 伊藤若冲』(新潮社)など。