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日曜美術館「仏師 運慶~時代が生み出した天才~」

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日曜美術館「仏師 運慶~時代が生み出した天才~」

平安時代から鎌倉時代にかけての仏師・運慶。源平の戦いなど激動の時代を生き、その才能を開花させた。仏教彫刻の歴史を変えたと言われる天才の作品に迫る。

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東京国立博物館で行われている展覧会では運慶作と言われている31体のうち22体が集まる。国宝となっている作品も多い。特徴は力強い体つきやリアルな表情、仏像を人間のように表したのだ。その会場に仏像好きでイラストレーターのみうらじゅんが訪れた。みうらは傑作の数々を見ながら、運慶の人間像や作品に込めた思いに話を巡らせる。これを見ればあなたも仏像好きになれる至福の時間!

【ゲスト】イラストレーター…みうらじゅん,美術史家…佐々木あすか*1

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【司会】井浦新,高橋美鈴

放送

2017年10月15日

仏師・運慶の生い立ち

運慶とはいったいどんな人物だったのでしょうか。

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それを知る手がかりが京都六波羅蜜寺にあります。

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これは運系の息子湛慶がつくったとされる運慶の肖像彫刻です。

手掛けた仏像の力強い作風から刷ると意外なほと゜穏やかな表情を見せています。

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運慶が誕生した丙運時代末期。仏像の製作は主に今日の京都で行われていました。

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手本となっていたのは平等院鳳凰堂阿弥陀如来坐像。

運慶がうまれるおよそ100年前に活躍した仏師・定朝の作品です。

流れるような浅い彫りの衣と穏やかに瞑想する表情が当時の貴族たちの心をつかみました。

その後仏師たちは冗長の様式を真似て仏像を作るようになります。

そんな時代に運慶が登場するのです。

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1150年頃、奈良で生まれた運慶。

慶派と呼ばれる仏師終電の棟梁・康慶を父に持ちました。

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康慶の流派はその昔、興福寺などで仏像の修理を手がけていました。

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興福寺を代表する仏像・阿修羅像です。

乾漆造と呼ばれる方法で作られています。 

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 阿修羅像は運慶が生まれる400年前に作られた奈良時代の傑作。

興福寺の僧侶でもあった運慶は先人が残したこうした仏像から手法や表現を学び、腕を磨いていったと考えられています。

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奈良、円成寺。ここに運慶が初めて制作に取り組んだ仏像があります。

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国宝・大日如来座像です。1176年。運慶は11ヶ月という長い時間をかけて掘り上げました。(一般的な仏像の制作期間は3ヶ月と言われています)

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そしてそれまでの仏像彫刻の次様式を大きく覆す革新的な作品に仕上げました。

定朝の様式にはない彫り方がこの仏像には随所に見られます。

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たとえば針のある頬や、強い意志を感じさせる切れ長の目元など、新しい表現です。

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衣の下に隠れた太ももはその厚みを感じられるほど。

足の裏の土踏まずまで細やかに彫り込まれています。

仏に人間のような体をもたらせた表現は平安時代にはなかったものでした。

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この仏像の台座の裏を撮影した写真があります。

そこには運慶の署名が残されていました。

大仏師康慶の実弟子・運慶。

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仏像を作った仏師自らが銘を記した最初の例とされています。

ここには運系のどんな思いが込められているのでしょうか。

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圓成寺の大日如来座像は今回の展覧会の見どころの一つとして展示されています。

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「組んでいる場所は、これより前の時代はもう少し低い位置でした。腕ももう少し下げていました。腕を上げると真ん中に集まってくるので力強く感じることができます。絶妙なイチです」(佐々木あすか)

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11ヶ月という長い期間かかった理由は、いろいろな試行錯誤があったであろうことが伺えます。

「例えば上半身に斜めに条帛という服をたすきがけに掛けていますが、最初の状態では上半身裸の状態で布の部分だけを貼り付けていて、おそらくそれは、本来なら手間ががるのでしなくていいことですが、体のバランスとか肉付きとか・・・

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体というものをどう表現するか試行錯誤してたのではないかと思います。父とは違う表現を追求していたのかなと思います。そのため時間がかかったのではないか」(佐々木あすか)

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仏師が生きた時代

運慶が生きた時代は源氏と平氏が覇権を争う戦乱の時代でした。

そしてそのことが運慶に転機をもたらします。

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1180年。平氏に歯向かう奈良の東大寺興福寺平氏の軍勢によって焼き討ちされるのです。

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その結果多くの仏像が灰となりました。

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その時東大寺の復興に奔走したのが僧侶・重源です。

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いっぽう、さらなる時代のうねりが。

1185年に壇ノ浦で平氏が滅亡。源頼朝が東国・鎌倉に貴族に変わり新しく武士の政権を打ち立てます。

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そのため東国で寺院の建設が相次ぎ、運系のもとに武士たちから仏像づくりの注文が増えていったのです。

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1186年に作られた伊豆・願成就院の国宝・毘沙門天立像。

源頼朝の義理の父、北条時政の発願によって作られました。

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運慶が武士をイメージして制作したと言われる仏像。

力強い造形と勇ましい表現は、貴族に変わり新しい時代を作ろうとする武士たちが望んだものでした。

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さらに運慶は表現の幅を広げて行きます。愛知県にある瀧山寺。

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ここの聖観音菩薩立像は、源頼朝のいとこに当たる僧侶が制作を依頼したものです。

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晩年の運慶が到達した境地

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関連番組

特集番組「運慶とは何者か?」 

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放送記録

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書籍

 

展覧会

 

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*1:東京藝術大学, 大学院美術研究科, 研究員,鎌倉時代彫刻史における京都仏師の造像ネットワークに関する研究