チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

日曜美術館「見つめ直す日本の美~第67回 日本伝統工芸展~」

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卓越したものづくりが一堂に介す日本伝統工芸展が始まります。

応募総数1280点から入選563点が選ばれ全国十か所を巡ります。

番組では16点の入賞作品を紹介。

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昭和29年から開催されてきた日本伝統工芸展。

今年は新型コロナウイルスの影響を受け、一時は開催すらも危ぶまれました。

コロナ禍において作家たちが自身と向き合い生み出された作品たち。

その創作の現場を訪ね、匠(たくみ)の技や作品に込められた思いに迫ります。

 

 

 

 

日曜美術館「見つめ直す日本の美~第67回 日本伝統工芸展~」

放送日

2020年9月20日

 

取材先など

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

 

書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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「森本草介展」【アートシーン】

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森本草介

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写実絵画の殿堂と呼ばれるホキ美術館。
所蔵点数はおよそ480。
ほとんどが現代日本の作品です。

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コレクション第一号は写実絵画の巨匠、森本草介の《横になるポーズ》
驚くほど高度な写実性。

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静謐で気品あふれるセピア色の画面。
一目で心を奪われた美術館の創設者、保木政夫は36点の森本作品を蒐集しました。
開館10周年を迎えたホキ美術館で森本草介展が開かれています。

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森本が写実絵画に思いを定めたのは30代半ば。
当時、画壇の主流は抽象画でした。

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森本の代表作《光の方へ》
画面左からの柔らかな光が、浮かび上がらせる美しい背中。
肌の起伏が織り成す繊細な陰影まで捉えられています。
無数に重ねた薄塗り。
体内に血が流れているような人物を描くこと森本は目指していました。

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「本当に一点たりとも手を抜いたなと思える作品がないんですね。1年に4作しかお描きにならなかったってこともありますけれども、

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ものすごいシャイだったので、モデルさんに直接声をかけるって事は一切できなくて、で奥様が声をかけになったりとかしてらっしゃったみたいですし、先生はこだわってる背中があるんですね。こういう骨格の人じゃないと描きたくないとかっていうのがあるみたいで、そうするとホテルのプールに行ってあの骨格って決まったら奥様が声をかけるとかってこともあったようです」

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清楚なドレスに身を包みくつろいでいる女性。
衣装や髪型、アクセサリーは妻が用意した候補の中から森本が選びました。
実はこの作品大きなダメージを受けながら修復により蘇ったものなのです。

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去年10月千葉県を襲った集中豪雨により美術館の地下は浸水。
100点もの作品が被災しました。
その後建物の改修とへの修復を必死に進め、この展覧会を実現させました。
森本は風景画の傑作も残しています。

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フランス中部の村の光景。
横幅が2メートル以上もある大作です。
風景画を描くときは絵の中に入りこみ、散歩をしている気分で楽しんだという森本。
愛する自然を少しでも多く描きこみたい。
森本の風景画は年を追うごと横へと広がっていきました。

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この展覧会は千葉市のホキ美術館で11月16日まで。

 

神業の風景画 ホキ美術館コレクション

神業の風景画 ホキ美術館コレクション

 
写実絵画とは何か? ホキ美術館名作55選で読み解く

写実絵画とは何か? ホキ美術館名作55選で読み解く

 
写実画のすごい世界

写実画のすごい世界

  • 発売日: 2013/05/29
  • メディア: 単行本
 

 

会場:ホキ美術館

会期:2020年8月1日~11月16日

www.hoki-museum.jp

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「開館記念展 宝塚の祝祭Ⅰ」【アートシーン】

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開館記念展 宝塚の祝祭Ⅰ

今年6月に誕生した宝塚市立文化芸術センター。

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開館を記念して宝塚市ゆかりのアーティスト6人の展覧会が開かれています。

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元永定正宝塚市を拠点として活躍した現代美術家

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シルクスクリーンの作品《ぱぱぴぴぷぷう》
不思議な響きを持つタイトル
描かれているのは奇妙な形の生き物たちなんでしょうか。

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こちらは《少し揺れている》
元永「僕は知性派じゃなくアホ派です」といい、理屈抜きで見る人を楽しませる作品を数多く作りました。

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宝塚市生まれの建築家、宮本佳明が作った1/25の模型です。

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宮本は今、この地区60年以上の古い劇場を博物館に生まれ変わらせるプロジェクトに取り組んでいます。

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外観や劇場特有の内部構造を生かしつつ、展示スペースや収納を設ける前例のない試みです。

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この展覧会は兵庫県宝塚市立文化芸術センターで10月18日まで。

 

 

 

会場:宝塚市立文化芸術センター

会期:2020年6月1日~10月18日

takarazuka-arts-center.jp

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「川上澄生のいきもの図鑑展」【アートシーン】

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川上澄生のいきもの図鑑展

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大正から昭和にかけて活躍した木版画家、川上澄生
生き物の作品を集めた展覧会です。
川上は下絵から版を彫って刷るまでの工程を自ら行なっていました。

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ここではランプの白いガラスの面と猫のフサフサとした毛の質感を刷り分けています。

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子供向けの本。
イソップ物語の挿絵です。
色数を押さえながらも巧みな配色によって華やかな画面を作り上げました。

 

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この絵にはある昆虫が潜んでいるんです。

そう。カマキリ。
どこか遊び心のある作品が川上澄生の真骨頂。

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この展覧会は栃木県の鹿沼市川上澄生美術館で9月27日まで。

 

 

 

会場:鹿沼市川上澄生美術館

会期:2020年7月4日~9月27日

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「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2020」【アートシーン】

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みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2020

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山形市で2年に1度開催される山形ビエンナーレ

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アーティスト、学生地元の人々が作り上げる芸術祭です。

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4回目の今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響によりオンラインを中心とした開催となります。

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「山のかたち、いのちのかたち」というテーマのもと、およそ90組のアーティストが参加し、7つのプロジェクトを構成します。

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映画監督、茂木綾子製作のドキュメンタリー。
地球に生きていることの感受性を育む。
その目標を掲げる保育園の試行錯誤の記録です。

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2年前、地元の古いお堂から発見された風神雷神像。

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修復された木造に写真家草彅裕がレンズを向けました。
今なお迫力をみなぎらせる神。

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人々が捧げてきた祈りに思いを馳せながら撮影に臨んだと言います。

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医療の世界でアートの新しい可能性を探るトークイベントなど様々なライブ配信が予定されています。

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山形ビエンナーレ2020のオンライン開催は9月27日まで。

 

 

 

会場:オンライン開催

会期:2020年9月5日~9月27日

biennale.tuad.ac.jp

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「近代日本画の華 -ローマ開催日本美術展覧会を中心に-」【アートシーン】

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近代日本画の華 -ローマ開催日本美術展覧会を中心に-

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今から90年前の1930年。

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当時の日本画の主要画家80名が集結した大展覧会が開かれました。
会場はイタリア・ローマ。

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世紀のプロジェクトの中心にいたのは巨匠、横山大観
日本画の神髄を今こそ世界に知らしめる。
その思いに賛同した画家たちが派閥を超えて集まったのです。

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資金面で後押ししたのが実業家、大倉喜七郎
今の100億円とも言われる大金を提供しました。

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大倉財閥が設立した大倉集古館でローマ日本美術展出品作を中心とした展覧会が開かれています。


ローマで注目を集めたのは動物画。
生命感あふれる表現が人々を魅了します。

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京都画壇の巨匠、竹内栖鳳の《蹴合》
戦う軍鶏の一瞬の動きをとらえました。
勢いある筆さばきで艶やかな羽の質感までも表す卓越した技巧。
西洋の写実的な表現を日本画にもたらした青峰の名作です。

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夕闇迫る中。
一羽のみみずくが梅の枝に止まっています。

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全てを見透かすような橙色の目。
薄暮の淡い光は金泥と墨のグラデーションで巧みに表されています。
簡潔な画面に崇高さを漂わせる小林古径の代表作です。

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風景画の力作も多く見られました。

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その一つ川合玉堂の《秋山懸瀑》
ここで玉堂は中国水墨山水画の奥行きある自然表現を意識しながら、多彩な色彩を加えた近代的な風景画を描きました。
新しい東洋画を創造しようとしたのです。

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「ローマ展の出品作にはのちにその作家の代表作になったような大作が多く含まれています。

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日本や東洋画の画題や技法を下敷きにしながら描きかたは非常にリアルな西洋の自然主義的な表現というものを取り入れています。

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伝統と革新というものが融合する様子というのが見て取れますのでどれも意欲作であるように思います」

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ローマ展団長の横山大観が試行錯誤の末に描き上げた大作《夜桜》
満開の桜が月とかがり火によって幻想的な美しさを浮かび上がらせています。

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その美しさを誇示するかのように正面向きに花を開かせる桜。

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全ての道がローマに通じるように
世界の美術は日本画へ向かうのだと言った大観。
その気迫が画面いっぱいに溢れています。

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この展覧会は東京港区の大倉集古館で9月21日まで。

 

会場:大倉集古館

会期:2020年8月1日~9月27日

www.shukokan.org

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日曜美術館「日本の原風景~広重の“木曽海道六十九次”~」

 

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雨や雪など自然の変化を巧みに織り交ぜて日本の風景を情緒豊かに描き出し、“風景の叙情詩人”と呼ばれる歌川広重(1797-1858)。

その代表作の一つに、中山道の名所や宿場を網羅したシリーズ版画『木曽海道六拾九次』がある。

番組では、『木曽海道六拾九次』を、旅・自然・人間という3つの視点から広重風景画の魅力を紹介するとともに、摺(す)りの再現などを通して、広重の技の秘密を明らかにする。

【出演】【大阪市立大学教授】菅原真弓,【中山道広重美術館学芸員】中垣絵理,【浮世絵・新版画摺師】渡辺英次,

【司会】小野正嗣,柴田祐規子

 

 

 

 

日曜美術館「日本の原風景~広重の“木曽海道六十九次”~」

放送日

2020年9月13日

 

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黄昏時。柳が風になびき、船と筏が静かに川を下っていきます。

しみじみとした情緒が漂う広重の傑作です。

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風景の抒情詩人と呼ばれる歌川広重

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その情感あふれる風景画が数多くあるのが木曽街道六十九次。

中山道の風物を描いたシリーズです。

広重は風景とともに旅する人々の人間模様も描き出しました。

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焚き火の煙が立つ中、煙管の火を移し合う馬子と旅人。

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宿場のはずれにある木賃宿に着いた旅人たち。

囲炉裏を囲んでくつろいだ雰囲気。

和やかな話し声が聞こえてくるようです。

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「あこういう人いるよね。という人物が彼の得意の風景画の中で息づいている」

千変万化する自然の姿を描いた広重。

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木曾海道六十九次では月夜の名作が目立ちます。

上官を醸し出す広重の技の秘密を探るため、刷りの作業を再現してみました。

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「情緒ある夕焼けのその空気感ですかね。これ出すんで複雑にさせてるんじゃないですかね。面白いけど刷る方は大変です」

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はじめ浮世絵師の溪斎英泉が手掛け、途中から広重が引き継いだ木曽街道六十九次。

今回は広重の絵に絞って紹介していきます。

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江戸と京都を結ぶ中山道

広重はこれを木曽街道と題して描いています。

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主に海岸沿いを行く東海道とは違い、山また山を越えて行く険しい街道です。

今の風景と見比べながら広重の絵で中山道を旅していきましょう。

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ここは中山道で最も高いところ。

遠くの山並みが見渡せる。

標高1531メートルもある和田峠

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広重が書いたのはこの和田峠の雪景色。

冬の間はいつも雪に覆われていたそうで、遠くの山々も山肌も真っ白。

山道を傘をかぶった旅人たちが行き交っている。

前の職場から恋を越えて次の職場までに20キロ以上もあった。

宿場の間隔としては最長で、旅人にとっては道の険しさだけじゃなく、その距離もきつかったんじゃないか。

江戸時代は誰もが自由に旅できるわけではなかった。

関所があって検問されたりした。

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ここは中山道の有名な福島関所があったところ。

 

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今は跡地に当時を偲ばせる建物が建っている。

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これが広重が書いた当時の関所の様子。

山の斜面高い石垣の間を、関所を出てきた人とこれから向かう人がすれ違っている。

その奥には関所の中でちょうど検問を受けている様子が描かれている。

「入鉄砲出女」という言葉があるけど。

江戸に鉄砲が持ち込まれないか、女性が江戸から脱出しないか、特に厳重に取り締まったんだ。

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中山道の名勝の一つ小野滝。

流れ落ちる水を見ているだけで清々しい気持ちになる。

旅の楽しみはなんといっても綺麗な出会えることだ。

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鉄橋が。

電車などなかった江戸時代。

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こんな風に足を止めてゆったり滝の景色を楽しんだ。

旅人が滝の方を指さしてとっても嬉しそうだ。

幅広く流れ落ちるその姿を見ると昔はきっと今より水量がはるかに豊かだったと思える。

それにしても右側にある突き出た二つの岩はとてもおかしな格好で何か滝の方になりてるかのように見える。

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木曽川がゆったりと流れている。

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ここは太田の渡しと言って渡し舟の船着場があったところ。

山また山の木曽街道だけど時には川を越える。

大水が出たりするとここは難所になったそうだ。

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真っ青な木曽川を木材を運ぶいかだや旅人を乗せた渡し船が行き交っている。

川岸には三本の松が枝を張り、きっとここが船着き場。

大きな石に腰掛けて一服する旅人や、こちらは巡礼の親子だろうか、傘を上げて何かを見やっている。

夕方なのか空もほのかに赤みを帯びてのんびりとした風情だ。

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最後は街中。

道の向こうには琵琶湖があるはずなんだけどビルに隠れて見えない。

ここ大津は中山道の最後の宿場。

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広重の絵では琵琶湖に帆船の白い帆がいくつも見える。

牛が大八車の荷にを運び、三人人連れの女性達が華やかさを添える街道。

両側に並んでいる建物は旅籠だが、家ごとにいろんな釣り看板が下がっているのが見える。

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中にカタカナのヒとロが組み合わさったデザインのものと、その向こうに漢字の十の字がある。

きっと広重と読ませようとしているんだ。

最後だから広重も遊んだのか。

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中山道は海がないんですね。海なし県をいくわけです。でもその中である時間であるとかある一瞬であるとかを切り取ることでとても魅力的な風景の側面を見せることができた。さらにそこにそこに住まう人であるとか、そこで働く人であるとか、そこで旅をする人というのが、描かれることで、私たちも何かここに行ったことがあるような見たことがあるようなっていうような、そんなイメージを持つそういう作品が多くあると思います」

 

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広重は風景の中に人間模様を描き出しました。

中山道の旅には路上で、宿場で。

様々な人々の出会いが描かれています。

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青くかすむ榛名山を望む茶店があり、その前の川沿いの道で何か起きているような感じだ。

夫婦連れらしき旅人が振り向いている。

その傍にちょっとむさ苦しそうな男がいる。

傘を逆さにして物乞いをしている。

その後ろから扇子を持ち左手を差し出して駆け寄ってくる男がいる。

俺にも恵んでくれといっているのかな

そんな人々のことはわれ関せずといった風情で茶店の男が一人榛名山の方を見上げている。

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ここは軽井沢。

今でこそ避暑地で有名だけど当時は寂れた村だったらしい。

すっかり辺りが暗くなった中で焚き火の煙が白く立ち上っている。

手前の焚き火で旅人が煙管に火を移そうとしている。

その火の明かりで立木の葉が半分赤い。

傍らには馬に乗った旅人と馬子。

煙管をくっつけて火を吸い付けあっている。

どこか微笑ましい。

馬の横っ腹にある提灯の明かりが旅人の姿を浮かび上がらせている。

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満月が昇ろうとしている。

あたりは深い霧に包まれていて人や木々の輪郭がぼんやりとしてシルエットになっている。

道を行くのは地元の人か、五人連れの親子だ。

先頭はお父さん。背負っている子供は眠りこけている。

次はお母さん赤ちゃんを懐に抱いている。

そして最後はお姉さん。

後ろを振り向いて指を指している。

霧の中を行く一家。

祭りに出かけて家に帰る姿だと言われているけれど、中には夜逃げの姿じゃないかなっていう説もあるらしい。

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日が暮れて、いかにもむさ苦しい安宿に旅人たちが止まっている。

前の小川ではおばあさんが米を研いでいるようだけどここは木賃宿

槇代だけ食料を持参して止まったんだ

今着いたばかりの旅人がわらじの歯も磨いている。

隣では世間話に花が咲き鞄を囲んだ旅人たちがやれやれとくつろいでいる。

貧しいながらも和気あいあいの雰囲気が漂っている。

「いかにもそこで暮らしてそうな人やあるいは旅人が、勝手にその中に物語を作っていくような、その人物があってこそ広重の風景画が全体として出来上がる。宮腰のこの作品は、以前は夜逃げの家族だという風に言われてました。なんでこれが夜逃げという風にされたのかというと、ほっかむりしてるからなんですね。きっとこれは夜逃げに違いないと言われていたそれが根拠なんですね。ただ近年は山間の霧で、後髪の毛も衣服もこう濡れてしまうぐらいの霧だからこのような被り物をしていたのだろう。一番おそらく元気なのは一番後ろを歩いている女の子で、彼女が後ろを向いてさらに指を指してるんですね。これがおそらくはそのまだ祭囃子が後ろの方で聞こえていてね「お母さんまだまだなんか音が聞こえるよ」なんて言葉をいいながらお父さんお母さんにもうちょっと遊ぼうよって言ってるんじゃないかというのがまあ考えられるところです。木曽街道の中で一番ぐらいに好きなのは小田井の宿の絵ですね。木曽街道の作品の魅力って、物語があってどこかセンチメンタルでというところだと思うんですけど、これはまさにあのセンチメンタルなお話が想像されます」

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辺り一帯にススキが生い茂る物寂しい風景の中をちょうど旅人たちが出会おうとする場面です。

本堂造立という幟を持ち、寄付を求めて行脚している僧侶。

こちらは一緒に巡礼の旅をする一行。

先頭の人物は胸に赤子を抱えていることからお母さんだとする見方があります。

しかし菅原さんはお父さんだと見ます。

「男の人でしょう股のあたりまで露出してますので男性ですね。赤ちゃんを抱えてもうそんなに年老いてもいない男性が歩いている巡礼。となると奥様を亡くされたのかしら。だから旅に出たのかしらというふうに考えてしまいます。抱えているもののための使命を帯びた旅なんだろうなあと。そこがまぁ私の好きなポイントとか。特に物語が小顔そこから来見えてくるような素敵なポイントだなあと思ってるんですけど」

 

広重は浮世絵の風景画に季節や時間ともに千変万化する自然の姿を取り入れ日本的情緒を醸し出しました。

ひときわ優れたその技によって広重は風景の抒情詩人と呼ばれます。

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雪に覆われた木曽の山々が連なる山道を、馬に乗った旅人二人と馬子二人が向かってくる。

降り積もった雪で馬子の足は臑まで埋もれ、馬のたてがみも真っ白。

旅人達は二人とも雪の積もった傘で顔が隠れて見えない。

きっと底冷えする寒さに身を縮めているんだろう。

しんしんと降る雪に音は全て吸い込まれ、画面全体が静寂に包まれている。

真っ黒な空から雨が垂直に降り注ぎ、地面を叩きつけている。

その中を笠をかぶり、合羽を着た三人の侍が歩いている

この雨じゃきっとずぶ濡れだろう。

向こうには沼が広がり、白鷺が飛び立とうとしたり羽を休めたりしている。

集落の家には灯りがともり、その前の通りを旅人や馬が行く。

遠くの空は明るくなっている。

やがて雨はやみそうだ。

こちらは横殴りの雨だ。

突然のにわか雨に皆慌てふためいている。

シルエットに霞む馬や人は何か被っている。

かけてくる男たちも傘代わりにかごやこもかぶっている。

辻堂のように見える建物の中はいち早く避難した旅人や虚無僧たちでいっぱいだ。

夕立が襲ってきた一瞬のスナップ写真のように描き留めている広重。

では人を動かしてどんな瞬間を捉えたのか見てみよう。

この夕立の絵には紹介した初刷の版と色合いが異なるあと釣りの版があります。

「こちらが初刷りです」

通常初刷の方が絵師の意図どおりに剃られていると考えられています。

「こちらがあと刷りです」

初刷りは画面全体が暗く、モノトーンなのに対しあと刷りは明るくカラフルな感じもします。

「初刷の方が突然雨が降ってきたので雨に煙っているじめじめとした空気を感じます。夕立の空気感というものがよく出てます。それに対して空も明るくなっているのに雨足としては夕立のような叩きつけるような雨になっているので若干天候としては不自然に感じるように思います」

初刷とあと刷りでは季節まで変わってしまうような絵もあります。

「こちらが初刷。全く枯葉色です。枯れ葉色で冬枯れの景色。大名行列が峠も越えて皆さんちょっと疲れた様子が風景からも心情ともちょっとリンクしているように見えますね。こちらの方を見て頂きますと、青々とした新緑の初夏。すごく爽やかですよね。風景と一緒に大名行列を見ると、さぁこれから頑張るぞというような元気のある感じに見えますよね。広重が理想としていたものは最初の初刷の方の冬枯れの風景だったと思うんですが、売り手の版元の方が青々とした初夏の温かな雰囲気の方が売れるのではないかということで変更したのではないかという風には説の一つとして言われています」

松の木の枝越しに大きな満月が見える。

画面の半分がシルエットに沈んで、手前だけが明るくなっている。

白い犬に乗って戯れる子供たち。

その傍らを仕事を終えた馬子が通り過ぎていく。

顔をあげて見上げているのはお月様なのか。

橋もその上を歩く馬子や馬、天秤を担ぐ農夫もそして大きな松の木も真っ黒。

濃淡二種の墨で振り分けられている。

月明かりで陰影ができている。

柳の向こうに満月が昇っている。

空には夕焼けの名残の茜色がわずかに残っている。

川を下るのは筏と柴を積んだ船。

流れに乗って静かに進んでいく。

柳や葦が風になびき、どこかもの寂しい情景が胸に迫ってくる。

広重の全画業の中でも屈指の名作と言われている。

なぜこの作品が傑作と言われるのでしょうか。

摺りを再現してもらいその秘密を探ることにしました。

浮世絵の復刻版を多く手掛けてきた渡辺版画店専属の摺り師、渡辺英次さんです。

最初に墨の輪郭線を擦ります。

そして色をのせていきます。

まず藍で川の水を摺ります。

続いて少し色合いの異なる藍で空を摺ります。

「多分これがベースになる」

渡辺さんはこの絵が情緒を醸し出しているのは、空の摺り重ねによって黄昏時の微妙な雰囲気を出しているからだと言います。

「空の上の方の墨のぼかしですね。今これが薄くなってもらいたいところにこのボカシ雑巾で水を張るわけですね。糊手を付き良くするためつけて、上の方は濃くしておきたいんで上にだけ墨をつけて、ブラシで上の濃い絵具を下に持っていくんです。水のあるところに。その時点でグラデーションができる」

空に薄墨でぼかしを施した雲が現れました。

今度は紅に朱を混ぜた色でぼかしをかけていきます。

夕焼けが終わろうとしてまだわずかに空に赤みが残っている状態です。

そして船や遠くの家の屋根。

川面や柳、芝など細かく色を重ねていきます。

さらに地平線のあたりに薄墨。

また空の上に濃い墨が加わり、宵闇が迫っている感じになります。

最後に月の周りにぼかしをかけます。

「ぼかし雑巾で回りに水を張るわけですね。濃い絵の具を中心において、小ばけをちょっと微妙な力加減なんですけど、濃い絵具を水の方に持っていくわけです。月の周りですよね。適当なところで止めて摺る。写し取る。だから厳密に言ったら一枚一枚絶対に同じものはないんです」

柔らかな藍色のぼかしが入り満月が浮かび上がりました。

結局空だけで、合わせて6回摺りを重ねました

「これは広重が多分空を中心に見せたいっていう感じだったんじゃないでしょうかね」

「夕方になっていく空の時間の移ろいみたいなのがあって、そこでは風も吹いていて、木々も揺れていてて、船もどんどん動いていく。絶対に行ったこともないところなのに何かしら懐かしくて、ここにこの場所に自分が何かいるような気がして、ノスタルジックな気持ちになる。まるで動画のように二人の船頭さんの二艘の船がずっと向こうの方まで動いて行って、映画のラストシーンのようなそんなイメージがこの絵の中にはあります」

菅原さんのイメージのように絵を動かしてみました。

 

 

広重はこの木曽街道のシリーズをどのようにして描いたのでしょうか。

長い間現地に行かずに描いたと考えられてきました。

実際に先人の図や絵を参照したと思われる作品があります。

例えばこの小野滝の風景。

同じ風景をこの数年前に北斎も描いています。

垂直に落ちる滝の様子やそれを旅人たちが橋の上で見物する構図も似ています。

またディテールを見ても滝の傍にある祠と左にある建物の形がそっくりです。

広重はこの絵を描く際、北斎の絵を踏襲したのではないかと思われます。

はるかに琵琶湖を見下ろす素晴らしい景色が広がっています。

風光明媚な展望所。

ご覧のように茶屋があり、旅人たちが話に花を咲かせたり風景を愛でたりしています。

広重がこの絵を描く際ヒントにしたのではないかと言われてきたのがこのモノクロの絵です。

琵琶湖を見下ろす風景ですが、空から見たような俯瞰の構図です。

広重はこの絵の中の茶屋と同じ高さまで視点を下げ、その光景を絵にしています。

先人の絵を参考にしながら描いているのです。

しかし菅原さんは木曽街道六十九次には広重が現地を訪れて描いた絵が少なくとも14点あると考えています。

イギリスの大英博物館にある広重のスケッチ帳。

菅原さんはその中に木曽街道六十九次の絵とよく似たスケッチがあることを突き止めました。

「ページ送って行くと、あれあれという発見がいくつもあって、その中でこんなに木曽街道のスケッチというのがあるんだ。これは下絵として使われたものなんじゃないのか」

小雨が降る松並木の街道。

今まさに大名行列の先頭が垂井という宿場に到着しようとしているところです。

大名行列が来たというので茶屋の旅人たちも通りに出て跪いています。

こちらは垂井のスケッチです。

大名行列や旅人はいませんが風景は松並木も茶屋の配置もそっくりです。

今の滋賀県を流れる愛知川の光景です。

橋を渡る旅人たちや牛をひく女性などが描かれています。

この絵にも山なみや橋の形がよく似たスケッチがあります。

それだけではありません。

別にもう一つ。

スケッチ上には牛をひく女性のスケッチも残されているのです。

これも川が見える風景。

中央に描かれた二人の女性と背負っている細長い荷物が目を引きます。

この人物もスケッチ帳にあります。

荷はこの地方の特産品の布か麻の茎だと思われます。

「おそらく現地取材をしなくては得られないといういくつかの要素がありました。その一つが牛を弾く少女と女性の持つものであったり、自分の身の丈よりも大きな荷物を担いでいる女性の姿であったり。そうした風俗というのは現地取材でなければ描くことができなかっただろうと。そしてそれらをスケッチ帳の中に見つけた時、これはやはり実際に旅をしてそしてそれをもとに木曽街道を作ったのだろうということがわかりました。自分が旅先で会った人に、なんか気になった人を書き留めたんだろうなと。彼の絵画世界の登場人物を自分の旅で取材して回ったようなそんな感じがしましたね。書かれてる人物たちにね」

広重の街道シリーズの代表作の一つ木曽街道六十九次。

これらの絵は日本の原風景を思い起こさせます。

 

取材先など

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

 

書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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