チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

日曜美術館「蔵出し!日本絵画傑作15選 一の巻」

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日曜美術館45年のアーカイブから「日本絵画の傑作15選」を3回に分けて紹介するシリーズ。

初回は古代から鎌倉時代の5作品。日本絵画の原点・チブサン古墳、憧れが生んだ超絶美人・鳥毛立女屏風、仕掛けづくしの王朝美・源氏物語絵巻肖像画誕生!・伝源頼朝像、自然と仏の出会い・山越阿弥陀図の5作品を、井浦新岡本太郎、上村淳之、瀬戸内寂聴横尾忠則井上涼さんら豪華な出演者の言葉とともにじっくり見る。

【司会】小野正嗣,柴田祐規子

 

 

 

日曜美術館「蔵出し!日本絵画傑作15選 一の巻」

放送日

2020年6月7日

 

取材先など

 

放送記録

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書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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新美の巨人たち 嚴島神社×姫路城×銀閣寺

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芸術はいつの時代もどんな国でも、多くの人の心を癒し励ましてきました。そんな人々の心を動かす作品を紹介するシリーズ「今こそアートのチカラを」。第4弾は「誰もが知っている超有名国宝編」。番組の名物キャラ「モデュロール兄弟」が復活!日本の歴史と美意識が作り上げた3つの美しき国宝建築を訪ねます
平清盛が夢見た極楽浄土『嚴島神社』、白にこだわった優美な城『姫路城』、究極の美の空間『銀閣寺』

 

日経おとなのOFF 2020年 絶対に見逃せない美術展(日経トレンディ2020年1月号増刊)
 

美の巨人たち 嚴島神社×姫路城×銀閣

放送:2020年6月6日

 

 

 

 

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新美の巨人たち 小倉遊亀・片岡球子・三岸節子の生涯

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小倉遊亀『浴女その一』『浴女その二』
世紀を超え105歳まで生きた日本画の巨人・小倉遊亀。柔らかな線と色で静かな美しさを描き続けました。そんな遊亀の遅咲きの出世作『浴女その一』…その線の凄みとは?さらに翌年に描き上げた『浴女その二』との間にあった驚きの真実とは何か?一心不乱に絵を極め、ゆっくりじっくりと歩んだ遊亀の絵画人生に迫ります。

片岡球子『山 富士山』
異端、型破りと呼ばれながら絵画一筋に明治・大正・昭和・平成…4つの時代を生き抜いた画家・片岡球子院展では落選を繰り返し「落選の神様」とまで呼ばれた彼女が、60歳を過ぎて行き着いたモチーフが富士山。たくましい線と色で描き続けた生涯の伴侶「富士山」と共に歩んだ、片岡球子103年の生きざまとは?

三岸節子『さいたさいたさくらがさいた』『自画像』
明治から平成にかけ100年近い歳月を生きた、日本を代表する洋画家・三岸節子。ふてぶてしさすら感じられる20歳の作品『自画像』と、93歳で描いた満開の桜が妖しく咲き誇る大作『さいたさいたさくらがさいた』。この対照的な2枚の間に横たわる壮絶なる人生とは?妻として、母として、男社会の画壇という逆境の中で戦い続けた、炎の生涯に迫ります。

 

日経おとなのOFF 2020年 絶対に見逃せない美術展(日経トレンディ2020年1月号増刊)
 

美の巨人たち 小倉遊亀片岡球子三岸節子の生涯

放送:2020年5月30日

 

小倉遊亀

 

blog.kenfru.xyz

 

片岡球子

 

三岸節子

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日曜美術館「#アートシェア 今こそ、見て欲しいこの一作」

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新型コロナウイルスに揺れる今だからこそ、見てほしいアート作品がある。題して「#アートシェア」。番組では,アーティストや美術館関係者などに緊急アンケート。横尾忠則さん、安藤忠雄さん、辻惟雄さん 原田マハさん、会田誠さんなどがとっておきの一作をアートシェアします。あの名画から、知られざる逸品まで。今を生きるための「ヒント」にあふれた作品たちをお楽しみ下さい。

【出演】安藤忠雄、片岡真実、横尾忠則、橋本麻里、辻惟雄いとうせいこう原田マハ高橋明也、会田誠飯沢耕太郎【司会】小野正嗣,柴田祐規子

 

安藤忠雄さんの本

片岡真実さんの本

横尾忠則さんの本

橋本麻里さんの本

辻惟雄さんの本

いとうせいこうさんの本

原田マハさんの本

高橋明也さんの本

会田誠さんの本

飯沢耕太郎さんの本 

 

 

日曜美術館「#アートシェア 今こそ、見て欲しいこの一作」

放送日

2020年5月31日

 

街に人気が消えたひと1月半。

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美術館に出かけ作品に出会うことがどれほどかけがえのないものだったのか気づかされます。

アートシェア。

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番組ではアーティストや美術に関わる人たちに緊急アンケート。

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こんな今だからこそ観て欲しい作品をあげてもらいました。

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あの名画から知られざる逸品まで。

そこにはアートがくれる喜び、やすらぎ、そして困難な時代を生きるためのヒントがありました。

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最初のアートシェアは日本美術研究の第一任者辻惟雄さん。

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「シェアしたいのは、伊藤若冲が晩年に書いた象と鯨図屏風です」

江戸時代中期。独自の画風を築いた伊藤若冲

鮮やかな色彩で知られる絵師晩年の水墨画です。

「どれを選ぼうとあれこれ考えましたが、新型コロナが人の心を脅かす。不安にしているご時世に、「なぐさめ」「なごみ」になるものを考えました。象と鯨っていう、若冲が82歳。私より歳年下なんです。そういう年齢で描いたあんまり力が入ってないっていうか。その割にはスケールの大きな、そしてなによりも惹きつけられるのは、この和やかな象と鯨がお互いに挨拶しているような、向き合いが好きです。陸の王者と海の王者と言いましても、非常に和やかな雰囲気でほっとするような絵ですね。こういう非常事態にびくびくせず。こういう象と鯨のようなおおらかな気持ちになって頂きたい」

 

 

スタジオ

非常事態だからこそをもらった気持ちでこの絵を見てほしいという辻さんですが

小野さんはどんな風にごらんいただきましたか。

「辻さんのその大らかさっていうその優しい語り口っていうものに心打たれました。美術作品っていうものは人の心を慰めるイブするものだっていうことで、イブの仕方が優しく元気か元気かいっていう風に声をかけてくれるような、辻さんはエールっていうお言葉を使われましたが、作品が語りかけてくれる。声をかけてくれる。それに私達も同じようなおおらかな気持ちで答えて手をあげたいって思います」

 

続いてのアートシェアは写真です。

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日本を代表する写真評論家・飯沢耕太郎さん。

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「この写真集。牛腸茂雄という写真家が1977年に自費出版で刊行した《SELF AND OTHERS》自己と他者という写真集を紹介したい」

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36歳という若さでこの世を去った写真家・牛腸茂雄

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3歳でカリエスを患った後遺症で、身体にハンディキャップを抱えた牛腸。

周囲から二十歳までは生きられないと言われながらも、魂を削るようにして3冊の写真集を自費出版しました。

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その代表作が《SELF AND OTHERS》です。

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カメラを向けたのは自分の身の回りにいた人々でした。

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母親。

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親しい友人。

そして近所の子供達。

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自分と被写体になった人との関係性を静かに見つめ続けました。

「人の思いとか人のつながりが今あらためて問われている時期だと思います。なかなか自分の家の周辺くらいしか行けない状況の中で、あらためて自分の身の回りにいる人と自分との関係を考えることは、とてもいいことだと思いますし、その一つのヒントみたいなものがたくさん詰まっている写真集です。だから改めてこの写真集を紹介したい」

 

小野さんはどんなふうにご覧になりましたか

牛腸茂雄さんの他社に注ぐまなざしっていうのがあんなにも優しいというのは自分の奥深くまでを見つめることができた人だからこそなのかなっていうことを感じました。確かに普段に比べると自分のことを考える。自分とは何か。一番身近な人を自分にとってどういう人なのかってことを考えることが確かに増えてると思うんですね。その時に牛腸茂雄の眼差っていうものに、自分のまなざしを寄り添わせることで私たちの自己と他者生活世界との関わりはいい方向に向かっていくんじゃないかなっていうふうに思います」

 

 

 

あとシェアまだまだ続きます。

 

作家、ミュージシャン、俳優など幅広く活動するいとうせいこうさんがあげたのは覆面アーティスト・バンクシー

その最新作。タイトルのゲーム・チェンジャーは変革をもたらすものを意味します。

街中に人知れず作品を残してきたバンクシーですが、この作品はイギリス南部の病院に贈られました。

秋まで病院に飾られその後は医療サービスに関わる資金を調達するためオークションにかけられる予定です。

「病院に送られ医療関係者へのチャリティーなるもの。ハリウッドのヒーローたちが捨てられている辺りも社会問題を鋭い皮肉とユーモアで表現するバンクシーらしい」

 

 

続いては小説家の原田マハさん。

作家になる前は学芸員として美術の世界に関わってきた原田さんがあげたのはゴッホの星月夜。

心のバランスを崩し入院していた36歳の頃。

人生で最も困難な時、ゴッホが描いたのは病室の窓から見えた夜明け前の空でした。

ゴッホは孤独な中で己自身に向き合いながら感性を研ぎ澄まし、数々の傑作を生み出した。本作はいかなる逆境にやろうとも創作を続けることで自己を肯定し、生きづらい世界に挑む芸術家の生の証である。月と星々が巡る天体は逆巻く川の流れのようで、左側の糸杉は川辺にたたずむ孤高の画家自身であるように私には見える」

 

 

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そして建築家の安藤忠雄さんもアートシェア。

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瀬戸内海に浮かぶ直島。

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安藤さんが設計を担当し2004年に開館した地中美術館があります。

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建物の大半が地中にあり、島と一体化した独特の建築。

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この美術館は三人のアーティストの作品を半永久的に展示するために作られました。

そして安藤さんのアートシェアがこちら。

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モネが最晩年に書いた睡蓮です。

光の画家クロード・モネ

日暮れか、夜明けか。睡蓮の池を照らすわずかな光。

晩年のモネはまるで取り憑かれたかのようにひたすら睡蓮を描き自然の光を描き出そうとしました。

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その睡蓮5点を展示するためだけに作られた特別な部屋。

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天井から降り注ぐ柔らかな自然光。

光に包まれたいと正面から向き合う時間です。

 

安藤さんはモネの睡蓮をあげておられたのはなぜでしょうか。

「モネっていうのは光を求めた作家なんですね。私はモネの睡蓮を見て、この難しい社会の中で希望を見出すのは光ですから、光という希望の向こうに自分が生きていく姿を見られるのではないかと思って選びました。モネの光に対して私たちも光で答えたいと言うので自然光を設置しました。光というものの面白さが見えるんじゃないかと。建築も太陽光線の中でご見るものですからモネの睡蓮を設置するならば自然光でいいだろうと」

「画家はあくまでも自然光の中で作品を描いた。しかし、多くの美術館では人口の照明を当てることで作品を見ている。直島の地中美術館に行けば島と一体になった美術館の上から降り注いでくる自然の光を浴びながら作品を見ることができる。安藤さんの言葉をお借りすれば希望の光っていうのを建築の上からと作品から上がってる光の二つの光を浴びて、生きる力を与えて貰えるって言うようなこともあるのではないかと思いました」

「光というものはお互い一人の人間が生きていけないように自然と共に生きていく。人間と共に生きていく。地球の中で生きていくというようなことをいろいろ考えさせられるのではないかと思いました。世界中の人たちが生きるということについて深く考えたのはめずらしい。地球の上に住んでる人たちが経済力を蓄えるために頑張りしてきましたけどそれよりも自分らしい生活をここでやればいいのではないかなという。私には私なりの生活があるだろうしそれぞれの人達はそれぞれの人達なりの生活がある。そしてモネはひたすら睡蓮を描いたように、他の人達はまた違う絵を描いてるわけですけども、初めにモネがあの光の絵を描いた時に多くの人達が「アレどうしたん」みたいな感じだったと思うんですけども、彼がひたすら生涯追いかけていたように、そろそろ自分の有りようは自分で決めるとそして自分の人生の楽しさは自分で決めるという風にすればいい。私は今回の中でゆっくりした時間を持ててよかったかなと思ってます」

 

 

 

 

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では次の作品です。

革新的な作品を次々に生み出す画家の横尾忠則さんです。

 

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20世紀を代表する傑作。ピカソゲルニカです。

縦3.5メートル横8メートルのモノクロの大画面。

反戦や抵抗のシンボルとして愛されてきました。

1937年ナチスドイツがスペイン・バスク地方にある街、ゲルニカに無差別都市爆撃を行いました。

戦闘員ではない女性や子供にも刃を向けたのです。

当時フランスにいたピカソは祖国の惨劇を知ると卑劣な行為を告発するためすぐに絵筆をとったと言います。

逃げ惑う罪なき動物たち。

恐怖に顔をこわばらせ腕を上げる女性。

死んだ子供を抱え嘆く母親。

ピカソはわずか一カ月余りでこの大作を描き上げました。

横尾さんは1980年。

ニューヨーク近代美術館で開かれたピカソ展でこの絵と出会います

同時グラフィックデザイナーとして一世を風靡していた横尾さん。

衝撃を受け、45歳で画家に転身することを決めました。

「今日はわざわざピカソの好きなシャツとゲルニカを着てきた。ただ単なるゲルニカを告発した作品ではないと思うんですね。現在のコロナ時代に我々は今生きてるわけですけれども、それとどっか深くで結びついてると思うんですよね。これ誰が見てもここに無意識のうちにね、今のコロナ禍が結びついていると思うし、毎回見るとね新しい発見があったりねその時々によってね、これがね違って見えてくるんですよね。そういうすごい普遍的なものを持ってると思いますね。そこにはやっぱり人間の死とか生。そういったものがここに全部描かれている」

絵の中に横さんの心をとらえて離さない部分があると言います。

描き直しをそのままにしてしまったかのような牛の顔

「未完の部分はある意味で未来を描いてると思うんですよね。未開の部分を見る側の人間が入り口にしてまた新しい時代が来ると違う解釈も出来るしね。そういう意味で本当にすごい遺産としての作品を残してくれたと思いますね。アーティストっていうのは未来にこれから起こるかもわからないそういうあの予感的なものをキャッチする能力は美術の中にあると思うんですよね。だからそういう意味では、これからの未来っていうのは今やっている仕事の中に今後の未来が描かれてると考えていいんじゃないかと思いますね」

 

 

続いては美術ライターの橋本麻里さん。

楽しくアートへの扉を開いてくれる橋本さんがあげたのは。

東博の名で親しまれる東京国立博物館

ここに橋本さんが見てほしいという作品が。

国宝・洛中洛外図屏風

江戸時代初期の京都の街を描いた屏風絵です。

「太平の世がやってきたその猥雑な熱気と言うんでしょうか。泰平の世を楽しむ熱気があふれている。庶民が主体になって街の熱気を作り出してる様子が描かれている。一つは五条大橋。絵のハイライトとして書かれている場所なんですけれども、花見帰り。今年は花見も皆さんできなかったと思うんですが、花見帰りの集団が橋の上を踊り狂いながら渡っていく。眉を顰めたくなるような状況ではあるんですけども、その野放図さがむしろ今見るといいじゃんという気持ちになる。五条大橋の下ぐらいから四条河原にかけて、この辺りは人形浄瑠璃ですとか遊女歌舞伎の舞台がかけられています。そこに人が詰めかけて芸能に熱狂している。状況がまた何て言うんでしょうね、これ本当に言って卑属なエネルギーなんですけれども、この生命力みたいなものが今のコロナで卑属している私たちにとって魅力的です」

「チケットを持って展覧会に行くぞと思ってワクワクする楽しみ。そして何回も見てミュージアムショップを冷やかしたりその後上野公園をぶらぶら考えながら歩く楽しみ。その後でどこかお店に入っていっぱい飲む楽しみも含めて、そういうものが美術を見る楽しみを作ってきたことを改めて感じた。それが一番貴重なことだったんだなぁと改めて思います」

 

 

では続いての後シェアはこの方です。

三菱一号館美術館館長の高橋明也さん。

高橋さんがあげてくれたのはオディロン・ルドン「グランブーケ」

横1.6メートル。縦2.5メートルという巨大なパステル画。

フランス、ブルゴーニュ地方の貴族が城の食堂を飾るために描かせました。

溢れんばかりに咲き乱れる色とりどりの花々。

実は現実にはない花も描き込まれているのだそう。

「かつて東日本大震災の後に当館で公開されたおり、この作品の前で幾人もの人たちが祈るようにしていた事実。人をして頭を垂れさしめるような神々しさが本作品にはあり、鑑賞者の魂を浄化する要素に溢れています。苦渋に満ちたこのころなウィルス禍の中で是非実際に作品の前に立っていただきたいと思います」

 

 

作品を発表する事に世界を驚かせてきた会田誠さん。

アートシェアにあげてくれたのは。

2017年。宮城県石巻を中心に開かれたリボーンアートフェスティバル。

そこに出品された島袋道浩の「起こす」

島袋は人間の生き方や新しいコミュニケーションの在り方について探求してきました。

「起こす」は浜辺に流れ着いた木をひたすら起こす作品。

翌日には波に飲まれて倒れてしまう流木を、来る日も来る日も起こし続けました。

「自分で小さな枝一本でもいいから起こしてみる。倒れてるものを起こしてみる。何かが心の中で起き上がってくると思うんですけどね。道に植木が倒れたりしているじゃないですか。そういうのを一度起こしてみると何かが変わると思うんですよね。それをみんながやると」

「2017年夏にリボーンアートフェスティバルに行って実際に見た。芸術が持つお節介さ押し付けがましさを極力抑えたところが良かった。もう芸術はこれくらいでいいんだよなあと思った。一般人の暇潰しに限りなく近い、ささやかな人為。対する巨大な力を持った自然。人間のわずかな抵抗。そんなこと思った」

 

「物を倒した時と、ものを起こした時では全く心のありようが違いますよね。何かを起こすっていうことは、自分の心の中に力とか命とかエネルギーが湧き上がるというようなことがある。美術作品っていうのは全てそうやって私たちの心を起こしてくれてるものなんだなってことね。美術作品に触れると私たちの心は暗い傾斜の方に向かいつつあっても、やっぱり起き上がる。起き上がるための手助けを美術はしてくれるんだなっていうことを感じました」

 

 

最後に作品をシェアしてくれるのは国内外の現代アートに詳しい森美術館館長の片岡真美さん。

それはちょっと変わったインスタレーション

ヴォルフガング・ライプは現代ドイツを代表するアーティスト。

生命について探求する作品を作り続けています。

「花粉こそ花の本質です。花の命はそこから始まります」

ドイツの小さな村に住むライブ。

自宅近くの野山で一人コツコツと植物の花粉を集め作品にします。

2013年ニューヨーク近代美術館で開かれたライブの展覧会。

20年かけて集めたというヘーゼルナッツの花粉。

広さ6メートル四方。荘厳ささえ漂います。

 

今日は森美術館館長の片岡真美さんとも繋がっています。

どうぞよろしくお願いします。

片岡さんはアートシェアの作品としてヘーゼル・ナッツの花粉というものを選んでくださいました。どうしてでしょうか。

「あの外出自粛中にいろんな方がsnsに植物の写真をあげているのを見て、そこに何に惹かれているんだろうと。おそらくそこにある生命のエネルギーみたいなものがあるからじゃないかなと思ってライブの作品を思い出しました。この花粉はライブが1シーズンかけて瓶一つぶんぐらいしか集められない大変貴重なものなんですけども、それがこれから始まる植物の命の潜在力というふうに彼も言っていて、そこに大変貴重なこの粉に人間も植物もそしてこの地球も次を生きるためのポジティブなエネルギーが感じられるのではないかなと思いました」

 

「黄色い花粉はちょっと見方を変えるとステイホームによって大気汚染が収まって星空なんかが綺麗に見えるって言いますよね。花粉は地上のものではあるんですけど、見方を変えると星空。天の川じゃないけども星屑のようにも見える。あの作品によって自然とか小宇宙そのもの。私達の存在そのものっていう思いが伸びていくっていうか、深くて広くて大きな作品なんだなっていう風に感じました」

片岡さんご本人にとってはの向き合い方が変わったような事ってありました。

「今回ご質問いただいて、あのライブの作品を思い出したように、本当にシンプルであって強さのある作品というのに心が動くようになりました。実際に作品を見られない。外に出られないっていうことの中で、自分たちの想像力を使わなければいけない。それしか広げられるところがないので、想像力を豊かに高めてくれるような、刺激してくれるような作品が頭の中でぐるぐると回っていました。作品と自分たちの中にある想像力との対話がアートの鑑賞っていうものだと思うので、そういう意味では鑑賞する私たちの中にある力の方を今は高めておく時なのかなという風にも思いました」

アートの最前線立場にいらっしゃる片岡さんはこのアートシェアということから何を思われましたでしょうか。

「あの皆さんやはり例えば祈りですとか、それから生命力。回復力というようなアートから発せられる前向きなエネルギーを感じたい。そしてそれを世の中に届けたいというような気持ちが伝わってくるかなという風に思いました。実際そういうものであってほしいというふうに思っていますし、それは美術館にもそして個々のアーティストにもどこまでその本質に作品を通して掘り下げることができるのかと、本質に近づくことができるのかというような新たな挑戦状を突きつけられているようなところもあると思いますけども、それは生産的なポジティブなことだと思うので、そうした作品から色々なことを考えさせていただけると良いかなと思ってます」

 

 

アートというものがいかに強いものかって感じます。我々が何不自由なく暮らして行って移動の自由やその美術館を訪れる自由を満喫できる。なにも不自由を感じてないときにアート作品は時に人間のその暗い部分とか残酷さとか死に関わるそのものに志向させてくれる。今私たちが少し自由を奪われて苦しい状況にある時にはですね、片岡さんがおっしゃったように、命とか生命力とかエネルギーとか人を励ます。慰めるポジティブな力を発する。我々の心のありように応じてその答え方を変えて私たちに向き合ってくれてるってそういう風に感じて、アートって人間とって不可欠な本質的な活動であるということを痛感しています」

時代や環境や状況を越えてアートが私達のそばに今までもいてくれたし、きっとこの先もいてくれるのであろうと思わされるような時間を今過ごしてるのかもしれないですよね。

片岡まみさんがアートシェアしたヘーゼルナッツの花粉。

今回、作者のヴォルフガング・ライプさんからメッセージが届きました。

「来る日も来る日も、何週間もタンポポの草原に座り、この上なく集中して激しく

時間も我も身も心も忘れて、信じがたく思いもよらない世界の危機と混乱の只中で、

ひどい病にかかり死に行く数多くの人々。新しい疫病。600年前のような疫病が

再び起こるなんてとても想像できなかっただろう。今この私たちの生活の中に。側に。

それでも尚、危機は大きければ大きいほど人類に新しい未来をもたらし、どこか他の場所へ向かい何かを見つける手助けをしてくれた。想像し得たものの彼方に私たちは見つける。新しいありようと生き方を。私たちが望むものと、私たちが人生に望むもの。大切なこととそうでないこと。慎ましさ、謙虚さ。自分自身と他の人たちに対する。世界に帯する。自然に対する。宇宙に対する全く違う関係。自分自身と世界への異なる願い。新しい未来の新しいビジョン」

 

 

取材先など

 

放送記録

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書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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日曜美術館「ルーブル美術館 (2)」

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ルーブル美術館には、人類のあらゆる美の記憶が刻まれている。

世界最高の美を圧巻のカメラワークで堪能してください

【語り】柴田祐規子

 

 

 

日曜美術館ルーブル美術館 (2)」

放送日

2020年5月24日

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ルーブル美術館

美の殿堂は16世紀の初め、イタリアからもたらされた一枚の絵画とともに歩んできました。

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モナリザは世界の至宝がこの地に集められた歳月を見つめてきました。

19世紀。世界は激動の時代を迎えていました。

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革命。近代化。やがて来る二度の世界大戦。

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激しく揺れ動く時代。

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人々は芸術に生きる力を求めます。

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永遠なる祈りと共にありました。

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時を越えルーブルの至宝は問いかけます。

我々とは何か。

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シリーズルーブル美術館

今回は19世紀から20世紀前半をたどります。

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革命が繰り返された19世紀。

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ルーブルには膨大なコレクションがもたらされ、ほぼ現在の姿となります。

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赤の間に、激動の19世紀を象徴する一枚の絵画があります。

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1830年に起きた7月革命を描いたものです。

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ウジェーヌ・ドラクロワ作《民衆を導く自由》

粉塵が舞い上がるパリの町で圧政に争い立ち上がった民衆。

中央で三色旗を掲げる女神。自由の象徴です。

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そこに立つのは天上の汚れなき女神ではありません。

瓦礫を踏みしめ煤にまみれ、胸をはだけ、民衆を鼓舞する力強い女神です。

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武器を持って戦うのはブルジョワ。労働者。学生など異なる階層の市民たち。

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彼女はこれ以上冒涜されないために戦う民衆の娘だ。

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激動の中で名もなき市民が求め続けた自由。怒り。悲しみ。そして希望。

この絵はルーブルで公開され、熱狂的に迎えられます。

民衆はそこに自らの姿を見出したのです。

 

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19世紀後半もうひとつの女神がもたらされました。

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古代ギリシャの彫刻サモトラケのニケ

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船の上に立つニケは勝利の女神

古代エーゲ海の民が戦の勝利を祈り彫り上げました。

翼を広げ天から舞い降りた姿です。

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薄い衣が覆う豊かな胸。

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翼を織りなす一枚一枚の羽は、

降り立った瞬間の躍動感に満ちています。

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1863年フランス人によってエーゲ海サモトラケ島で発見されました。

土の中から見つかったいつもの大理石の塊をつなぎ合わせ復元。

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2000年の時を超え、女神の姿が蘇りました。

 

1889年。近代化が進むパリで万国博覧会が開かれます。

フランスの力を世界に示す万博。

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シンボルとして建設されたのがエッフェル塔でした。

社会の豊かさを支えたもの。

それは産業革命でした。

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パリには地方から人々が大量に流入します。

多くは工場労働者となって社会の繁栄を底辺で支えました。

寄るべない都会での暮らし。

「ああ、ついに一人きりだ。恐るべき都会」

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この時代パリ市民の間で大大人気となった一人の画家がいます。

17世紀のオランダで活躍したヨハネス・フェルメール

その絵は19世紀後半、ルーブルに収蔵されました。

一際小さな作品でした。

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《レースを編む女》

縦24センチの画面に描かれているのは女性のありふれた日常。

無心にレースを編む姿です。

静けさの中の一人だけの時間。

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女性の姿は淡い光に溶け込むように柔らかです。

しかし一箇所だけくっきりと際立つように描かれている場所があります。

それはレースを編む手元。

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まっすぐ貼られた二本の糸。

無心にレースを編む女性の心の在処。

日常の何気ない幸せです。

社会が目まぐるしく変化し進化し続けた19世紀。

パリの市民が求めたささやかな世界です。

 

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近代化が加速する中。

人々は心の拠り所を求めるかのようにフランスの過去の芸術に目を向け始めます。

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1134年。南フランスの小さな礼拝堂で見つかった名もなき画家の作品。

中世末期に描かれたピエタ

ピエタとは死せるキリストを抱いて嘆く聖母マリアの姿。

黄金の中に漂う深い悲しみ。

15世紀。人々が祈りを捧げた傑作です。

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十字架に釘で打たれたキリストの亡骸。

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全身に残る鞭の跡。

槍で突かれた傷から滴る血はまるで涙のように透き通っています。

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老婆のような深い皺が刻まれた聖母マリアの顔。

我が子を失った苦しみ。

芸術が神への祈りそのものだった400年前の遺産。

この作品は多くの市民の心を揺さぶりました。

 

 

19世紀。フランスの画家たちに大きな変化が生まれます。

自分たちの生きる時代の美は何か。

これまでの神話や聖書の一場面ではない。

社会を映し出す普遍化された人間のテーマに挑み始めたのです。

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テオドール・ジェリコーが描いた《メデューズ号の筏

19世紀初頭に起きた軍艦の難破事件を描いたものです。

食べ物も水もなく13日間漂流。

130人が命を落としました。

フランス国家は当時この事実を隠蔽しました。

画家は誰からの依頼も受けずこの事件を絵にしました。

青黒く変色した屍。

無残な現実を描くため、画家は実物の死体をスケッチしたといいます。

絶望の中、彼方に船の影を見つけます。

必死で救いを求める姿。

先頭に描かれているのは当時フランス社会の底辺にいた黒人の青年です。

見捨てられ無名の人々。

果たして救いの船は来るのか。

悲惨な現実を描いたこの作品は当初、激しい非難を浴びました。

しかし画家・ジェリコは語っています。

「真実こそが美である」

 

自分達の求める美を楽園の中に見出した画家もいます。

フランス近代絵画の巨匠のドミニク・アングル。

最晩年に描いたその絵は画家の奔放なまでの感性があふれる傑作です。

《トルコ風呂》

まるで覗き穴から垣間見たかのような世界。

浴槽の周りにいるのは一糸まとわぬハーレムの女性達です。

この絵を描いた時、アングルは82歳。

トルコを旅したことはなく、多くは想像です。

美しい後ろ姿の女性に、画家は裸で楽器を奏でさせました。

身を寄せ合い愛撫しあう二人。

当時のフランスでは禁断とされた行為です。

生涯女性の裸体を描き続けた画家アングル。82歳。

人生の最後にたどり着いた美の結晶です。

 

20世紀初頭。

ヨーロッパを第一次世界大戦が襲いました。

フランスは戦勝国となったものの440万人が戦死。

ヨーロッパを憎しみが覆った時代。

歴史の忘却の中から浮かび上がってきた一人の画家がいました。

ジョルジュ・ドゥ・ラトゥール。

17世紀。宗教戦争の最中に人間の奥底を見つめたフランス人画家。

20世紀の戦争の時代。

その作品はパリの市民の間で評判となりました。

《ダイヤのエースを持ついかさま師》

ポーカーの原型となったゲームで賭に興じる姿です。

カードを持つ男はどこか気のない素振り。

中央の着飾った女性の視線はなぜか給仕に。

そしてどこか幼さを残す豪華な衣装の若者。

彼は3人の、いわゆるカモです。

ゲームの最中、ドレスの女性が指で男を促します。

それはいかさまへの合図。

男の右手には複数のダイヤのカード。

一方若者から見えない左手には。

ダイヤのエースが。

役に立たないクラブのエースとすり替える瞬間です。

たくさんの金貨をかけた若者。

4枚のカードを握りしめるのは、苦労を知らぬ白い手です。

疑いもせず目の前の企みに全く気付きません。

か弱きものを平然とあざむく冷徹さ。

騙し通す狡猾さ。

欲望の為に他者を欺き奪う。

それは20世紀前半世界を覆った人間の闇でした。

 

1939年。第二次世界大戦が勃発。

フランスはヒトラー率いるナチスに敗れます。

対戦中、ナチスは占領した国々から大量の美術品を奪いました。

しかしルーブルは開戦間際に作品を避難させます。

4000点もの美術品をフランス各地に隠したのです。

ミロのヴィーナス。サモトラケのニケ。そしてモナリザ

しかし守りきれずナチスに奪われた作品もありました。

16世紀に作られた宗教彫刻の傑作《聖マグダラのマリア

かつて娼婦だったマリアはキリストによって聖女に生まれ変わります。

その身にまとうのはただ長い髪の毛だけ。

菩提樹から彫り出された体。

500年を経て絵の具が剥がれ落ちた足元。

マリアはイエスの復活を見届けた後、洞窟にこもり、一人祈りの日々を送ったと言われます。

エスのいる天に向かおうとする姿です。

16世紀に造られて以来、数え切れない人々がこの像に祈りを捧げてきました。

戦争や憎しみに満ちた世界で生きてゆく。

それでも、その眼差しは人間そのものへの無限の愛に満ちています。

ナチスからループルに戻った聖マグダラのマリア

今も祈り続けています。

1945年。第二次世界大戦終結

フランス各地から4000点を越す美術品がルーブルに帰ってきました。

無数の魂が築き上げてきた美の殿堂。ルーブル美術館

どんな時代も人間は美の永遠なる尊さを求め続けてきました。

自分たちが何者かを知るために。

 

取材先など

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

 

書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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アートシーン▽特別編アーティストのアトリエより―染色家・柚木沙弥郎

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染色家・柚木沙弥郎さん

 

 

特別編アーティストのアトリエより―染色家・柚木沙弥郎

アートシーンは特別編。

「アーティストのアトリエより」と題してお届けする。2018年6月に放送した「日曜美術館」から、染色家・柚木沙弥郎95歳の制作を追った。今回柚木さんが番組に寄せてくれた、今をポジティブに生きるメッセージも紹介します。

 

放送:2020年5月24日 

a.r10.to

 

 

新美の巨人たち 旧開智学校校舎&築地本願寺&東京タワー

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芸術はいつの時代もどんな国でも、多くの人の心を癒し励ましてきました。そんな人々の心を動かす作品を紹介するシリーズ「今こそアートのチカラを」。第2弾は「建物編」。日本人が造り上げた3つの建築に焦点を当て、建物に込められた希望・祈り・未来への想いに迫ります
▼明治時代の小学校『旧開智学校校舎』誕生の裏に隠された期待と意気込み&設計者・伊東忠太が『築地本願寺』に込めた願い&『東京タワー』構造美の秘密。

 

日経おとなのOFF 2020年 絶対に見逃せない美術展(日経トレンディ2020年1月号増刊)
 

美の巨人たち 旧開智学校校舎&築地本願寺&東京タワー

放送:2020年5月23日

 

国宝です。

144年前に建てられたこの学校が今私たちに語りかけてくるものは何でしょう。

摩訶不思議な寺院があります。

どうしてこんな形をしているんでしょうか。

333メートルの塔が私たちにもたらしたものはいったい何でしょう。

今こそアートの力を第2弾。日本人が作り上げた名建築。

その美しさと思いの形を見つめます。

 

長野県松本市。国宝・旧開智学校校舎。

明治9年に建てられた小学校です。

珍しいのは擬洋風建築という西洋の建物になぞらえた様式で建てられたこと。

去年国宝に指定されました。

どこか晴れやかな気分になるのは車寄せのエントランスの造形です。

木で作られたギリシャ風の柱。

中国風の龍の彫刻が見事。

青空のようなブルーで塗られたバルコニーには白い雲が浮かんでいます。

お寺のような唐破風の屋根の下には学校名が入った表札が。

この天使の秘密は後ほど。

中に入ってみれば松の板の長い廊下。

白い壁に白い天井。

明治の初めだと考えれば西洋風の相当ハイカラな作りです。

学ぶことの面白さ。楽しさを今に伝える教室。

開校当初教師は30人。児童の数は千人を超えていました。

この教室で最も珍しかったのがガラス窓です。

明るく開放的な西洋の窓に当時の子供達は驚いたことでしょう。

使われたいたガラスは全部で2500枚。

あまりすべて海外からの輸入品でした。

建てたのは地元の大工の棟梁さん。

名を立石清重と言います。

ほんの少し前まで江戸時代を生きてきた棟梁はどうやってこんな西洋風の建物を作ることができたのでしょうか。

松本藩に出入りする城下一の大工だった清重は学校建設のリーダーに抜擢されました。

ところが西洋の建物など建てたことがありません。

悩んだ末にピンと閃いたのです。

そうだ東京に行って最新の西洋風建築なるものを勉強しようと。

***********

為替バンク三井組を見てびっくり仰天し

東京大学の前身開成学校はつぶさに研究し

星じゅーは一心不乱にスケッチしたのです

完成した開智学校には

驚くべき技が隠されていました

童謡と栄養が融合した証がいたるところに

例えば真っ白な外壁の腰の部分。

石を積み上げているように見えますが石ではありません。

一体何なのでしょう。

 

 

 

開智学校の外壁は実は石積みではなく、漆喰の技で作り上げたものです。

気鋭の左官職人鈴木亮介さんに再現して頂きました。

ベースとなるのは土壁です。

石の形に木枠を取り付け、内側に目の細かい土と短く切った藁を水で合わせた「中塗り土」を何層にも塗り重ね厚みを出していきます。

剥落を防ぐため周囲に土を斜めに盛って整形。

さらに強度を増すために砂を混ぜた漆喰で全体を覆います。

ここから西っぽくするために

はい積みを混ぜた黒漆喰で

西に見せたい部分を塗りあげていくのです。

「灰炭には油分が含まれてるから水には溶けにくいんですけどアルコールで溶かすことはできる。なので昔の左官屋さんは自分の飲んでたお酒とか好きなお酒でよくなじませ

てから漆喰に練り込んでた

漆喰の中で

黒を出すというのは一番難しいんで

なかなか技術も時間もかかる

最後にきめの細かい漆喰で仕上げ完成です。

立石清重は左官の技だけで西洋の石積みを見事に表現してみせたのです。

校舎には坂の上の雲を目指した時代の心意気があふれていました。

気になる旧開智学校の表札・天使の正体は。

実は庶民の間で流行した錦絵入りの新聞です。

新聞名を掲げているのがこの天使たち。

同僚の立石清重が東京に行った際に持ち帰り、そのまま表札に採用したと伝えられています。

学校に行きたい。教室で勉強したい。

子供達は心弾ませこの道を通ったのです。

文明開化の情熱とエネルギーの結晶です。

旧開智学校校校舎。子供達の希望の学舎。

 

 

 

日本建築史上最も謎めいたお寺があります。

東京に。

重要文化財築地本願寺

実に摩訶不思議な姿です。

高さはおよそ34メートル。

横幅はおよそ87メートル。

伝統的な寺院とまるで印象が違うのは、木造ではなく石造りだからです。

しかも大きな屋根がありません。

代わりにどーんと置かれているのが巨大なと

玉ねぎのような形に

パスの模様があしらわれています。

正面にたまるで西洋の宮殿さながら

石積みの階段を上っていけば4本の石柱がそびえています。

作者は伊藤忠太。

神仏建築の巨人とうたわれた人です。

明治神宮何神宮も彼の代表作。

大正12年関東大震災による火災で木造だった築地本願寺の伽藍が焼失してしまったのです。

新しい本堂の設計を任されたのが

伊藤忠

問題はなぜこんな造形になったのか。

明治35年伊藤忠太は帝国大学の教授になるにあたって、政府から3年間のヨーロッパ留学を命じられます。

彼はヨーロッパに到着するまでをさん

年間と考えて

日本から中国中央アジアインド中東ヨーロッパと大冒険とも言える旅を敢行しました。

人類と建築の歴史を学び、日本建築のルーツを探る旅となりました。

そして確信を得たのです。

伊藤忠太は築地本願寺の新しい本堂を地震と火災に負けない建築へと進化させるため、鉄骨と鉄筋コンクリートを使いその上に石を積み上げました。

わずか3年という当時としては異例の早さで完成させたお寺の外観はあっと驚くインド風。

伊藤にとって鎮魂と復興の祈りこそがこの寺院の使命。

その思いがこの姿になったのです。

本堂には土足で入ることができます。

お寺と教会を合わせたような不思議な空間です。

見上げればパイプオルガン。

仏教賛歌という合唱曲の伴奏などに使うのだそうです。

添乗は講師で組まれた格調高い折上格天井赤馬

ご本尊が安置

されている外人です

黒漆塗りの床の上に

高ささんMを超える絢爛たる黄金の宮殿

金沢の職人が打ったごまん

枚の金箔が使われています

周囲の化粧柱や化粧梁には

岩絵の具で仕上げた鮮やかなもんよ

コンクリートの上にモルタルを塗って布を貼る

その上に漆を施し岩絵の具

で描くという手の込んだ作り

最先端の建築技術と

伝統技法が絶妙に組み合わされていたのです

伊東忠太はただ

インドの仏教寺院の姿を

借りただけではありません

この建物に意外な仕掛けを

潜ませていたのです

像内て猿がいる虫がいて

葉もいる一体何のために

 

 

築地本願寺の正面をご覧四段の左右には

想像上の動物が鎮座しています左側

は口を閉じ右は口を開いた

阿吽の姿での樹の下には

に頭の動画本堂の入り口の脇に作られた

階段を降りてみれば

お猿さんがこちらを見ています

どうして築地

本願寺はいろんな動物たちでいっぱいなのか

謎を解く鍵は伊藤忠太のスケッチに子供の頃

漫画家になり

たかったと言う彼は

おびただしい数の怪物や

お化けのスケッチを残します

生来化け物が大好きで

幼少の時母の膝に抱かれて

数々のおとぎ話を聞かせられた

中にも化け物の出てくる話には

仁を今日買ったものである

しかしよく考えてみると

どれでも化け物とは極めて親しみが

深いはずである

伊藤忠インド風の外観を持つ仏教寺院に

心を捉えてやまない

不思議な動物や異形の物等を置くことで

人々と築地本願寺をつなごうとしたのです

関東大震災の後に生まれた神です

仏教とはお寺とは何か

その長くて深い探索の果てに生まれた姿です

築地本願寺

鎮魂と復興祈りの形

東京タワー雲ひとつない青空に見る

東京タワーとてもいいね今日はイシスね

東京タワーを見るには

完璧な条件がそろってます

日本で一番有名な建造物かもしれません

昭和33年竣工

東京タワー高ささんびゃくさんじゅーさんM完成

当時は世界一の自立電波塔でし

た真上から見れば

一辺がはちじゅーMの正方形使われている

鉄骨の重さは

およそさんぜんろっぴゃくトン

展望台はちじゅーMのアンテナが

備え付けられています

昭和28年テレビ放送の開始と共に

我が国は巨大な電波塔必要としていました

目指したのはエッフェル塔シノン世界一

の高さ設計を任されたのが

頭博士と呼ばれた男内藤多仲

この時ななじゅーに歳

相棒は小さな計算尺コンピューターはおろか

電卓つらなかった時代です

内藤多仲は建物の安全性を確保するために

必要なありとあらゆる複雑な構造計算を

この小さなドームひとつで行ったのです

作り上げた

東京タワーの設計図は

いちまん枚にものぼりました

昭和32年6月着工

誰も経験したことのないお仕事に

全国から腕利きの職人達が集められました

鉄骨の鉄棒に使われたのは

直径にCM長さじゅーCM程のリベットです

それを土ではっぴゃくドに熱し

バサミでつまんでなに

渡しますローミングと熟練した職人たちの技

これを鉄骨に空けた穴に差し込んで

両側から打ち込んで密着させるのです

それがこの数って考えたら

ちょっとと思うもないですよね

あれ一個一個が

人の手が打ったのかなって思うと

本当に人力で間違えたんだなって思うと

ちょっとすごいですね

グッときますね

目も眩むような場所での仕事です

当時の現場リーダーで

命知らずの作業に携わった

元鳶職人の桐生さんは

こんな風に語っていました

嵐長沼駅前に上がってるでしょ

だからいくら高くなってもね

科学的にはこれなんだタコメーターでも

面白いよそんな難しいくんなかったね

夕食って慣れた第えーと話わんのはね

好きなんだな

日本人の誰もがワクワクドキドキしながら

その日を待ちわびていたのです

最後の難関は

長さはちじゅーM重さ

ひゃくトンを超えるアンテナのにひゃく

ごじゅーメートルの高さまでワイヤーで

吊り上げ所定の位置に収めるのです

ひゃくからごひゃくよんじゅーさん

昭和33年12月23日世界一の電波塔

東京タワー完成宇宙の言葉です

タワーの美しさについて

別に作為はしませんでした

無駄のない安定したものを

追求していった結果できたものです

馬場修二の作った美し

さとでもいえましょう

さんびゃくさんじゅーさんMという数字は

構造計算を積み重ねた偶然の値だったのです

その姿に私たちは今

繊細な削り出しの技が一筋一筋に魂を宿す

純粋な白は

 

ロングライフデザインを床にマイクロストライプ誕生

 

 

降り積もった

歳月はろくじゅー年を超えました

それでも変わらず当たり前のように立ち続けて

いま東京の真ん中に

心の真ん中に

ごふんに向かって伸びてってるのが

もう哀愁があって

なぜか東京タワーに目が行くのって

何なんだろうなと思うと

そんなか巨大な孤独感が

そこにポツンてある

からつい見つめてしまっていうか

ホッとしたり気持ちが上がったりするのは

その孤独に勇気をもらってるのかもしれない

すねずっと立ってて欲しいです

東京の真ん中で時代の鏡であり

人々の思いも映しているのかもしれません

旧開智学校文明開化という

時代に生まれた子供希望

の学舎関東大震災の被災から復興を遂げ

人々の心をつなぐ祈りの形

築地本願寺大地に根を下ろした精霊のように

今日も立たずの東京タワー建築には

私たちに言う与えてくれる力がきっとあるのです

 

 

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