チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

オパールとオパルセント 魔性の光に魅せられて

f:id:tanazashi:20180919202611p:plain

 

オパールとオパルセント
魔性の光に魅せられて

f:id:tanazashi:20180919202339p:plain

七色のきらめきを放つ自然が作り出したオパールの原石。一方こちらはオパールの魅力に迫ろうと人間が作り出したガラス、

f:id:tanazashi:20180919202442p:plain

オパルセント。

f:id:tanazashi:20180919202448p:plain

オパールオパールセントの作品を紹介する展覧会です。

f:id:tanazashi:20180919202712p:plain

19世紀末から20世紀にかけて活躍したフランスの装飾工芸家ルネ・ラリック

f:id:tanazashi:20180919202724p:plain

20代でジュエリー作家として頭角を表します。

f:id:tanazashi:20180919202800p:plain

最も愛した宝石がオパールでした。

f:id:tanazashi:20180919202837p:plain

自然を愛したラリックのデザイン。

f:id:tanazashi:20180919202904p:plain

朝露に濡れた草花から落ちた雫のように、オパールが輝きます。

f:id:tanazashi:20180919202936p:plain

さらにラリックはオパールの輝きに似た生き物をモチーフにしました。

f:id:tanazashi:20180919203012p:plain

孔雀です。

f:id:tanazashi:20180919203045p:plain

その羽の模様がオパールのきらめきに移し替えられたのです。

f:id:tanazashi:20180919203112p:plain

f:id:tanazashi:20180919203142p:plain

f:id:tanazashi:20180919203216p:plain

ガラス工芸家に転身したらラリックはオパールのような輝きを持つ

f:id:tanazashi:20180919203252p:plain

オパルセントガラスの作品を数多く生み出しています。

f:id:tanazashi:20180919203356p:plain

この展覧会は箱根ラリック美術館で12月2日まで開かれています。

www.lalique-museum.com

光によって七色に煌めくオパール。心を惑わすような魔性の輝きは、19世紀になると忌み嫌われたイメージをもたらしました。しかし、ラリックは、その妖しい光に魅せられ、オパールを使用した独創的なジュエリーを次々と発表し、新たな美の価値観を生み出しました。ガラス工芸家に転身してからも、オパールの色彩を追求。光による色の変化で、幻想的な雰囲気を醸し出す、オパルセントガラスに辿り着いたのでした。
本展では、ミステリアスな煌めきを放つラリック作品の数々とともに、貴重なオパールの原石も展示し、知られざるオパールの世界へと誘います。

 

会場:箱根ラリック美術館

会期:2018年4月28日~12月2日

ことばをながめる、ことばとあるく −−詩と歌のある風景

f:id:tanazashi:20180918230429p:plain

 

ことばをながめる、ことばとあるく
−−詩と歌のある風景

群馬県太田市美術館図書館。詩や歌ににインスピレーションを受けた現代作家による展覧会です。

f:id:tanazashi:20180918230446p:plain

かつて太田市に住んでいた歌人・大槻三好、松江夫妻によって歌われた短歌です。

f:id:tanazashi:20180918230420p:plain

イラストレーター惣田紗稀がその世界を部屋いっぱいの絵に表しました。

f:id:tanazashi:20180918230412p:plain

妻を若くして失った夫の心情が読まれています。寂しい時は ぶらり山へ行ってみろ。草木は慰めの言葉をもってる。

f:id:tanazashi:20180918230554p:plain

注目を集める系の詩人最果タヒの詩もあります。

f:id:tanazashi:20180918230628p:plain

グラフィックデザイナーたちの作品の中に散りばめられています。

f:id:tanazashi:20180918230656p:plain

詩の標識或いは看板と題された佐々木俊の作品の中の詩は・・・

f:id:tanazashi:20180918230749p:plain

「死ぬことで証明できる愛なんて、一瞬です。君は泣いて葬列した翌日、別の人と恋をする」

f:id:tanazashi:20180918230828p:plain

アートと詩や歌が融合した展覧会1月21日までです。

本と美術の展覧会vol.2「ことばをながめる、ことばとあるく——詩と歌のある風景」 | 太田市美術館・図書館 ART MUSEUM & LIBRARY, OTA

「ことばをながめる、ことばとあるく——詩と歌のある風景」は、美術館と図書館の複合施設である太田市美術館・図書館が「本」と「美術」の架橋を目指して実施する〈本と美術の展覧会〉第2弾として開催するものです。
今回のテーマは詩と歌(短歌)。画家が絵具を素材とするように、言葉を用いて表現・思考の新たな地平を切り開く詩人・歌人たちの作品が、グラフィックデザイナー・画家・イラストレーターたちとの共同によって、当館の展示空間に展開されます。
『死んでしまう系のぼくらに』をはじめとする詩集や小説、エッセイのほか、ウェブでのアニメやゲーム、アプリなど、その繊細かつ鮮烈な言葉を本だけにかぎらず多面的に展開する気鋭の詩人・最果タヒ。その詩を、これまで、最果の著書の装丁を手がけた佐々木俊、祖父江慎、そして雑誌『真夜中』誌面でアートディレクションを担った服部一成という三人のグラフィックデザイナーが、それぞれ異なる解釈とアプローチによってグラフィックで表現します[1.詩×グラフィック]。地形・気象・旅による意識の変容を主題として、現代文学・思想・芸術と領域横断的な仕事を一貫して続けてきた詩人・管啓次郎とタッグを組むのは、神話や物語も含めた人々の記憶や風景を手がかりに絵画やインスタレーションを制作している美術作家・佐々木愛。2009年以来、管と佐々木が行なっている「WALKING」と題したプロジェクトは、その名の通り二人が各地を歩くことによって生まれた詩と絵画の合作であり、本展ではこれまでの成果を、太田の散策も経て制作された新作とともに展示します[2.詩×絵画]。こうした当館での言葉の表現への注目は、当地で詩や短歌などの表現者が戦前から戦後にかけて生まれていることによります。ともに歌人であり、のちに生涯の伴侶となった大槻三好・松枝夫妻の仕事を、シンプルな線描と色彩で印象的な少女や風景を描き出すイラストレーター・惣田紗希の、太田の風景をモチーフにした描き下ろしの壁画とともにご紹介します[3.短歌×イラストレーション]。
本とは別の居場所を得た詩や歌は、はたしてどのような姿でわたしたちの目の前にあらわれるでしょうか。そしてそれは詩や歌を「読む」という行為に、どのような変化をもたらすでしょうか。本展では、鑑賞者が美術館という空間のなかにおける言葉を眺め、それらの言葉とともに歩き、さまざまな視覚表現とともに鑑賞することで、詩と歌の新たな鑑賞体験の獲得を目指します。

 

会場:太田市美術館・図書館

会期:2018年8月7日~10月21日

もじえもじ ―文字が絵になる、絵が文字になる―

f:id:tanazashi:20180918223632p:plain

 

もじえもじ
―文字が絵になる、絵が文字になる―

f:id:tanazashi:20180918223505p:plain

鎌倉時代に描かれた絵巻。

f:id:tanazashi:20180918223533p:plain

よく見ると字が隠れています。年月が過ぎたことを表す「としたち」という文字です。

f:id:tanazashi:20180918223601p:plain

古くから文字と絵が関わりあってきた日本の美の世界を見つめます。

f:id:tanazashi:20180918223702p:plain

釈迦の弟子である羅漢たちを描いた絵。

f:id:tanazashi:20180918223733p:plain

近づいてみると顔の輪郭線など全てが文字。

f:id:tanazashi:20180918223802p:plain

法華経という経典です。

f:id:tanazashi:20180918223829p:plain

いくつも仏という字が見えます。

f:id:tanazashi:20180918224012p:plain

今度は絵で文字を表す絵文字。

f:id:tanazashi:20180918223903p:plainさて、これは。おならで消す火。火に濁点がついて蛇です。

f:id:tanazashi:20180918223939p:plain

ユーモア溢れる謎解きにあなたも挑戦してみては。

f:id:tanazashi:20180918224054p:plain

名古屋市徳川美術館で来月28日まで。

www.tokugawa-art-museum.jp

日本では、文字と絵は互いに密接に関わり合い、時にその境が曖昧になるほどの親しい関係にありました。絵画的要素の強い文字である葦手や文字で描いた仏画・戯画など文字が絵になる「文字絵」、絵を表音文字のように用いて言葉を謎解きさせる判じ絵をはじめ絵が文字になる「絵文字」など、日本の書画や工芸品には文字と絵の幸せな結晶をさまざまに見出すことができます。
 文字と絵が生み出す世界には、造形的な美しさだけでなく、謎解きの面白さもあります。日本が世界に誇る知的で楽しい美の世界を紹介します。

 

会場:徳川美術館

会期:2018年9月9日~10月28日

京都・醍醐寺―真言密教の宇宙

f:id:tanazashi:20180910154213p:plain

 

京都・醍醐寺真言密教の宇宙

醍醐寺は、874年に聖宝理源大師が小堂宇を建立したことから始まったお寺とされています。仏教史の中で醍醐寺は重要な寺院で、政治の中心にあった人物たちとの関りも深かったとされています。

この展覧会では、「国宝」や「重要文化財」に指定された作品を中心に展示される予定です。例えば、“仏像”や“仏画”、普段は公開されていない貴重な史料や書籍なども目に触れることができます。

時代は、平安時代から最近の醍醐寺の流れをたどる展覧会です。豊臣秀吉が1598年3月15日に醍醐寺で行った花見の会が描かれた、「醍醐花見図屏風」などの華やかな美術品も展示される予定です。

 

www.suntory.co.jp

 

会場:サントリー美術館

会期:2018年9月19日(水)~ 11月11日(日)

幕末狩野派展

f:id:tanazashi:20180918223113p:plain

 

幕末狩野派

f:id:tanazashi:20180918223213p:plain

400年にわたって受け継がれた狩野派。幕末に活躍した絵師たちの展覧会です。源氏物語の一場面。雅やかな船遊びの姿です。池の深みを感じさせる陰影のある表現。伝統的な大和絵を発展させた幕末狩野派ならではの世界です。

f:id:tanazashi:20180918223303p:plain

狩野永岳の作品。集が富士山に向かって駆け上がっています。

f:id:tanazashi:20180918223337p:plain

幕末に大老となった井伊直弼の御前で描かれたと伝わる傑作です。

f:id:tanazashi:20180918223403p:plain

この展覧会は静岡県立美術館で来月28日まで。

幕末狩野派展|展覧会一覧|展覧会|静岡県立美術館|日本平のふもと、緑に囲まれた美術館

2018年は、明治維新によって日本が新しい時代を迎えた1868年から150年という節目の年に当たります。本展では、明治150年を記念して、明治維新を境に日本絵画史が大きく転換する時代の状況に注目し、幕末に活躍した狩野派の絵師たちをご紹介します。 室町時代から続く長い狩野派の歴史のなかで培われた技術や知識を駆使し、時代にあわせて新しい表現をとり入れた幕末狩野派の絵師たちの作品は、気品と清新な魅力にあふれています。近年、江戸時代に活躍した狩野派の研究が進み、幕末狩野派の個性的な画風などが注目され、その評価は高まりつつあります。 本展では、こうした動向を踏まえ、江戸、京都を中心とする19世紀の東西画壇で活躍した狩野派とその系統の絵師に焦点を当てます。江戸で幕末狩野派のスタイルを完成させた狩野栄信・養信親子の画風と、幕末の京都で活躍した狩野永岳・冷泉為恭といった独創的な絵師の画風を比較し、そのうえで、江戸狩野派の流れをくむ、近年人気の狩野一信らの個性に注目することで、幕末狩野派の旺盛な活動の実態に迫ります。さらには、近代日本画の開拓者・狩野芳崖、橋本雅邦へと続く展開を、幕末狩野派の作品から捉えることも試みます。 日本絵画史上まれにみる活躍を見せ、400年にわたり画埴の中心にいた狩野派の絵師たちは、 幕末という動乱期に、何を、どのように描いたのか。 典雅で美しく、豊艶な幕末狩野派の世界をご堪能ください。

会場:静岡県立美術館

会期:2018年9月11日~10月28日

高麗青磁-ヒスイのきらめき

f:id:tanazashi:20180917231242p:plain

 

 

高麗青磁-ヒスイのきらめき

f:id:tanazashi:20180917231256p:plain

深みのある皿。

f:id:tanazashi:20180917231304p:plain

牡丹が描かれています。

f:id:tanazashi:20180917231313p:plain

こちらは細い首を持つ瓶。ともにおよそ900年前朝鮮半島で栄えた高麗王朝で作られたものです。幻の焼き物と言われた高麗青磁。19世紀末以降に発見された銘品が集まりました。高麗王朝は国を挙げて仏教をあつく信仰していました。

f:id:tanazashi:20180917231355p:plain

こちらは仏に供える清らかな水を入れるためのもの。綺麗な形。翡翠に例えられた青みを帯びた色。その美しさは同時中国の宋王朝でも評価されました。

f:id:tanazashi:20180917231447p:plain

茶碗にも銘品があります。釉薬に浮かび上がる小さな菊の模様。

f:id:tanazashi:20180917231514p:plain

器全体も花の形に整えられています。

f:id:tanazashi:20180917231552p:plain

彫刻のように生き物の姿を映したものにも高麗青磁ならではの美しさがあります。

f:id:tanazashi:20180917231632p:plain

最高峰と言われる作品も公開されています。

f:id:tanazashi:20180917231657p:plain

釈迦が誕生した際、九頭の龍が現れ水を注いだという佛教故事に基づいた器。当時の仏教への帰依の深さを伝えています。

f:id:tanazashi:20180917231723p:plain

大阪市東洋陶磁美術館で11月25日まで。

現在の展覧会 | 展覧会情報 |大阪市立東洋陶磁美術館

本展では、東洋陶磁美術館が所蔵する高麗青磁を中心に国内所蔵の代表作も加えた約250件の作品により、高麗青磁の新たな魅力をご紹介します。
高麗青磁は高麗王朝(918-1392)の滅亡とともに姿を消し、人々にも忘れさられた、いわば「幻のやきもの」でした。高麗王朝の滅亡から約500 年の時を経た19世紀末から20世紀初頭にかけて、高麗の王陵をはじめとする墳墓や遺跡などが掘り起こされ、高麗青磁は再び世に現れました。翡翠(ヒスイ)のきらめきにも似た美しい釉色(ゆうしょく)の高麗青磁は、瞬く間に当時の人々を魅了し、その再現品もつくられるなど、一躍脚光を浴びました。
高麗王朝では仏教が国教となりましたが、同時に道教も盛んでした。一方、中国から喫茶や飲酒文化が伝えられ王室や貴族、寺院で大いに流行します。こうして祈りの場や儀礼、喫茶具や飲酒具などに用いられるものとして高麗青磁が誕生し、独自の発展を遂げました。唐、五代の越窯青磁北宋汝窯青磁に類するとされる透明感ある艶やかな「翡色(ひしょく)」の釉色、そしてとりわけ精緻な象嵌技法を特徴とする高麗青磁の美しさは、中国においても高い評価を受け、「天下第一」とも称されました。こうした高麗青磁には人々の祈りや思いが込められ、高麗王朝の文化の精髄が見事に具現化されています。
高麗王朝建国1100周年にあたる平成30年、本展覧会では、東洋陶磁美術館所蔵の高麗青磁を中心に、国内の代表作も加わって高麗青磁の至玉の名品約250件が一堂に会し、「祈り」と「喫茶文化」、「飲酒文化」を切り口に高麗青磁の新たな魅力を紹介します。さらに今回は、近代につくられた高麗青磁の再現品も併せて展示し、当時の人々の高麗青磁にたいする熱狂と再現への努力の様子を紹介します。
東洋陶磁美術館としては約30年ぶりに満を持して開催する高麗青磁の一大特別展となります。

会場:大阪市立東洋陶磁美術館

会期:2018年9月1日~11月25日

横山操展 ~アトリエより~

f:id:tanazashi:20180917205841p:plain

 

横山操展 ~アトリエより~

f:id:tanazashi:20180917205650p:plain

日本画家・横山操。戦後の日本画壇でその力強い画風と斬新な表現で注目を集めました。

f:id:tanazashi:20180917205659p:plain

しかし53歳の若さで脳卒中でこの世を去りました。去年、横山のアトリエで本格的な調査が行われました。

f:id:tanazashi:20180917205743p:plain

使いかけの墨。

f:id:tanazashi:20180917205806p:plain

そして未完の作品。残されたものから格闘する画家の姿が垣間見えてきます。

f:id:tanazashi:20180917205908p:plain

赤富士の絵で知られた横山。そのうちの1枚が描きかけのまま残されていました。

f:id:tanazashi:20180917205944p:plain

これまでの作品では、山の輪郭の黒は先に塗られたものだと言われてきました。

f:id:tanazashi:20180917210025p:plain

今回の調査で山全体が黒く塗られた別の作品が出てきたことでそれが実証されました。さらに興味深い作品が見つかっています。

f:id:tanazashi:20180917210100p:plain

金地と銀地で描かれた、紅梅と白梅の屏風。紅梅図の一部が欠けています。

f:id:tanazashi:20180917210134p:plain

屏風を発表した後に部分的に正面の絵が切り取られたためです。

f:id:tanazashi:20180917210221p:plain

見つかった部分を合わせて今回展示しています。切り取ったのは横山自身だと考えられています。

f:id:tanazashi:20180917210246p:plain

「自分を鼓舞すると言うか、次のステップに行くために彼の中では何かそういった自分をこうする部分があったんじゃないでしょうかね。全くの独学ですから。彼は基本的には。一度日本の伝統をもう一度振り返ってみようというところがこの60年代でこういった形で現れたんじゃないかと思った」

f:id:tanazashi:20180917210346p:plain

鉄工所で鉄が作られる場面を描いたスケッチブックも発見されています。横山は戦後の経済成長の現場を見つめていたのです。晩年脳卒中で右半身不随になった横山。

f:id:tanazashi:20180917210438p:plain

この作品は訓練した左手で書いた故郷の風景です。まもなく帰らぬ人となりました。東京の三鷹市美術ギャラリーで来月14日まで。

 

【開催中の企画展】横山操展 ~アトリエより~ | 公益財団法人 三鷹市スポーツと文化財団

1920(大正9)年、新潟県西蒲原郡吉田町(現・燕市)に生まれた横山操は、高等小学校卒業後14歳で上京し、文京区にあった図案社などで働きながら画家としての道を少しずつ歩きはじめます。しかし20歳で召集、中国各地を転戦してのちはシベリアに抑留され、復員は1950(昭和25)年、ほぼ10年後でした。その後は川端龍子の青龍社を中心に、自らの生きる「今」を力強い大画面の日本画で描くと同時に、故郷の山並みや夕景を独自の叙情性で表現してきました。

復員の翌年結婚し、1952(昭和27)年には長女を授かり、品川区大井庚塚町(現・大井七丁目)、世田谷区松原町(現・松原)と移り住みながら、1959(昭和34)年三鷹市大沢に自宅とアトリエを建てます。その際に過去の作品の大半を焼却したのは、どのような理由からか覚悟からか、それに応えるように以後ますます目を見張る活躍をすることになりました。

1966(昭和41)年には多摩美術大学日本画科教授に就任し、後進の指導にも情熱を注ぐようになります。が、1971(昭和46)年4月、脳卒中で倒れ右半身不随となり、利き腕の右手が使えなくなってしまいます。しかし制作に向かう姿勢は止むことなく、リハビリに徹し、11月には絵筆を左手に持ち替えて再び歩みはじめます。そして、≪むさし乃≫など静謐な画面を何点か描くと、1973(昭和48)年3月、再び脳卒中に倒れ、4月1日、帰らぬ人となりました。


三鷹市美術ギャラリーでは、1993(平成5)年10月の開館記念展で横山操を取り上げました。≪網≫≪川≫、そして≪十勝岳≫といった数メートルにおよぶ大画面の代表作を展示し、没後20年を記念するものでした。今回、開館25周年を記念し再び横山操を取り上げますのは、一昨年操夫人の基子氏がお亡くなりになり、アトリエの調査に入らせていただいたのがきっかけになりました。今まで未陳であった作品など、開館記念展とはまた異なる操の横顔を見せられるのではないかと企画した次第です。一見小品が主体ながら、そこにもまぎれもない横山操の姿があります。

 

 

会場:三鷹市美術ギャラリー

会期:2018年8月4日~10月14日