チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

日曜美術館「蔵出し!日本絵画傑作15選 二の巻」

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日曜美術館45年のアーカイブから「日本絵画の傑作15選」を3回に分けて紹介するシリーズ。

日曜美術館45年のアーカイブから「日本絵画の傑作15選」を3回に分けて紹介するシリーズ。2回目は鎌倉から桃山時代の5作品。豪華な出演者の言葉と共にじっくり見る。中世社会のドキュメント・一遍聖絵、初めて絵師が名を残した雪舟・山水長巻、秀吉が描かせた巨大な唐獅子図、人気ナンバー1の国宝・松林図、2700人の群像劇・洛中洛外図。梅原猛東山魁夷森村泰昌丸木位里・俊、山口晃高畑勲らの言葉とともに。

【司会】小野正嗣,柴田祐規子

 

 

日曜美術館「蔵出し!日本絵画傑作15選 二の巻」

放送日

2020年6月14日

日曜美術館からあなたに美の贈り物。

珠玉の日本絵画とっておきの映像と共にお届けする蔵出し傑作選。

今回は二の巻。

鎌倉時代の絵巻からいろんな屏風までさあ蔵出しです。

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日曜美術館です。先週からお送りしています蔵出しのシリーズ。今日はその2回目になります。

先週は古墳時代から鎌倉時代作品をご紹介しました。

古墳時代から人間を超える大きなものに対する畏敬の念と祈りっていうものが連綿と描き続けられていたんだなっていう風に感じました」

今日は鎌倉時代から始まりまして5作品です。

 

 

まずこの人の物語から始めましょう。

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鎌倉時代の超大作。

12巻の絵巻。

全部開けば130メートル。

蔵出し傑作選6作目は「国宝・一遍聖絵

それは中世社会のリアルドキュメント。

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北は東北から九州の南の端まで。

16年間を旅に行きた僧侶・一遍の歩みが生き生きと描かれています。

物語をたどっていきましょう。

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武家の家に生まれた一遍は10歳の時に出家。

一時、武士に戻りますが親族の争いに悩む33歳で再び出家します。

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寺にこもること三年。一遍は悟ります。

念仏を唱え続ければ仏と一体化できると。

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その悟りを機に旅に出ます。

全国の人々を救うべく、南無阿弥陀仏と書かれた念仏札を配る旅でした。

絵巻には訪れた場所の様子が丁寧に描かれています。

例えばここは備前の国、今の岡山。

一遍は市場にいます。

魚をさばいて売る人。

米を升でを待って測る人。

こちらでは女性が反物を選んでいます。

当時の日常生活がリアルに記録されているのです。

こんな光景も。

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半裸で路上に座る貧しい人々。

顔を隠しているのはハンセン病を患っている人だと言われます。

彼らにも一遍は救いの手を差し伸べました。

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一遍の念仏札は大人気となります。

この人だかり。

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あまりの混雑に担がれての札配りです。

16年の全国行脚でに250万の人に配ったと言われています。

やがて念仏は踊りとなります。

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盆踊りの元になったという踊り念仏です。

この一遍について熱く語った人がいました。

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哲学者の梅原猛さん。

18年前の番組です。

「他の念仏衆は心から嬉しそうにね、唄っているけど、一遍はどうもね、私はどこかに孤独な顔して、一人笑っていないような」

その孤独には理由がありました。

旅を始めた頃の画面。

一遍にはお供がいました。

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超一超二は一片の妻子だという説があります。

しかし一遍は旅の途中で二人と別れるのです。

「やっぱり私は一切を捨てないと、本当の悟りに達しないと言ってますけどね。自分のような人間は、妻子があればそれにとらわれて、捨てなくちゃならないという思想をそこで実行したんだと思いますね。僕は家も捨てることは出来ませんけどね、やっぱり孤独の深さ。それからすぐ求めるものの苦しさには惹かれますね」

一遍聖絵

一人の僧侶の人生とその時代を克明に移した絵巻です。

 

 

鎌倉時代中世のリアルドキュメントとして一遍聖絵をご覧いただきましたけれども

「聖人伝じゃないですか。一人の聖人の生涯が絵を見ればわかる。そこに描かれてるのが貧しい民衆。そういう人たちの姿まで克明に記憶されてるんで印象深いものだと、梅原さんがおっしゃってましたけど、一遍っていう人の求めるものの激しさっていう言葉のように一遍は過剰な人だと感じますので聖人であるわけですけども、その強烈な個性っていうか感じます」

あれだけの群衆に囲まれてるけれども梅原さんがおっしゃっていた絶対的な孤独っていうことでしたね

「群衆の中の孤独ってね、みんなが念仏を唱えながら踊ってるうちに忘我の境地に来たしてるんだけど、彼だけは忘我の境地に達していない身も心も忘れてるって言う感じじゃない」

 

では続いては戦乱の世を絵筆一本で生き抜いた絵師たちの世界に入ります。

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山口県山口市

室町時代。大名大内氏が京都を模した文化都市を築きました。

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そこに招かれた一人の芸術家がいます。

絵描きとして初めて日本から中国に渡った男。

高らかにその名を名乗ります。

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我は雪舟

今も名声轟く日本美術界のスーパースターです。

蔵出し傑作選7作目。

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国宝・山水長巻。

主君大内氏への贈り物として描いた絵巻です。

この時雪舟67歳。

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それは絵師の個性が刻まれた風景画。

険しい岩山。

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そこを抜けると開放的な水辺の情景。

48歳で渡った中国が舞台だと言います。

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鑑賞者は描かれた人物となり絵の中を散策するのです。

ただ中国の風景を描いたのではありません。

そこに雪舟の個性が刻まれているのです。

だからこそ今も大人気。

アーティスト達から特に愛される雪舟

4組が語ったその個性とは。

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まずは横尾忠則さん。

18年前の日曜美術館です。

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「岩山のごつごつした感じとか、特に男性の筋肉モリモリな感じで、それでかと思うとなんかあの非常に柔らかい女性的な視線もあるんですよね。雪舟の中に男と女が描かれてるような気がして。荒い部分と緻密な部分がまたこれがうまく絶妙なバランスを作ってオーケストラみたいな感じ。音楽さえ聞こえますよ」

水辺の慎ましやかな暮らしがあれば、堅牢な城壁に囲まれた都会の様相。

あらゆる対比が絶妙だと横尾さん。

同じ18年前、日曜美術館のスタジオで森村泰昌さんは。

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「いにしえの物静かな雰囲気のいい世界っていうふうに見えますけど、私なんかはねもっとスピード感がある絵じゃないかなと思えるんですよね。私は大阪から東京まで来てるわけですけども、大阪から東京に行くときの新幹線の窓からの風景。それを感じさせるんです。関ヶ原の辺でちょっと雨が降って、ちょっと行くと浜名湖で視界が開ける。もうちょっと行くとなんか賑わいが出てきて、東京についてきたな。そういうスピード。松なんかを流れるように描いてますよね。きっちり描くんじゃなくね、電車の窓から松が通り過ぎる、ああいう感じに、もしかしたら近いんじゃないかと」

岩場から斜めに生える松。

動きのある枝にスピード感を感じます。

森村さんこんなことも。

「僕でも描ける。本当に描けるかどうかは別として、そういう風に感じるんです。なんか自分の体が動いてくるんですよね。こうやったらいけるんちゃうかなと、自分の中体感と重ね合わせていくことができるような感じがしましたね」

33年前。山水長巻を見に山口まで足を運んだ画家夫妻がいいました。

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原爆の図を描いた丸木位里さんと丸木俊さん。

「風の音も聞こえる」

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「刀。四角く描いてしまいそうだけじ、四角く。風に吹かれそう。こういうとこがうまい」

「岩の線も木の線も、人間だから違った線を出さなきゃって。石の線も人間の線もみんな同じに書いた。相当何か悟りを開いたかまぁ何か知らんが天下御免みたいの線。

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上手くなくてもいいんだね。まずいのにいいんだね」

最後に昭和の風景画の巨匠の言葉です。

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雪舟の絵は大変強いものがそこに現れておりますが、これは雪舟が欲求してた心の世界っていうものがですね、やはりその厳しさとか激しさとかっていうものが雪舟自身にもそういう優雅というもので処理できないものが、鬱勃と心の中にあったと思いますね。だいたい昔の絵を見ますと、概ねその枯淡の境地に遊ぶというと語弊があるかもしれません。けれどもしつこさとかですねそれからまたあの情熱とかそういうものが少なくなる。そういう意味で雪舟の仕事を見ますと、最後まで追求の態度を変えないと言うね」

 

 

水墨画って言うと白と黒のイメージが強いんですけど、所々に色が使われている」

松の葉っぱ緑とかね

「明らかにこの花ですね朱っていうか赤色があって水の色が付いてるんですね。もちろん流れるようにして風景を追っていけるわけですけど、所々にちっちゃなアクセントがあって、あれっていう風にそういうところに視線が引き寄せられてしまう」

ない雪舟自身の生き方でみますね

40代後半。50になろうかというところで中国に渡る。中国で見てきてすぐ描くんじゃなくて20年近く経って60代の後半終わる頃に描いている。

「東山さんの言葉に鬱勃ことを聞きました。抑えようとしても溢れ出してくるものっていうものがあった。20年経ってもずっと彼の心にはイメージとか風景っていうのがあってそれがずっとあふれ出そうとしていた。東山さんの言葉ですけど枯淡の境地なんかいないと、最高の最後まで力強く新しい仕事なし続けてきた人なんじゃないか」

 

 

では雪舟に続きましてこの二人の絵師の登場です。

蔵出し傑作選8作目は、あの豊臣秀吉のために描かれました。

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狩野永徳「唐獅子図屏風」。

ダイナミズム溢れる天下人の屏風です。

実はこれ屏風としては異例の大きさです。

縦2メートル30センチ。

横4メートル50センチ。

身長1メートル66センチの小野さんと比べると食べられちゃいそう。

大きいです。

雪舟を師と仰いだという絵師集団狩野派

4代目にして天才と呼ばれたのが永徳です。

その天才っぷリに惚れ込んでいる人がいます。

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画家の山口晃さんです。

この絵の魅力を語っていただきましょう。

ポイントは三つ。

「目の前に立つとなかなかの大きさです。2メートル超えでありますから。やっぱり描いちゃうんですね。描かない。筆数の少なさで言うんですかね。雪舟の絵なんかもそうなんですけどもあっという間にできてんですね。並の絵師だった固くなるんですね。失敗したらとを言う時に、そういうことをおくびにも出さないで、さっさかさっさと描いているんですね。いたずらに早いんじゃないと思うんですね、彼の中でのその一つ描き始めようとした時の、自分の中での気の高まりを一本の線として残せる呼吸で、そういうひといきの感じって言うんですかね。まあこういう線を引けると歴史に名前が残るんだなぁと、言ってて辛くなりますね」

「迫力と落ち着きとか、なんかベクトルの端にあるものがすごく釣り合いがいいなぁというのが。例えばこの一匹にしても、後ろ足は踏ん張ってるんですけど、前足は蹴り出した瞬間で、静と動が二つなることによって一つの構図の中でそういった動き始めと、動き中と動き終わりがすべて言われてて、実際には起こらない時間がここで描かれていると」

静と動。対立するものはそれだけではないと言います。

「獅子の中でも部位による輪郭線の抑揚が全部変えてある。輪郭線が立体感を表す。抑揚のある輪郭線なんですけども、この体の紋様は真っ平らなんです。そこで平面にすることによって、画面の奥の方に引っ込んで、強い輪郭が浮くような。常に相反する働きっていうのが画面の中で双方への力を最大に発揮しててその均衡の上でいろんなものが止まってるんですかね。とどまるように見えていて全部が動いてるうちのある一点として見えてきてるって言うんで、エネルギー逆巻く感じですかね」

「特徴的なのは、この人どこも見てないんですね。見てるようでどこも見てない。ある種の八方にらみ性があって、この絵が権力者の背後を飾ったとしたら、その場にいる全員に視線が向けられてるような感じですかね」

唐獅子図屏風。

卓越した筆さばきと巧妙な計算。

天下一のために描かれたダイナミズム溢れる屏風です。

そんな永徳の向こうを張った絵師がいました。

 

 

蔵出し傑作選9作目。

松林図屏風。

作者の長谷川等伯はこちらも雪舟の5代目と名乗りましたが、等伯とは全く印象が違います。

使われているのは墨のみ。

その絶妙な濃淡で靄に包まれた松林が表現されています。

等伯の故郷。能登の松林だと言われています。

この作品。

東京国立博物館のあなたが見たい国宝アンケートで第1位に輝いたこともあります。

20年前。

日本画家の加山又造さんはこんな風に語りました。

「そばで見るとたいした筆遣いじゃないんですよね。こんなんで絵だって言えるかっていうふうに思うほどないんですよね。よくこんな絵を描きましたね」

日曜美術館でも何度も取り上げてきたこの作品。

なぜか惹きつけられるのは想像力を刺激する絵だから。

この屏風のファンが集まった熱い談義をどうぞ。

「展覧会で初めて松林図屏風見た時に立ち止まってしまって。目の前に立った瞬間からもうふはははってなって

あのこれほどその本物を

目の前で見たときのその力の強さは

今日からはないように見えるんですか

腕の一歩一歩を目で追ってきた時に

すごいバカな

「優しさと突き刺さるみたいなものが交互にはいっていって、見る人によっては心の安定みたいなものを感じるのかもわかんないけど私はすごい厳しいものを感じました」

その後近くで見ると

そういう感じが離れてみると優しい感じ

「私が等伯を好きなのは、なんとなくすごく胸がきゅっとなるようなちょっと寂しい感じが漂うんですね。

でもそれがちょっと

心地よいというそういう感じで

そのと白米を見てシンパシーを感じるんですよ。少女漫画っていうのは共感性で読者をつかむ。少女漫画少年漫画は読むと元気になる。熱が出るって感じなんですね」

 

「これはこの世とあの世をつなぐ絵だろうと思うんです。曼荼羅のようにね。遠くへ描いてある雪山がおそらく涅槃の世界で、そこに向かって、

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これ松は、僕は人だと思うんですよね。だから聖者の行進を思うんですよね。涅槃に向かってこの世での役割を終えた人たちが静かに歩いて行く。それを空気感が進んでいくというような構図だろうとか見てるんですけど。だからこの絵の前に立つとね、絵の中に連れて行かれるような感じがする。自分の心もそれにつれて絵のように静まってくる」

「これますますいい絵になっていくでしょうね。あと100年後に見たらどういう絵になっているか。だからこういうものすごいものは、描かれた後もどんどん成長していくんでしょうね。きっと」

 

「僕は全然わかんなかったけど、あれは八方を睨んでいる絵なんだと。権力者の背後から世界に睨みを利かせている。天下に睨みを利かせてるっていう風な絵。激しい動きの中の静止してる部分が見えてるんだって言う。絵は動画じゃないから静止したものとしてみるじゃないですか。山口さんの話を伺って、線は動いていないように見える、静止したものとして見てるんだけど激しく運動しているんだと」

加山又造さんの話では 

「絵は成長していくんだというメッセージって、彼の言葉は絵は成長していくってことは、私たちにも責任がある。私たちは絵を見て言葉を残す。その言葉をさらに次の世代が受け取って絵の感想。言葉が絵に栄養を与え、絵は成長していくってことなんじゃないかと思います。見る側は見続けなくちゃいけない。それを見た側は伝えて行かなくちゃいけないんだろうなっていう風に思いました」

それでは今回最後の傑作になります。

 

 

蔵出し傑作選10作目。

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岩佐又兵衛作「国宝・洛中洛外図屏風

時は江戸初期。

戦乱が終わり平和になった京都の町と郊外。洛中洛外を描いています。

祇園祭など京都の風物。

驚くのは描かれた人の数。

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なんと2700人以上。

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しかも一人一人仕草も表情も実に多彩。

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話し声まで聞こえてきそうな活気みなぎる群像劇。

ではじっくり見ていきましょう。

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まずは右上の建物。

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豊臣秀吉のお墓がある豊国廟です。

その前でお花見。

桜の下でちょっと一杯。

お重はもう空っぽです。

門前にはお茶売りの姿。

しかも2人。

商売敵が向かい合ってしのぎを削っています。

藍色で描かれた鴨川。

そこにかかる五条大橋です。

人々は踊っているよう。

手には桜の枝。

花見で上機嫌になってハメを外しているのでしょうか。

平和な時代実に楽しそう。

今度は京都御所の程近く。

ここ一条戻橋はあの世とこの世の境と言われ、人気の占いスポットでした。

占いをしてもらう女性。

真剣な顔つき。

ちょっと怖いくらい。

京のあらゆる名所が描きに描かれた屏風。

扇屋。

職人の仕草や扇の柄までわかります。

隣のお店には漆のお椀が並んでいますね。

そして普段は見られない二条城の中央。

まな板の上に魚でしょうか。

アニメーション映画監督の高畑勲さんは屏風の魅力をこう語りました。

「多岐にわたっていると思うのです。でもそれを食ってしまうのが人間の興味だろうと思います。ものをなんでも見てやろうじゃないかという精神の旺盛な人だったんじゃないかなって気がしましたね。取り澄まして趣味の高そうな人だけが優越感で鑑賞するんじゃなくて、もっと直接人の心に訴えてくる力があってね、それは野卑といわれ品が良くないようなところがあったとしても、ちょうど今の漫画、アニメに通ずるように、卑俗、大衆的っていますよね。それを待ってるんじゃないでしょうか。その人間に対する興味っていう」

洛中洛外図屏風

人々の会話まで聞こえてきそうな活気漲る群像劇です。

 

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「弓をいっている。三十三間堂ですね。ちょっと待って。

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裸で泳いでますよ。鴨川で川遊びですか。これ完全に裸体ですよ。五条大橋ですか。

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橋の上で踊って楽しんでる。でもその一方でも物乞いの人がいて。お坊さん達が読経してるんですね。

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これはなんか女性とちょっと不適切なことをされている僧侶がいらっしゃるように。通報した方がいいですか。聖も俗もね。貴賤も問わずすべてが超え描き込まれてるって言うか、これがその社会そのものなんだっていう風に強く感じます」

最初に見た一遍上人もいろんな人が描き込まれてましたよね。

「一遍に沿って描かれたのが聖絵だとすると、こちらはやや俯瞰した。俯瞰するって言うと神の視点で、現実から切り離された客観的な眼差しのように感じられるけど、これは俯瞰してるけど2700人すべてに対する熱。一人一人の熱を感じている。絵の中でうごめいている」

 

蔵出し傑作選の2回目ということで今回は鎌倉時代から江戸にかけて、5作品を見ました。振り返るとどうでしょう。

「書き手の個性がより強く表に出されてる。つまり誰がこの絵を書いたのかってことを見る側に意識させるって言うんですかね」

絵師の顔がようやく見えてくるようになったということですね。

 

取材先など

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

 

書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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新美の巨人たち 『ノートルダム大聖堂』復活への祈り

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2019年4月、突然の火災に見舞われたパリの象徴『ノートルダム大聖堂』。その光景は、多くの人々に衝撃と悲しみを与えました。全長127m、高さ90m。石造りとは思えないほど巨大で華麗です。中でも圧巻なのがステンドグラス「バラ窓」。直径13mという大きさの中世から続く「バラ窓」は、光をいっぱいに湛え、見る者を魅了します。静謐な祈りの空間を包み込む光には、美しいだけではない深い意味もありました。華麗なステンドグラスの眩暈がするほど圧倒的な美を、余すことなく披露します。

 

日経おとなのOFF 2020年 絶対に見逃せない美術展(日経トレンディ2020年1月号増刊)
 

美の巨人たち 『ノートルダム大聖堂』復活への祈り

放送:2020年6月13日

 

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日曜美術館「蔵出し!日本絵画傑作15選一の巻」

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日曜美術館45年のアーカイブから「日本絵画の傑作15選」を3回に分けて紹介するシリーズ。

初回は古代から鎌倉時代の5作品。

日本絵画の原点・チブサン古墳、憧れが生んだ超絶美人・鳥毛立女屏風、仕掛けづくしの王朝美・源氏物語絵巻肖像画誕生!・伝源頼朝像、自然と仏の出会い・山越阿弥陀図の5作品を、井浦新岡本太郎、上村淳之、瀬戸内寂聴横尾忠則井上涼さんら豪華な出演者の言葉とともにじっくり見る。

【司会】小野正嗣,柴田祐規子

 

 

 

日曜美術館「蔵出し!日本絵画傑作15選一の巻」

放送日

2020年6月7日

 

開きますよパタパタパタパタ。古墳時代から江戸時代にかけての名作15選。

日曜美術館からあなたへ贈り物。とっておきの映像を蔵出しします。

今こそ触れたい美の国日本の底力。

美を感じる心の泉。たっぷり潤いますように。

気が許せない状況が続きます。

こういう時こそ美しいものに触れたいという企画を今回から3回シリーズで私たちは考えました。

蔵出し日本絵画傑作15選というシリーズ。

番組が45年続いていますから、その中でも繰り返し取り上げられてきた名作中の名作15作品です。色々な方が愛する言葉もを述べてくださっているので、そんなところも含めてご紹介していこうと思います。

今日はその1回目。15作品の中から5作品です。

古墳時代から鎌倉時代までご紹介していこうと思います。

まず最初は4世紀から7世紀にかけての装飾古墳の傑作。この作品からです。

 

蔵出し傑作選一作目は九州から。

訪ねたのはこの方。2年前まで日曜美術館の司会を務めていた井浦新さんです。

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やってきたのは熊本。

「チブサン古墳は九州の装飾古墳を巡る上では絶対に外せない。ぼくに古墳を興味を持ってそっちへ行ってみたいって思わせてくれたきっかけをくれたような古墳」

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6世紀に作られたチブサン古墳。

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これほど想いを募らせるその姿は。

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「チブサン古墳の石室見えました。三角。丸。圧倒的な迫力だな。三角。ひし形。丸」

暗闇に現れた極彩色の世界。

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チブサン古墳

蔵出し傑作選一作目は祈りと呪術。日本絵画の原点チブサン古墳。

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死者を安置する空間を彩る強烈な赤、黒、白、三角、丸の大胆な組み合わせ。

シンプルな色と幾何学模様が不思議な迫力で迫ってきます。

最もエネルギーに満ち溢れた古墳と言われるのも納得。

右の壁には冠をかぶり両手を掲げた人物が。

ここに葬られた主の姿とも言われています。

その頭の上に浮かぶ白い丸。

左の壁のひし形の中の丸。

そして正面の目玉のような同心円。

これらの丸。一体何なのでしょう。

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「一般的には鏡を表現したものだという風に言われることが多いですね」

「丸はすべて鏡と受け止めてもいいのですか」

「そればかりではない。赤い丸があるんですが、太陽と月とか、そういうものの表現ではないか。右壁の方の丸は空の星を描いているとか、そういった説もあります」

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「太陽再生のシンボルっていうのか。登ってまた沈む。闇を照らすっていう意味合いからも根源的なところではステ信仰?にも結びついてるのかなということもいえるのかなと思います。魔除けの意味も持っていますが死者に捧げるというのかですね、安らかに眠ってもらうと言うかそういったことを考えて描かれてるのかなっていう印象は受けす」

「チブサンの絵を描いた人の、祈りを込めてるけど丁寧に描くよりか、どこかちょっと乱暴力がある描き方ってひかれるんだなーって、技術じゃなくて、誰かのために、もしくは自分のために描かなければいけないそういうのが切実さを感じますね」

チブサン古墳のような装飾古墳は日本全国で660墓。

その4割が熊本と福岡に集中しています。

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福岡もまた装飾古墳の宝庫。

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建物に入っていくと。

「すごい装飾されてる。壁中に」

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6世紀前半。

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この地域を統治した首長の墓と考えられている日岡古墳。

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大きな同心円。

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小ぶりの三角。剣や盾、草の模様など、細やかな装飾で埋め尽くされています。

井浦さん憧れの人もここを訪れていたそうで。

「1970年代に岡本太郎さんが来られたそうです」

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その時の映像がこちら。

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岡本太郎日岡古墳を訪ねたのは1974年。

井浦さんの生まれた年でした。

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「これは振り切れているし、これは繋がっていないし」

「石組を作った後に描いたんだと思う」

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「馬が描いてあります」

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岡本太郎

「非常に難解ですね。丸と三角しかない。片一方は純粋に呪術的なものだと思う。いろんな絵だって、馬の絵だって一種の呪力を持っている。こういうところに装飾するってことは、装飾じゃなくて経文を写し取るような呪力を持たせている。だから僕は職人が描いたものとか、きれいな枝とかそんなものは僕はどうでもいい。美術や芸術といっているのではなく、もっと人間の存在の絶対感というものを見いだすべきだし、装飾古墳の方が人間の根源をちゃんと掴んでいるし、人間の生き方そのもの。いろんな謎がここに秘められているから、こういうものこそ大事にするべき。かつての人間がどういう重いでどういう生き方したという事の方を考えなきゃない」

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時を越えてクリエイターの心揺さぶる装飾古墳のエネルギー。

それは絵画の原点であり、人間存在の原点でもありました。

 

 

「シンプルで、丸とか三角だけで、しかも色も赤と黒。限られた色彩で見るものに強く訴えかけてくる。なぜ古代の人たちが丸とか三角を自分たちの表現のモチーフとして選んだのかっていうのは興味深いですよね」

「チブサン古墳に関しては同心円。まるに中に黒い点がポッツってある。あれが女性の乳房の形に見える。ということからチブサン古墳という名前になったとも言われていて、お乳の神様として祈りの対象であったと」

「古墳の空間は子宮的な空間。胎児が、我々全てが経験したことがある時間と空間というのを表現してる。つまりあの暗闇から出てきて、また暗闇に帰っていく。暗闇の中に照らし出される光を与えるものとしてあの丸とか三角ってものがあったのかなっていう風にも想像しますけどね」

 

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鳥毛立女屏風

続いては古の王朝からです。

蔵出し傑作選二作目。

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それは東大寺を建立した聖武天皇ゆかりの正倉院宝物の一つです。

蔵出し傑作選二作目は、憧れが産んだ超絶美人。

鳥毛立女の屏風。

六枚一組の屏風に描かれているのは、木下で思い思いに佇む女性たち。

ふくよかな体つきがなんとも優雅です。

ゆったりと結った髪型は典型的な唐美人の姿。

艶やかな赤い唇。

口元のつけぼくろ。

額の緑の模様。

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唐を中心に国際的に流行していたメイク術を取り入れています。

長らく唐で作られたと考えられてきた屏風。

しかし実は日本で作られたことを示す痕跡が次々と見つかっています。

NHKがこの屏風を8Kで撮影した所。

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際立って映し出されたものがありました。

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「ここに区分線が割と息の長い直線で、ここに転写する際の痕跡です」

紙の上にお手本の絵を置き、輪郭を鉄筆でなぞって写つ取った線だと考えられます。

憧れを何としても自分たちのものにしたい。

そんな強い思いが時を越えて伝わってきます。

さらに工夫を込めた跡が衣の部分に残っていました。

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うっすら残る茶色。

一体これは何なのか。

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その手がかりが当時の唐の書物にあります。

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皇帝の娘が鳥の羽で作ったスカートを履いていた。

それが流行し鳥の羽がほとんど採り尽くされてしまった。

この茶色が流行していた鳥の羽の跡。

鳥毛立女の屏風はなんと本物の鳥の羽で覆われていたのです。

調査の結果、使われていたのは日本でしか生息していない山鳥の羽だとわかりました。

30年ほど前、この屏風の再現を試みた人がいました。

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日本画家上村淳之さん。

花鳥画の第一人者です。

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山鳥の羽を模様に合わせて一枚一枚丁寧にのりで貼っていきます。

屏風一枚におよそ千枚の羽。

一ヶ月がかりで完成しました。

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上村さんが再現した鳥毛立女の屏風です。

まるで毛皮をまとっているような豪華さ。

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何より印象的なのは不思議な光沢。

山鳥の羽は独特の神秘的なきらめきを放ちます。

美しいと感じる自然の素材を柔らかな発想で用いた古の人々。

あこがれの唐の絵に学びながら、憧れ以上のものに進化させていく。

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そんな日本のものづくりの力がここにあります。

 

 

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続いて蔵出し傑作選三作目は、謎と仕掛けづくしの王朝絵。

源氏物語絵巻

現存する最古の絵巻物です。

現在は一場面ずつ保存されています。

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平安貴族たちの暮らしぶりや恋愛模様が描かれた豪華絢爛な美の世界。

それは奥ゆかしくも巧みな仕掛けに満ちています。

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最も完成度が高いと言われる柏木の場面。

光源氏の妻、女三宮内大臣の息子、柏木と密かに通じ男の子かおるを産みます。

良心の呵責に悩み泣きながら出家したいと訴えているところ。

その訴えに嘆き悲しむ女三宮の父、朱雀院。

妻の裏切りに打ちひしがれる光源氏

なかなかの修羅場です。

その千々に乱れる心模様を現すために施された仕掛け。

それは色。

几帳や周りの女房たちには華やかな色を、

一方三人の衣装には墨や銀を用い、対比させています。

さらに雑然と交わる畳と几帳の線。

わざとリズムを乱すことで、悲しみに暮れる三人の心情を際立たせているのです。

女三宮との一件で激しく自分を責め、重い病となった柏木を親友の夕霧が見舞う場面です。

満開の桜が降りしきる中。

桜模様の衣をまとった女三宮を見たことから始まった柏木の罪深い行為。

寝所を覆う布に施された桜模様は、その暗示だと言われます。

全ての登場人物の顔は引目鉤鼻という均一な描きかた。

内心の葛藤を、見るものに想像させるこちらも巧みな仕掛けです。

よく見ると目元は細い線が重ねられ、瞳にも神経が行き届いています。

薫の生後50日の祝いの日の画面。

不義の子を抱く光源氏の表情。

複雑な心中がシンプルな線の向こうから浮き立ってくるよう。

源氏物語を現代語にした瀬戸内寂聴さんとアーティストの横尾忠則さん。

お二人はどんなふうにご覧になったかと言うと、

「でこれがねもう今にも死ぬ死にそうです。もうじき死ぬんですよ。もうそれに

してはね、もう死にそうには見えない。このまるまる太っちゃって、ダイエットしなきゃ」

「黒の配置。絶妙な配置をしてるのね。建築的な構図が抽象化されて、具象と抽象が合体してそこに柔らかい髪の線とか模様が直線と曲線が絡み合ってるっていう。音楽的って言ったらいいんですかね何とも言えない。もう一つ気になるのは、上から俯瞰してますよね。それは神仏の視線。映画でいえばクレーンですね。不思議な空間。未来空間ですよね」

建物の屋根を外して上から覗き込んだような構図は吹抜屋台と呼ばれます。

映画のクリーンショットのよう。

だからこそ見えてくるドラマがある。

微妙な心情に寄り添う緻密に練り上げられた王朝屏風の傑作。

現存最古の絵巻物は心憎いまでの謎としかけに満ちていました。

 

二つの作品も思わず見入ってしまいました。鳥毛立女屏風から伺いましょうか。

「絵に山鳥の羽を貼り付けていくっていうか、異素材を一緒にするっていう現代アートみたいなことをする。あの時代の人たちがやっている。よく思いつきましたね」

教科書で見て、どうして鳥毛立女なんだろう。どこにも鳥はいないじゃないかと思っていたのがなるほどこういうことかと納得しました。

「憧れの対象に接近していくアプローチの仕方がすごいとおもいました」

 

横尾さんが話をされてましたけど映画で言うクレーションみたいな構図があるじゃないかという話がありました。吹抜屋台。どんなふうになるかというと、見えているものがこんな風になるんですね。

「今は技術的に行ってカメラをあげてその僕らのイメージを見ることできますけど、当時はねそうはいかないですよね。だからねすごい想像しなかったってことですね」

 

 

続いての傑作15選は鎌倉時代の傑作です。

公家と武家の文化がぶつかり合い新しい力が生まれていった鎌倉時代

絵画の世界にも新しい風が吹いてきます。

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京都神護寺の宝物もその一つ。

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蔵出し傑作選4作目はリアルを極めた肖像画誕生。

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源頼朝

まず圧倒されるのは大きさ。

天皇や僧侶ではない俗人を描く。

しかもこれほど大きく描くのは異例のことでした。

等身大に表すことで人物が目の前にいるかのような存在感が際立ちます。

引き締まった口もと。

遠くを見つめる眼差し。

威厳溢れる顔立ちの表現は実に緻密。

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目元は細い墨の線を重ねて濃淡を生み出しています。

人物の本質を捉えようとする画家の深い洞察力が筆跡に漲ります。

画面の大半を占めている装束は力強く直線的。

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よく見ると裾先には銀色の蝶。

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全体は輪無唐草文と呼ばれる模様が埋め尽くしています。

刀を身につけるための平緒には、紺地に金で鳳凰と桐の花が。

自然をかたどった繊細な装飾によって、柔らかさと力強さが同居する、不思議な緊張感を生み出しています。

とことんリアルに描こうと巧みな技を繰り出すうちに、目には見えない威厳と気品までも描き出す。

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そんな肖像画の傑作が生まれました。

その圧倒的な存在感の秘密を独自の目の付け所で捉えている人がいます。

古今東西の美術作品の魅力をユニークな歌と映像で表現するアーティストの井上涼さんです。

「手の込んだ処理がされているから、出来る限りのリッチな表現を使って時の人を描くっていう、気概気合を感じますね。構図として上の方がすっきり開いているので何かこう始まりそうな感じっていうのもとっても感じて、体が動きそうな、SFの映画に出てくる。前は人間だったけど今機械に移植されちゃったなかクリーチャーみたいな印象で、本当にきっぱりと肉感的なところと、機械っぽいところがはっきり分かれているところが人間離れしていると言うか。手とかが隠れてるからとかもあるんですかね、顔だけが印象に残った、体がこう四角くなってたりする。人間らしい部分が隠されているっていうところも多分ご人人間離れして感じさせるところなのかなと思います」

井上涼さんが伝源頼朝像へ捧げた作品。

 

 

蔵出し傑作選。今日最後の作品は京都東山にあるお寺から。

末法思想が広がり、浄土信仰が高まった平安末期から鎌倉時代

阿弥陀如来が死にゆく人を迎えに来る来迎図が盛んに描かれました。

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中でも禅林寺に伝わるのは独自のスタイルを持つ来迎図。

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蔵出し傑作選。

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5作目は聖なる自然と仏の出会い。

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山越阿弥陀図。

山の向こうから死に行く人を極楽浄土に導く阿弥陀如来が現れる。

臨終の際、死にゆく人のそばに置かれ、穏やかな来世への旅立ちを演出する装置として使われました。

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力強い線で表された顔立ち。

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体の輪郭には金箔を細く切った切り金が施されています。

如来が放つ尊い光と色の光を感じさせる繊細な仕掛けです。

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阿弥陀如来に先立って雲に乗って降りてくるかのようなお供の者たちの姿。

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左は勢至菩薩

細やかな模様があしらわれた衣装。

その質感までもが伝わる優美な姿です。

浄土への乗り物である蓮の形の台を差し出すのは観音菩薩

さらに。往生する人を極楽浄土へ導く万全の態勢が整っています。

激しい形相の四天王も見参。

強い力で道中守ってくれそうです。

ところでこの独特の構図は一体どこから生まれたのか。

山に囲まれた京都の地形にその秘密がありました。

禅林寺の建物は西方浄土があるという西を向いています。

ということは、山の背後に現れた巨大な阿弥陀如来には西の山に沈む太陽が重ねられていたのです。

阿弥陀如来に祈りながら、同時に太陽に手を合わせているよう。

そもそも古来、山は日本人にとって神が宿る神聖な場所でした。

折り重なる山並みの向こうには海原が広がります。

山と海をこの世ならぬ世界と考えた宇宙観が織り込まれた来迎図。

それは自然に聖なるものを見る日本人ならではの感性の結晶です。

 

「太陽なんですね人間とって重要なのは。最初のねあのチブサン古墳にも丸と三角が描かれていては

ノーマルは鏡であるとも言われてるし採用ではないかとも言われてるって

話がされてましたね

踏まれた猫踏んだから

古墳は墓所ですよね。亡くなった人が納められるところ。そこにも古代人は太陽を必要としていた。太陽はあらゆるものに命を与えるものであると。だからチブサン古墳の中に太陽があるって事は、生きる事に結びつくわけですから、再生っていうか命への祈りっていうのも当然込められてるんだろうなと思います。それは阿弥陀図でも同じ。死と太陽っていうものが一緒にあるって言うこと。死に行く人が太陽によりそってもらいたいっていうのは人間の自然の発露としてねあるのかな」

今でもね私たち初日の出が見られたらいいなと思うし、ご来光って言葉があったり、日の出日の入りを見ると思わず口を手を合わせたくなる。

「そういうことを常におそらく人は感じ取ってきた。チブサン古墳の頃から鎌倉時代に至るまで自然に対する畏敬の念。自然対する感謝気持ちが脈々と受け継がれてるような気がします」

 

取材先など

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

 

書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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新美の巨人たち 嚴島神社×姫路城×銀閣寺

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芸術はいつの時代もどんな国でも、多くの人の心を癒し励ましてきました。そんな人々の心を動かす作品を紹介するシリーズ「今こそアートのチカラを」。第4弾は「誰もが知っている超有名国宝編」。番組の名物キャラ「モデュロール兄弟」が復活!日本の歴史と美意識が作り上げた3つの美しき国宝建築を訪ねます
平清盛が夢見た極楽浄土『嚴島神社』、白にこだわった優美な城『姫路城』、究極の美の空間『銀閣寺』

 

日経おとなのOFF 2020年 絶対に見逃せない美術展(日経トレンディ2020年1月号増刊)
 

美の巨人たち 嚴島神社×姫路城×銀閣

放送:2020年6月6日

 

日本で一番たどり着くのが困難と言われる国宝があります

岩肌にへばりつくように投入堂東京のど真ん中には迎賓館

赤坂離宮国宝はたぐいなき国民の宝です

見事な造形美を誇り鮮やかな色彩を奏でる文化の力

そのひとつひとつが歴史の証言者であり積み重ねた知識の結晶なのです

今こそアートのチカラ第4弾

国宝日本の美の真髄に迫ります

今回訪ねるのは海に浮かぶ社殿です

吸い込まれるような朱色の誘惑

純白の聴覚はまばゆく美しく

それに月夜に佇む漆黒の楼閣

その沈黙赤く白く黒く

この三つの国宝は大いなる時代のうねりの象徴

一体どんな美容やどうしているのか

穏やかな瀬戸内の海に目指す国宝があります

訪ねたのは疲れたんだけど覚悟があるらしいぞ

兄弟ご苦労様お久しぶりです

お子様商売ほんとさしぶりだね

彼らも出る俺は20世紀最高の建築家ルコルビジェが生み出した寸法体系です

手を伸ばすと226センチ。コルビジェは彼らのサイズを住宅設計の基準としたのです

ちなみに私井浦新の身長183センチ。

いつか文字通りになって出演したいなーと思ってます

弟よ見ろ日本三景宮島その入江に鎮座しているのです

鳥居をくぐり抜けて国宝厳島神社

鮮やかな朱色は丹塗りと呼ばれる完了

防腐剤の役割と魔除けの意味が込められています

中央に配されているので

本社建築郡山川から本殿拝殿祓殿と連なります

両流造と呼ばれる檜皮葺の屋根は有効にして優美な輪郭主の社殿にしつらえた

緑青の建具の鮮やかなコントラスト祓殿の前に設けられた誰か舞台は

海の神への踊りを奉納する場所です

調べたいの先端から海を望めば大鳥居が堂々たる構えで立っているのです

造営したのは平安時代の武将平家のカリスマ平清盛その人です

巨大な社殿群を繋ぐのが会場を這うように走る長い回廊

不思議とその長さを感じないのは目の前に広がる風景が変化していくからかもしれません

師岡すごく広かったよね

僕ら2人になってもゆったりだったもんな

厳島神社平清盛の夢と野望の形では

なぜ海の上でなければならなかったのか

平家は日宋貿易で巨万の富を得ていました

宮島瀬戸内海航路の要所です

清盛はその海の上こそがふさわしいと厳島神社寝殿造と呼ばれる平安貴族の住宅様式で作られています

その多くは庭に池を持ち大きさは富や権力の象徴でした

それをとてつもなくスケールアップしたのだ

厳島神社誰も建てたことのない場所に誰も見たことがないよ

大きさで清盛は海の上に浮かぶ神社という常識を遥かに超えた日の王朝を作り上げたのです

 

 

 

現在の本殿は鎌倉時代に創建時の様式そのままに建て直されたものです

海の上という過酷な環境に立っているにもかかわらず

修繕をするだけで今日まで保たれているのはなぜなのか

潮が引いてくればその理由がわかります

その廊下隙間だらけだ湯川満潮時ではギリギリの高さです

由香板に隙間を空けることで上がった

海水の圧力が逃げ建物の係を防ぐことができるよう作られているのです

厳島神社の象徴鳳にも先人たちの知恵が秘められています

高さおよそ17メートル柱と柱の間11メートル重さは60トンもあります

柔らかな砂地に立っているにも関わらずなぜ沈まないのか

実は柱の下に丸太の杭が何本も打ち込まれ沈下を防いでいるのです

現代の建築にも通じるハイテク技術がここに平清盛は持てる

力の全てと驚くべき発想で包丁の夢極楽浄土を作り上げたのです

決して滅びないようにと

ここは清盛さんの夢の城だったんだ

でもそうへいけっ

てその後清盛の死後

平家は壇ノ浦の戦いに敗れ転びました

驕れる者久しからずただ

春の夜の夢の如ししかし

厳島神社は時の権力者たちの崇敬を集め

修復を繰り返しその姿を留めてきた

21世紀の今の厳島神社

平清盛の極楽浄土純白の白です

その姿凛々しく潔国宝姫路城

しらさぎ城と呼ば

れています現存する櫓の数はさんじゅー

いち文の数はにじゅーいち木造建築の意向を

今に伝えています

コノシロの凄みは美しさだけではありません

堅牢な石の門が開けば

天守が見えてきました

三つの小天守を率いた

連立式の大天守唐破風や

千鳥破風を設えた美しき

白鷺のように真っ白で綺麗な店主だなあ

僕らも白かったら

あんなに綺麗になれるかなにーさん

強食べることできるわけないんだろうね

築上主は姫路藩初代藩主池田輝政せんろっぴゃく

関ヶ原の戦いで勝利を収めた徳川家康

すぐさま娘婿の皓正姫路の藩主に銘じます

家康は豊臣家と

の最終決戦を見据え

豊臣秀頼大阪城を取り囲んでいたのです

戦うための城は守りも万全でした

天守への道は

まるで迷路のように曲がりくねっています

攻め込むつもりで天使を目指してみましょう

右側の道には

るのもんという小さい入り口しかありません

敵から狙われやすい上に

いざという時は

土砂をかぶせて埋め立てる埋門になっています

それではと

左がわから進むと様から鉄砲で狙われながら

坂を登りそちらに気を取られていると

反対側の武者だまりに

待機していた兵士に襲われます

直進した場合は

いのもロードも

さらに他の者と立て続けに

堅固な門を突破しなければなりません

結局どこから入っても

天使にたどり着くのは難しいのです

最後の防衛である天使の石垣は高さおよそじゅー

ごM内部は

見事な木造建築です

なな階建ての大天使を支える東大柱は

築城当時のまま

よんひゃく年の歴史が染み込んでいますここ

まで守りが堅いと殿様も安心だね

でもお城で大事なのは

硬さだけじゃないみたいだぞ

そんなの城とは何か

それは戦いのための砦であり

上司の美意識の決勝でもあります

権力の象徴として力強さを際立たせるために

黒い白子忙しかった

しかし姫路城は正反対の城壁

だけではなく

瓦をつなぐ目地にも

白漆喰を大量に塗り込めています

なぜここまで白くなければならなかったのか

それこそがこの城の進化私で

それはよろこびがつなぐ世界へ

キリン繊細な削り出しの技が

一筋一筋に魂を宿す純粋な白は

その美しさをさらに引き立てるロングライフ

デザインをここにマイクロストライプ誕生

比類なき金オールふぉー

ロングライフヘーベルハウス純白に輝く国宝姫路城

その白さにはどんな意味があるのか

それは関ヶ原の戦いを境とした

時代の転換によるもの

武力を誇示する黒ではなく

火を表す白全てを超越する白こそが

新たな徳川の

世の象徴であると

池田輝政は天下に知らしめたのです

つまり戦のためというより

美しさを優先したんだ

面白いよよんひゃく年の

風雪に耐えてきた城です

白鷺が羽を休めたように

池田輝政築城国宝姫路城白不滅の輝き

銀閣寺は科目です

それでも多くのことを語りかけてくる

ように感じるのはなぜなのか

それは一人の将軍の深い思いが染み込み

降り積もっているからです

京都市左京区街中の喧騒も遠くに途絶え

いくつかの門をくぐれば

その先に国宝銀閣寺正式な名称は東山慈照寺です

シンボルである観音で正面よん間側面さん

子供頭などを書くです優美

な線を描く杮葺の屋根に草庭

花頭窓いそは真空殿と名づけられています

心を空にして思いを馳せる場所です

そこから深い軒と広い縁側に縁取られた近況

家の眺め庭に目をやれば

銀沙灘と向月台現在でも月に1度

専属の庭師の方々が形を整えています

連綿と引き継が

れてきた熟練の技で綺麗だったよねさ

心癒されたような銀閣寺は

常にある建物と比較されてきました

黄金に輝く金閣寺建立したのは

室町幕府三代将軍

足利義満永遠の権力と映画の象徴として

まばゆいばかりの伽藍を作り上げたのです

銀閣寺を建立したのは孫で

あるはち代将軍義政室町のよで

もっとも混迷したのがこの義政の時代でした

弟と息子どちらに将軍職を譲るか

義政はこの跡目争いに有効な

手を打つことができず応仁の乱が勃発します

長い戦乱はじゅーいち年に及び

美しい京都は焼け野原となりました

えーと何もしなかっ

たって世の中は戦争ばかりしている

誰も言うことを聞いてくれない

争いごとばかりの時代に

争いごとの嫌いな人が

長文になってしまったんだね

教務と不調を抱えた義政が没頭したのが

普請道楽でした

政への興味も体格も持たない性分は

ただ一つ芸術や文化の面で高い見識

があったのです

将軍色を息子に譲り

隠居した義政が

ついの棲家として作り上げたのが

ここ銀閣寺創建当時の建物が観音殿と共にもう一つ残されています

桃葡萄は義政が最も心血を注いだもんこの国宝にこそ日本の美の真髄が秘められているのです

これはいったい。

 

国宝銀閣寺の桃ぶどうに同人妻と呼ばれる一室があります

わずか四畳半の部屋ですが現存する書院造では最も古いものと言われています

部屋を飾る花を生ける茶をたてるはの文化と呼ばれる多くのものがこの四畳半の世界から生まれたのです

銀閣寺が太陽なら銀閣寺は好きなんだね

よしまささん過去で

静かに準備をしていたんだよ

銀閣寺の

造営ははち年の歳月にわたりました

足利義政はすべての完成を見ることなく

生涯を終えています

荘厳なる曲を移すように

白い砂山が夜の楼閣を照らしています

日本の人は何か日本人の美意識とは何か

今も銀閣寺は

その秘密を打ち明け続けているのです

月明かりの下で朱色

の社殿は映画と没落うたかたの春の夢

戦乱の果てに虚無を抱えた黒色を書く

純白の白は今も凛々しく潔く

国宝は歴史の証言者であり

美の結晶。

この国の未来に受け継がれていくのですこれからも

次回は今こそアートのチカラを第5弾ノートルダム大聖堂の荘厳なる美の世界に迫ります

 

 

 

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日曜美術館「#アートシェア 今こそ、見て欲しいこの一作」

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新型コロナウイルスに揺れる今だからこそ、見てほしいアート作品がある。題して「#アートシェア」。番組では,アーティストや美術館関係者などに緊急アンケート。横尾忠則さん、安藤忠雄さん、辻惟雄さん 原田マハさん、会田誠さんなどがとっておきの一作をアートシェアします。あの名画から、知られざる逸品まで。今を生きるための「ヒント」にあふれた作品たちをお楽しみ下さい。

【出演】安藤忠雄、片岡真実、横尾忠則、橋本麻里、辻惟雄いとうせいこう原田マハ高橋明也、会田誠飯沢耕太郎【司会】小野正嗣,柴田祐規子

 

安藤忠雄さんの本

片岡真実さんの本

横尾忠則さんの本

橋本麻里さんの本

辻惟雄さんの本

いとうせいこうさんの本

原田マハさんの本

高橋明也さんの本

会田誠さんの本

飯沢耕太郎さんの本 

 

日曜美術館「#アートシェア 今こそ、見て欲しいこの一作」

放送日

2020年5月31日

 

街に人気が消えたひと1月半。

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美術館に出かけ作品に出会うことがどれほどかけがえのないものだったのか気づかされます。

アートシェア。

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番組ではアーティストや美術に関わる人たちに緊急アンケート。

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こんな今だからこそ観て欲しい作品をあげてもらいました。

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あの名画から知られざる逸品まで。

そこにはアートがくれる喜び、やすらぎ、そして困難な時代を生きるためのヒントがありました。

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最初のアートシェアは日本美術研究の第一任者辻惟雄さん。

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「シェアしたいのは、伊藤若冲が晩年に書いた象と鯨図屏風です」

江戸時代中期。独自の画風を築いた伊藤若冲

鮮やかな色彩で知られる絵師晩年の水墨画です。

「どれを選ぼうとあれこれ考えましたが、新型コロナが人の心を脅かす。不安にしているご時世に、「なぐさめ」「なごみ」になるものを考えました。象と鯨っていう、若冲が82歳。私より歳年下なんです。そういう年齢で描いたあんまり力が入ってないっていうか。その割にはスケールの大きな、そしてなによりも惹きつけられるのは、この和やかな象と鯨がお互いに挨拶しているような、向き合いが好きです。陸の王者と海の王者と言いましても、非常に和やかな雰囲気でほっとするような絵ですね。こういう非常事態にびくびくせず。こういう象と鯨のようなおおらかな気持ちになって頂きたい」

 

スタジオ

非常事態だからこそをもらった気持ちでこの絵を見てほしいという辻さんですが

小野さんはどんな風にごらんいただきましたか。

「辻さんのその大らかさっていうその優しい語り口っていうものに心打たれました。美術作品っていうものは人の心を慰めるイブするものだっていうことで、イブの仕方が優しく元気か元気かいっていう風に声をかけてくれるような、辻さんはエールっていうお言葉を使われましたが、作品が語りかけてくれる。声をかけてくれる。それに私達も同じようなおおらかな気持ちで答えて手をあげたいって思います」

 

続いてのアートシェアは写真です。

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日本を代表する写真評論家・飯沢耕太郎さん。

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「この写真集。牛腸茂雄という写真家が1977年に自費出版で刊行した《SELF AND OTHERS》自己と他者という写真集を紹介したい」

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36歳という若さでこの世を去った写真家・牛腸茂雄

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3歳でカリエスを患った後遺症で、身体にハンディキャップを抱えた牛腸。

周囲から二十歳までは生きられないと言われながらも、魂を削るようにして3冊の写真集を自費出版しました。

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その代表作が《SELF AND OTHERS》です。

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カメラを向けたのは自分の身の回りにいた人々でした。

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母親。

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親しい友人。

そして近所の子供達。

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自分と被写体になった人との関係性を静かに見つめ続けました。

「人の思いとか人のつながりが今あらためて問われている時期だと思います。なかなか自分の家の周辺くらいしか行けない状況の中で、あらためて自分の身の回りにいる人と自分との関係を考えることは、とてもいいことだと思いますし、その一つのヒントみたいなものがたくさん詰まっている写真集です。だから改めてこの写真集を紹介したい」

 

小野さんはどんなふうにご覧になりましたか

牛腸茂雄さんの他社に注ぐまなざしっていうのがあんなにも優しいというのは自分の奥深くまでを見つめることができた人だからこそなのかなっていうことを感じました。確かに普段に比べると自分のことを考える。自分とは何か。一番身近な人を自分にとってどういう人なのかってことを考えることが確かに増えてると思うんですね。その時に牛腸茂雄の眼差っていうものに、自分のまなざしを寄り添わせることで私たちの自己と他者生活世界との関わりはいい方向に向かっていくんじゃないかなっていうふうに思います」

 

 

 

あとシェアまだまだ続きます。

 

作家、ミュージシャン、俳優など幅広く活動するいとうせいこうさんがあげたのは覆面アーティスト・バンクシー

その最新作。タイトルのゲーム・チェンジャーは変革をもたらすものを意味します。

街中に人知れず作品を残してきたバンクシーですが、この作品はイギリス南部の病院に贈られました。

秋まで病院に飾られその後は医療サービスに関わる資金を調達するためオークションにかけられる予定です。

「病院に送られ医療関係者へのチャリティーなるもの。ハリウッドのヒーローたちが捨てられている辺りも社会問題を鋭い皮肉とユーモアで表現するバンクシーらしい」

 

 

続いては小説家の原田マハさん。

作家になる前は学芸員として美術の世界に関わってきた原田さんがあげたのはゴッホの星月夜。

心のバランスを崩し入院していた36歳の頃。

人生で最も困難な時、ゴッホが描いたのは病室の窓から見えた夜明け前の空でした。

ゴッホは孤独な中で己自身に向き合いながら感性を研ぎ澄まし、数々の傑作を生み出した。本作はいかなる逆境にやろうとも創作を続けることで自己を肯定し、生きづらい世界に挑む芸術家の生の証である。月と星々が巡る天体は逆巻く川の流れのようで、左側の糸杉は川辺にたたずむ孤高の画家自身であるように私には見える」

 

 

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そして建築家の安藤忠雄さんもアートシェア。

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瀬戸内海に浮かぶ直島。

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安藤さんが設計を担当し2004年に開館した地中美術館があります。

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建物の大半が地中にあり、島と一体化した独特の建築。

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この美術館は三人のアーティストの作品を半永久的に展示するために作られました。

そして安藤さんのアートシェアがこちら。

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モネが最晩年に書いた睡蓮です。

光の画家クロード・モネ

日暮れか、夜明けか。睡蓮の池を照らすわずかな光。

晩年のモネはまるで取り憑かれたかのようにひたすら睡蓮を描き自然の光を描き出そうとしました。

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その睡蓮5点を展示するためだけに作られた特別な部屋。

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天井から降り注ぐ柔らかな自然光。

光に包まれたいと正面から向き合う時間です。

 

安藤さんはモネの睡蓮をあげておられたのはなぜでしょうか。

「モネっていうのは光を求めた作家なんですね。私はモネの睡蓮を見て、この難しい社会の中で希望を見出すのは光ですから、光という希望の向こうに自分が生きていく姿を見られるのではないかと思って選びました。モネの光に対して私たちも光で答えたいと言うので自然光を設置しました。光というものの面白さが見えるんじゃないかと。建築も太陽光線の中でご見るものですからモネの睡蓮を設置するならば自然光でいいだろうと」

「画家はあくまでも自然光の中で作品を描いた。しかし、多くの美術館では人口の照明を当てることで作品を見ている。直島の地中美術館に行けば島と一体になった美術館の上から降り注いでくる自然の光を浴びながら作品を見ることができる。安藤さんの言葉をお借りすれば希望の光っていうのを建築の上からと作品から上がってる光の二つの光を浴びて、生きる力を与えて貰えるって言うようなこともあるのではないかと思いました」

「光というものはお互い一人の人間が生きていけないように自然と共に生きていく。人間と共に生きていく。地球の中で生きていくというようなことをいろいろ考えさせられるのではないかと思いました。世界中の人たちが生きるということについて深く考えたのはめずらしい。地球の上に住んでる人たちが経済力を蓄えるために頑張りしてきましたけどそれよりも自分らしい生活をここでやればいいのではないかなという。私には私なりの生活があるだろうしそれぞれの人達はそれぞれの人達なりの生活がある。そしてモネはひたすら睡蓮を描いたように、他の人達はまた違う絵を描いてるわけですけども、初めにモネがあの光の絵を描いた時に多くの人達が「アレどうしたん」みたいな感じだったと思うんですけども、彼がひたすら生涯追いかけていたように、そろそろ自分の有りようは自分で決めるとそして自分の人生の楽しさは自分で決めるという風にすればいい。私は今回の中でゆっくりした時間を持ててよかったかなと思ってます」

 

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では次の作品です。

革新的な作品を次々に生み出す画家の横尾忠則さんです。

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20世紀を代表する傑作。ピカソゲルニカです。

縦3.5メートル横8メートルのモノクロの大画面。

反戦や抵抗のシンボルとして愛されてきました。

1937年ナチスドイツがスペイン・バスク地方にある街、ゲルニカに無差別都市爆撃を行いました。

戦闘員ではない女性や子供にも刃を向けたのです。

当時フランスにいたピカソは祖国の惨劇を知ると卑劣な行為を告発するためすぐに絵筆をとったと言います。

逃げ惑う罪なき動物たち。

恐怖に顔をこわばらせ腕を上げる女性。

死んだ子供を抱え嘆く母親。

ピカソはわずか一カ月余りでこの大作を描き上げました。

横尾さんは1980年。

ニューヨーク近代美術館で開かれたピカソ展でこの絵と出会います

同時グラフィックデザイナーとして一世を風靡していた横尾さん。

衝撃を受け、45歳で画家に転身することを決めました。

「今日はわざわざピカソの好きなシャツとゲルニカを着てきた。ただ単なるゲルニカを告発した作品ではないと思うんですね。現在のコロナ時代に我々は今生きてるわけですけれども、それとどっか深くで結びついてると思うんですよね。これ誰が見てもここに無意識のうちにね、今のコロナ禍が結びついていると思うし、毎回見るとね新しい発見があったりねその時々によってね、これがね違って見えてくるんですよね。そういうすごい普遍的なものを持ってると思いますね。そこにはやっぱり人間の死とか生。そういったものがここに全部描かれている」

絵の中に横さんの心をとらえて離さない部分があると言います。

描き直しをそのままにしてしまったかのような牛の顔

「未完の部分はある意味で未来を描いてると思うんですよね。未開の部分を見る側の人間が入り口にしてまた新しい時代が来ると違う解釈も出来るしね。そういう意味で本当にすごい遺産としての作品を残してくれたと思いますね。アーティストっていうのは未来にこれから起こるかもわからないそういうあの予感的なものをキャッチする能力は美術の中にあると思うんですよね。だからそういう意味では、これからの未来っていうのは今やっている仕事の中に今後の未来が描かれてると考えていいんじゃないかと思いますね」

 

 

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橋本麻里


続いては美術ライターの橋本麻里さん。

楽しくアートへの扉を開いてくれる橋本さんがあげたのは。

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東京国立博物館

東博の名で親しまれる東京国立博物館

ここに橋本さんが見てほしいという作品が。

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国宝・洛中洛外図屏風

国宝・洛中洛外図屏風

江戸時代初期の京都の街を描いた屏風絵です。

「太平の世がやってきたその猥雑な熱気と言うんでしょうか。泰平の世を楽しむ熱気があふれている。庶民が主体になって街の熱気を作り出してる様子が描かれている。一つは五条大橋。絵のハイライトとして書かれている場所なんですけれども、花見帰り。今年は花見も皆さんできなかったと思うんですが、花見帰りの集団が橋の上を踊り狂いながら渡っていく。眉を顰めたくなるような状況ではあるんですけども、その野放図さがむしろ今見るといいじゃんという気持ちになる。五条大橋の下ぐらいから四条河原にかけて、この辺りは人形浄瑠璃ですとか遊女歌舞伎の舞台がかけられています。そこに人が詰めかけて芸能に熱狂している。状況がまた何て言うんでしょうね、これ本当に言って卑属なエネルギーなんですけれども、この生命力みたいなものが今のコロナで卑属している私たちにとって魅力的です」

「チケットを持って展覧会に行くぞと思ってワクワクする楽しみ。そして何回も見てミュージアムショップを冷やかしたりその後上野公園をぶらぶら考えながら歩く楽しみ。その後でどこかお店に入っていっぱい飲む楽しみも含めて、そういうものが美術を見る楽しみを作ってきたことを改めて感じた。それが一番貴重なことだったんだなぁと改めて思います」

 

 

では続いての後シェアはこの方です。

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高橋明

三菱一号館美術館館長の高橋明也さん。

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オディロン・ルドン「グランブーケ」

高橋さんがあげてくれたのはオディロン・ルドン「グランブーケ」

横1.6メートル。縦2.5メートルという巨大なパステル画。

フランス、ブルゴーニュ地方の貴族が城の食堂を飾るために描かせました。

溢れんばかりに咲き乱れる色とりどりの花々。

実は現実にはない花も描き込まれているのだそう。

「かつて東日本大震災の後に当館で公開されたおり、この作品の前で幾人もの人たちが祈るようにしていた事実。人をして頭を垂れさしめるような神々しさが本作品にはあり、鑑賞者の魂を浄化する要素に溢れています。苦渋に満ちたこのころなウィルス禍の中で是非実際に作品の前に立っていただきたいと思います」

 

 

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作品を発表する事に世界を驚かせてきた会田誠さん。

アートシェアにあげてくれたのは。

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2017年。宮城県石巻を中心に開かれたリボーンアートフェスティバル。

そこに出品された島袋道浩の「起こす」

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島袋道浩

島袋は人間の生き方や新しいコミュニケーションの在り方について探求してきました。

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「起こす」は浜辺に流れ着いた木をひたすら起こす作品。

翌日には波に飲まれて倒れてしまう流木を、来る日も来る日も起こし続けました。

「自分で小さな枝一本でもいいから起こしてみる。倒れてるものを起こしてみる。何かが心の中で起き上がってくると思うんですけどね。道に植木が倒れたりしているじゃないですか。そういうのを一度起こしてみると何かが変わると思うんですよね。それをみんながやると」

「2017年夏にリボーンアートフェスティバルに行って実際に見た。芸術が持つお節介さ押し付けがましさを極力抑えたところが良かった。もう芸術はこれくらいでいいんだよなあと思った。一般人の暇潰しに限りなく近い、ささやかな人為。対する巨大な力を持った自然。人間のわずかな抵抗。そんなこと思った」

 

「物を倒した時と、ものを起こした時では全く心のありようが違いますよね。何かを起こすっていうことは、自分の心の中に力とか命とかエネルギーが湧き上がるというようなことがある。美術作品っていうのは全てそうやって私たちの心を起こしてくれてるものなんだなってことね。美術作品に触れると私たちの心は暗い傾斜の方に向かいつつあっても、やっぱり起き上がる。起き上がるための手助けを美術はしてくれるんだなっていうことを感じました」

 

最後に作品をシェアしてくれるのは国内外の現代アートに詳しい森美術館館長の片岡真美さん。

それはちょっと変わったインスタレーション

ヴォルフガング・ライプは現代ドイツを代表するアーティスト。

生命について探求する作品を作り続けています。

「花粉こそ花の本質です。花の命はそこから始まります」

ドイツの小さな村に住むライブ。

自宅近くの野山で一人コツコツと植物の花粉を集め作品にします。

2013年ニューヨーク近代美術館で開かれたライブの展覧会。

20年かけて集めたというヘーゼルナッツの花粉。

広さ6メートル四方。荘厳ささえ漂います。

 

今日は森美術館館長の片岡真美さんとも繋がっています。

どうぞよろしくお願いします。

片岡さんはアートシェアの作品としてヘーゼル・ナッツの花粉というものを選んでくださいました。どうしてでしょうか。

「あの外出自粛中にいろんな方がsnsに植物の写真をあげているのを見て、そこに何に惹かれているんだろうと。おそらくそこにある生命のエネルギーみたいなものがあるからじゃないかなと思ってライブの作品を思い出しました。この花粉はライブが1シーズンかけて瓶一つぶんぐらいしか集められない大変貴重なものなんですけども、それがこれから始まる植物の命の潜在力というふうに彼も言っていて、そこに大変貴重なこの粉に人間も植物もそしてこの地球も次を生きるためのポジティブなエネルギーが感じられるのではないかなと思いました」

 

「黄色い花粉はちょっと見方を変えるとステイホームによって大気汚染が収まって星空なんかが綺麗に見えるって言いますよね。花粉は地上のものではあるんですけど、見方を変えると星空。天の川じゃないけども星屑のようにも見える。あの作品によって自然とか小宇宙そのもの。私達の存在そのものっていう思いが伸びていくっていうか、深くて広くて大きな作品なんだなっていう風に感じました」

片岡さんご本人にとってはの向き合い方が変わったような事ってありました。

「今回ご質問いただいて、あのライブの作品を思い出したように、本当にシンプルであって強さのある作品というのに心が動くようになりました。実際に作品を見られない。外に出られないっていうことの中で、自分たちの想像力を使わなければいけない。それしか広げられるところがないので、想像力を豊かに高めてくれるような、刺激してくれるような作品が頭の中でぐるぐると回っていました。作品と自分たちの中にある想像力との対話がアートの鑑賞っていうものだと思うので、そういう意味では鑑賞する私たちの中にある力の方を今は高めておく時なのかなという風にも思いました」

アートの最前線立場にいらっしゃる片岡さんはこのアートシェアということから何を思われましたでしょうか。

「あの皆さんやはり例えば祈りですとか、それから生命力。回復力というようなアートから発せられる前向きなエネルギーを感じたい。そしてそれを世の中に届けたいというような気持ちが伝わってくるかなという風に思いました。実際そういうものであってほしいというふうに思っていますし、それは美術館にもそして個々のアーティストにもどこまでその本質に作品を通して掘り下げることができるのかと、本質に近づくことができるのかというような新たな挑戦状を突きつけられているようなところもあると思いますけども、それは生産的なポジティブなことだと思うので、そうした作品から色々なことを考えさせていただけると良いかなと思ってます」

 

 

アートというものがいかに強いものかって感じます。我々が何不自由なく暮らして行って移動の自由やその美術館を訪れる自由を満喫できる。なにも不自由を感じてないときにアート作品は時に人間のその暗い部分とか残酷さとか死に関わるそのものに志向させてくれる。今私たちが少し自由を奪われて苦しい状況にある時にはですね、片岡さんがおっしゃったように、命とか生命力とかエネルギーとか人を励ます。慰めるポジティブな力を発する。我々の心のありように応じてその答え方を変えて私たちに向き合ってくれてるってそういう風に感じて、アートって人間とって不可欠な本質的な活動であるということを痛感しています」

時代や環境や状況を越えてアートが私達のそばに今までもいてくれたし、きっとこの先もいてくれるのであろうと思わされるような時間を今過ごしてるのかもしれないですよね。

片岡まみさんがアートシェアしたヘーゼルナッツの花粉。

今回、作者のヴォルフガング・ライプさんからメッセージが届きました。

「来る日も来る日も、何週間もタンポポの草原に座り、この上なく集中して激しく

時間も我も身も心も忘れて、信じがたく思いもよらない世界の危機と混乱の只中で、

ひどい病にかかり死に行く数多くの人々。新しい疫病。600年前のような疫病が

再び起こるなんてとても想像できなかっただろう。今この私たちの生活の中に。側に。

それでも尚、危機は大きければ大きいほど人類に新しい未来をもたらし、どこか他の場所へ向かい何かを見つける手助けをしてくれた。想像し得たものの彼方に私たちは見つける。新しいありようと生き方を。私たちが望むものと、私たちが人生に望むもの。大切なこととそうでないこと。慎ましさ、謙虚さ。自分自身と他の人たちに対する。世界に帯する。自然に対する。宇宙に対する全く違う関係。自分自身と世界への異なる願い。新しい未来の新しいビジョン」

 

 

取材先など

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

 

書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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新美の巨人たち 小倉遊亀・片岡球子・三岸節子の生涯

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小倉遊亀『浴女その一』『浴女その二』
世紀を超え105歳まで生きた日本画の巨人・小倉遊亀。柔らかな線と色で静かな美しさを描き続けました。そんな遊亀の遅咲きの出世作『浴女その一』…その線の凄みとは?さらに翌年に描き上げた『浴女その二』との間にあった驚きの真実とは何か?一心不乱に絵を極め、ゆっくりじっくりと歩んだ遊亀の絵画人生に迫ります。

片岡球子『山 富士山』
異端、型破りと呼ばれながら絵画一筋に明治・大正・昭和・平成…4つの時代を生き抜いた画家・片岡球子院展では落選を繰り返し「落選の神様」とまで呼ばれた彼女が、60歳を過ぎて行き着いたモチーフが富士山。たくましい線と色で描き続けた生涯の伴侶「富士山」と共に歩んだ、片岡球子103年の生きざまとは?

三岸節子『さいたさいたさくらがさいた』『自画像』
明治から平成にかけ100年近い歳月を生きた、日本を代表する洋画家・三岸節子。ふてぶてしさすら感じられる20歳の作品『自画像』と、93歳で描いた満開の桜が妖しく咲き誇る大作『さいたさいたさくらがさいた』。この対照的な2枚の間に横たわる壮絶なる人生とは?妻として、母として、男社会の画壇という逆境の中で戦い続けた、炎の生涯に迫ります。

 

日経おとなのOFF 2020年 絶対に見逃せない美術展(日経トレンディ2020年1月号増刊)
 

美の巨人たち 小倉遊亀片岡球子三岸節子の生涯

放送:2020年5月30日

 

小倉遊亀

 

blog.kenfru.xyz

 

片岡球子

 

三岸節子

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日曜美術館「ルーブル美術館 (2)」

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ルーブル美術館には、人類のあらゆる美の記憶が刻まれている。

世界最高の美を圧巻のカメラワークで堪能してください

【語り】柴田祐規子

 

 

 

日曜美術館ルーブル美術館 (2)」

放送日

2020年5月24日

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ルーブル美術館

美の殿堂は16世紀の初め、イタリアからもたらされた一枚の絵画とともに歩んできました。

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モナリザは世界の至宝がこの地に集められた歳月を見つめてきました。

19世紀。世界は激動の時代を迎えていました。

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革命。近代化。やがて来る二度の世界大戦。

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激しく揺れ動く時代。

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人々は芸術に生きる力を求めます。

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永遠なる祈りと共にありました。

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時を越えルーブルの至宝は問いかけます。

我々とは何か。

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シリーズルーブル美術館

今回は19世紀から20世紀前半をたどります。

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革命が繰り返された19世紀。

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ルーブルには膨大なコレクションがもたらされ、ほぼ現在の姿となります。

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赤の間に、激動の19世紀を象徴する一枚の絵画があります。

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1830年に起きた7月革命を描いたものです。

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ウジェーヌ・ドラクロワ作《民衆を導く自由》

粉塵が舞い上がるパリの町で圧政に争い立ち上がった民衆。

中央で三色旗を掲げる女神。自由の象徴です。

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そこに立つのは天上の汚れなき女神ではありません。

瓦礫を踏みしめ煤にまみれ、胸をはだけ、民衆を鼓舞する力強い女神です。

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武器を持って戦うのはブルジョワ。労働者。学生など異なる階層の市民たち。

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彼女はこれ以上冒涜されないために戦う民衆の娘だ。

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激動の中で名もなき市民が求め続けた自由。怒り。悲しみ。そして希望。

この絵はルーブルで公開され、熱狂的に迎えられます。

民衆はそこに自らの姿を見出したのです。

 

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19世紀後半もうひとつの女神がもたらされました。

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古代ギリシャの彫刻サモトラケのニケ

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船の上に立つニケは勝利の女神

古代エーゲ海の民が戦の勝利を祈り彫り上げました。

翼を広げ天から舞い降りた姿です。

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薄い衣が覆う豊かな胸。

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翼を織りなす一枚一枚の羽は、

降り立った瞬間の躍動感に満ちています。

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1863年フランス人によってエーゲ海サモトラケ島で発見されました。

土の中から見つかったいつもの大理石の塊をつなぎ合わせ復元。

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2000年の時を超え、女神の姿が蘇りました。

 

1889年。近代化が進むパリで万国博覧会が開かれます。

フランスの力を世界に示す万博。

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シンボルとして建設されたのがエッフェル塔でした。

社会の豊かさを支えたもの。

それは産業革命でした。

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パリには地方から人々が大量に流入します。

多くは工場労働者となって社会の繁栄を底辺で支えました。

寄るべない都会での暮らし。

「ああ、ついに一人きりだ。恐るべき都会」

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この時代パリ市民の間で大大人気となった一人の画家がいます。

17世紀のオランダで活躍したヨハネス・フェルメール

その絵は19世紀後半、ルーブルに収蔵されました。

一際小さな作品でした。

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《レースを編む女》

縦24センチの画面に描かれているのは女性のありふれた日常。

無心にレースを編む姿です。

静けさの中の一人だけの時間。

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女性の姿は淡い光に溶け込むように柔らかです。

しかし一箇所だけくっきりと際立つように描かれている場所があります。

それはレースを編む手元。

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まっすぐ貼られた二本の糸。

無心にレースを編む女性の心の在処。

日常の何気ない幸せです。

社会が目まぐるしく変化し進化し続けた19世紀。

パリの市民が求めたささやかな世界です。

 

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近代化が加速する中。

人々は心の拠り所を求めるかのようにフランスの過去の芸術に目を向け始めます。

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1134年。南フランスの小さな礼拝堂で見つかった名もなき画家の作品。

中世末期に描かれたピエタ

ピエタとは死せるキリストを抱いて嘆く聖母マリアの姿。

黄金の中に漂う深い悲しみ。

15世紀。人々が祈りを捧げた傑作です。

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十字架に釘で打たれたキリストの亡骸。

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全身に残る鞭の跡。

槍で突かれた傷から滴る血はまるで涙のように透き通っています。

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老婆のような深い皺が刻まれた聖母マリアの顔。

我が子を失った苦しみ。

芸術が神への祈りそのものだった400年前の遺産。

この作品は多くの市民の心を揺さぶりました。

 

 

19世紀。フランスの画家たちに大きな変化が生まれます。

自分たちの生きる時代の美は何か。

これまでの神話や聖書の一場面ではない。

社会を映し出す普遍化された人間のテーマに挑み始めたのです。

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テオドール・ジェリコーが描いた《メデューズ号の筏

19世紀初頭に起きた軍艦の難破事件を描いたものです。

食べ物も水もなく13日間漂流。

130人が命を落としました。

フランス国家は当時この事実を隠蔽しました。

画家は誰からの依頼も受けずこの事件を絵にしました。

青黒く変色した屍。

無残な現実を描くため、画家は実物の死体をスケッチしたといいます。

絶望の中、彼方に船の影を見つけます。

必死で救いを求める姿。

先頭に描かれているのは当時フランス社会の底辺にいた黒人の青年です。

見捨てられ無名の人々。

果たして救いの船は来るのか。

悲惨な現実を描いたこの作品は当初、激しい非難を浴びました。

しかし画家・ジェリコは語っています。

「真実こそが美である」

 

自分達の求める美を楽園の中に見出した画家もいます。

フランス近代絵画の巨匠のドミニク・アングル。

最晩年に描いたその絵は画家の奔放なまでの感性があふれる傑作です。

《トルコ風呂》

まるで覗き穴から垣間見たかのような世界。

浴槽の周りにいるのは一糸まとわぬハーレムの女性達です。

この絵を描いた時、アングルは82歳。

トルコを旅したことはなく、多くは想像です。

美しい後ろ姿の女性に、画家は裸で楽器を奏でさせました。

身を寄せ合い愛撫しあう二人。

当時のフランスでは禁断とされた行為です。

生涯女性の裸体を描き続けた画家アングル。82歳。

人生の最後にたどり着いた美の結晶です。

 

20世紀初頭。

ヨーロッパを第一次世界大戦が襲いました。

フランスは戦勝国となったものの440万人が戦死。

ヨーロッパを憎しみが覆った時代。

歴史の忘却の中から浮かび上がってきた一人の画家がいました。

ジョルジュ・ドゥ・ラトゥール。

17世紀。宗教戦争の最中に人間の奥底を見つめたフランス人画家。

20世紀の戦争の時代。

その作品はパリの市民の間で評判となりました。

《ダイヤのエースを持ついかさま師》

ポーカーの原型となったゲームで賭に興じる姿です。

カードを持つ男はどこか気のない素振り。

中央の着飾った女性の視線はなぜか給仕に。

そしてどこか幼さを残す豪華な衣装の若者。

彼は3人の、いわゆるカモです。

ゲームの最中、ドレスの女性が指で男を促します。

それはいかさまへの合図。

男の右手には複数のダイヤのカード。

一方若者から見えない左手には。

ダイヤのエースが。

役に立たないクラブのエースとすり替える瞬間です。

たくさんの金貨をかけた若者。

4枚のカードを握りしめるのは、苦労を知らぬ白い手です。

疑いもせず目の前の企みに全く気付きません。

か弱きものを平然とあざむく冷徹さ。

騙し通す狡猾さ。

欲望の為に他者を欺き奪う。

それは20世紀前半世界を覆った人間の闇でした。

 

1939年。第二次世界大戦が勃発。

フランスはヒトラー率いるナチスに敗れます。

対戦中、ナチスは占領した国々から大量の美術品を奪いました。

しかしルーブルは開戦間際に作品を避難させます。

4000点もの美術品をフランス各地に隠したのです。

ミロのヴィーナス。サモトラケのニケ。そしてモナリザ

しかし守りきれずナチスに奪われた作品もありました。

16世紀に作られた宗教彫刻の傑作《聖マグダラのマリア

かつて娼婦だったマリアはキリストによって聖女に生まれ変わります。

その身にまとうのはただ長い髪の毛だけ。

菩提樹から彫り出された体。

500年を経て絵の具が剥がれ落ちた足元。

マリアはイエスの復活を見届けた後、洞窟にこもり、一人祈りの日々を送ったと言われます。

エスのいる天に向かおうとする姿です。

16世紀に造られて以来、数え切れない人々がこの像に祈りを捧げてきました。

戦争や憎しみに満ちた世界で生きてゆく。

それでも、その眼差しは人間そのものへの無限の愛に満ちています。

ナチスからループルに戻った聖マグダラのマリア

今も祈り続けています。

1945年。第二次世界大戦終結

フランス各地から4000点を越す美術品がルーブルに帰ってきました。

無数の魂が築き上げてきた美の殿堂。ルーブル美術館

どんな時代も人間は美の永遠なる尊さを求め続けてきました。

自分たちが何者かを知るために。

 

取材先など

 

放送記録

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書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

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  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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