チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

「山下清の東海道五十三次」【アートシーン】

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山下清東海道五十三次

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放浪の画家、山下清が人生の最後に残した東海道五十三次の素描を版画で紹介する展覧会。

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清は1964年からおよそ5年をかけ、東京から京都まで旅し55枚の素描を仕上げました。
作品には清の言葉が添えられています。

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「ここにも自動車がたくさんいるのに、どうしてやかましくないのかな。いい景色を見てるとやかましい音が気にならなくなるんだな」

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滋賀県瀬田の唐橋

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「どうして屋形船が壊れているかと言うと、今では屋形船よりモーターボートに乗る人が多いんだな。僕は琵琶湖をスピードで回るより屋形船で唐橋の下を潜る方がいいな」

歌川広重東海道五十三次もあわせて公開。

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滋賀県守山市の佐川美術館で8月30日まで。
 

 

会場:佐川美術館

会期:2020年7月4日~8月30日

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「北斎と楽しむ四季のイベント 大江戸歳時記」【アートシーン】

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北斎と楽しむ四季のイベント 大江戸歳時記

葛飾北斎や門人たちが四季折々の江戸の風俗を描いた作品を紹介します。

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北斎鍾馗図です。鍾馗とは疫病を退けるという神。

男の子のいる家では端午の節句鍾馗ののぼりを掲げました。

当時流行していた疱瘡には赤いものが効くとされ、朱色の濃淡で表しています。

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蹄斎北馬は江戸の物売りたちの姿を描きました。

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正月は縁起物の宝船売り。

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4月は初夏を告げるカツオ売り。

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7月は七夕の短冊売り。

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江戸の人々は物売りたちの姿からも季節を感じていました。

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東京両国のすみだ北斎美術館で8月30日まで。
 

 

会場:すみだ北斎美術館

会期:2020年6月30日~8月2日 8月4日~8月30日

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「ルドンと日本」【アートシーン】

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ルドンと日本

19世紀末のフランスで活躍した画家、オディロン・ルドンと同時代を生きた日本人画家などを紹介します。

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ぽっかり浮かぶ気球。

上空を見据える巨大な目玉。

ゴンドラに当たる部分に乗っているのは生首のようなもの。

19世紀末の退廃的な時代の空気を映しています。

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晩年に描いた色彩豊かな作品です。

ジェークスピアの戯曲ハムレットに登場するオフィーリア。

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閉じた目は見るものを内なる世界へと誘います。

同じ世紀末のパリには絵画を学ぶ日本人もいました。

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その一人。山本芳翠の作品です。

モチーフは浦島太郎の物語。

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浦島が玉手箱をかかえ、竜宮城から戻ってくるところです。

画面には神秘的な気配が漂います。

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岐阜市岐阜県美術館で8月23日まで。
 

 

会場:岐阜県美術館

会期:2020年5月19日~8月23日

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「廣瀬智央 地球はレモンのように青い」【アートシーン】

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廣瀬智央 地球はレモンのように青い

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会場に漂うほのかな香り。

辿っていくと現れたのはレモン海。

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鮮やかな色のすっぱいレモンが五感を刺激します。

現代美術家、廣瀬智央の軌跡をたどる展覧会です。

イタリアを拠点に活躍している廣瀬。

この作品を作ったきっかけはソレント半島でレモン畑の香りに衝撃を受けたことです。

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「僕の場合はもの自体は割と本当に日常的なものですね。だからアートと日常がいかに結びついてるかってこともあるし、ちょっと視点を変えること見えてくることはいっぱいあるんだ」

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廣瀬がイタリアに留学したのは1991年。

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身近な素材を使って表現する前衛運動アルテ・ポーヴェラに共鳴します。

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豆。木の実。

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身の回りにあるものを素材に、見るものの感性に働きかける作品を作ろうとしてきました。

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「ゴミであるとか、小さなものとか、価値のないものと思われたものが、あるアーティストのアイデアとかコンセプトによって花開いて、金のように変わっていく。そこはすごく魅力でした。だから生活の中に実は隠されているみたいな」

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この作品の素材は広瀬の家族が使ったペットボトルの蓋9年分。
ここには家族が過ごした時間が刻まれています。

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会場に敷き詰められた赤い絨毯。

イランの遊牧民の手で織られました。

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作品の上に乗ってくつろいだり。

手触りを確かめたり。

物と人との間に生まれる化学反応のようなものを広瀬は作品に取り込みたいと考えています。

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最新作フォレストボール。

表面を覆うのは人工の植物。

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造花には自然の花とは異なる独特の力があると広瀬はいいます。

「最後にあそこでもう一度花を咲かせてみたいっていう感じです。自分の価値を見つけてそこを大切にしていくことがアートに限らず、これから生きていく上でとても大事なことなんじゃないかなと僕はいつも思ってるんですね」

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群馬県のアーツ前橋で7月26日まで。
 

 

会場:アーツ前橋

会期:2020年6月1日~7月26日

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日曜美術館「蔵出し!西洋絵画の傑作15選(2)」

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人間が生み出した名画中の名画「蔵出し!西洋絵画の傑作15選」。

【司会】小野正嗣,柴田祐規子

 

 

 

日曜美術館「蔵出し!西洋絵画の傑作15選(2)」

放送日

2020年7月12日

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日曜美術館です。シリーズでお送りしています蔵出し傑作選。

先々週からは西洋絵画を取り上げています。

先週一回目はラスコーの洞窟の壁画からモナリザまでを取り上げました。

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今日2回目はボスから初めましてゴヤまでの5作品。

15世紀から19世紀にかけての作品となります。

では今日の一作目はボスのこの祭壇画から参りましょう。

 

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その絵はモノクロームで描かれた天地創造の図の向こう側に広がっています。

ルネサンス時代に誕生した美術史上分類が困難な一枚。

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傑作選6作目。

ヒエロニムス・ボスの《快楽の園》です。

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左側のパネルはエデンの園か。神がアダムとイブを引き合わせます。

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中央には一糸まとわぬおびただしい数の男女。

謎めいた動物や植物と戯れます。

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右側は闇の世界。

人々が様々な形の拷問を受けています。

複雑な寓意に満ちた独特な世界。

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ボス自身が謎に満ちた人物。

敬虔なキリスト教徒で相当な知識人だったことが伝わるばかりです。

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17年前、漫画家の楳図かずおさんがこのボスの世界と出会っていました。

「すごいですね。何か楽しそうですね。アダムとイブが二人いて、それはこんなに増えちゃった。増えちゃったのが集まるっていうこと自体が何か意味があるかなって。集まることによって何かが起きるかなーって。その良いことも悪いことも堕落の始まりがあるかなと思ったり。音楽のオタマジャクシ見たい。一人一人が主張しているってんじゃないんですね」

 

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貝の中から足だけが。

性愛を表しているのだとか。

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甘い香りを放ついちごに群がる人々。

傷みやすい果実は快楽の象徴です。

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巨大な耳にはナイフが。

神の言葉に耳を傾けのものの行く末を暗示するかのよう。

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楽器に押しつぶされた人の尻にはなぜか楽譜。

日曜美術館では23年前その譜面を実際に演奏していました。

心を乱すような旋律。

音楽に潜む悪魔とも呼ばれ、中世の教会では使用が禁じられていたのだそう。

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ハープやリュートなど、天上の音楽を奏でる楽器もここでは拷問の道具。

14世紀。ヨーロッパ中を恐怖の渦に陥れ、流行を繰り返したペスト。

神の怒りの表れだとされ、15世紀の末には世界の終末が信じられていました。

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今に伝わる愚者の祭り。

現世に絶望した人々は魔物に扮し、教会や権威への批判をそこに忍ばせました。

誰もがみんな愚者である。

そんな人間観がボスの作品には漂います。

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ボス自身の自画像だとも言われる男。

その瞳が見つめたのはどんな世界だったのか。

 

38年前。写真家の藤原新也さんが自分の体験と重ねて語っていました。

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「最初にボスのように接したのは高校の1年のことです。ボスの絵に何故か惹かれたがかというと。僕の家が旅館をやってたけど、この旅館って非常に奇妙なこの建物ってかな。その中に居ると人の人生がどんどん過ぎ去っていくという。例えば大晦日の夜女中がお客と駆け落ちしたりとかね。それから自殺なんかがあって部屋が真っ赤に血で染まってたとか。警察が泥棒を働いたとか。僕の通っていた小学校の校長さんがやってきてらんちき騒ぎやるんですよ。昔の小学校といえのは由緒正しかったですからね。聖職者というイメージがあったんですけど、それが突然その僕の家の中で豹変する。その風景を欄間なんかに登って覗いていてね、それで人間模様の汚さとか愚かしさとか、そういうものが10何年か渦を巻いていた世界に住んでたもんだから、そういう体験とボスの絵を重ね合わせて見てたんじゃないかっていうか。ボスが描いた地獄の風景だとか悦楽の風景だとかそういうものは必ずしも想像の世界ではなくて、現実をデフォルメしたもんじゃないかということを思った。僕は写真家として地球上の国々を回ってますとね天国とか地獄とかそういう物ってのは今生きてる世界に常にあるんだという感じがするわけだから彼は空想したんじゃなくて写実したんだということですよね」

500年前、終末の世に産み落とされ今も謎に満ちた快楽の園です。

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スタジオには同じように祭壇画を再現してみました。ずいぶん大きいですよね。

実に様々なものが書かれていますんで今日はこんなカードを用意致しました。

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パネルの中にあるものを切り出したカードです。

この中から小野さんに探し物をしていただこうと思いまして、このカードの中から一枚選んでください。何がいいですか。

このカードにあるものをパネルの中でどの辺りにいるのか見つけてください。

実はフクロウは異教とか知恵の女神、あるいは悪といったもののモチーフということで色んな所に登場するんですね。だからそこだけではなくて、この辺りにもいたりして探しているといろいろな所に散りばめられている。

じゃあ、これ見つかりますか。

 

はい。それは何をしているのかと言いますと足元にご注目ください。

あのスケートしてますね。

そうなんですよ。地獄ってこう燃え滾るようなイメージがありますけど、氷の地獄。

 

本を読んでいる生き物を探してください。

ヒントは水辺というよりは水たまりです。アダムとイブの側にいます。下半身は魚のようなのに超半身はカモのようでもあり、しかしながら腕が出ていて本を読んでいる。

実に様々な謎めいたものが描かれていますが、これ全体を通して小野さんだったら何を読み解きますか。

人間のどす黒い欲望っていうかそういうものに対する神罰って言うかそういうものが描かれてるのかなっていう気がします。それにしたって絵として見て楽しい。細部は不思議なキャラクターたちが溢れていて、見て楽しいものではありますけどね。だけど全体としてこれが何を意味しているのかというと謎です。

醜さも愚かさも、人の全てが曝け出された真実の世界がそこには広がっているのかもしれません。

 

続いて2作続けてご紹介します。

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闇を切り裂く劇的な光。

傑作選7作目は宗教画に革命を起こしたとされる一枚。

ミケランジェロ・メリージダ・カラヴァッジョの《聖マタイの召命》です。

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カラバッチョが育ったのは北イタリアの小さな村。

6歳の時ベストの猛威から逃れるためこの村にやってきました。

しかし父親はペストで倒れ、母親も亡くなります。

死の影を間近に感じながら少年時代を送りました。

21歳の時。無一文のままローマへと向かいます。

絵の才能だけが頼りでした。

まもなくチャンスが訪れます。

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由緒ある聖堂を飾る作品の制作を依頼されたのです。

人生をかけた大舞台。

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カラヴァッジョはそれまでの常識を破る絵を描き上げます。

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四年前漫画家のヤマザキマリさんと俳優の北村一輝さんがその場所を訪ねました。

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聖マタイ三部作。

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マタイがキリストの弟子となり殉教するまでの姿が描かれています。

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中でも傑作とされるのが《聖マタイの召命》

マタイがキリストからの呼びかけを受ける奇跡の瞬間をカラヴァッジョは下書きもせず一気に描き上げたといいます。

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「すごいなあ迫力が」

「だって魂が塗り込まれているから」

若き才能が画面に解き放ったのは闇を裂く劇的な光でした。

「あの光が差し込んでいるじゃないですか。あれってこの絵から急激に来たっていうかそれまでの絵っていうのはみんなに明るく対等に光が当たっている」

 

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それまで宗教画は明るい光を隅々まで行き渡らせることで神の世界を表現していました。

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しかしカラヴァッジョは違います。

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私に従いなさいと指差すキリストは闇の中。

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その先のマタイに強烈な光が降り注ぎます。

訪れた奇跡の瞬間。

それを際立たせたのが闇の表現でした。

「漫画とかでも同じで、漫画の一コマに黒ベタ塗るってすごい勇気がいるんだよ。真っ黒にしちゃったらものすごく意味が深くなっちゃう。ここに何を表してるのってみんなに聞かれそうとかね。でも聞かれそうに思わせることに効果があるわけだけれども。真っ黒にするっていうのね」

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光と闇の効果を知り尽くすヴィットリオ・ストラーロさん。

地獄の黙示録漏らすとエンペラーなどを手がけた世界的な撮影監督です。

20代で聖マタイの召命と出会って以来、この作品に魅せられてきました。

「これが家にいないと。家にいなきゃいけない必須アイテム」

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「カラヴァッジョが発見した照明方法とは全体ではなく、ある部分にだけ光を当てることです。もしある場面で全体をまんべんなく照らす光を使うとします。その時に表せる意味は調和ということです。しかし対立や対比を表したい時はカラバッチョのように一箇所を選んで光を当てるのです。彼は今から400年も前に光と闇がもたらす効果を発見していました。映画でそれを始めて表現したのは100年前に過ぎません。カラバッチョは最初の映画監督なのです」

さらに革新的だったのはこの絵が画庶民たちを主人公にしたことです。

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描かれているのは卑しい身分とされた徴税人。

そこに神の光を当てることで苦悩を背負った罪深い人こそが救済されるべきだとしたのです。

しかしなぜこんな型破りな絵を描いたのか。

 

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心にあったのは貧しかった少年時代に見た光景でした。

暗闇に差し込む光。

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そこに集い、祈る人々。

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「神の助けに一縷の望みを託してここにやってくる病んだ人や貧しい人々の姿。そうした人々が絶望と隣り合わせで祈りを捧げる光景はカラバッチョに強烈な印象を与えたはずです。そしてそれが画家の絵の土台になったと私は思います」

「絵画って、ただ単純に上手いとかどういう風に表現するのかじゃなくって、人間がどんなふうに生きたかっていうのがどんなふうに出るかによってクオリティとか持久力だったりとか。何世紀も残るかどうかとか。そういうことって、ここで決まるんだなーってすごい実感しました」

若き画家が人生を切り開こうと挑んだ聖マタイの召命。

400年の時を超え今も祈りの場に集う人々とともにあります。

次の傑作は17世紀。

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時代の先頭を走っていたオランダから。

今年45年目を迎えた日曜美術館

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初代司会を務めた作家の太田治子さんがその作品を訪ねていました。

傑作選8つ目は誕生!我らの肖像画

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レンブラント・ファン・レインの夜景です。

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「私はこの絵の前でこう大きく深呼吸したくなる。そういう不思議な伸びやかな心が解き放たれていく。そういう気持ちに今なっています。レンブラントが自分が描きたいように描いた。好きなようにのびのびと彼は描いたんだという、そういう気持ちを絵の前に立って私もこれ以上にのびのびとこの絵と対面できて嬉しいです」

海上貿易がもたらす富によって、当時オランダには市民が主役となる新たな社会が生まれていました。

そこで盛んに描かれるようになったのが集団肖像画です。

豊かになった市民がお金を出し合い、自分たちの姿を平等に描いてもらうようになったのです。

しかしこの絵は違っていました。

夜景。

地元の自警団からの発注で描かれました。

特徴はそれまでの集団肖像画にはない一人一人の生き生きとした描写です。

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中央に描かれている隊長の手は、強い光を受け今にも動き出しそう。

レンブラントの光と影は、画面にドラマを生み出します。

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太鼓を叩く者。

何かを指差し談笑する者。

大事そうに銃を抱える者。

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今もレンブラントにちなんだ記念日やイースター祭に合わせ、市民達は夜景の人物になりきって街を練り歩きます。

「300年前のレンブラントが今だ慕われているのはすばらしい。《夜警》のパフォーマンスは楽しみの一つ」

晴れやかな衣装に身を包み、今日は名画の主人公。

「ひときわ高い拍手がいつまでも鳴り止みませんでした。《夜警》は今もオランダの人たちに愛されていることが胸に痛いほど伝わってきました」

オランダ市民を象徴する一枚です。

 

聖マタイの召命と夜警と2作品ご紹介しました。

この時代の光とか闇って今と全く違う状態だったのかなと思わせられる。

「もちろんその現在に比べたら夜の闇は深かったと思うんですね。同時にカラヴァッジョは自分が見た現実の光を絵の中に描くことをしてるんですから、人物たちが実際に彼の人の周りにいたような人たち、普通の市民ですよね。貧しい生活を実際に経験してきたことが絵の中に現れてるんだったから、理念としての光を絵の中に描き込むんじゃなく、自分の目で見た現実の光を聖書的な世界の中に入れていると。ある種確信じゃないかと思うんですよね。レンブラントだと市民の人たちが夜警に行くぞって言う差し出された手に光が当たっている。演出された画面。光と人物たちのポーズとか動きとか。劇的な瞬間って言うのが、どんな光を当てるかのようなことを考えている。人間の地上における活動なんだけど、聖性を帯びている。市民社会の姿を描いてるけど光の聖性を感じる」

では続いては傑作選9作目。

あの人の言葉から振り返ります。

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「とにかく綺麗だなあ。本当に綺麗だなーって思ってるだけなんですね。言ってみれば呆然として立ってるだけで絵の前に。つまり他の絵見るときはいろんな感想が心の中に涌きますよね。言葉になったりなんかして。フェルメールの場合にはそういう感想ってな一切出てこないんですね。だから胸がいっぱいになってるのとかがあるんだけど、なんかシーンとして静かなのね」

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傑作選9つ目。ヨハネス・フェルメールの《牛乳を注ぐ女》

40センチほどの小さなキャンバスに描かれた日常の風景です。

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1632年。オランダのデルフトで生まれたフェルメールは、わずか1キロ四方の小さな町で生涯を送ったと言われます。

本業は宿屋。

大勢の子どもを育てる傍で絵を描いていました。

現存する作品は30数点しかありません。

フェルメール20代の時の作品。

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静かにそそがれる牛乳。

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ガラスの材質の違いまで描き分けられた窓。

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固いパンの質感は光を反射する砂を混ぜた絵の具で再現されています。

あらゆる細部にまで観察を尽くすフェルメールの眼差し。

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「これとっても有名な絵」

2年前篠原ともえさんが出会いました

フェルメールは何かを誇張して描くというよりも、日常にある真実こそが美しいって思っていたと思うんですよね。なので素材感も嘘がなく、リアルに描いて、今ってこうインスタ映えとかね、結構誇張してシチュエーション作ってという世の中だけれども、でもそんなことなく、本当にふとした日常がどれほど美しさを持っているかっていうことをちょっと教えてもらったような気がします」

 「僕はフェルメールという人は自分の内部の、自分の魂の内部の暗がりとか混沌とかっていうものよりも、自分の外に見えるものに興味を持ってたし、それを信じてた人だって思ってるんですね。現代美術件っのは外側に見るものも、もしかして幻かもしれないと、人間の心の中の現実を重視するって傾向があって、いろんなイズムが出てきてるでしょ。でもフェルメールってのは自分の肉眼が、実際目の前で見てるもの。そのものが非常に明晰に見えてるんだけれども、そこにあるどんなものも、それが存在していること自体がとても不思議であって、とても美しくて、謎に満ちているという風に見えてたんじゃないかと思うんですよ。だから光っていうのもね、彼にとっては例えば一神教の宗教の光って言うんで、例えばろうそくの光が一本だけあって周囲を照らすとか非常にドラマティックにスポットライトが当たるとかってありますよね。そういう光とちょっと間違うっていう気がするんですね。フェルメールの場合。そのキリストに当たろうがテーブルの上のコップに当たろうが、床の上のゴミに当たろうが同じなんだっていう、そういう見方ね。いろんな細かいものの間に違いはないっていう風にこの人は見てたように僕は勝手に思っているんですけどね。確かにね地味な絵なんだけども華やかなものがあるんですね。なんていうのか画面が生きてるわけね。そのなんか物が生きてる。描かれたものが生き生きしてるっていう事に圧倒されるんじゃないかと。とにかく美しいんですよ」

 

 

谷川さんに美しいんですよって言われると、本当にそうだと思いますよね。

「谷川さんがおっしゃってたように、自分の内面はいくらでも深く掘り下げることはできるんだけど、単純に世界が自分達の外側にあるっていう、存在してることに素直に驚いてみる。その驚きを的確にこれ以上ないっていう形で表現するっていう手法は科学的な態度かもしれませんよね。フェルメールは光学にも広い興味を持ってて、暗箱カメラと言うんでしたっけそういうようなものを見て作品を描いたんじゃないかとか言われてるじゃないですか。あるものを受け止めてそれをそのまま描くってね」

身の周りというか外側にあるものへの意識ということが研ぎ澄まされた感じがしてくる。

では、いよいよ最後の一作。ゴヤの一作です。

 

 

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その目は何を見つめているのか。

我が子を食いちぎる姿。

スペインの巨匠。フランシスコ・デ・ゴヤ晩年の作品。《我が子を食らうサトゥルヌス》

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ゴヤは当時最高の地位であったスペイン王家の首席宮廷画家でした。

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国王やその家族の華やかな肖像を描いていました。

そんなゴヤが晩年になって描いたのがこの作品。

我が子に殺されるとの予言に恐れを抱き、生まれてきた子どもを次々と食い殺す神話の巨人サトゥルヌス。

いったい何がゴヤにこのおぞましい絵を描かせたのか。

1868年。ゴヤ62歳の時、スペイン独立戦争が始まります。

市民たちを巻き込んだ泥沼の争いでした。

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理性を失った人々は怪物と化して行きました。

ゴヤは家に閉じこもり、自宅の壁に絵を描きます。

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黒い絵と呼ばれる14点の連作です。

生前発表されず、ほとんど人目に触れることもありませんでした。

我が子を食らうサトゥルヌスが描かれていたのは食堂の最も奥の壁でした。

画家の絹谷幸二さんとスペイン美術史家の大高保二郎さんが語っています。

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「人間というもの一皮剥いてしまえばこんなこともあるんだよ。こんなこともするんだよ。そういうところをですね。絵で見せた。指し示した。それはですねもう近代そのものなんですね。そして絵というものはただただ目に写ってくる美しいもの。麗しいものだけを描いたのではない。こんなにすごいことをするのも人間だよということを指し示したところに彼のそのヒューマニズムってんですかね、人間を見つめる眼。これは見たところ非常に残酷な絵なんですけれども、しかしこれは本当に心を洗ってくれる。人間とはここまでやるんだよっていうことを指し示してくれる美しい絵ですね」

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ゴヤは黒い14点で、我々に対して、スペインに対して、絵画による遺言のようなもの残そうとしたのではないかというふうに考えて」

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戦後を代表する詩人の田村隆一さん。

自らの戦争体験を重ね、ゴヤについての言葉を残しています。

「人間だけですよ。同類を殺したり、虐殺したり、いじめたり、拷問にかけたり。だが人間はもっと生の根源。生は生きるです。生の根源に立ち戻って、人間も自然の一部。微少なる一部です。ただ写ってるだけじゃない。ゴヤの表現によって自分たちの心の中に眠っていたものが目覚めるところがリアル。人間の悲惨というもの。人間自身、スペイン人でもなくフランス人でもないんです。人間そのもの。人間存在そのものの悲惨さを具象化している・・・というふうに考えたらどうでしょうか」

人間が人間を知るための一枚です。

 

 

人間存在そのものを具象化してるという田村さんの言葉がね

ゴヤっていう人が描いていた時代っていうのは、18世紀から19世紀じゃないですか。で、18世紀ってね啓蒙の世紀ですよ。だから啓蒙って何かって言うとリュミエールで光ですよ。光によってその闇が表現してるような無知蒙昧っていうか、迷信とか謝った差別的な意識とか闇。そういうものを光の合理的、人間の理性の光によって、それを照らし出すことによって、人類は、人間は良くなっていく。人間は進化していくんだと。社会はより良くなっていくってことが信じられたのが啓蒙の世紀じゃないですか。だけど、そういう風に思ってたら光が全然照らし出してない部分が人間の奥底にある。残虐性って言うか、暴力っていうか、そういう闇っていうのは、常に我々の中にあると。ゴヤは絵として具象化してる。それを田村さんのような方は見て、そこにあらゆる人種や国籍っていうか、そういう国を超えた人間存在そのものの持つ暗い部分、影、恐ろしい部分っていうことをこの世の中にあるって唱えてるんじゃないか。光と闇っていうものが重要な絵への主題になってると思うんですけど、素晴らしい絵を見ると、光と闇って何なんだろうっていう」

今私たちが暮らしてる世界の光や闇も含めてちょっと考えてみたくなる。そういう力が傑作と呼ばれるものにもあります。

「絵は外側にある世界の光を描いているようですがねそれは必ず私たちの内側にある光と闇に繋がっていくっていうことでもあるんですね」

次回はこの蔵出しシリーズ3回目。最終回です。

 

取材先など

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

 

書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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新美の巨人たち GINZA SIX

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「今こそアートのチカラを」。第9弾は『GINZA SIX』。


2017年、東京・銀座に誕生した『GINZA SIX』。
1階から6階まではショッピングフロア、7階から13階まではオフィスフロアになっている銀座エリア最大の複合商業施設。中へ入ると5階まで続く吹き抜けに、世界で活躍するアーティスト・吉岡徳仁の巨大なインスタレーション『Prismatic Cloud』が。

約1万本のプリズムロッドが天井から細い糸で吊るされた、まさに“光の雲”。なぜ商業施設にこれほど大掛かりなアート作品が?作品に隠された驚きの計算とは?吉岡さんご本人に解説していただきます。

一方外観は、日本を代表する建築家・谷口吉生が設計。実は当初発表された今よりも大規模な建設計画に、銀座の人々から「銀座の街にふさわしくないのでは」という意見がありました。その思いを受け、14年もの歳月をかけて現在の形となったのです。よく見るとその外観には意外なモチーフが…。谷口と銀座に生きる人々の願いが作り上げた、“銀座の魂”が息づく外観とは?

その銀座の精神は店内にも。大掛かりの吹き抜けを中心にシンプルに作られた内装デザインですが、5階までは白を基調としているのに対し、6階からは雰囲気がガラリと変わり黒が基調となっています。

このコントラストも、通路も、実は銀座という街を意識していたのです。それは一体どういうことなのか?

内装を手掛けた空間づくりのスペシャリストであるフランス生まれのデザイナー、グエナエル・ニコラさん自ら、内装に仕掛けられた「色合いの変化」と「通路の導線」を解説します。 

 

日経おとなのOFF 2020年 絶対に見逃せない美術展(日経トレンディ2020年1月号増刊)
 

美の巨人たち GINZA SIX

放送:2020年7月11日

 

 

 

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「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」【アートシーン】

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「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」

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今年、新人写真家の登竜門として知られる木村伊兵衛写真賞を受賞した横田大輔の最新作。
大きなビニールシート18枚には抽象的なイメージが重ねられています。

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水しぶきのように見えるのは大判フィルムの残骸です。
沸騰させた現像液につけたことで、思いがけない色彩と形を見せました。
横田は写真を構成する物質に注目し、試行錯誤を繰り返しています。
写真や映像の可能性を独自のアプローチで広げる現代作家たちの展覧会です。

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「滝沢浩さんのクリミナルガーデンという作品は、展示室と作り付けのガラスケースを利用したインスタレーション作品です。

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撮影した写真をプリントして、それを何枚も繋げてさらにハンドスキャナーで読み込んだ画像を大判のシートに印刷して中に貼りこんでいる複雑な工程を経ています。

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なのでよく見るとスキャナーのエラーを意図的に起こして動画ゆがんで見える部分があったりすることに気づく瞬間が訪れる。イメージと物質の境目であるとかを明確にこれと特定できない状態の変化、流動的なものを色んな素材や物質を使って追及している作家だと私は思っています」

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気鋭のアーティストデュオ、Nerholは、時間や存在のゆらぎを写真で表現してきました。

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数百枚に及ぶ写真を積み重ね、立体的になるよう刃物で彫り込んでいます。

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しかも一枚一枚の写真は動画を時間経過とともにプリントしたもの。
移りゆく写真の時間は彫り込むことで新たなイメージを生み出します。

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美術作家迫鉄平は一瞬を切り取るスナップ写真の技法を映像で試みました。
店先のシャッターをスマートフォンのカメラでとらえた場面。

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画面の中でこれから何が起きるのか。そして何を切り取るのか。
見る側に委ねます。

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「撮ろうとする時に、自分の感性みたいなものではなく、既にある歴史とか映像とか普段見てるテレビとかyoutubeとかなんでもいいと思うんですけど、そういうところで得た体験とか経験みたいなものが、実際に自分の歩いてる路上で起こるみたいなところが一つ撮影の同期になってるとこか思っていて、

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決定的瞬間っていうことをスナップ写真を見る人も求めるし撮る人も求めるって言うようなところがあるんですけど、それからもう1回動画を使って外すことで人は何を見たいと思ってるんだろうかとか自分が何を撮りたいって思ってるかっていうことは少し考えるきっかけになればいいなと」

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牧野隆の映像作品。
日常風景の映像を200以上重ね、特殊効果により作り上げた抽象的な世界。
急速に発達するデジタル技術によって表現の可能性もまた広がっているのです。

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さいたま市埼玉県立近代美術館で9月6日まで。

 

会場:埼玉県立近代美術館

会期:2020年6月2日~9月6日

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