西原理恵子 著「この世でいちばん大事な「カネ」の話」より
「毎日かあさん」などで知られる西原氏を読む上で原点ともいえる作品です。
![]() この世でいちばん大事な「カネ」の話 [ 西原理恵子 ]
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あのね、「貧困」と「暴力」って仲良しなんだよ。
貧しさは、人からいろいろなものを奪う。人並みの暮らしとか、子どもにちゃんと教育を受けさせる権利とか、お金が十分にないと諦めなければいけないことが次から次に、山ほど、出てくる 。それで大人たちの心の中には、やり場のない怒りみたいなものがどんどん、どんどん溜まっていって、自分でもどうしようもなくなったその怒りの矛先は、どうしても弱い方に弱い方にと向かってしまう。
暴力や貧困が身近にある日常に身を置けば、とにかく何かやるしかない。西原氏は身に降りかかる「負の力」を前に向かうエネルギーに変えました。大胆な行動と自虐的な創作で多くの読者に親しまれる西原氏の表現の奥には、おカネを持つことではなく「カネを稼ぐこと」に誠実でありたいという共感を覚えます。
「働くことも、お金も、みんな、家族のしあわせのためにある。
わたしは、いま、そう思っている」
事実の積み重ねの上に真実があるとしたら、彼女の真実はこの言葉に依るのでしょう。こころの奥底を揺さぶられます。
貧乏は病気だ。それも、どうあがいても治らない、不治の病だ。