未来のクリエィターを育てる学生アニメーションのフェスティバルが新国立美術館で開催されています。
今年で14回目を迎える「映画祭」は全国28の大学・専門学校が参加しています。学生さんたちが制作したアニメーション作品は技術的には未熟な部分もあるものの、好奇心や情熱、そして今までになかったものを生み出そうとする創造の心にあふれ、とても刺激的です。
会場は3階の講堂と研修室。美術館のサイトには予定表も掲載されていないので、関心を持って訪れた人でないとたどり着けない場所です。
国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO
東京造形大学教授の小出正志さんによると「2017年は、日本のアニメーション百年の記念の年」なのだそうです。100年に及ぶ先人のたゆまぬ努力があって、日本のアニメーションは世界に、歴史に大きな存在感を示しています。先輩たちの努力や業績を受け継ぎ、新たな才能を送り出すことは、大きな使命になるというのも頷けます。
会場では各校から選抜された短編28作品がマラソン上映されていました。
入場者はこの中から特に気に入った作品1作品に丸を付けます。
武蔵野美術大・里見朝希「あたしだけをみて」、
東京工芸大・狩野洋典「ノアの口(ハコ)庭」など、商業作品としても成立しそうな作品や、実験作、作家性を感じさせる作品と様々です。
手書き時代のアニメーション環境では実現できなかったような作品ばかりで、技術の進歩が創造の力を支えていることも改めて感じました。
中でも印象に残ったのは14番「FEED」でした。絵本のようなタッチで描かれた白と黒の巨大な生き物と、食卓を囲む子どもたちの対比が観客の想像力をかき立てるつくりになっています。作者は多摩美術大学のグラフィックデザイン科を今年卒業した岡崎理恵さんです。作品は第16回広島国際アニメーションフェスティバル*1の国際審査員特別賞に入賞した作品でした。原石を探す楽しみもありそうです。