子孫へ
誠を尽くすのに遠慮は無用である。家の流儀に真正直に従う必要はない。
自分で考えもせず、ただ言われたとおりやるだけでははなはだつまらない。
できるだけ一筋に、自分で自分の腕で、心を磨いてゆくだけだ。
こんな姿の松をもらい、よく見ると惜しい気持ちがする。大木になるはずのものなのに、つたない教えを受けてこんな風に見苦しい形になってしまい、松自身もかわいそうに。
とにかく考え方、見方を押しつけるのはやめて、自然に伸ばしてあげればよい。
人には大中小といって、第は人のため、中はありのまま、章は自分勝手。ただ中のありのままで伸びはせず才覚はいらない。
変に飾り立てたりしては人は寄りつかないものである。
自然にまかせてありのままでいるということ。我も人もともによろしい。