- 1.マティスとルオー展 ―手紙が明かす二人の秘密―
- 2.青木美歌展「あなたに続く森」
- 3.青龍社の女性画家 小畠鼎子~苦しみながら描くことの楽しみ~
- 4.石川直樹 この星の光の地図を写す
- 5.化粧 KEWAI -舞台の顔-
- 6.画と機 山本耀司・朝倉優佳
1.マティスとルオー展 ―手紙が明かす二人の秘密―
会期:2017年1月14日(土)~3月26日(日)
1906年8月30日、アフリカ旅行から戻った36歳のマティスは、「中でも砂漠はすごかった」と、その強い印象を友人のルオーに書き送ります。
国立美術学校で共に学んで以来、この二人の偉大なフランス人画家が交わした膨大な手紙のやりとりは、マティスが亡くなる前年の1953年まで、断続的ながら実に約半世紀に渡って続きました。
全く異なる画風を確立したマティスとルオーは、一方でフランス絵画の輝かしい伝統の継承者としての誇りと責任感を共有していました。それは、外国人を受け入れて輝きを増すフランス、あるいは第二次世界大戦に苦悩するフランス、そのいずれにあっても揺らぐことなく、自らの絵画で回答し続けた姿勢にも表れています。例えば、戦争を機に描かれたマティスによる《ラ・フランス》とルオーによる《聖ジャンヌ・ダルク》は、自由なフランスを象徴する堂々とした女性を描いてその白眉といえるでしょう。
本展では、二人や家族の手紙を紹介しながらその時期の絵画作品を展覧します。マティスの静物画《スヒーダムの瓶のある静物》をはじめとする貴重な初期の作品や、ルオーの重要な版画集『気晴らし』の油彩原画シリーズの全点出品など、フランスからの初来日作品を含む合計約140点を通して、マティスとルオーの友情の秘密に立体的に迫ります。
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/17/170114/pdf/leaf.pdf
2.青木美歌展「あなたに続く森」
会期:2017年1月20日(金)-2月26日(日)
青木美歌は、粘菌、バクテリア、ウイルス、細胞といった目に見えない「生命の有りよう」をテーマに、ガラスを素材にした作品を発表してきました。
バーナーワークという技法により、1つ1つ緻密に作られた透明なガラスからは、あたかも生命が宿っているかのようなパワーを感じることができます。そして光が当たることでより輝きを増し、儚さと神々しさが表裏一体となったその圧倒的な存在感は、彼女の作品の特徴として多くの人々を魅了してきました。
本展『あなたに続く森』では、植物のライフサイクルをモチーフに、目に見えない生命の「繋がり」をガラスのオブジェと光を組み合わせたダイナミックなインスタレーションとして展開します。
地球上の生命体は、生と死のサイクルを繰り返し、何億年という時を経て、今の私たちへと繋がっています。その神秘的な生命の生成プロセスとカタチを植物の細胞というミクロの世界で表現します。人々はガラスの森という瞑想の世界に入ることで、そこにひっそりと佇む、目に見えないものの息吹を感じとることができます。
まるで異次元に迷い込んだかのような幻想的な世界をお楽しみください。
3.青龍社の女性画家 小畠鼎子
会期:2017年1月14日(土)~2月26日(日)
小畠鼎子(こばたけ・ていこ 1898-1964)は、大正末期から昭和にかけ吉祥寺に暮らした日本画家です。師・川端龍子が昭和4(1929)年に創立した青龍社に当初より参加し、65歳で亡くなるまでの35年間、一貫して活動拠点を同社に置き、〈主婦〉として4人の子どもを育てながら、ひたむきに画に向かい続けました。
武蔵野市では、鼎子没年に受贈した1点に加え、当館開館前の平成8(1996)年にはご遺族から〈まくり〉状態 ―木枠やパネルから外された、本紙のみの状態。多くのものは、巻かれて保管されていました。― の鼎子作品46点の寄贈を受け、以来、修復処置を段階的に進めて参りました。本展では、平成26年度から28年度までに額装作業が完了した受贈後初公開作品を中心に、戦前・戦中・戦後にかけて制作された約20点の大作をご覧いただきます。
現存作例や文献資料に乏しく、また、残された作品それぞれも決して雄弁とは言えないながら、それらを通じて私たちは、身近な草花・鳥・動物に丹念に注がれた鼎子の視線に接近し、そして、鼎子が見つめた〈戦争〉への直面を迫られることとなるでしょう。
描くこと、あるいは思いのままに描けないことに苦しみながら、筆を持つ時間「只それのみの世界に入る事」を楽しんだ、鼎子。忘れられた女性画家の画業を、今、あらためて振り返ります。
4.石川直樹 この星の光の地図を写す
会期:2016年12月17日[土]~ 2017年2月26日[日]
本展は、世界をフィールドに活躍する写真家、石川直樹による初の大規模個展です。
石川は、22歳で北極点から南極点までを人力で踏破、23歳で七大陸最高峰の登頂に成功し、その後も各地を旅しながら、人類学や民俗学などの観点を取り入れた独自のスタイルによる写真で、日常、そして世界を見つめ直す活動が注目されています。
本展では、北極、南極、ヒマラヤ8000m峰といった極地を撮影した各シリーズ、さらにニュージーランドの原生林を撮影した『THE VOID』、ポリネシア地域に浮かぶ島々を星に導かれるように巡った『CORONA』、
世界各地の洞窟壁画を訪ねた『NEW DIMENSION』、
そして日本列島の南北に広がる島々を探索する『ARCHIPELAGO』など、石川の初期から現在に至るまでの活動を、初公開の未発表作を織り交ぜて総合的に紹介します。
石川が一貫して関心を寄せるのは、地球上のあらゆる場所に古くから伝わる生きるための「技術=叡智」であり、国境などの区分では捉えきれない各地の有機的なネットワークの有り様です。石川の目と足による縦横な探求は、文化人類学的なフィールドワークであると同時に、もともと「技術」という意味を語源にもつ「アート」を追求する果てしない旅ともいえます。
本展は、とどまることを知らない石川直樹の足跡を道標に、私たちの慣れ親しんだ世界地図とは異なるもう一つの視点からこの地球という星を見つめる機会となるでしょう。
5.化粧 KEWAI -舞台の顔-
会期:2016年1月21日(土)~3月26日(日)
演劇の舞台で、俳優の演技を一段と深める化粧。中でも京劇などの中国伝統演劇や、日本の歌舞伎は、特に化粧が大きな役割を持ちます。
中国の臉譜(れんぷ)は、歌舞伎の隈取にあたるもので、ともに性根や感情などの抽象的な役柄を、デフォルメして表現します。そこには独自の意味や約束ごとがあり、臉譜はその基本を守りながらも、時代とともに変化し、洗練されてきました。また、歌舞伎の隈取は、俳優の個性を加えながらも、伝統を継承しています。
時代はくだり、宝塚歌劇のスターたちも、伝統を学び、オリジナルのタカラヅカメイクを編み出しました。映像の世界では、よりリアルな特殊メイクが研究される今日ですが、同時に伝統的な化粧も多方面に影響を与えているのです。
本展では、肉筆臉譜や錦絵の隈取を中心に、伝統が生み出したさまざまな舞台の顔を紹介します。展示品の中には、現代のヒーローやキャラクターを思わせるものが見つかるかもしれません。
6.画と機 山本耀司・朝倉優佳
会期:2016年12月10日[土]─ 2017年3月12日[日]
時代に流されない反骨精神で世界を刺激しつづけるトップデザイナー、山本耀司。山本は最近のコレクションで、絵画とのコラボレーションを積極的に展開しています。
「画と機」と題された本展は、40年以上のキャリアを経て今なお斬新なクリエーションを展開する山本耀司の魅力と本質に迫ります。