原画から音楽まですべてを自身が手がけた映像作品や、ペンキで描いた絵画作品やライブペインティングでも注目を集めてきた作家が照沼敦朗*1です。彼の作品2点が赤レンガ倉庫会場で展示されています。
「ミエテル ノゾム君の夢製造伝奇」
「ミエテル・ノゾム」と名付けられた少年が、空想都市の中をさまよっていく作品です。画面からは歌うような、あるいは唱えるような声がささやくように流れてきます。
アクリルやペンキで描かれた画面の中の所々にモニターが埋め込まれ、動画が上映されています。
得体の知れない店が闇に浮かび、
地の果てまで続く雑踏に埋め尽くされた街は不思議な静寂感に包まれます。
一瞬、これは「地獄絵図ではないか」と感じましたが、どこか違うようです。
闇の恐怖と夢の快楽が入り交じったどこか懐かしい世界。
私たちの心の中に広がる世界を可視化してくれる作品なのかも知れません。
いっぽう、右手壁面に飾られているのが「ミエナイ・ノゾミちゃんの視界コンプレックス」。
一転して極彩色の世界は夢というより現実の喧噪を感じる作品です。
アクリルやボールペンで描かれた作品の上にビデオ。
作品の上をインスタレーションが上映され、人物や造形が画面上を動き回ります。
アニメーション作品にも似た印象を感じさせられる作品です。
ミエテル・ノゾム君を始めとする 等身大の主人公で構成される 僕の作品たち
テーマは常に己であり だから僕が成長すれば 作品も成長を続ける
鏡のようであり 現実のようで非現実 身近な物語は 視点を 意味合いを 解釈の幅を広げてくれる