東京六本木の練美術館と新美術館。2つの会場で東南アジアの現代アートを集めた展覧会が開かれています。会場では10カ国86組のアーチストの作品を9つの部門に分け、その多様性を紹介しています。
目の前に拡がる色彩豊かな町並み。マレーシアの都市の様子を写した写真を何枚も合成して作り上げました。急速な発展を続ける中、何が生まれ何が失われているのかを問いかけています。
植民地時代を題材とした作品を数多く発表しているイー・イセンのろうけつ染めの作品。東南アジアではバティックと呼ばれる古くからの工芸品です。ろうを使い、青く染まらない部分を出すことで植民地時代への抵抗を示しています。
植民地支配や独立戦争、内戦が続く中。民主化や表現の自由を求めた芸術も現れました。
異なる形をした手が9枚並べられたパネル。左から読むとインドネシア語で民主主義という意味です。
縄に縛られた最後の手は、声を上げることの難しさを示しています。
ミャンマーで民主化運動に参加し投獄されたティン・リンの作品です。
囚人服をカンバスに監獄の中で生まれた作品。
看守から秘密裏に画材を入手し描きました。
ライターの石を筆代わりにしたこともあります。
あくなき芸術表現への渇望から生まれた作品です。
黄色く塗りつぶした身体。みいつけた!赤い提灯はシンガポールの中国系の文化でよく見られるものです。これは中国系シンガポール人である・ウェンが行うパフォーマンス。東南アジアという地域の中でも国や民族が複雑に絡み合っていることが感じ取れます。多くの国が独立を果たしていく中、自らのアイデンティティを問いかける作品が生まれてきています。
グローバル化が進み急速な発展を遂げた東南アジア。アーチストたちは日々の暮らしや人間の本質に目を向けはじめました。
床一面に敷き詰められた糸。重さは5トンにも及びます。
実はこの糸の下に金のネックレスが隠されていて、見つけると持ち帰ることができます。金を求めて彷徨うさまは人間の果てしない欲望を表しているのでしょうか。
自らの国の文化を学び、未来を見つめるアーチストたちも。
東南アジア伝統の風鈴。田畑から動物を追い払ったり漁師に嵐を知らせたりするために使われてきました。風鈴の音は絶え間ない発展によって生まれる歪への警鐘なのかもしれません。
多くの民族や文化が入り交じる東南アジアだからこそ生まれた作品の展覧会。
「東南アジアは日本にとっても貿易の相手国として大きいですし、経済成長も目覚ましい。地域の現代アートを通して地域を理解するきっかけになるのではないかと思います。サンシャワーは天気雨という意味の言葉です。雨が降っていても光が出ているような開放性と未来に向けた明るい希望や意思というようなものが強く感じられるような展覧会です。地域の熱量を感じてください」
民藝の日本 -柳宗悦と『手仕事の日本』を旅する-
会期:2017年8月30日(水)〜9月11日(月)
会場:日本橋高島屋 8階ホール
住所:東京都中央区日本橋2-4-1
入場時間:10:30〜19:00 (19:30閉場)
※但し、最終日は17:30まで(6時閉場)