「没後30年 銅版画家 清原啓子」
会場:八王子市夢美術館(東京)
会期:2017年11月11日~12月14日
銅版画家、清原啓子(1955年〜1987年)が、その短い生涯の中で残した作品は僅か30点。久生十蘭や三島由紀夫などの文学に傾倒し、神秘的、耽美的な「物語性」にこだわった精緻で眩惑的な銅版画は、没後30年を経て、今なお人々を魅了しています。
本展覧会では、夭折の銅版画家として伝説的に語られる清原啓子の全銅版画と、銅板の原版及び下絵素描、最後の完成作「孤島」の制作過程を示す試刷り、制作ノートなど、未発表を含む様々な資料を展示します。また、彼女が影響を受けたヨーロッパの画家・版画家(ジャック・カロ、ギュスターヴ・モロー、ロドルフ・ブレスダン、オディロン・ルドン)の作品を紹介し、清原の制作の源泉をたどり、その全貌に迫ります。
書籍
緻密な線と陰影で構成された神秘的な光景。
描いたのは31歳で早世した天才銅版画家清原啓子。
没後30年を経て今なお人々を魅了する清原の全作品を集めた展覧会です。
学生時代銅版画を初めて間もないころの作品。
技術の高さと独特の表現力に指導教員は仰天したと言われます。
清原中期の代表作「領土」。
読書家の清原は文学や神話からインスピレーションを得、独自の世界観を銅版画に展開しました。
ニードル一本でひたすら点と線を描き、多様な質感、濃淡を表現しています。
生前最後の完成作となったのが「孤島」です。
テーマは愛と生。
特に敬愛した作家久尾十蘭の作品に触発されたといいます。
今回作品と一緒に展示されている貴重な原盤です。
まるで彫刻作品のように立体的。
熟練の銅板画家でも制作方法が容易にわからないほど、高度な技術だといいます。
下絵から完成まで5年以上。圧倒的な密度と深みのある作品となりました。
その短い人生で残した銅版画はわずかに30点でした。