糸や布など繊維を素材とした作品を紹介する展覧会です。
平野薫の作品。
使い古されたスニーカーの布を丁寧にほどき、
糸に戻して行きました。
糸の先には布を亡くした靴の抜け殻がかかっています。
編むことを追求し続けている堀内淑子。
細い糸が網のように編まれています。
それが幾重にも重ねられ、微妙に光を反射します。
この展覧会では、糸や布、繊維を素材に制作を続ける15人と1組の作り手たちによる営みを紹介します。
伝統工芸から現代美術、デザインまでジャンルはさまざま。
それらを貫く導きの糸としたいのが、精神病理学の第一人者であり臨床哲学の先駆者でもある木村敏の次のような言葉です。
「自己とは、自己と他者とのあいだ ―現在の事物的世界とのあいだだけでなく、当面の他者とのあいだ、所属集団とのあいだ、過去や未来の世界とのあいだなども含む― の、そしてなによりも自己と自己とのあいだの関係そのもののことである」(『関係としての自己』みすず書房、2005年)。
つまり糸や布と向き合うことで、自己そして人の生のあり方をふかく見つめてみようというわけです。
会場:広島市現代美術館
会期:2017年12月22日~3月4日