異なる素材を張り合わせるコラージュで独創性を発揮した岡上淑子の展覧会です。
洋館の一室にいる美女。
その手を取るのは不気味な鳥。
優雅さと怪しさが混じり合った作品です。
空に浮かぶコート。
犬の体には時計。
行方の知れぬ人生を暗示しているのでしょうか。
敗戦後の日本において、美術評論家・瀧口修造によって見いだされ、希有な才能を開花させた岡上でしたが、結婚を機に美術界から姿を消し、1996(平成8)年に「再発見」されるまで、長らくその存在は忘れられたままでした。
しかし、2000(平成12)年に72歳で開催された個展以降、「再評価」のスピードは目覚ましいものがあります。高知県立美術館や東京国立近代美術館、東京都写真美術館、栃木県立美術館、ヒューストン美術館、ニューヨーク近代美術館など国内外の美術館が作品を収蔵し、また近年刊行された作品集を通じた出あいからも新たな岡上ファンは増え続けています。
本展は、国内に所蔵されている貴重な岡上作品約110点が一堂に会する初めての回顧展です。オリジナルのコラージュ作品と写真作品に加えて、コラージュをもとに近年制作したシルクスクリーンプリントとプラチナプリントも作家の新たな試みとして併せてご紹介することで、幻の作家の真の姿に迫ります。
会場:高知県立美術館
会期:2018年1月20日~3月25日