会場に響く電子音。
手のひらサイズのテレビモニターが並びます。
映像を受信することがなくなった廃棄物です。
軽井沢のNEWアートミュージアムで開かれている
「アートはサイエンスⅡ」はアートとサイエンスの関係に注目した展覧会です。
コンピュータが開発されて間もなく、
絵を描かせようと40年近く挑戦を続けてきました。
人工知能であるコンピュータを「アーロン」と名付け、
学習を繰り返してきたのです。
アーロンにまず教えたのは線を書くには、
丸く閉じる書き方と、閉じない書き方があるということでした。
アーロンはやがて人間の姿を描き出します。
そして顔の豊かな表情まで描くようになります。
挑戦からおよそ30年。
ついにアーロンは抽象画まで描きはじめました。
しかし、もともと抽象画家だったコーエンはその色使いが気に入らず、
自分のセンスで絵を塗り替えてしまいます。
こうしてアーロンの描いた形にコーエンが色を塗る。
人工知能AIと、人間の奇妙な共同作業で
アートが生み出されるようになりました。
日本でも人工知能のアートへの応用が進められています。
こちらはアーチスト集団Daisyによる作品。
daisy* 「Kojimachi Shoran 麹町勝覧」 on Vimeo
江戸時代の街並みを再現しています。
人工知能によって登場人物の動きや街並みの時間が刻々と変化し、
二度と同じ状況にはなりません。
たとえば甘酒屋と団子屋が出た翌日にはまた違った店が。
夜には幽霊が現れることも。
会期:2017年10月7日~3月31日
会場:軽井沢ニューアートミュージアム