昭和の洋画界を牽引した一人。
中村研一の展覧会です。
流行の服を着てポーズを取る女性。
モダンな家具に囲まれ。集う人々はみな物憂げな表情を浮かべています。
この作品で中村の名声は一気に高まります。
その後中村は戦争画を手がけます。
上から見下ろすように描き、
歴史の目撃者になったように感じさせる視点が絶賛されます。
しかし、戦後状況は一変。
戦争画やそれを描いた画家たちに非難が集中します。
そんな中描かれたのが
ベトナムの民族衣装をまとった女性の姿。
実は中村は、戦争画の取材旅行の際、
現地の風俗にも深い関心を寄せていたのです。
会期:2018年2月3日~3月11日
会場:福岡県立美術館
中村研一は宗像市出身、東京美術学校西洋画科を卒業したのちフランス留学を経て、帰国後は帝展で受賞を重ね、戦後の日展に至るまで審査員を歴任するなど、昭和期官展洋画の中心的存在として活躍しました。正確なデッサンと端正な筆致で造形的に構築された大画面作品を得意とし、作家として全盛期を迎えたと言われる戦争画などは中村の真骨頂として評価されています。本展では、戦前期の官展や戦後の日展に出品した代表作や戦争画を紹介するのはもとより、生涯愛着を持ち続けた宗像や新居浜というゆかりの場所を主題とする作品も含めてその画業を再考し、彼が生涯追求し続けたリアリズムとはいかなるものであったのかを検証します。正統な写実に貫かれた風格あふれる絵画は、彼が生きた近代という激動の時代の中でも時流に流されることなく追求し続けた「絵画の真実」として、今を生きる我々にも時代を超えて訴えかけてくることでしょう。