17世紀初め。寛永時代。
徳川二代将軍秀忠の五女、和子が後水尾天皇に嫁ぎ、
宮廷と武士の文化の結びつきが強くなります。
そして寛永文化が花開いて行きました。
この時代の文化を代表する三人の人物。
一人目は茶人の小堀遠州。
城の建築や造園にも才能を発揮し、寛永文化の美意識を牽引しました。
色彩豊かな御室焼で知られますが、はじまりはモノクロームの世界でした。
そして幕府の御用絵師として活躍した狩野探幽。
桃山時代の狩野派の画風を変え、新しい探幽様式を確立しました。
江戸寛永のみやびを三人の文化人を通して探っていきます。
様々な文化人を集めて茶会を開きます。
そうした中で遠州好みと呼ばれた茶道具が広まって行きます。
遠州好みの茶道具は海外でも作られました。
当時オランダに発注されたこの茶碗もその一つです。
この茶入は優美な曲線と黒い雪崩の景色が特徴。
白濁した釉薬をかけた透かしばち。
鉢全体に穴を開けるという斬新な形。
寛永文化の美意識を象徴する一点です。
この水差しも白一色。
高いろくろの技術に寄る造形。
白のシンプルさの中に、さらに深い美を見出そうとしています。
江戸時代の絵画を構築してきたのは狩野派でした。
なかでも狩野探幽は新しい絵画を目指します。
これは探幽、33歳の時の作品。
豪壮な狩野派の画風を大きく変えています。
モチーフを少なくし、
画面をゆったりと構成しています。
大きな余白と淡い色彩。
探幽様式が確立された作品です。
余白を大胆にとった屏風絵。
穏やかな水流を背景に互いを見合う鳳凰が描かれています。
探幽は遠州の茶会にも参加し、その美意識も取り入れたと思われます。
会場:サントリー美術館
会期:2018年2月14日~4月8日