記憶をテーマにした内外の現代作家による展覧会です。
かくれんぼをしている少年。
広い空間が不安な気持ちを煽っているようです。
作者はベネツィア在住の女性画家・アンティッチ。
少年や少女特有の感情をテーマにしています。
小学校の理科の時間。
鉱石の標本を並べて記念撮影です。
子どもたちの独特の表情が、
なにか忘れていた記憶を揺さぶります。
向山喜章 の作品のテーマは光。
この作品は黄色を基調にして、光を感じさせます。
平面に広がるぼんやりとした色の広がりは
ワックスの半透明な層を抜けて、表面に滲み出したもの。
紙に色を塗り、その上にワックスを全面に掛けることで
独特の光を発するのです。
遠い日の記憶の中の風景を感じさせる作品です。
砂浜に打ち上げられた様々な漂着物。
一見実物のように見えますが、すべて作り物です。
彫刻家・前原冬樹はこうしたユニークな造形を得意としています。
この柿の彫刻はブリキの質感に仕上げています。
しかし、前原の作品はすべて一木から彫り出しているのです。
「これくらいの角材から必要な、この辺を切り出して、そこから彫刻刀で彫ってこういう形を作っていく。
このへんの穴を通すために、裏から彫っていって空洞にして、こういう所を全部隙間を抜いていって、薄い鉄板の感じを出したということです」
さくらんぼで知られる銅版画家・浜口陽三。
カラーメゾチント技法を用いて新しい作品世界を生み出しました。
光を帯、闇から浮かび上がるさくらんぼは、
過ぎ去った遠い日の記憶を呼び覚ましてくれるようです。
会場:ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
会期:2018年1月16日~4月15日