古いせいようがから着想を得た映像や写真表現を追求するアーティイスト小瀬村真美*1の作品30点を展示する展覧会。
小瀬村真美
:幻画~像(イメージ)の表皮
かつて朝食を囲む食卓があった場所。
今置かれているのは・・・
水分が抜け、干からびたもの。
実は作品制作に使われたもの。
その作品がこちら。
アーチストの小瀬村真美は写真を合成し中世の静物画を再現しました。
よく見ると秋にとれる葡萄と夏にとれる桃が描かれています。
写実のように見える虚構。
こちらの作品では
謎解きの過程を見ることができます。
小さな花瓶。
実際は三本程度の花しか生けることができません。
後ろに別の台を置いて生けると、
正面からはあたかも同じ花瓶に生けられているかのように。
そして完成した豪華な静物画だったのです。
しかし小瀬村が本当に見たかったのは・・・
絵に描かれることのない、その後の姿。
ここにも過ぎゆく時間に対する小瀬村のまなざしがあります。
絵画を模したセットを一定に間隔をあけて撮影し、合成した写真作品。撮影に四ヶ月かけているため、季節の違う花やみずみずしい果実、干からびた果実が共存する。三次元の被写体を二次元の絵画的な写真世界に近づけ、現実との差異や挙行を浮き彫りにしている。
一見絵画に見える展示ですが、
実は映像。
時間を180倍に引き伸ばしてあります。
限りなく写真に近い映像です。
上から落ちてくるシャンデリア。
会場にはそのシャンデリアの欠片も。
小瀬村は美しさの裏側を見つめ続けているのです。
「映画も絵画も演出が入った状態のものを私達は普段見ています。これは本当か嘘かということを自分でクエスチョンを持ちながら見ることの大切さを大事にしています」
原美術館では「小瀬村真美:幻画~像(イメージ)の表皮」展を開催します。本展は、絵画の構図を利用した映像や写真作品を国内外で発表している小瀬村真美の美術館初個展です。出品作品は、実在する静物画を模したセットを長期間インターバル撮影(一定の間隔で連続して写真を撮影)して繋げた初期のアニメーション作品や、ニューヨークの路上に打ち捨てられていたゴミやがらくたを用い、17世紀スペインの静物画と見紛う写真に仕上げた近作に加え、あえて自らの制作過程を露にすることで絵画および自作を批評的に再考する新作の組写真やインスタレーションなど約30点。実力派、小瀬村の魅力に迫るまたとない機会となります。
■2018年6月16日[土]ー 9月2日[日] 小瀬村真美:幻画~像(イメージ)の表皮 【原美術館】 – ART iT アートイット:日英バイリンガルの現代アート情報ポータルサイト
会場:原美術館
会期:2018年9月16日~9月2日