創立100周年記念
国画創作協会の全貌展
新しい日本画の発表の場を求め大正初期に設立された国画創作協会の展覧会です。
第1回展の入選作品岡本神草の口紅。
着物の黒と赤い裏地が舞妓の白い肌を強調し
妖艶な雰囲気を醸し出しています。
創立メンバーの小野竹喬が描いた三重県の漁村。
竹喬は従来の日本画には生命感と実在感がないとして、目の前にある自然の生き生きとした姿を捕らえました。
大正12年ヨーロッパ留学を終えた土田麦僊。四年の歳月をかけ、この作品を完成させます。人物にはマネの草上の昼食。
樹木や空にはアンリ・ルソーの影響が感じられます。
「生ルゝモノハ芸術ナリ」
で始まる宣言文を高らかに謳い上げ、大正7(1918)年に設立された国画創作協会(国展)は、平成30(2018)年に創立100周年を迎えます。在野の日本画団体として、わずか10年間に7回の展覧会を開催した短命な活動でしたが、大正以降の絵画史上に燦然と輝く多くの名品を残しました。国展設立に加わった、小野竹喬、土田麦僊、村上華岳、野長瀬晩花、榊原紫峰、そして第1回国展後に会員となった入江波光を含めた主要6作家の代表作のほとんどは、この国展の活動から生まれました。
国展の作家たちは、既存の日本画の価値観にとらわれることなく、「創作ノ自由ヲ尊重スルヲ以テ第一義」とかかげ、生命感あふれる芸術の創造を目指します。ときに尖鋭な感覚を表し、またときに内面に潜む心情を吐露した彼らは、エロチック・グロテスクとみなされたセンセーショナルな表現から、古典回帰の姿勢を示す静謐な表現まで、それぞれの個性を自由にいわば放射状に展開させ、会場は千紫万紅の様相を呈しました。
このたびの記念展では、国展出品作のうち現在所在が確認される約100点を中心として、近代社会の大きな変革の真っただ中で、純粋な使命を全うした国画創作協会の全貌を明らかにします。あわせて、国展をはじめ日本近代美術のすべての領域が煩悶した西洋美学の東洋美術への受容を、東西美術交流の視点によって探究します。
会場:笠岡市立竹喬美術館
会期:2018年9月14日~10月210日