ルーベンス展
―バロックの誕生
人間の叫び。
馬の驚き。
ルーベンスが古代ローマの叙事詩をテーマに描いた「パエトンの墜落」。
暴走する戦車を止めるため手綱を握るパエトンが雷に打たれた瞬間を描いています。
一人一人のポーズや表情によって描き出された驚きや恐怖。
ダイナミックでリアルな人体。
ルーベンスは人間の感情をドラマチックに表現し、バロック美術を大成させました。
ルーベンスの日本初公開の作品を含めおよそ70点が紹介されています。
ルーベンスは現在のベルギー北部アントウェルペンで育ちました。
初め宮廷に仕えるための教育を受けますが、画家になる夢を捨てきれず、22歳の時イタリアへ渡ります。
当時イタリアはバロック美術の時代を迎えていました。
「バロック美術は16世紀後半のより人工的で技巧的な美術に対抗する意味でその次の世代が作り出した美術です。より自然でリアルそして感情に訴えかけるような美術をバロック美術と言います」
イタリアでバロック美術を学んだルーベンスは、新しい表現に挑戦していきます。
この作品は古代ローマの親子の物語。
牢獄に繋がれた餓死寸前の父親に娘のペロが自らの母乳を与えて飢えを癒やします。
生身の女性を想起させる自然で官能的な肉体表現です。
ルーベンスは宗教絵画でも大きな足跡を残しました。
十字架から降ろされたキリスト。
わずかに開いたままのキリストの目を閉じようとする母マリア。
天を仰ぎ涙する女性。
キリストの右足は大胆な短縮法が用いられ、足元に立っているかのような臨場感を与えています。
ルーベンスの宗教絵画は人々の信仰心を鼓舞するために描かれたと言われています。
日本初公開作品の一つ「聖アンデレの殉教」。キリストの弟子アンデレが十字架に磔にされています。
アンデレを助けるよう懇願する女性。紐を解こうとする男性。
天から光が差し込み天使が迎えに来ている瞬間。
劇的な姿勢や身振りによってそれぞれの人物たちの感情が伝わってきます。
上野の国立西洋美術館で2019年1月20日まで開かれています。
会場:国立西洋美術館
会期:2018年10月16日~2019年1月20日
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