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日曜美術館「奇想の画家たち~江戸絵画に見る“前衛芸術”~」

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身の毛もよだつ凄惨な構図。ありえないような人物描写。

日本画と思えないほどのけばけばしい色彩。かつて異端とされたアバンギャルドな絵画はいかにして主流になったのか?

今や絶大な人気を誇る、伊藤若冲

しかし、戦後に「再評価」されるまでは忘れ去られた画家だったのです。

歴史の中に埋もれた知られざる傑作に再びスポットを当てたのが、1970年に出版された「奇想の系譜」でした。

そこには、日本画のイメージを覆すような、前衛的で、自由奔放に新たな表現を追い求めた絵画の数々が掲載されていました。

それらの絵はなぜ描かれ、そしてなぜ表舞台から消えていったのか?

その秘密に迫ります。

【出演】明治学院大学教授…山下裕二,横尾忠則,文化功労者、元・多摩美術大学学長…辻惟雄,【司会】小野正嗣,高橋美鈴

日曜美術館「奇想の画家たち~江戸絵画に見る“前衛芸術”~」

放送日

2019年1月16日

プロローグ

今、東京上野で開かれている展覧会に注目が集まっています。「奇想の系譜展」。そこには。身の毛もよだつ奇怪な生き物。血みどろの惨劇。そして驚くほどの超絶技巧。江戸時代に描かれたこれらの作品は自由で斬新なものばかり。しかし時代が変化したり異端とみなされたりした結果、忘れ去られてしまったのです。そんな幻の絵画にスポットを当て、大きな話題となった本がありました。「本流とされるものに対する反逆だったと思うんですよね」。著者は辻惟夫さん。なぜ執筆を思い立ったのか。「当時の日本美術史の概説を読むとつまらない。それに満足しなかったというのが事実です」。出版から半世紀たった今、奇想の画家たちの絵は何を訴えかけてくるのでしょうか。

伊藤若冲

超細密描写の画家、伊藤若冲。京都の青物問屋の長男として生まれた若冲は、四十歳で画業に専念。自宅に鶏を飼い写生に明け暮れます。その手腕は神の手と呼ばれるほど。精緻で濃密な生き物の世界を表現します。代表作は10年の歳月をかけて製作された全30服の動植綵絵。これほどの傑作がありながらなぜ若冲の名は忘れられてしまったのでしょうか。当時、動植綵絵は京都相国寺に納められていましたが、明治時代の仏教排斥運動で寺は困窮。動植綵絵明治天皇に献納されることとなり人々の目に触れる機会がなくなってしまったのです。では辻さんはどこで若冲を再発見したのでしょうか。昭和39年辻さんが初めて見た若冲作品の一つです。紫陽花をバックに向かい合う雌雄のニワトリ。あるアメリカ人が 集めている。そんな話を聞き画商を訪ねてこの絵と出会ったのです。その人物とは若冲のコレクター、プライスさんでした。「私が見た若冲の肉筆の彩色画の初めてのものですよね。その頃日本のコレクターも日本の美術ファンも全然若冲のこと知らなかった。驚きましたね。日本の江戸時代の絵にこんな密度の高い油絵みたいな感じのすごい絵があるかと思って。ただ見て写生するのとちょっと違う。頭の中入れてしまって、若冲の脳の独特の才によってちょっと変わったものになってしまうという。西洋でいうシュールレアリズムような感じです」。この時見た見たもう一つの作品がこちら。凍てつく冬の池を泳ぐ雌雄のおしどりの姿。枯れた葦の枝に積る雪は立体的に描かれ独特の風情があります。これが辻さんと若冲との初めての出会いでした。絵はすでに購入済みとなっていたためアメリカに渡ってしまいます。後輩達にせめて一度だけでも見せたい。辻さんは画商から借りることにしました。当時のことを大学生だった小林正さんは鮮明に覚えています。「この2点はアメリカ人に買われていってしまうんだから、おなごりによく見とけっていう強い先輩のあの言葉が異常に胸に迫りましたですね。江戸時代絵画って言うと狩野探幽とか丸山応挙とか、あの品はいいんだけれどもあのちょっと静かなあの上品なもんでしたよね。若冲の作品っていうのはあの奔放で生命力に溢れていて、そういう正統的な江戸時代絵画の枠を超えているその新鮮さには打たれたところがありますね」。こうして忘れていた若冲は再発見されたのです。

岩佐又兵衛

グロテスクな絵巻物で知られる岩佐又兵衛。戦国武将だった父が主君の織田信長に謀反を起こすも失敗。一族皆殺しの憂き目にあう中、又兵衛はかろうじて生き延びます。彼の絵巻はまさに血みどろの地獄絵図。それは又兵衛の出自を連想させるともいいます。しかし大きな流派に属することもなく連れられていました。代表作「山中常盤物語絵巻」。全22巻。150 メートルに及びます。描かれているのは源義経による母常磐御前の仇討。辻さんを最も驚かせたのが常盤御前が盗賊に襲われる描写でした。「絵巻物はこの時代にはもう駄目になっていた。さぞかしダメな絵巻だろうと思って行ったら、ダメとかダメでないとかを通り越したようななんともいえない。エグいというか、キッチュというか、とにかく紙芝居的な絵巻なんで驚いた。しかも身分の高い女性が殺されていく過程が純繰りに描かれている。このまたその盗賊の顔の何とも言えない。こういうの悪党の顔って言うんでしょうかね。それで腰履き一つにされてしまって、こんなことなら一思いに殺してもらいたいなんて言うもんだからですね、それでその中の一人がそれじゃあお望み通り殺してやること、ブスっとさすんですね。ここんところが何とも妙な表現で、よく見ると刺された人の肌の色は青くなってこちらにちょっと明らかに違いますよね。そういうところまで描いてある。どういうつもりで描いたのか」。又兵衛との出会いは新たな絵巻物の世界を教えてくれます。

狩野山雪
 

取材先など

 

放送記録

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書籍

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展覧会 

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