チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

日曜美術館「京都の大宇宙 東寺」

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京都・五重塔で有名な東寺。

1200年続く神秘の祈り!日本で生きる全ての人と関わる“秘儀”を8Kで初めて撮影。

さらに空海×生命科学で見えてくる壮大な仏の宇宙とは?

空海が最後に行った壮大な“秘儀”が、明らかに!それは「後七日御修法(ごしちにちみほ)」。

高精細8Kカメラが映し出したのは、全宇宙を表す巨大な曼荼羅(まんだら)が掲げられたお堂で、僧侶が生きとし生けるものすべての幸せを全身全霊で祈る姿だった。

さらに、東京国立博物館で開催中の「東寺展」を紹介。

国宝の仏像ひしめく立体曼荼羅の中に入る不思議な感覚とは?

空海の壮大な宇宙を生命科学の視点で見ると驚きの発見が!

【ゲスト】生命誌研究者…中村桂子,【司会】小野正嗣,柴田祐規子

日曜美術館「京都の大宇宙 東寺」

放送日

2019年4月28日

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京都のシンボル五重塔がいつも変わらず迎えてくれる東寺にやってきました。

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ひしめくように並び立つ国宝揃いの仏像は東寺の顔。国宝の数はなんと81点にものぼります。そんな美の宝庫、東寺には秘められた顔があります。

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年に一度ごく限られた者しか見られません。

f:id:tanazashi:20190504195337p:plain毎年正月が終わる頃。僧侶達がゆっくりと向かうのは寺の片隅に立つお堂。

ここで1200年前から続くある儀式が行われているのです。

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後七日御修法。

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選ばれた僧侶以外一切入ることが許されない秘儀中の秘儀。

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東寺のそこに込められた壮大な祈りとは。

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東寺は平安京に都が移った時、国を守る寺として朝廷によって建られました。823年時の嵯峨天皇はある人物に授けます。

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その人に会うため人々は毎日東寺にやってきます。

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弘法大師空海です。日本が天災や疫病などに見舞われた時代に新しい仏教を切り開きました。

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僧侶が運んできたのは空海の食事。今も空海は生きている。365日欠かさず食事が捧げられます。空海は835年この国と人々を思い特別な儀式を始めました。それが後七日御修法です。

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かつては天皇のいる宮中で行われていましたが、今では灌頂院がその舞台となります。毎年1月8日から7日間。全国から選ばれた真言宗の15人の僧侶が行います。選ばれなければ秘儀の様子を目にすることは一切許されません。

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五大尊は儀式の間 邪気や魔物が堂内に入ってこないよう守ってくれる存在です。

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一見すると恐ろしい姿。よく見ると衣には金や銀などの繊細な装飾。

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截金が施され、五大尊の力をさらに輝かせています。

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これらの像は儀式のときに掲げるために修復や復元によって1200年の間大切にされてきました。

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外界から隔たれた聖なる空間で僧侶達は儀式に臨みます。秘儀を行う間。僧侶たちは全宇宙を表す存在に包まれます。空海が中国・唐からもたらした新しい仏教、密教の世界。人知では計り知れない力を祈りによって体格し仏と一体になる神秘的な教えです。

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全宇宙を表したとされるのがお堂に掲げられていた図像。胎蔵界曼荼羅です。曼荼羅密教の教えを示す最も大切なもの。

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鮮やかな赤と金に包まれ、中心にいるのが全宇宙を司る大日如来です。密教では大日如来も最高の存在として信仰します。

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大日如来を取り囲むように描かれているのは400もの神や仏たち。全て大日如来が姿を変えたものです。

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よく見るとなんとも不思議な神や仏ばかり。

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髭を生やした痩せた老人は火の神。

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ストレッチしているようなこの方は流れ星。そして最も異様な光景がこちら。

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血を飲み人肉を貪り喰らう痩せこけた餓鬼たちの姿。輝く星から死の世界まで全てを大日如来の慈悲として受け止める。それが密教の教えです。

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胎蔵界と対になるもう一つの曼荼羅金剛界曼荼羅。九つに区切られています。それは心の世界を表したもの。悟りに到達するための様々な段階が表されているといいます。

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森羅万象全てを呑み込む宇宙と悟りを求める心の世界。その二つが響きあう中で行われるのは密教最高の儀式・後七日御修法なのです。

 

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こうした密教の真髄が日本に伝わっているのはひとえに空海の命がけの旅路があったからこそ。空海は31歳の時、仏教を深く学ぶため遣唐使船に乗り込みます。やっとの思いでたどり着いた中国長安で出会ったのが密教の師として尊敬されていた恵果です。

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恵果は数多くいる弟子の中で一人空海に当時最先端の仏教だった密教のすべてを授けます。

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そして正式な継承者の証となる品々を空海に持たせたのです。空海は全てを東寺へ収めました。

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密教の儀式を行う際に欠かすことのできない祈りの道具。先が五つに割れた不思議な形をしているのは五鈷杵です。信仰を妨げる魔物や煩悩を打ち砕く武器がその始まりだと言われています。

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一方仏を供養し喜んでいただくための音色を鳴らす五鈷鈴。これらは実際に空海が手に取ったもの。今も後七日御修法で使われます。まさに空海の息吹を伝える貴重な品なのです。

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密教を日本にもたらした空海やがて東寺に前代未聞のものを作り上げました。

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それはこの講堂の中。長さ35 M。 その中に全部で21体の仏像が互いに響きあうように安置されています。

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立体曼荼羅です。曼荼羅からすっくと仏たちが立ち上がったかのよう。命あるすべてのものを救おうとする様をよりリアルに伝えるため空海曼荼羅を立体にして表しました。空海はこの空間を曼荼羅の宇宙に見立てたのです。居並ぶ仏像のほとんどが一本の木から彫った一木造り。どの仏像をどこに配置するか経典を踏まえながら空海が独自に発想したと言われています。

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中央に鎮座する大日如来。その高さおよそ3メートル。大きな右手は仏左手は人々を表し仏と人の結びつきを象徴しています。仰ぎ見ればまばゆい太陽のような神々しい光を放っています。光背に浮かび上がるのは37体もの小さな仏。30 cm に満たない仏たちもまた命あるものを全てを救うために生み出された大日如来の化身です。立体曼荼羅の中でひときわ異様な気配を放つのが怒りに満ちた明王。怒りに満ちた仏像は空海が初めて登場させました。剣で人々の煩悩をバッサリと断ち切る不動明王。手に力を込め仏に背く者がいればすぐさま剣を振りかざさんばかりに目を光らせています。すべては慈悲の心に基づき力づくで人々を救うため。さらにはメラメラと揺らめく激しい炎で煩悩を焼き尽くします。手足に無数の蛇を絡めた軍茶利明王。激しく揺らぎながら逆立つ髪の毛怒りのエネルギーがほとばしります。仏の敵を呪い殺す力を持つといわれる大威徳明王。あらゆる方向に睨みを利かせる牙を剥いた六つの顔。一斉に怒声を上げているかのようです。仏像は穏やかなものというイメージを覆し、恐ろしい仏の力までも取り入れた空海。あらゆる存在が一つに調和した祈りの場を作りました。そんな空海が若い頃から夢中になっていたこと。それは自然の中に身を置き、心を研ぎ澄ませることでした。空海が修行したという徳島の山の中。今でも僧侶になるための修行のひとつとして空海の聖地を訪ねてみます。この絶壁の上で空海が学んでいたとされるのは虚空蔵求聞持法という修行。秘密の言葉信号を100万回唱えると超絶の記憶力が身に付き、どんな経典も覚えられるのだとか。この近くの四国香川で生まれたという空海山岳信仰の修験者たちと共に霊気漂う山々を駆け巡っていたと伝わっています。京都神泉苑。ここに空海の伝説が残されています。干ばつに見舞われた824年。神泉苑で雨乞いの祈祷した空海は水の神善女龍王を招き見事雨を降らせたと言われています。庭園の池に浮かぶ社には空海が招いた善女龍王が今も大切に祀られています。社の隣の井戸。ここから汲み上げた水は毎年あの後七日御修法で使われています。僧侶たちの祈りによって聖なる水として力を宿すのです。空海が体得した自然や宇宙とひとつにつながる力。それは今も息づいています。

取材先など

 

 

blog.kenfru.xyz

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

書籍

展覧会