オーバリン大学 アレン・メモリアル美術館所蔵
メアリー・エインズワース浮世絵コレクション
―初期浮世絵から北斎・広重まで
1906年メアリー・エインズワースは日本に旅行に行ってきます。39歳の時でした。そこで彼女は浮世絵に出会いその美しさに魅了され以来25年浮世絵を集め続けました。
そんなメアリーの膨大なコレクションから珠玉の200作品が日本に初めて里帰りしました。
「メアリーアインズワースコレクションの特徴は初期浮世絵が多い所なんですね。
日本に初めて来た時に初めて買った作品が初期浮世絵であったということで、素朴なあの雰囲気があのメアリーさんの心に響いたのではないかと思っております」。
メアリーの愛した初期浮世絵。
墨一色で摺ったものに筆で彩色されています。その後版木を使って色が付けられるようになります。
美人画で名をなした鈴木春信が早い時期に描いた役者絵。
世界にこの一点しか確認されていない貴重な作品です。錦絵と呼ばれる多色刷りの浮世絵が登場すると晴信は第一任者として活躍するようになります。
思いつめた表情の白無垢姿の遊女。目の前の手水鉢を柄杓で打とうかと迷っています。
これは手水鉢をお金に見立てて打てば財宝を得られますが来世では地獄に落ちるという浄瑠璃を題材にした見立て絵なのです。18世紀後半錦絵は黄金時代を迎えます。メアリーのコレクションにも著名な絵師たちの作品が数多く登場します。
ちらりと覗いた白い足。長身でスタイルの良い美女がまゆの具合を確かめています。
人気絵師鳥居清長の柱に飾る柱絵です。
やがて顔を大きく捉えた大首絵が流行していきます。熱烈な芝居好きだったという歌川国政の役者絵です。日本髪の表現も見事ですが、注目は目です。
墨の濃淡で瞳を表し目の端には青も。彫りや摺りの技術が飛躍的に上がっていることがわかります。
春朗画と記されたこの錦絵誰の作品かお分かりですか。
勝川春朗。後の葛飾北斎です。
北斎はこの後40年ほど経ってから富嶽三十六景シリーズを発表しました。そしてメアリーが収集した浮世絵の実に800点を占めるのが歌川広重の作品。今回その45点が来日しました。 メアリーならではの珍しいコレクションがあります。
誰でもご存知の東海道五十三次の日本橋。こちら初刷の空の部分にご注目。
あと摺りでは雲がなくなっています。さらに、変わり図と言われるバージョンでは手前を賑やかに歩く人々が登場します。
このように同じ作品でも図柄や摺り方を変えたものが広重には多数あります。有名な両国の花火を描いた作品でも初摺りとあと摺りではとらえた瞬間が異なります。
初摺りに満足できなかった広重は彫師や摺師とともに作品の帰りを続けたとされます。
そんな広重の浮世絵の中にメアリーは日本の原風景を見出したのです。
アメリカ人女性が愛した200枚の浮世絵。
千葉市美術館で今月26日までその後巡回します。
会場:千葉市美術館
会期:2019年4月13日~5月26日
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