ルート・ブリュック 蝶の軌跡
緑の目。星方の頬。周りには様々な青い形が散りばめられています。
王冠をかぶったライオン。
よく見るとその胴体にはロバが隠れています。陶板を使った不思議なアートです。20世紀フィンランドを代表するセラミックアーティスト。ルート・ブリュックの展覧会が開かれています。
ルート・ブリュックは1916年生まれ。建築家を志しますが家族の反対に遭いグラフィックアートを学びます。
陶器メーカーの専属アーティストとして働き始めたのは26歳の時。初期の作品はブリュックの人生を色濃く反映しています。
こちらは自らの結婚式の前の年に作られました。
ブリュックは次第に陶板ならではの表現に目覚めていきます。
釉薬が繊細な色合いを醸し出しています。
ブリュックが好んで使ったのは鋳込み成型という技法。
石膏型に絵を彫り、水で溶いた陶土を流し込んで焼き、陶板を作ります。その上から釉薬で色付けし、また焼いて出来上がり。
盛り上がった輪郭線の間にたっぷりと流し込まれた釉薬が豊かな表情を生み出します。
ブリュックのためだけに200種類もの釉薬が開発されたと言います。
1958年に製作された都市。
この頃から幾何学的な陶板を組み合わせた大型の作品を手掛けるようになります。
もともと建築家になりたかったブリュックが実現した自分だけの街です。
「ひとつ一つのピースが手作りなので、きっちり真四角には治らないんですね。
その手作りのわずかな揺らぎがある表現をブリッュクはとても大事にしていて、楽しく組み合わせてあのパーツを選びながら作ってはいるんですが、それを目で追っかけていくと、抽象画を見るような感覚とは別の作品の上を自分が滑っていきながら中で入って作品を鑑賞できるような作品だと思います」
色づいた太陽度名付けられた作品。しかし白い陶板だけで表されています。
それは一体なぜなのか。ブリュックは作品についてコメントを残していません。ただ静かに見る者をセラミックの迷路に誘います。
知られざるフィンランドのアーティスト。東京ステーションギャラリーで来月16日まで。その後巡回します。
会期:2019年4月27日~6月16日
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