キスリング展
エコール・ド・パリの夢
アールデコの美しい装飾が施された屋内に今展示されているのは鮮やかな色彩の花々。
そして憂いを帯びた女性。
描いたのはエコールドパリを代表する画家キスリングです。
独自の写実性を追求したキスリング。その画業を俯瞰する展覧会です。
ユダヤ系ポーランド人のキスリングは19歳でパリに移ります。そこで出会ったのが当時革新的な表現で注目を集めていたピカソやマチスなどでした。
初めは色彩を多用したフォービズムの技法を取り入れた作品に挑戦します。
やがて古典的な絵画を学びながら独自の作風を確立します。
特に人物像に個性あふれる表現を深めていきます。
ゆったりとした衣装を身にまとった女性。その目の表情と穏やかさが印象的です。
白い肌に赤いドレスが際立つ女性。
キスリングは人物像の形態を単純化することによってより内面を見つめようとしました。
裸婦像も多く描いています。恥じらいを見せるモデルのポーズ。その表現には明るさと輝きが見て取れます。
西洋絵画で古くから描かれたモチーフ。横たわる裸婦像。
透き通るような白い肌と背後に横たわる不穏な黒い影。ミステリアスな雰囲気を醸し出します。ヌード表現に新たな歴史を開いたと言われています。
今回キスリングの傑作の一つが来日。
若い女性ベル=ガズーの姿です。
鮮やかなチェックは行動的な女性を象徴するかのようです。
その眼差しは遠くを見つめています。キスリングは洗練された写実の画家として名前を残しました。
「1938年にキスリングはラジオ放送でナチスドイツを批判するような発言をしたことによってドイツから死刑宣告者リストというのに乗せられることになりまして、それで身の危険を感じましてアメリカに亡命しています。一見すると美しい色彩が目に飛び込んでくるんですけれども、ただ綺麗なだけではなくて作家が持っている葛藤ですとか、あの美術に対する奥深い思いみたいなものが感じ取れて、やはりエコールドパリを代表する画家の一人かなと思います」
展覧会は来月7日までです。その後ご覧の会場を巡回します。
会場:東京都庭園美術館
会期:2019年4月20日~7月7日
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