大岩オスカール
光をめざす旅
この広い会場に巨大な絵が並びました。
こちらはブラジルサンパウロの風景。水面には映り込む町並みや、そこに浮かぶ船が丹念に描かれています。緻密さと大胆さに溢れる風景。
大岩オスカールの展覧会です。
日系ブラジル人であるオスカールさんは大学時代建築を学んだ異色の現代作家。その特徴が作品の中にも表現されています。
熱帯雨林を描いた作品「五つの巣」。
よく見ると樹林の中に人々が暮らす部屋が点々と描かれています。
そこにはベッドやソファーなど日常の風景があります。人間の営みをすっぽりと包み込む大自然。そのスケール感を描きました。
さらに無数の黄色い光。光は希望だと言います。
「本当に光というのはオスカールさんの初期の頃から一貫したテーマで、オスカールさん自身もブラジルという非常に光に溢れたあの土地で育って、この光の粒が描き込まれていて、光の中に自分にとっての安心感のようなものを見ている部分はあると思います」
酒と焼き鳥の匂いが充満する東京北千住の居酒屋。オスカールさんがよく通った店です。
25歳の時に来日。北千住周辺で11年間暮らしました。厨房から立ち込める煙を辿っていくと来日した時の飛行機が描かれています。
ここにはピンクの光が飛び交っています。オスカールさんの希望です。サンパウロめ東京、そして現在アトリエを構えるニューヨーク。場所を転々としながら続いた自分探しの旅。オスカールさんは自らのアイデンティティを模索する中で、光に希望を託したのです。
新作「光をめざす旅」森の中に溢れる光を描きたかったと言います。「今回の場合は盛りがあって向こう側に光があって、影が見えてくる単純な絵。
そこから何か精神的に自分が追いかけるイメージを描きたい」
今回展覧会のために新たに手がけたのが全長27メートルの巨大な作品「森」登場したのは白うさぎと黒猫。
うさぎの体は光を通して樹木が透けて見えます。
一方ネコは体中に草木をまとい光を遮る闇を表しています。
そして鑑賞者がこの作品の前に立つと光が背後から放たれます。オスカールさんが目指す光を見る人も体感できるのです。
この展覧会は8月25日まで。
会場:金沢21世紀美術館
会期:2019年4月27日~8月25日
映画、ドラマ、アニメの動画視聴ならU-NEXT<ユーネクスト>。映画やドラマ、アニメの名作はもちろん、最新作も超充実なコンテンツ数が特徴です。その数120000本以上。まずは31日間の無料トライアルを是非お試しください。