チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

新美の巨人たち 『かぐや姫の物語』

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高畑勲

 

革新的な手法を次々と編み出したアニメーションの巨人・高畑勲の遺作『かぐや姫の物語』。

通常とは違う、余白を残したラフな描き方。

製作期間8年、作画枚数24万枚…かなりの労力と時間がかけられた大作です。

セルアニメをもうちょっと壊したい」という高畑監督の譲れない思い、そしてこの映画で出した答えとは?

現在アニメーターを演じる井浦新さんがスタジオジブリを訪問!

鈴木敏夫プロデューサーにもお話を伺います。

美の巨人たち 『かぐや姫の物語

放送:2019年8月3日

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パクさんこと高畑勲さん。2018年4月この世を去りました。

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斬新な手法で挑みつづけ塗り替えてきたのは日本アニメーションの歴史。今日の作品は人生の到達点にしてアニメの革命。

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今日の作品。高畑勲監督の遺作《かぐや姫の物語

まずはその作品を見てみましょう。

ジブリの歴史が」舞台は美術館ではありません。映画館。貸切でお楽しみください。

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今日の作品。高畑勲監督の遺作《かぐや姫の物語

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竹から生まれたかぐや姫が月へ帰るまでの日々を紡いだ竹取物語。そこに高畑さん独自のシナリオを加えたお話です。でもよく知るアニメーションとは印象が違いませんか。

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「不思議なんですよ。この作品は。スケッチのようなところが突然入ってくるわけじゃないですか。

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プロの方だったら仕上げていくわけで、きれいに塗ったものを見せていくけれども、あれって本当に殴り書きのように書いたスケッチのような物が突然現れたりとかして」

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姫が怒りと悲しみを爆発させたシーン。

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ラフな線はまるで未完成。さらに。

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「スクリーン全てを端から端まで全部を描かないで、余白がたくさんある。日本画のような描き方をしている作品じゃないですか」

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背景は描き込まずどこかぼんやり。実はこの余白にこそ高畠さんの大きな狙いが。はっきりした輪郭線にきっちり色が塗られたおなじみのセルアニメーションとは全く違います。さらにわずか2秒間のシーンで生み出した映像芸術のとてつもない表現が。

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「高畑さんに期限内に作ってもらうのは非常にむつかしいので、やる手は一つしか残っていなかったんです。公開日を決めない」

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「こだわりっていうと言葉が柔らかすぎますね」制作期間8年。

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描かれた枚数は常識破りのおよそ24万枚。

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「大問題やってるんですこっちは。線で描く画って色んな画があり得るのに、セルアニメってひとつの方法に凝り固まっているずっと。もうすこし壊したいじゃないですか」壊す。

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そしてたどり着いた表現とは。

高畑さんの展覧会

東京都千代田区にある東京国立近代美術館。ここで今高畑さんの展覧会が開催中です。アニメーションを作るとき絵を描くのはアニメーター。高畑さんは筆を持たず演出を受け持ちました。実は宮崎駿さんのように自ら描く監督は少数派なんです。かって高畠さんが監督。宮崎さんが絵を書いて数々のヒット作を生み出してきました。この作品も。アルプスの少女ハイジ。1974年に大ヒットしたテレビアニメです。井浦さんが気になったのはアニメーションの下絵となる原画。「ただだた二人でくるくる回ってるかっていうと違いますからね。ねこういうのは。ハイジが後ろ向きになって表情が見えない時に、ハイジがどれだけ楽しい顔をしてるかって想像させる背中とかなるとかあると思います」
「あたしたちのアニメって当時は撮っても珍しかったの。なぜかわかる」1970年代の人気のアニメと言えば戦闘ものとか、ファンタジーものとかですよね。「そう。ドラマチックに展開する作品が主流だったの。でも高畑監督の考え方は全く違ってた。私たちの普通の生活を丁寧に細かく描いてくれたのよ」ただ服を脱ぐシーンも。表情を細かく細かく描き分けている。これが挑戦だったんですね。「そして監督は宮崎さんと一緒にスタジオジブリっていう会社を作るの。ここで新しい手法にどんどん挑戦していくのよ」

高畑さんの次なる挑戦がリアリティの追求でした。徹底的に緻密に描き込むのです。背景画はまるで写真のよう。究極の写実描写でリアルな世界を感じてもらおうとしたのです。ところがあることに気づきます。キャラクターが漫画なのに日本のアニメの背景はあんなにクソリアルになってしまった。写真のような背景に浮き出る二次元のキャラクター。真逆の二つがどうしても溶け合わない。そこで出した答えがこの映画でした。背景もキャラクターも細さをあえて省く。選んだタッチは手描きの水彩画風。その飽くなき探求の進化系が今日の作品です。「これこれこれ乱暴なところがゾクゾクってきて好きだったんですが」

 

セルアニメを壊す手書き線

かぐや姫の物語》キャラクターの描き方の最大の特徴を、こちらのシーンで見てみましょう。自由を奪われ感情が爆発。姫が走り出します。これこそ高畑さんがやりたかった表現でした。「人間ではない何かって予感させる瞬間でもありますよね。もののけに近い、人間の動きじゃないから」その原画は。「一つ一つ見ると何の物体だろうと思うんですけど、流れてみていくとかぐや姫が転げまわって端って、髪の毛振り乱してというのがちゃんと見えてくる」《かぐや姫の物語》は一般の的な手法とは違う工程で作られていました。私たちがよく目にするアニメーションは原画の鉛筆線を均一な線で清書します。でもかぐや姫では手書きの鉛筆線画がそのまま。均一な線での清書はしていません。「鉛筆で描いたそのままを映画にしたんですって。言葉にするとシンプルだけど、実はそれって禁断の領域と言うかな感じがしますよね。何をやってるんですか」そうなんです。アニメーション映画は数百人ものアニメーターが絵を描くもの。それを手書き線で統一するのは無謀すぎる挑戦でした。かぐや姫のプロデューサー西村義明さんは。「100人がいたら100人の鉛筆の筆圧は違うし、入り方も違うんですね。それをなぞろうとすると、デッサンの勢いが奪われてしまうんです。本来だったら一人の人間が短編アニメーション映画で5年10年かけて作り上げる作品のスタイルを、じゃあ数100人で長編として仕上げることができるのかっていうのがあの大きな挑戦だと思いますね」従来の方法とは全く違う。このラフな線で複雑な心情を描くことはできるのか。「彼女の中にあるのは怒りでもあり悲しみでもあり、諦めでもある。そんなもの一枚だけで描けるわけないんですよ。で高畑勲監督が悩んでいるアニメで何を提示したかったのか。阿修羅像を渡すんですよ。これどうでしょうかって、で1枚目に怒り、次の二枚目に悲しみ、三枚目にあきらめ。これがババババッと。あの線とあのラフさによって、この表現は許容される。入らないこれがあってあのせんとあの落差のよってこれは強要されるこの表現は許容されるんですよ。しかもそれは映像芸術でしかできない」井浦さんがもののけのように感じた姿そのヒントは阿修羅像に。怒り悲しみそして諦め。三つの表情がわずか2秒の間に幾度も行くとも交錯します。その枚数は実に48枚。さらにこの手書き線にはもう一つ大きな課題が。それは色を塗ること。通常清書された絵はコンピューター上で線の中を彩色します。ところが手書き線では線に途切れが。色の範囲を指定することができないのです。そこで必要となったのが手書き線の実線動画。色の範囲を指定する塗線作画。さらに着物や髪の毛などの模様作画。この3枚の絵を描かなければならなかったのです。「こだわりっていうと言葉が柔らかすぎますね。これが実現できないならやる必要がない。こういうスタイルじゃなかったら私は作品を作らないと」アニメーションの新たな可能性を見てみたい。その思いは背景画にも及びます。アニメーションではキャラクターとは別に背景画専門の美術スタッフがいます。理想的な田舎を表現したとなりのトトロ。生命力あふれる森が舞台となったもののけ姫。これらの背景画を書いた人物がかぐや姫の物語美術監督でした。「こちらの方が難しい」ここにも無謀な挑戦が。

 

緻密な背景より難しい

 

 

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