チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

瀬戸内国際芸術祭

瀬戸内海の島を中心に三年に一度開かれる芸術祭。4度目となる今年は春、夏、秋の三会期で新作88点を含む全214作品が展示される。

瀬戸内海などで昔見られた船上生活者の「家船」と呼ばれた住居をモデルとした作品。女木島にある空き家を元に制作されたKOURYOの《家船》「家船」が現代まで残っていたらと想定した中には生活感が広がっている。しかし、よく見ると壁や床は奇妙な生命体に覆われ、ここが単なるノスタルジックな空間ではないことがわかる。

男木島にも空き家を使った作品がある。遠藤利克の《Trieb-家》朽ちかけた民家の天井から流れ落ちる滝が床や畳を濡らしている。生活の場所だったところにキノコが生え虫がうごめく様は、日常生活と自然の境界を曖昧にし、訪れた人の五感を揺さぶる。

坂道に立つ真っ黒な廃墟のような作品はグレゴール・シュナイダーの《未知の作品2019》焼け跡をイメージするような作品だが、庭の枯れ木に芽吹いた緑とのコントラストが再生への希望を感じさせてくれる。

小豆島でかつて醤油醸造所組合の事務所として使われていた建物を使ったインスタレーションがハンス・オブ・デ・ビークの《静寂の部屋》灰色で塗りつぶされた部屋には書棚やピアノといった人工物や、動植物、目を閉じた子供の像が設置され、鑑賞者が入ることで空間に色彩が生まれる。

沖ノ島に小舟で渡ると出迎えてくれるのが、波打ち際や防波堤に埋め込まれた模造ダイヤが放つ光のオブジェ。鑑賞者は太陽光を反射して輝く場所を探し歩く。

国立ハンセン病療養所がある大島では、やさしい美術プロジェクトの作品など、入所者が辿った歴史を考えさせられる作品が並ぶ。