しなやかな闘い ポーランド女性作家と映像
1970年代から現在へ
腕力の圧倒的な差にもかかわらず戦い続ける女。
制作のきっかけは作者自身の DV の経験。しかし苦難に挑み続ける姿は人間の人生そのものにも感じられます。1970年代から現代までポーランドの女性作家の映像表現を紹介する展覧会です。
70年代。ポーランドでは共産主義の下であらゆるものは厳しい検閲や監視のもとに置かれていました。
テレビ画面に線や図形を描く手。放送されているのは国家に統制されたニュースです。
記号やバツを描く行為からは共産主義に異を唱える意図が感じられます。
バナナを口にする女性の連続写真。同時高級な果物だったバナナを挑発的に消費しています。
その姿は保守的なポーランドでスキャンダラスに受け止められました。
美術館でひたすらに芋の皮を剥く女性。2001年の作品です。当時民主化を果たし豊かになったポーランドでしたが、経済的に取り残された人々もいました。1970年代の恰好に身を包み、労働することによって何も変わっていないことを表現しています。
「共産主義政権下ではあからさまに批評的な、攻撃的な、あるいは戦いはっきり示すような作品が多いんですけれども、
2000年以降の作家になると。自分自身はその共産主義時代を経験していないので一定の距離感を保って、非常に真摯に批評的に、だけど新しいやり方で検証しようとしているという姿勢がとても特徴的だと思います」
東欧に古くから伝わる人魚・セイレーン。
都市を漂いながら象徴的な言葉で語りかけます。
人間でも魚でもない異質な存在であるセイレーン。差別や移民問題など、ポーランドが抱える苦悩と重なります。
屋上に身を乗り出す女性。作者自身です。彼女を支えるのは髪の毛を掴む人の手だけです。現在のポーランドにも立ち込める漠然とした不安や緊張が、作者が身をもって体現しています。
恵比寿の東京都写真美術館で10月14日まで。
会場:東京都写真美術館
会期:2019年8月14日~10月14日
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