チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

日曜美術館「浮世絵で見る忠臣蔵」

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日本で最も有名な物語の一つ、忠臣蔵

歌舞伎や無声映画もまじえながら、広重、歌麿国芳など人気絵師たちが描いた、多彩な忠臣蔵浮世絵を見ていく。

日本で最も有名な物語の一つ、忠臣蔵。元禄15年に47士が討入りした現実の赤穂事件を国民的な物語にしたのは、『仮名手本忠臣蔵』である。歌舞伎の人気演目となり、忠臣蔵を題材に、無数の浮世絵が描かれた。

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北斎、広重、歌麿、国貞、国芳など人気絵師たちはみな、自分の得意技を生かした忠臣蔵シリーズを作っている。

番組では、歌舞伎や無声映画も随所に入れ込みながら、『仮名手本忠臣蔵』の世界を浮世絵によって紹介する。

【ゲスト】大和文華館館長…浅野秀剛,活動写真弁士…澤登翠,国立歴史民俗博物館教授…大久保純一,中之島 香雪美術館館長…勝盛典子,【司会】小野正嗣,柴田祐規子

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日曜美術館「浮世絵で見る忠臣蔵

放送日

2019年12月8日

 

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プロローグ

歌舞伎や人形浄瑠璃に始まり映画やテレビドラマで例年と演じ続けられてきた忠臣蔵。江戸時代名だたる浮世絵師たちが忠臣蔵を描きました。

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これは北斎の討ち入り場面。四十七士たちがまさに邸内に侵入しようとしています。

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広重は蔦が紅葉し富士が白く輝く秋の情景と共に京都へと向かう母子の姿を描きました。

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歌麿は刃傷場面の人物を美人に置き換えました。

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振り上げているのは刀ではなくて手紙です。

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国芳忠臣蔵の浮世絵に新機軸を打ち立てました。

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陰影を施したどこか西洋風の討ち入り場面。

国芳の討ち入り場面を無声映画とともに見ていきます。

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今日は無声映画や歌舞伎を交えながら忠臣蔵の浮世絵をたっぷりご覧ください。 

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仮名手本忠臣蔵 

江戸時代に大ヒットした歌舞伎の忠臣蔵

正式には仮名手本忠臣蔵といいます。

初めて演じられてから271年。

三大名作の一つとして今日まで繰り返し上演されてきました。

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忠臣蔵の元になった実際の事件は赤穂事件と呼ばれます。

その発端は元禄14年。江戸城の松の廊下で起きました。

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赤穂藩主の浅野内匠頭吉良上野介に斬りかかりき傷を負わされたのです。

浅野内匠頭切腹を言いつけられました。

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赤穂藩の家老大石内蔵助は主君の恨みを晴らすため討ち入りを決意。

元禄15年。四十七人の浪士たちは吉良邸を襲撃。

吉良上野介の首をはね、その後切腹したのです。

江戸時代。

実際の事件をそのまま物語にするのは禁じられていました。

歌舞伎では設定を南北朝時代にして登場人物も名前を変えています。

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松の廊下で切りつける浅野内匠頭は塩谷判官。

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傷を負う吉良上野介高師直という名で登場します。

クライマックスの仇討ち場面。

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指揮しているのは大石内蔵助ならぬ大星由良之助です。

圧倒的な人気を呼んだ仮名手本忠臣蔵を浮世絵師たちは競って描きました。

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江戸後期の人気絵師・歌川国貞。

大判3枚続きのワイドな画面を駆使した忠臣蔵のシリーズがあります。

全部で11段に登る仮名手本忠臣蔵を国貞の浮世絵で見ていきましょう。

 

 

 

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穏やかな海に帆船がのんびりと浮かんでいるね。

南北朝時代が始まって間もない頃のお話だよ。

ここは鎌倉の鶴岡八幡宮

お祭りの大名達が集まっているけど、この時鎌倉を任されていた偉い武将が高師直

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ちょっと意地悪そうな顔をしているね。

吉良上野介にあたる人物だよ。

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その手前にいる大名が塩冶判官。

きりっとした一本気そうな顔だけどこちらのモデルは浅野内匠頭

さてこの場面はと言うと、その塩谷判官の奥方の顔世御前が八幡宮に奉納する兜を見定めるために呼び出されたところなんだ。

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顔世御前はご覧のような美人。

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皆が兜を奉納に行った時、横恋慕していた高師直が恋文を渡して顔世御前を口説いたんだ。

歌舞伎ではほらこんな具合。

肩まで抱き寄せちゃって。やだね。

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ここは御殿の中だけどいやな出来事が起こっているよ。

塩冶判官が今まさに高師直に斬りかかったところだ。

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これぞ仇討の原因となった刃傷事件。額の傷に手を当てて倒れている高師直

顔世御前にフラれた腹いせに塩冶判官をむちゃくちゃいじめた挙句この有様。

塩治判官は切りかかったんだけどよく見て。

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後ろから抱きとめられているでしょう。

それで額を切っただけでとどめを刺せなかったんだよ。

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ここは刃傷事件を起こして謹慎を命じられた塩冶判官の屋敷。

幕府から使者がやってきて、ちょうど塩冶判官に沙汰を申し渡しているところだ。

とても厳しい処分で判官は切腹

領地も没収されることになったんだ。

切腹場面は絵にないから歌舞伎で見るよ。

塩治判官は切腹するその時。

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駆けつけた大星由良之助に恨みを晴らしてほしいと刀を託すんだ。

ここで初めて主人公大星由良之助が登場するんだ。

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由良之助は表門に駆けつけてきた大勢の家来たちに塩冶判官の形見の刀を見せながらこう行ったという。

この刀で高師直の首をかっ切って本望を遂げよう。

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ここは京都の祇園にある一力茶屋。

華やかな場面だよ。

大星由良之助は仇討ちの本心を悟られまいと毎晩お酒を飲んで馬鹿騒ぎするんだ。

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国貞の絵には、一力茶屋で起きたいろんな場面が書かれていて目移りするけど、この由良之助が縁側で手紙を読む画面が最も有名なんだ。

これは討ち入りに関わる秘密の手紙で、由良之助は誰もいないのを確かめて読み始めたんだけど、実はこの手紙をこっそり見た人物がいるんだ。

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それは二階にいた遊女のお軽。

何気なく鏡でその手紙を盗み見してしまったんだ。

手紙を見たのはお軽だけじゃない。

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床下に男が隠れているよね。

高師直のスパイになった人物なんだけど、巻き紙の手紙が垂れてくるのを読もうとしてるんだね。

秘密を知られてしまった由良助。

この後一旦お軽を殺そうとするんだけど事情を汲んで許すんだね。

そしてお軽の手を取って床下に刀を突っ込んでスパイ男をやっつけるんだ。

さて仮名手本忠臣蔵もいよいよクライマックス。

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大星由良之助以下浪士たちが高師邸に討ち入ったんだ。

国貞はここぞとばかり派手な場面を書いているよ。

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肝心の高師直がなかなか見当たらない。

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さては逃げられたと思われていたその時、炭小屋に隠れていたのがが見つかったんだ。

由良之助がおとなしく首を渡しなさいと言うと、師直はその不利をして逆に斬りかかってきたので、由良之助以下浪士たちは刀を浴びせ討ち取った。

こうして浪士たちはついに本懐を遂げ、勝ちどきをあげたんだよ。


 

 

仮名手本忠臣蔵の人気で義士たちは英雄のようにもてはやされるようになります。

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武者絵で名をあげた絵師・歌川国芳は四十七士たちそれぞれの躍動感あふれる姿を描きました。

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飛んでくる矢を切り落とし、えいやと槍を突き、

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倒れながらも刀を振り、

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敵をめがけて駆ける。このシリーズは浮世絵史上空前の大ヒットになり、合わせて40万枚以上の売り上げを記録したといいます。

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国芳は浮世絵の常識を破る新機軸の絵を打ち出しました。四十七士の討ち入り場面です。

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どこか異国を思わせる建物。

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普通浮世絵には影がないはずなのに、雪の降り積もった道や建物には月の光が影を落としています。

国芳は一体どのようにしてこの西洋風の絵を描くことができたのか。

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その秘密を明らかにしたのが勝盛典子さんです。

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ニューホフというオランダ人がブラジルやインドネシアに赴き、現地の風俗などを記録した本の中に国芳の絵とそっくりの絵を見つけたのです。

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この挿絵は今のジャカルタ当時バタヴィアと呼ばれた街の様子を描いています。

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南国の強い日差しが照りつけ、光と影の強烈なコントラストができています。

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「構図はほとんど変えずにですねそっくりそのままとってしまうっていうことをしながら全くそのシチュエーションを変えている。例えばまあバタビアノの真夏のその夏雲のところが冬の寒空になって月が出るとか、

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ヤシの木があるところが松になるとか。

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この指を指す人物が大星由良の介に当たる人物になりますし。国芳忠臣蔵に変えたらどうなるかって楽しんでる。何になるのかなっていうそういう楽しみを見出してたんじゃないか」

国芳は義士たちの肖像でもこのオランダ人の本の写真を借用しました。

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国芳が打ち出した新機軸の肖像シリーズ。

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これら義士たちの姿を一体どんな絵から取っているのか無声映画活弁の語りとともにご覧ください。

 

元禄の世に咲いた武士道の花。皆さんよくご存知の忠臣蔵

国吉は浮世絵の常識を破る超リアルな描写で大向こうを唸らせたのですが、その際いかに西洋の絵を換骨奪胎しながら描いたのか昭和初期の無声映画とともにご覧いただきましょう。

元禄15年12月14日。夜半の雪を蹴って進む赤穂の浪士たち。

目指すは本所松坂町吉良の屋敷。静寂の寒気を破り、浪士たちはどっとばかりに突入した。
陣太鼓を打ち鳴らし四十七士を率いるのは大石内蔵助

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国芳が描いた由良之介の姿。

ふっくら丸みを帯びたその姿から大人の風格がにじみ出ると同時に、一文字に結んだ口。

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きりっとした目元から芯の強さが浮かび上がる。

どうです。浮世絵というよりまるで本人を前にして描いた肖像画のようではありませんか。

 

さて、門を打ち破り塀を乗り越え、吉良邸に押し入った浪士たち。女子供にはかまうな。目指すは吉良上野介ただ一人だ。勇み立つ浪士たち。

皆もとより死は覚悟の上だった。

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刀を抜き警戒網を避けるべく体を傾けるは富之森祐右エ門。

別れの時老いた母からもらった小袖を身につけての討ち入りだ。

ところでこの祐右エ門のポーズがどこから来ているかと言いますと。

これです。

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ここは樹の生い茂る森の中。

槍と盾を持った半裸の男が今まさに戦いを始めようとするところですが、この座る男が指を指し命令を出しているようです。

実はこの男から祐右エ門のポーズが描き出されたのです。

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どうですこの腕を広げ具合と指を立てた右手。

そして顔を傾け左の方を見やるまなざし。

国芳はこの原住民に服を着せ刀を持たせてしまったのであります。

さて、吉良邸に戻りますると、チャンチャンバラバラ。
 

 

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中には妻を離縁して仇討ちに加わった者もおりました。

屋根の上の敵を射るのは潮田又之丞

類が及ぶのを恐れてか又之丞はこの討ち入りのため愛する妻を離縁したのでありました。

又之丞の姿はブラジルから来ているのであります。

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ジャングルの中、裸のままで矢を背負い弓をいる男。

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矢はまさに今鳥に命中したところです。国芳はこれをそのままいただきました。

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矢を放った男は上目遣いの顔から腕の張り具合までそっくり。

しかしよく見ると微妙な違いがあります。

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ブラジル人の弓の弦が腕のこちら側にあるのに対し、又之丞の方はつるが腕の向こうに入っています。

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日本の弓は射った後弓返といって、弦が無効に行く。国吉はそのディテールを丹念に描いているのです。

さて、赤穂浪士たち。どこを探しても吉良上野介の姿が見つかりません。

刻一刻と夜明けが近づいたそのとき。

吉良殿がしれた。合図の呼子が一斉に鳴り渡りました。

長槍を方にもたせかけ、呼子を吹いて知らせる吉田沢右エ門。

親子共々討ち入りに加わったのであります。この沢右エ門の姿。

もうおわかりでしょうこれもまたジャングルから来たのであります。

今度は男三人。手に長い筒を持っておりますが、これは獲物を捕らえるべく毒矢を吹いているのです。

国芳はこの真ん中の男のポーズを真似ました。

ねじりはちまきにカールする長髪。そして遠くを見据える黒々とした目には光を反射して白い点が描かれています。

どうです国吉はその白い点まで取り入れています。

もちろん赤穂浪士に狩猟させるわけにはいきません。毒矢を吹いている姿をそのまま呼子を吹く姿に変えたのです。

見事国芳。あっぱれのアレンジぶりではありませんか。

さて山場を迎えた忠臣蔵。往生際の悪い吉良上野介。いやいや私は吉良ではござらぬ。しかしその額のキズ。吉良様お覚悟。おお討ち取った。 男同士達の勝どきが轟いたのでございます。お分かりいただけましたでしょうか。国芳の義士たちのリアルな人物描写はなんとジャングルに住む原住民から取られていたというところで、国芳忠臣蔵。大団円でございます。

 

スタジオ

 

絵師たちが描いた忠臣蔵

歌川広重もまた忠臣蔵シリーズを手がけました。

風景画の名手広重の忠臣蔵は四季折々の風景とともに季節感豊かに展開していきます。

ここは刃傷事件を起こした塩治判官のお屋敷。

今まさに処分を伝える使者たちが来たところで。

この後塩治判官は切腹するんだけど、広重の絵は桜の花をメインに据えているよ。

塩治判官の切腹は春だったんだと改めて季節感を感じるね。

今度はその次の段だけど、夏になったんだね。

夜激しく雨が降っているよ。

これは義士に加わろうとした寛平という若者にまつわる一場面なんだけど、 姑のじいさんがこのやぶれ傘をさした盗賊に襲われたところなんだ。

この陰惨な場面をかき消そうとするかのように雨が降り注いでいるね。

もう秋が来たよ。ほら紅葉した蔦が巨大な松の幹にまとわりついているよ。

ここは東海道。とある家の母と娘が大星由良之助が住まう京都山科を目指しているところなんだ。

それにしてもこれなんか、広重が得意とした東海道の風景画そのもの。

ほら真っ白に雪をかぶった富士山も顔を覗かせているよ。

いよいよ広重の技が冴える雪の情景。四十七士たちが高師直の屋敷へ向かう場面だ。

橋の上を黙々と歩いていく浪士たち。

夜の静寂の中をシルエットになって進んでいくよ。

そして討ち入り。雪が積もった屋敷の庭に高師直を引っ張り出して取り囲んでいるところだ。

最後まで争う高師直の惨めな顔。

仇討ちのクライマックスをしっぽりと雪景色が取り囲んでいる。

夜が明けて真っ赤な太陽が昇るん中。

義士たちが仇討ちょを成し遂げたことを知らせようと亡きの主君の墓前に向かうところだ。

広重は討ち入りの一部始終をなんと6枚も書いているんだが、ひょっとすると雪の場面を描きたかったからかな。

「これは街道ものの経験かなとか、これは江戸名所の経験かなと思わせる部分があります。たとえば五段目の場面です。ザンザンと降るような雨を東海道の土山の表現を思い出したりとかしますけども、そのはっきりとしても明確な線で持って、降り続く雨を造形化するっていうのは広重の雨の表現として味があると思います。忠臣蔵そのバックに書く風景は自分の十八番であるという力量は見せなければいけなかったと思うんですよね」

 

さて今度は美人画の名手喜多川歌麿

忠義に生きた男たちの物語を歌麿は何と美女達に置き換えてしまったのです。

これは忠臣蔵の発端刃傷場面に見立てた絵だよ。

でもどこって感じでよく分からないね。

絵に何が書かれているかってことだけど、左下の娘に手紙が来たのを妬んだと思うけど右上の女性が取り上げて丸めているところなんだ。

真ん中の女性がそんなことしないでって、残りの手紙を咥えて必死で止めてるよ。

でもこの女性の格好。刀を振りかざしているように見えるでしょう。

そう。塩冶判官が斬りかかったところに見立てているんだ。

そして切られたれた高師直に見立てられているのがこの娘。

手に持っている水引暖簾に高の字があるからわかりやすいけど、実はこの娘は当時実際にいた有名な美人で、歌麿が何度も書いた高島おひさという名前。ほらよく見ると暖簾には高島とあるよ。

当時の人たちは町娘が繰り広げる日常の出来事を刃傷事件に見立てた面白さを楽しんだんだね。

これはちょっと艶めかしいでしょう。

胸をあらわにした女性な身支度をしてるんだけど。

手に手紙のようなものを持っていて何か話が弾んでいるような様子だね。

これは何に見立てているかって言うと、中央の女性を仇討ちに加わろうとした寛平という男に見立てているらしいんだけど、この寛平はわけあって討ち入り前に切腹するんだ。

この胸をはだけているのは切腹する姿だというわけさ。

壮絶な切腹の場面を艶かしい女性の化粧姿に置き換えた妙を楽しんだらしいよ。

何やら女性たちがたくさんいて、賑やかな宴席の場面だよ。

お酒を勧めたりついでいるその向こう。なんか踊り狂っているような女性達がいるね。

この雰囲気どこか討ち入りの時の立ち回りのように見えてこない。

そう。この大勢が入り乱れる様子を討ち入りに見立てられているんだ。

ところで女性たちに囲まれて一人だけ男が描かれているよ。

これはきっと浪士たちに囲まれた高師直に見立てているんだろうね。

実はこの男は歌麿自身なんだ。ほら羽織に字が書いてあるでしょう。

歌麿は自分を悪役の高師直に見立てていたのだね。

 

スタジオ

・見立ての面白さ。自分の得意分野でその忠臣蔵っていう主題に応答してるけど答えてるってはすごいですね。

・絵師たちにしても、忠臣蔵をお願いしますと言われたとき、自分だったらどういう値雄心倉にできるんだろうか、自分のオリジナリティを出せるのだろうかっていうことを考えたでしょうね。その時に広重だとやっぱり風景画。イメージをどうやって拡張させようかと。歌麿美人画家なのでそのまま書くわけにいかない。美人にアレンジする見立てるという手法を使う。そういう風俗画にするということで人との差別化を図る。

・この絵はどのシーンかと分かる人たちもすごいと思う。

歌麿の方も100%わからなくてもいいから。でも100%分かったらすごいよっていうような意味合いで。

切腹という陰惨なものが胸がはだけてるって言うような少しつややかなものに変わってる読み替えはすごくな。

・当時の美人をまず出す。忠臣蔵のストーリーを出す。そしてさらにそれをどうアレンジしたかっていう手腕を三つ楽しむ。

・教養の高さと言うかその広さを感じますね。

忠臣蔵の発端になった赤穂事件。庶民にとっては大事件でありますでも庶民もかなりの人間が共感共鳴した好感を持ったことは当然ベースにあると思うんですけど。それをアレンジした仮名手本忠臣蔵がいろんな要素を盛り込んだ見事なストーリーだったことがベースにあって、それを浮世絵師は描いて、最初は歌舞伎に沿って描いてたのが、だんだん一工夫し、いろんなの忠臣蔵をバリエーション豊かに描いていった。それが重要。文化のその積み重ね。重なりが類まれな文化現象を生んだと考えています。

 

取材先など

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

書籍

展覧会

 

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