シリーズ「春の京都で美に憩う」第2弾!近藤サトさんが妙心寺塔頭・退蔵院の庭へ
▼室町時代の絵師・狩野元信が画業の集大成として完成させた枯山水庭園「元信の庭」には数百年変わらぬ美が!広々とした池泉回遊式庭園「余香苑」。昭和の造園家・中根金作が作り上げた庭は水と植物の豊穣な世界。澄んだ音を奏でる「水琴窟」その驚きの仕組みとは?作者が求めた美の違いに迫る!日本最古の水墨画「国宝『瓢鮎図』」も登場!
新美の巨人たち 京都『退蔵院の庭』
放送:2020年4月11日
庭は寡黙です。
何かを語りかけているようで何も語ることなく、控えめに物静かに佇んでいます。
それでも庭に引かれるのはなぜでしょう。
そこには一体どんな美があるのでしょうか。
「癒されますねこの音は」
本日は近藤サトさんが知られざる京都の庭を旅します。
訪れたのは近藤サトさん。
京都には格別の思い入れがあるそうです。
「妙心寺は初めてこちらに伺いますが、京都の番組を5年ぐらいやってましたのでナレーションではタップリやってるんですね。なのでやっと来れたって言うね」
山門、仏殿、法堂と一直線に立ち並ぶ妙心寺伽藍の威容。
見下ろし睥睨する眼の迫力。
中でも屈指の古刹、退蔵院にお目当ての庭があります。
開山は1404年。その歴史は600年以上。
方丈の建立は安土桃山時代。
剣豪宮本武蔵がここで修行したと伝えられています。
「どうも今日はよろしくお願いいたします。近藤サトと申します」
退蔵院副住職、松山大耕さん。
ローマ教皇への謁見やダボス会議への出席など、宗教の垣根を超え、世界で活躍中のお坊さんです。
一体どんな庭でしょう。
「こちらは枯山水の庭」
今日の作品。国指定名勝史跡「大蔵院枯山水庭園」。
およそ50坪というこじんまりとした庭です。
枯山水とは石や白砂を使って、そこにあたかも水があるように仕立てたもの。
背景に植えられているのはヤブツバキ、松、まきなど一年を通して緑をたたえる木々。
「京都にはたくさんの枯山水がありますけども教科書のようなものだと言ってもいいと思います。まず石の使い方。赤い石とかちょっと茶色っぽい石が黒い石。それをうまく組み合わせて、それから平らな石角ばった石。そういうのを組み合わせてるもんですから非常に濃い。立体的に見える」
「こちらからご覧頂いても綺麗なんですが中の方から今日はちょっとご覧いただこう」
庭が最も美しく見える方丈の中へ入ると。
「ここが一番よく見える。すごいですね」
方丈の障子を開けて庭と向き合う。
ここがベストポジションです。
見事な枯山水は元信の庭と呼ばれています。
天下画工の長、狩野派を率いる二代目狩野元信が策定しました。
絵師としての代表作は四季花鳥図。
山水の荘厳な風景は得意とするところでした。
退蔵院の庭を作ったのは70歳の頃。
晩年を迎えてからと言われています。
「元信の庭ってすごく絵画的という風に表現されることが」
「山水の世界を実際の庭で表現している」
元信の庭はいったいどんな世界なのか。
庭の北西にある石組みが枯れた木。
流れの始まりです。
流れ出た水は枯れ池へと。
低い位置に配置された碑が視線を横へと誘います。
流れは枝分かれし島を巡り、橋をくぐって海へと注いでいく。
見えない水の生々流転。
障子を額とした絵画のように、元信は画業の集大成に絵を立体として作り上げたのです。
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では紙の上に書かれたもので
なくなりますよ
だけれども言わ言わは残るんですね
そういった地球形作るものを
一つの世界に閉じ込めたという意味では
私たちが生きる地球を表した
そんな気がしますね」
絵画であるならばいつまでも変わらぬ日をたたえなければならない。
千年先も美しくあるように元信はこの庭に不変の美を求めたのです。
元信の庭に隣接するようにもう一つの庭があります。
出迎えてくれるのが白い敷き砂の庭。
砂文は定期的に松山さんが引いています。
規則正しさが実に心地いいですね。
白い砂と向かい合うように黒い砂で砂文を描いていて
あのこれは思ったより存在感がありますね。
広い庭と黒い庭こんな意味があるそうです。
いんとようということなんですけれども、あの仏教でいうところのあのません
夜にと言うんですけれども
二つにあらず
と言えばこう光が当たれば影ができるという
でも光と影で分離不能じゃないですか。こう白黒と見るんじゃなくて一つのものとして見ていくという。それを表したものです」
人にも物事にも良い面と悪い面がある。
単純な二元論で感じるのではなく、あるがま受け入れよという教えを表しているのです。
さらに進み最も低い位置から振り向くと、そこに。
今日の作品その二、公園。
およそ850坪。お寺の境内にあるとは思えないほど広々とした池泉回遊式庭園です。
手前は低く奥に行くほど高く。
「背後の刈り込みとか植栽とそれから空のバランスを非常にうまく使ってる植栽があることによって奥行きが出てくるですね。刈り込みのこの緩やかな流れですね敵の位置が下の一番奥のとこに円形を感じさせるような石を含んであるということで非常にご立体的に構成されてると思います」
僕の植木は大きく丸く借りて前に行くほど低く刈ることで実際よりも奥行きを強調しているのです。
そのダイナミックな構図の中に。
三段落ちの滝。
流れ出る水は川となり、やがて池へと。
動から静へ見事な変化を見せているのです。
「ここまで重大な庭だとは思わなかったですね。力のある作庭家が美的な要素を意識
して作りこんだっていう芸術的な庭だなーって思いますね」
作者は中根金作。
昭和の小堀遠州と称えられた造園家です。
17年連続で日本一に選出されている足立美術館の庭など、日本のみならず、海外でも300を超える庭園を手がけました。
中根金作のご子息史郎さんは父のことを
「とても厳しい純粋芸術家だと思いますね。造園家というのは常にお客様のために使ってるんですが良いというのは何も自分のために作っている
こういう目的であればこう言うにはじゃないといけない
それはあなたは分からないのか。そういうことは許さない。もしそれを認めてくださらないのであれば私はやめさせていただくとかそういうのところがあったですね」
退蔵院より作庭の依頼があったのは昭和38年。
中根金作は3年の歳月をかけてよ公演を作り上げました。
彼の言葉です。
「作庭とは空間に石が樹木といった素材を使って立体的に絵画を描くことである」
この庭に何やら不思議なものが。
つくばいと地面から生えた竹筒。
耳を当ててください。
いったい何でしょう。
その一隅に奇妙なものがあります。
「耳を当ててください。何だろう」
水琴窟と呼ばれています。
一体どんな仕組みなのか。
その工程は大きく分けて八つ。
手間のかかる仕事です。
林造園さんに作る過程を見せていただきました。
まずは地面に穴を掘ります。
深さおよそ120センチ。
穴の底に栗石を置き、砂利、砂を敷きます。
その上に瓶を据え付けます。
瓶を囲むように石を敷き詰め、水鉢を固定し、周りには飾りのような約石を置きます。
瓶の口の周りにコンクリートを打って、それが乾いたら穴が開けられた蓋を固定。
水かけ石を置けば完成です。
どうしたらあの音がなるのでしょうか。
「水滴が落ちまして、その水滴と一緒に空気を一緒に水の中に潜らせるんです」
水が落ちました。すると
「空気が水の表面に上がってきてを弾けた音・最初に聞こえてくる音がストレートに聞こえてきて次に余韻を残した音が聞こえてきてそれがマッチングするわけですね」
中に埋めた瓶の下部には常に水が溜まっています。
落ちた水滴が弾け亀の壁面に共鳴することで音を発するのです
「音の美ですね。繊細な日本人の音の美だと思います」
電話もう一度。
「癒されますねこの音は」
水琴窟は教えてくれるのです。音にも美があると。
余香苑は晴れた日もよし。雨の日もまたよし。
植えられた植物はおよそ60種類。
季節ごとに装いを変えます。
春には見事なしだれ桜が咲き誇り。
緑鮮やかな夏。燃える秋。冬の雪化粧。
「全く違いますね印象が。隣り合わせにある庭とは思えないぐらい。だから導入の入り口にいるのに和と洋の庭を作った。違うものをこれだけ見させられると驚きました。でも驚かないように導線でアプローチを作ったっていうのは中根金作という庭師のもと庭に対するリスペクトと感じさせるような庭の作りですね。敬意の念を家作ってるって凄いですね」
普遍を求めた元信に対して中根金作が作り上げたのは変化の美でした。
自分の描く絵画は自然の営みによってより美しくなるのがと退蔵院です。
もうひとつ見逃せないものがこちらの絵です。
瓢鮎図なんと国宝です。
「日本で一番古い最古の水墨画でございます」
山深き渓流の川べりに男が立っています。
手には瓢箪。川の中には一匹のナマズ。
何とも奇妙な絵です。
ひょうたんを持っています。
川にナマズがいます。
果たしてこの絵が意味するところは。
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退蔵院方丈にある国宝
瓢鮎図を書いてあるん
でも運動を描かれたこの小さいおばさんに
こんな大きな窓を捕まえろというは
こういう問題なんですね。
つまりつるつるしたナマズをさらにつるつるしたひょうたんで捉えるにはどうするか
という問いかけに京都五山の高僧たちが答えて曰く。
鯰を押さえるのに何のつもりでひょうたんを使う。
抑えられるか抑えられるかいずれにしてもお笑い草中にはこんなのも瓢箪で
鯰を押さえつけるとはなかなか上手いやり方だ
ゆうとうまくやろうとするなら
瓢箪に油を塗っておくない
愛不可能と思える問いにどう答えるか禅問答なので正解はありません。
あなたここのナマズだったんですね一つ答えてみんか急に言われても近藤さん
何かパシッとしたお答えお願いします。
いやいやいやいやもう恥ずかしいです
本当はここでね
微笑んで終わりたいところなんですが
この男性は私です
取れないことが分かってても
取ろうとするその営みが私の道なんだなあというふうに私は何の見てしまいました
すいませんでした元信の庭です
普遍を求めた枯山水のボタンと風格よ公園は幽霊とした変化無限の庭です。
変わらぬこと変わること市外壁静謐なる佇まいと北条なる佇まい。
昭和のには何かを語るようで何も語ることなくただ訪れた人々の心を映して。
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