チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

新美の巨人たち 徳川家の野望が生んだ美しき名城『二条城』

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シリーズ「春の京都で美に憩う」第3弾は2週連続で世界遺産『二条城』!各所に施された京都の名城こだわりの装飾美や謎をシシド・カフカさんが巡ります。今回はその前編。
『二条城』は1601年造営。天下分け目の大戦、関ケ原の戦いの翌年に徳川家康が築城し、十五代将軍・慶喜大政奉還を宣言した、まさに江戸時代の幕開けとその最期を見届けた古城です。実はこの『二条城』、一般の城とは全く違う姿をしているのですが、一体なぜなのか?
現在の『二条城』の姿になったのは1626年。三代将軍・家光が大改築を敢行しました。狩野探幽率いる江戸幕府御用絵師集団・狩野派や、御所や南禅寺の庭も手掛けた小堀遠州など、美術史に名を残す巨匠たちによって当時の最先端の芸術で美しく煌びやかに装飾された建物や庭…実はそこに数多くの驚きの仕掛けが!その背景には家光の苦悩と野望が隠されていました。
そして最新芸術プロジェクションマッピングで古城に華麗な花を咲かせます。煌びやかな芸術で人々を魅了した『二条城』に、再び華麗な現代の息吹を吹き込むように…。

 

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美の巨人たち 徳川家の野望が生んだ美しき名城『二条城』

放送:2020年4月18日

 

京の都。由緒あるお城の門番さんです。

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江戸時代の落書きが本当に残ってました。

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伏見の稲荷と誰かの名前。

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今日の作品は京都のど真ん中。甲子園球場7個分の広さ。

世界遺産二条城。徳川将軍家の城です。

造営が始まったのは1601年。

関ヶ原の戦いで勝利を収めた翌年のこと。

築城主は初代将軍徳川家康

その後、2代将軍秀忠と共に3代家光が今の姿に改修しました。

幕末に大政奉還が行われた場所。と言えばピンと来る方もいるはずです。

数々の重要文化財や国宝を持つ二条城。

実は普通の城とは全く違うたくさんのふしぎが秘められているのです。

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「堀の奥行きがないですね。ここを越えていくのは大変だろうなっていう幅があるのがお城っていうイメージですけどちょっと頑張れば行けそうな距離しかないですね」

例えば大阪城

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お堀の幅はなんとおよそ70メートル。

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でも二条城は、将軍家の城にしてはなぜか堀が狭い。

敵が攻めてきても泳いで渡れそう。

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中へ入るとお城とは思えない光景が。

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「日本庭園。のんびりしてる」

二条城は桜の名所としても知られています。

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場内には300本の桜が。まるで景勝地

夜になると。皆さんが今か今かと待ち構えるのはプロジェクションマッピング

歴史あるお城がカラフルに彩られます。

こちらも満開。

毎年、季節の花をテーマに開催されるイベント。

人の動きと映像がリンクする体験型の作品もあり、家族みんなで楽しめます。

最先端のデジタルアートの舞台にもなる世界遺産二条城。

お堀から門の内側まで戦いのイメージとはかけ離れた二条城。

でもこのお城の不思議はそれだけじゃないんです。

城の彫刻は眩いばかりの極彩色。

金色の障壁画。その数3600。いったい何のために。

荒々しい岩石の並ぶ勇壮を極めた日本庭園。

でも角度を変えると一転。優雅な景観が現れます。

「戦うための城ではなくて招き入れる」

つまり心理戦。

徳川家が京都に建てた、戦わないための城。

二条城を彩る芸術作品に仕掛けられた謎を紐解くと浮かび上がってくるのです。

徳川の苦悩と野望が。

 

二条城二の丸。

ここからは将軍様に謁見する大名の気持ちになって見ていきましょう。

向かう先には家光の大改修で生まれ変わった御殿への入り口。

檜の皮で拭かれた唐破風屋根。

黄金の装飾がまばゆい光を放っています。

重要文化財「唐門」です。

「すごい。なかなかお城の門構え。どこまで豪勢なものってないんじゃないかなって言う」

様々な彫刻が桃を飾る国際色の世界。

実は重要な意味が込められているといいます。

二条城の学芸員野志保さんに教えてもらいました。

「鶴と松の木が縁起がいいな思って」

「鶴は千年亀は万年。ずっと繁栄が続きますように」

二条城を訪れた大名が必ず通るのが唐門でした。

だからこそ徳川家の力と揺るぎない繁栄をここで見せつける必要があったのです。

のっけから圧倒され次に通されるのが将軍との謁見の場。

国宝二の丸御殿です。

ここに徳川のさらなる圧が仕掛けられていました。

 

案内は学芸員の松本直子さん。二条城の障壁画を日々研究しています。

目に飛び込んできたのは光輝く金色の障壁画。

「虎。ちょっと虎柄じゃないのもいるんですけども」

 

この二の丸御殿を訪れた大名はまず入ってすぐの遠侍に通されました。

ここで順番を待った後、式台で老中に挨拶を済ませます。

そしてようやく将軍とま見える大広間へ。

奥にある黒書院は特別な来客の際に使われ、白書院は将軍のプライベートルーム。

虎や豹に囲まれたこの部屋は遠侍。

実は部屋の用途に合わせて描かれる題材も異なります。

ではこの絵には一体どんな狙いがあるのでしょう。

「強い獣を描くことによって威圧感を与える。お殿様に会うんだっていう緊張感を

もってもらう」

最初に通された部屋で背筋が震えます。

そのまなこの描写にも工夫が凝らされているそうなのですが。

肉眼だとわかりにくいのでカメラで見てみましょう。

「目がきらっと光ってみると思うんですけども」

白目の部分に青を点し瞳の周りにはあえて金を使っています。

「強調されますね」

「それこそが光の加減とかであえてそういう風に作ってる感じはありますね」

当時、薄暗いろうそくの灯りの下なら瞳の金が輝きまるで生きているように見えたかもしれません。

恐ろしい獣にすっかり萎縮させられて大名たちが次に通されるのがこちら。

式台。

老中と挨拶を交わす部屋です。

描かれているのは堂々たる松の木。

冬でも葉を落とすことのない松は太く長く繁栄を続けるシンボルとして

描かれました。

趣向を凝らした様々な障壁画で徳川の意向を表したのが狩野探幽

わずか11歳で徳川家康に腕を認められ、幕府お抱えの絵師となった稀代の天才です。

二条城では絵師集団を率いて天井や廊下におよそ3600枚もの絵を描きました。

どの探幽が持てる力の全てを注ぎ込んだという二条城代表障壁画があるのがこちら。

将軍との謁見の場。

大広間です。

大名たちの心持ちはいかばかり。

すごい仕掛けがあったんです。

「音楽が聞こえてきそうです」

再現されているのは15代将軍慶喜大政奉還

当時の大名達はこうして将軍に謁見したそうです。

大名たちに向けられた仕掛けとは。

 

 

 

徳川将軍家が威信をかけて改築した二条城二の丸御殿。

「松の向き何かをちょっと見ていただくといいかもしれない」

将軍様に向かって生えてくるっていう印象は受けます」

松の枝ぶりを眺めていると視線は自ずと将軍が座る松の方へと向かいます。

実は障壁画に視線を誘導する仕掛けが。

さらに将軍の背景の松にも。

 

「特別な人がここに座っていますということがよくわかる」

将軍の座る位置を計算し豪壮な枝を伸ばす松が配されています。

これには天下人の威厳を示す効果が。

そしてもう一つ。

将軍の背景にある松は他に比べて小さく描かれています。

これもまた徳川の威厳を高めるための仕掛け。

側面の松を大きく奥の松小さく描くことで将軍は遠くにいる崇高な存在なのだと強く印象付けているのです。

「謁見しに来た人たちの心理状況をコントロールしているっていう事ですよね。ある意味たくみですよね」

でもなぜ天下の徳川家が大名たちをここまで威嚇する必要があったのか。

それは二条城を改修したのが三代将軍家光だからです。

家光が生まれたのは関ヶ原の戦いの四年後。

戦を経験していない初めての将軍でした。

天下分け目の大戦を知らぬこわっぱ。

乱世を生き抜いてきた猛者達が注ぐ厳しい目。

彼らの上に立つために将軍の威信を見せつける豪華な城がどうしても必要だったのです。

「人を招き入れ襟をただせる時もあれば、目線も誘導して物事を見せる時もあれば自分の姿勢を見せるのも含めて芸術によって心理を動かして自分を表現しているって事だなと思います」

武力ではなく芸術の力で大名を従える。

それが天下を治める家光の戦略だったのです。

二の丸御殿の前に広がる特別名勝、二之丸庭園にもその狙いが見て取れます。

作ったのは証憑とした風貌が伝わるこの男。

小堀遠州

南禅寺の名庭園などを残した江戸初期を代表する作庭家です。

「石の置き方が独特な気が」

この庭園を読み解くヒントは石。

そこに小堀遠州が家光のために仕組んださらなる仕掛けが。

 

 

二条城の中に広がる二の丸庭園。

江戸初期を代表する作庭家、小堀遠州が三代将軍家光の意向を汲んで作り上げました。

多くの石が縦に配置され人を拒絶するような厳しい表情をしているのが分かりますか。

「力強い無骨な雰囲。厳しい」

人智の及ばない荒々しい自然を再現した庭に大名たちも共感したに違いありません。

家光は庭でもその力を誇示して見せたのでしょうか。

我こそ天下の大将軍と。

さらにこの庭にはもうひとつの顔が隠されていました。

あの橋に向かいます。

「ここからは特別に」

ここから池の裏側へ回ります。

石橋に立って庭を眺めてみると。

「雰囲気がちょっと違うような気がしません」

「平和な平穏なイメージですね」

荒々しさとは正反対の平穏な庭の顔。

実はそこに徳川家とさる高貴な方との歴史を変えるドラマが。

天皇ですか」

戦を知らない家光が大名達に将軍の意見を示す。

そのために芸術の粋を集めて作り上げた二条城。

ところがこの城はもう一つの顔を持っていたのです。

その謎を解くキーワードが天皇

二条城の二の丸御殿に作られた天皇のためのしつらえ。

謁見の間とは打って変わったみやびで華やかな演出。

さらに二条城を代表する名画に令和の新発見。

次回戦わない城・二条城の真の姿が見えてきます。

 

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