チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

日曜美術館「#アートシェア 今こそ、見て欲しいこの一作」

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新型コロナウイルスに揺れる今だからこそ、見てほしいアート作品がある。題して「#アートシェア」。番組では,アーティストや美術館関係者などに緊急アンケート。横尾忠則さん、安藤忠雄さん、辻惟雄さん 原田マハさん、会田誠さんなどがとっておきの一作をアートシェアします。あの名画から、知られざる逸品まで。今を生きるための「ヒント」にあふれた作品たちをお楽しみ下さい。

【出演】安藤忠雄、片岡真実、横尾忠則、橋本麻里、辻惟雄いとうせいこう原田マハ高橋明也、会田誠飯沢耕太郎【司会】小野正嗣,柴田祐規子

 

安藤忠雄さんの本

片岡真実さんの本

横尾忠則さんの本

橋本麻里さんの本

辻惟雄さんの本

いとうせいこうさんの本

原田マハさんの本

高橋明也さんの本

会田誠さんの本

飯沢耕太郎さんの本 

 

日曜美術館「#アートシェア 今こそ、見て欲しいこの一作」

放送日

2020年5月31日

 

街に人気が消えたひと1月半。

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美術館に出かけ作品に出会うことがどれほどかけがえのないものだったのか気づかされます。

アートシェア。

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番組ではアーティストや美術に関わる人たちに緊急アンケート。

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こんな今だからこそ観て欲しい作品をあげてもらいました。

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あの名画から知られざる逸品まで。

そこにはアートがくれる喜び、やすらぎ、そして困難な時代を生きるためのヒントがありました。

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最初のアートシェアは日本美術研究の第一任者辻惟雄さん。

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「シェアしたいのは、伊藤若冲が晩年に書いた象と鯨図屏風です」

江戸時代中期。独自の画風を築いた伊藤若冲

鮮やかな色彩で知られる絵師晩年の水墨画です。

「どれを選ぼうとあれこれ考えましたが、新型コロナが人の心を脅かす。不安にしているご時世に、「なぐさめ」「なごみ」になるものを考えました。象と鯨っていう、若冲が82歳。私より歳年下なんです。そういう年齢で描いたあんまり力が入ってないっていうか。その割にはスケールの大きな、そしてなによりも惹きつけられるのは、この和やかな象と鯨がお互いに挨拶しているような、向き合いが好きです。陸の王者と海の王者と言いましても、非常に和やかな雰囲気でほっとするような絵ですね。こういう非常事態にびくびくせず。こういう象と鯨のようなおおらかな気持ちになって頂きたい」

 

スタジオ

非常事態だからこそをもらった気持ちでこの絵を見てほしいという辻さんですが

小野さんはどんな風にごらんいただきましたか。

「辻さんのその大らかさっていうその優しい語り口っていうものに心打たれました。美術作品っていうものは人の心を慰めるイブするものだっていうことで、イブの仕方が優しく元気か元気かいっていう風に声をかけてくれるような、辻さんはエールっていうお言葉を使われましたが、作品が語りかけてくれる。声をかけてくれる。それに私達も同じようなおおらかな気持ちで答えて手をあげたいって思います」

 

続いてのアートシェアは写真です。

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日本を代表する写真評論家・飯沢耕太郎さん。

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「この写真集。牛腸茂雄という写真家が1977年に自費出版で刊行した《SELF AND OTHERS》自己と他者という写真集を紹介したい」

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36歳という若さでこの世を去った写真家・牛腸茂雄

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3歳でカリエスを患った後遺症で、身体にハンディキャップを抱えた牛腸。

周囲から二十歳までは生きられないと言われながらも、魂を削るようにして3冊の写真集を自費出版しました。

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その代表作が《SELF AND OTHERS》です。

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カメラを向けたのは自分の身の回りにいた人々でした。

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母親。

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親しい友人。

そして近所の子供達。

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自分と被写体になった人との関係性を静かに見つめ続けました。

「人の思いとか人のつながりが今あらためて問われている時期だと思います。なかなか自分の家の周辺くらいしか行けない状況の中で、あらためて自分の身の回りにいる人と自分との関係を考えることは、とてもいいことだと思いますし、その一つのヒントみたいなものがたくさん詰まっている写真集です。だから改めてこの写真集を紹介したい」

 

小野さんはどんなふうにご覧になりましたか

牛腸茂雄さんの他社に注ぐまなざしっていうのがあんなにも優しいというのは自分の奥深くまでを見つめることができた人だからこそなのかなっていうことを感じました。確かに普段に比べると自分のことを考える。自分とは何か。一番身近な人を自分にとってどういう人なのかってことを考えることが確かに増えてると思うんですね。その時に牛腸茂雄の眼差っていうものに、自分のまなざしを寄り添わせることで私たちの自己と他者生活世界との関わりはいい方向に向かっていくんじゃないかなっていうふうに思います」

 

 

 

あとシェアまだまだ続きます。

 

作家、ミュージシャン、俳優など幅広く活動するいとうせいこうさんがあげたのは覆面アーティスト・バンクシー

その最新作。タイトルのゲーム・チェンジャーは変革をもたらすものを意味します。

街中に人知れず作品を残してきたバンクシーですが、この作品はイギリス南部の病院に贈られました。

秋まで病院に飾られその後は医療サービスに関わる資金を調達するためオークションにかけられる予定です。

「病院に送られ医療関係者へのチャリティーなるもの。ハリウッドのヒーローたちが捨てられている辺りも社会問題を鋭い皮肉とユーモアで表現するバンクシーらしい」

 

 

続いては小説家の原田マハさん。

作家になる前は学芸員として美術の世界に関わってきた原田さんがあげたのはゴッホの星月夜。

心のバランスを崩し入院していた36歳の頃。

人生で最も困難な時、ゴッホが描いたのは病室の窓から見えた夜明け前の空でした。

ゴッホは孤独な中で己自身に向き合いながら感性を研ぎ澄まし、数々の傑作を生み出した。本作はいかなる逆境にやろうとも創作を続けることで自己を肯定し、生きづらい世界に挑む芸術家の生の証である。月と星々が巡る天体は逆巻く川の流れのようで、左側の糸杉は川辺にたたずむ孤高の画家自身であるように私には見える」

 

 

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そして建築家の安藤忠雄さんもアートシェア。

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瀬戸内海に浮かぶ直島。

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安藤さんが設計を担当し2004年に開館した地中美術館があります。

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建物の大半が地中にあり、島と一体化した独特の建築。

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この美術館は三人のアーティストの作品を半永久的に展示するために作られました。

そして安藤さんのアートシェアがこちら。

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モネが最晩年に書いた睡蓮です。

光の画家クロード・モネ

日暮れか、夜明けか。睡蓮の池を照らすわずかな光。

晩年のモネはまるで取り憑かれたかのようにひたすら睡蓮を描き自然の光を描き出そうとしました。

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その睡蓮5点を展示するためだけに作られた特別な部屋。

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天井から降り注ぐ柔らかな自然光。

光に包まれたいと正面から向き合う時間です。

 

安藤さんはモネの睡蓮をあげておられたのはなぜでしょうか。

「モネっていうのは光を求めた作家なんですね。私はモネの睡蓮を見て、この難しい社会の中で希望を見出すのは光ですから、光という希望の向こうに自分が生きていく姿を見られるのではないかと思って選びました。モネの光に対して私たちも光で答えたいと言うので自然光を設置しました。光というものの面白さが見えるんじゃないかと。建築も太陽光線の中でご見るものですからモネの睡蓮を設置するならば自然光でいいだろうと」

「画家はあくまでも自然光の中で作品を描いた。しかし、多くの美術館では人口の照明を当てることで作品を見ている。直島の地中美術館に行けば島と一体になった美術館の上から降り注いでくる自然の光を浴びながら作品を見ることができる。安藤さんの言葉をお借りすれば希望の光っていうのを建築の上からと作品から上がってる光の二つの光を浴びて、生きる力を与えて貰えるって言うようなこともあるのではないかと思いました」

「光というものはお互い一人の人間が生きていけないように自然と共に生きていく。人間と共に生きていく。地球の中で生きていくというようなことをいろいろ考えさせられるのではないかと思いました。世界中の人たちが生きるということについて深く考えたのはめずらしい。地球の上に住んでる人たちが経済力を蓄えるために頑張りしてきましたけどそれよりも自分らしい生活をここでやればいいのではないかなという。私には私なりの生活があるだろうしそれぞれの人達はそれぞれの人達なりの生活がある。そしてモネはひたすら睡蓮を描いたように、他の人達はまた違う絵を描いてるわけですけども、初めにモネがあの光の絵を描いた時に多くの人達が「アレどうしたん」みたいな感じだったと思うんですけども、彼がひたすら生涯追いかけていたように、そろそろ自分の有りようは自分で決めるとそして自分の人生の楽しさは自分で決めるという風にすればいい。私は今回の中でゆっくりした時間を持ててよかったかなと思ってます」

 

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では次の作品です。

革新的な作品を次々に生み出す画家の横尾忠則さんです。

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20世紀を代表する傑作。ピカソゲルニカです。

縦3.5メートル横8メートルのモノクロの大画面。

反戦や抵抗のシンボルとして愛されてきました。

1937年ナチスドイツがスペイン・バスク地方にある街、ゲルニカに無差別都市爆撃を行いました。

戦闘員ではない女性や子供にも刃を向けたのです。

当時フランスにいたピカソは祖国の惨劇を知ると卑劣な行為を告発するためすぐに絵筆をとったと言います。

逃げ惑う罪なき動物たち。

恐怖に顔をこわばらせ腕を上げる女性。

死んだ子供を抱え嘆く母親。

ピカソはわずか一カ月余りでこの大作を描き上げました。

横尾さんは1980年。

ニューヨーク近代美術館で開かれたピカソ展でこの絵と出会います

同時グラフィックデザイナーとして一世を風靡していた横尾さん。

衝撃を受け、45歳で画家に転身することを決めました。

「今日はわざわざピカソの好きなシャツとゲルニカを着てきた。ただ単なるゲルニカを告発した作品ではないと思うんですね。現在のコロナ時代に我々は今生きてるわけですけれども、それとどっか深くで結びついてると思うんですよね。これ誰が見てもここに無意識のうちにね、今のコロナ禍が結びついていると思うし、毎回見るとね新しい発見があったりねその時々によってね、これがね違って見えてくるんですよね。そういうすごい普遍的なものを持ってると思いますね。そこにはやっぱり人間の死とか生。そういったものがここに全部描かれている」

絵の中に横さんの心をとらえて離さない部分があると言います。

描き直しをそのままにしてしまったかのような牛の顔

「未完の部分はある意味で未来を描いてると思うんですよね。未開の部分を見る側の人間が入り口にしてまた新しい時代が来ると違う解釈も出来るしね。そういう意味で本当にすごい遺産としての作品を残してくれたと思いますね。アーティストっていうのは未来にこれから起こるかもわからないそういうあの予感的なものをキャッチする能力は美術の中にあると思うんですよね。だからそういう意味では、これからの未来っていうのは今やっている仕事の中に今後の未来が描かれてると考えていいんじゃないかと思いますね」

 

 

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橋本麻里


続いては美術ライターの橋本麻里さん。

楽しくアートへの扉を開いてくれる橋本さんがあげたのは。

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東京国立博物館

東博の名で親しまれる東京国立博物館

ここに橋本さんが見てほしいという作品が。

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国宝・洛中洛外図屏風

国宝・洛中洛外図屏風

江戸時代初期の京都の街を描いた屏風絵です。

「太平の世がやってきたその猥雑な熱気と言うんでしょうか。泰平の世を楽しむ熱気があふれている。庶民が主体になって街の熱気を作り出してる様子が描かれている。一つは五条大橋。絵のハイライトとして書かれている場所なんですけれども、花見帰り。今年は花見も皆さんできなかったと思うんですが、花見帰りの集団が橋の上を踊り狂いながら渡っていく。眉を顰めたくなるような状況ではあるんですけども、その野放図さがむしろ今見るといいじゃんという気持ちになる。五条大橋の下ぐらいから四条河原にかけて、この辺りは人形浄瑠璃ですとか遊女歌舞伎の舞台がかけられています。そこに人が詰めかけて芸能に熱狂している。状況がまた何て言うんでしょうね、これ本当に言って卑属なエネルギーなんですけれども、この生命力みたいなものが今のコロナで卑属している私たちにとって魅力的です」

「チケットを持って展覧会に行くぞと思ってワクワクする楽しみ。そして何回も見てミュージアムショップを冷やかしたりその後上野公園をぶらぶら考えながら歩く楽しみ。その後でどこかお店に入っていっぱい飲む楽しみも含めて、そういうものが美術を見る楽しみを作ってきたことを改めて感じた。それが一番貴重なことだったんだなぁと改めて思います」

 

 

では続いての後シェアはこの方です。

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高橋明

三菱一号館美術館館長の高橋明也さん。

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オディロン・ルドン「グランブーケ」

高橋さんがあげてくれたのはオディロン・ルドン「グランブーケ」

横1.6メートル。縦2.5メートルという巨大なパステル画。

フランス、ブルゴーニュ地方の貴族が城の食堂を飾るために描かせました。

溢れんばかりに咲き乱れる色とりどりの花々。

実は現実にはない花も描き込まれているのだそう。

「かつて東日本大震災の後に当館で公開されたおり、この作品の前で幾人もの人たちが祈るようにしていた事実。人をして頭を垂れさしめるような神々しさが本作品にはあり、鑑賞者の魂を浄化する要素に溢れています。苦渋に満ちたこのころなウィルス禍の中で是非実際に作品の前に立っていただきたいと思います」

 

 

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作品を発表する事に世界を驚かせてきた会田誠さん。

アートシェアにあげてくれたのは。

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2017年。宮城県石巻を中心に開かれたリボーンアートフェスティバル。

そこに出品された島袋道浩の「起こす」

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島袋道浩

島袋は人間の生き方や新しいコミュニケーションの在り方について探求してきました。

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「起こす」は浜辺に流れ着いた木をひたすら起こす作品。

翌日には波に飲まれて倒れてしまう流木を、来る日も来る日も起こし続けました。

「自分で小さな枝一本でもいいから起こしてみる。倒れてるものを起こしてみる。何かが心の中で起き上がってくると思うんですけどね。道に植木が倒れたりしているじゃないですか。そういうのを一度起こしてみると何かが変わると思うんですよね。それをみんながやると」

「2017年夏にリボーンアートフェスティバルに行って実際に見た。芸術が持つお節介さ押し付けがましさを極力抑えたところが良かった。もう芸術はこれくらいでいいんだよなあと思った。一般人の暇潰しに限りなく近い、ささやかな人為。対する巨大な力を持った自然。人間のわずかな抵抗。そんなこと思った」

 

「物を倒した時と、ものを起こした時では全く心のありようが違いますよね。何かを起こすっていうことは、自分の心の中に力とか命とかエネルギーが湧き上がるというようなことがある。美術作品っていうのは全てそうやって私たちの心を起こしてくれてるものなんだなってことね。美術作品に触れると私たちの心は暗い傾斜の方に向かいつつあっても、やっぱり起き上がる。起き上がるための手助けを美術はしてくれるんだなっていうことを感じました」

 

最後に作品をシェアしてくれるのは国内外の現代アートに詳しい森美術館館長の片岡真美さん。

それはちょっと変わったインスタレーション

ヴォルフガング・ライプは現代ドイツを代表するアーティスト。

生命について探求する作品を作り続けています。

「花粉こそ花の本質です。花の命はそこから始まります」

ドイツの小さな村に住むライブ。

自宅近くの野山で一人コツコツと植物の花粉を集め作品にします。

2013年ニューヨーク近代美術館で開かれたライブの展覧会。

20年かけて集めたというヘーゼルナッツの花粉。

広さ6メートル四方。荘厳ささえ漂います。

 

今日は森美術館館長の片岡真美さんとも繋がっています。

どうぞよろしくお願いします。

片岡さんはアートシェアの作品としてヘーゼル・ナッツの花粉というものを選んでくださいました。どうしてでしょうか。

「あの外出自粛中にいろんな方がsnsに植物の写真をあげているのを見て、そこに何に惹かれているんだろうと。おそらくそこにある生命のエネルギーみたいなものがあるからじゃないかなと思ってライブの作品を思い出しました。この花粉はライブが1シーズンかけて瓶一つぶんぐらいしか集められない大変貴重なものなんですけども、それがこれから始まる植物の命の潜在力というふうに彼も言っていて、そこに大変貴重なこの粉に人間も植物もそしてこの地球も次を生きるためのポジティブなエネルギーが感じられるのではないかなと思いました」

 

「黄色い花粉はちょっと見方を変えるとステイホームによって大気汚染が収まって星空なんかが綺麗に見えるって言いますよね。花粉は地上のものではあるんですけど、見方を変えると星空。天の川じゃないけども星屑のようにも見える。あの作品によって自然とか小宇宙そのもの。私達の存在そのものっていう思いが伸びていくっていうか、深くて広くて大きな作品なんだなっていう風に感じました」

片岡さんご本人にとってはの向き合い方が変わったような事ってありました。

「今回ご質問いただいて、あのライブの作品を思い出したように、本当にシンプルであって強さのある作品というのに心が動くようになりました。実際に作品を見られない。外に出られないっていうことの中で、自分たちの想像力を使わなければいけない。それしか広げられるところがないので、想像力を豊かに高めてくれるような、刺激してくれるような作品が頭の中でぐるぐると回っていました。作品と自分たちの中にある想像力との対話がアートの鑑賞っていうものだと思うので、そういう意味では鑑賞する私たちの中にある力の方を今は高めておく時なのかなという風にも思いました」

アートの最前線立場にいらっしゃる片岡さんはこのアートシェアということから何を思われましたでしょうか。

「あの皆さんやはり例えば祈りですとか、それから生命力。回復力というようなアートから発せられる前向きなエネルギーを感じたい。そしてそれを世の中に届けたいというような気持ちが伝わってくるかなという風に思いました。実際そういうものであってほしいというふうに思っていますし、それは美術館にもそして個々のアーティストにもどこまでその本質に作品を通して掘り下げることができるのかと、本質に近づくことができるのかというような新たな挑戦状を突きつけられているようなところもあると思いますけども、それは生産的なポジティブなことだと思うので、そうした作品から色々なことを考えさせていただけると良いかなと思ってます」

 

 

アートというものがいかに強いものかって感じます。我々が何不自由なく暮らして行って移動の自由やその美術館を訪れる自由を満喫できる。なにも不自由を感じてないときにアート作品は時に人間のその暗い部分とか残酷さとか死に関わるそのものに志向させてくれる。今私たちが少し自由を奪われて苦しい状況にある時にはですね、片岡さんがおっしゃったように、命とか生命力とかエネルギーとか人を励ます。慰めるポジティブな力を発する。我々の心のありように応じてその答え方を変えて私たちに向き合ってくれてるってそういう風に感じて、アートって人間とって不可欠な本質的な活動であるということを痛感しています」

時代や環境や状況を越えてアートが私達のそばに今までもいてくれたし、きっとこの先もいてくれるのであろうと思わされるような時間を今過ごしてるのかもしれないですよね。

片岡まみさんがアートシェアしたヘーゼルナッツの花粉。

今回、作者のヴォルフガング・ライプさんからメッセージが届きました。

「来る日も来る日も、何週間もタンポポの草原に座り、この上なく集中して激しく

時間も我も身も心も忘れて、信じがたく思いもよらない世界の危機と混乱の只中で、

ひどい病にかかり死に行く数多くの人々。新しい疫病。600年前のような疫病が

再び起こるなんてとても想像できなかっただろう。今この私たちの生活の中に。側に。

それでも尚、危機は大きければ大きいほど人類に新しい未来をもたらし、どこか他の場所へ向かい何かを見つける手助けをしてくれた。想像し得たものの彼方に私たちは見つける。新しいありようと生き方を。私たちが望むものと、私たちが人生に望むもの。大切なこととそうでないこと。慎ましさ、謙虚さ。自分自身と他の人たちに対する。世界に帯する。自然に対する。宇宙に対する全く違う関係。自分自身と世界への異なる願い。新しい未来の新しいビジョン」

 

 

取材先など

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

 

書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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