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響くアートの愛好家

日曜美術館「蔵出し!日本絵画傑作15選 二の巻」

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日曜美術館45年のアーカイブから「日本絵画の傑作15選」を3回に分けて紹介するシリーズ。

日曜美術館45年のアーカイブから「日本絵画の傑作15選」を3回に分けて紹介するシリーズ。2回目は鎌倉から桃山時代の5作品。豪華な出演者の言葉と共にじっくり見る。中世社会のドキュメント・一遍聖絵、初めて絵師が名を残した雪舟・山水長巻、秀吉が描かせた巨大な唐獅子図、人気ナンバー1の国宝・松林図、2700人の群像劇・洛中洛外図。梅原猛東山魁夷森村泰昌丸木位里・俊、山口晃高畑勲らの言葉とともに。

【司会】小野正嗣,柴田祐規子

 

 

日曜美術館「蔵出し!日本絵画傑作15選 二の巻」

放送日

2020年6月14日

日曜美術館からあなたに美の贈り物。

珠玉の日本絵画とっておきの映像と共にお届けする蔵出し傑作選。

今回は二の巻。

鎌倉時代の絵巻からいろんな屏風までさあ蔵出しです。

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日曜美術館です。先週からお送りしています蔵出しのシリーズ。今日はその2回目になります。

先週は古墳時代から鎌倉時代作品をご紹介しました。

古墳時代から人間を超える大きなものに対する畏敬の念と祈りっていうものが連綿と描き続けられていたんだなっていう風に感じました」

今日は鎌倉時代から始まりまして5作品です。

 

 

まずこの人の物語から始めましょう。

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鎌倉時代の超大作。

12巻の絵巻。

全部開けば130メートル。

蔵出し傑作選6作目は「国宝・一遍聖絵

それは中世社会のリアルドキュメント。

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北は東北から九州の南の端まで。

16年間を旅に行きた僧侶・一遍の歩みが生き生きと描かれています。

物語をたどっていきましょう。

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武家の家に生まれた一遍は10歳の時に出家。

一時、武士に戻りますが親族の争いに悩む33歳で再び出家します。

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寺にこもること三年。一遍は悟ります。

念仏を唱え続ければ仏と一体化できると。

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その悟りを機に旅に出ます。

全国の人々を救うべく、南無阿弥陀仏と書かれた念仏札を配る旅でした。

絵巻には訪れた場所の様子が丁寧に描かれています。

例えばここは備前の国、今の岡山。

一遍は市場にいます。

魚をさばいて売る人。

米を升でを待って測る人。

こちらでは女性が反物を選んでいます。

当時の日常生活がリアルに記録されているのです。

こんな光景も。

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半裸で路上に座る貧しい人々。

顔を隠しているのはハンセン病を患っている人だと言われます。

彼らにも一遍は救いの手を差し伸べました。

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一遍の念仏札は大人気となります。

この人だかり。

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あまりの混雑に担がれての札配りです。

16年の全国行脚でに250万の人に配ったと言われています。

やがて念仏は踊りとなります。

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盆踊りの元になったという踊り念仏です。

この一遍について熱く語った人がいました。

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哲学者の梅原猛さん。

18年前の番組です。

「他の念仏衆は心から嬉しそうにね、唄っているけど、一遍はどうもね、私はどこかに孤独な顔して、一人笑っていないような」

その孤独には理由がありました。

旅を始めた頃の画面。

一遍にはお供がいました。

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超一超二は一片の妻子だという説があります。

しかし一遍は旅の途中で二人と別れるのです。

「やっぱり私は一切を捨てないと、本当の悟りに達しないと言ってますけどね。自分のような人間は、妻子があればそれにとらわれて、捨てなくちゃならないという思想をそこで実行したんだと思いますね。僕は家も捨てることは出来ませんけどね、やっぱり孤独の深さ。それからすぐ求めるものの苦しさには惹かれますね」

一遍聖絵

一人の僧侶の人生とその時代を克明に移した絵巻です。

 

 

鎌倉時代中世のリアルドキュメントとして一遍聖絵をご覧いただきましたけれども

「聖人伝じゃないですか。一人の聖人の生涯が絵を見ればわかる。そこに描かれてるのが貧しい民衆。そういう人たちの姿まで克明に記憶されてるんで印象深いものだと、梅原さんがおっしゃってましたけど、一遍っていう人の求めるものの激しさっていう言葉のように一遍は過剰な人だと感じますので聖人であるわけですけども、その強烈な個性っていうか感じます」

あれだけの群衆に囲まれてるけれども梅原さんがおっしゃっていた絶対的な孤独っていうことでしたね

「群衆の中の孤独ってね、みんなが念仏を唱えながら踊ってるうちに忘我の境地に来たしてるんだけど、彼だけは忘我の境地に達していない身も心も忘れてるって言う感じじゃない」

 

では続いては戦乱の世を絵筆一本で生き抜いた絵師たちの世界に入ります。

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山口県山口市

室町時代。大名大内氏が京都を模した文化都市を築きました。

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そこに招かれた一人の芸術家がいます。

絵描きとして初めて日本から中国に渡った男。

高らかにその名を名乗ります。

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我は雪舟

今も名声轟く日本美術界のスーパースターです。

蔵出し傑作選7作目。

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国宝・山水長巻。

主君大内氏への贈り物として描いた絵巻です。

この時雪舟67歳。

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それは絵師の個性が刻まれた風景画。

険しい岩山。

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そこを抜けると開放的な水辺の情景。

48歳で渡った中国が舞台だと言います。

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鑑賞者は描かれた人物となり絵の中を散策するのです。

ただ中国の風景を描いたのではありません。

そこに雪舟の個性が刻まれているのです。

だからこそ今も大人気。

アーティスト達から特に愛される雪舟

4組が語ったその個性とは。

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まずは横尾忠則さん。

18年前の日曜美術館です。

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「岩山のごつごつした感じとか、特に男性の筋肉モリモリな感じで、それでかと思うとなんかあの非常に柔らかい女性的な視線もあるんですよね。雪舟の中に男と女が描かれてるような気がして。荒い部分と緻密な部分がまたこれがうまく絶妙なバランスを作ってオーケストラみたいな感じ。音楽さえ聞こえますよ」

水辺の慎ましやかな暮らしがあれば、堅牢な城壁に囲まれた都会の様相。

あらゆる対比が絶妙だと横尾さん。

同じ18年前、日曜美術館のスタジオで森村泰昌さんは。

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「いにしえの物静かな雰囲気のいい世界っていうふうに見えますけど、私なんかはねもっとスピード感がある絵じゃないかなと思えるんですよね。私は大阪から東京まで来てるわけですけども、大阪から東京に行くときの新幹線の窓からの風景。それを感じさせるんです。関ヶ原の辺でちょっと雨が降って、ちょっと行くと浜名湖で視界が開ける。もうちょっと行くとなんか賑わいが出てきて、東京についてきたな。そういうスピード。松なんかを流れるように描いてますよね。きっちり描くんじゃなくね、電車の窓から松が通り過ぎる、ああいう感じに、もしかしたら近いんじゃないかと」

岩場から斜めに生える松。

動きのある枝にスピード感を感じます。

森村さんこんなことも。

「僕でも描ける。本当に描けるかどうかは別として、そういう風に感じるんです。なんか自分の体が動いてくるんですよね。こうやったらいけるんちゃうかなと、自分の中体感と重ね合わせていくことができるような感じがしましたね」

33年前。山水長巻を見に山口まで足を運んだ画家夫妻がいいました。

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原爆の図を描いた丸木位里さんと丸木俊さん。

「風の音も聞こえる」

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「刀。四角く描いてしまいそうだけじ、四角く。風に吹かれそう。こういうとこがうまい」

「岩の線も木の線も、人間だから違った線を出さなきゃって。石の線も人間の線もみんな同じに書いた。相当何か悟りを開いたかまぁ何か知らんが天下御免みたいの線。

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上手くなくてもいいんだね。まずいのにいいんだね」

最後に昭和の風景画の巨匠の言葉です。

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雪舟の絵は大変強いものがそこに現れておりますが、これは雪舟が欲求してた心の世界っていうものがですね、やはりその厳しさとか激しさとかっていうものが雪舟自身にもそういう優雅というもので処理できないものが、鬱勃と心の中にあったと思いますね。だいたい昔の絵を見ますと、概ねその枯淡の境地に遊ぶというと語弊があるかもしれません。けれどもしつこさとかですねそれからまたあの情熱とかそういうものが少なくなる。そういう意味で雪舟の仕事を見ますと、最後まで追求の態度を変えないと言うね」

 

 

水墨画って言うと白と黒のイメージが強いんですけど、所々に色が使われている」

松の葉っぱ緑とかね

「明らかにこの花ですね朱っていうか赤色があって水の色が付いてるんですね。もちろん流れるようにして風景を追っていけるわけですけど、所々にちっちゃなアクセントがあって、あれっていう風にそういうところに視線が引き寄せられてしまう」

ない雪舟自身の生き方でみますね

40代後半。50になろうかというところで中国に渡る。中国で見てきてすぐ描くんじゃなくて20年近く経って60代の後半終わる頃に描いている。

「東山さんの言葉に鬱勃ことを聞きました。抑えようとしても溢れ出してくるものっていうものがあった。20年経ってもずっと彼の心にはイメージとか風景っていうのがあってそれがずっとあふれ出そうとしていた。東山さんの言葉ですけど枯淡の境地なんかいないと、最高の最後まで力強く新しい仕事なし続けてきた人なんじゃないか」

 

 

では雪舟に続きましてこの二人の絵師の登場です。

蔵出し傑作選8作目は、あの豊臣秀吉のために描かれました。

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狩野永徳「唐獅子図屏風」。

ダイナミズム溢れる天下人の屏風です。

実はこれ屏風としては異例の大きさです。

縦2メートル30センチ。

横4メートル50センチ。

身長1メートル66センチの小野さんと比べると食べられちゃいそう。

大きいです。

雪舟を師と仰いだという絵師集団狩野派

4代目にして天才と呼ばれたのが永徳です。

その天才っぷリに惚れ込んでいる人がいます。

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画家の山口晃さんです。

この絵の魅力を語っていただきましょう。

ポイントは三つ。

「目の前に立つとなかなかの大きさです。2メートル超えでありますから。やっぱり描いちゃうんですね。描かない。筆数の少なさで言うんですかね。雪舟の絵なんかもそうなんですけどもあっという間にできてんですね。並の絵師だった固くなるんですね。失敗したらとを言う時に、そういうことをおくびにも出さないで、さっさかさっさと描いているんですね。いたずらに早いんじゃないと思うんですね、彼の中でのその一つ描き始めようとした時の、自分の中での気の高まりを一本の線として残せる呼吸で、そういうひといきの感じって言うんですかね。まあこういう線を引けると歴史に名前が残るんだなぁと、言ってて辛くなりますね」

「迫力と落ち着きとか、なんかベクトルの端にあるものがすごく釣り合いがいいなぁというのが。例えばこの一匹にしても、後ろ足は踏ん張ってるんですけど、前足は蹴り出した瞬間で、静と動が二つなることによって一つの構図の中でそういった動き始めと、動き中と動き終わりがすべて言われてて、実際には起こらない時間がここで描かれていると」

静と動。対立するものはそれだけではないと言います。

「獅子の中でも部位による輪郭線の抑揚が全部変えてある。輪郭線が立体感を表す。抑揚のある輪郭線なんですけども、この体の紋様は真っ平らなんです。そこで平面にすることによって、画面の奥の方に引っ込んで、強い輪郭が浮くような。常に相反する働きっていうのが画面の中で双方への力を最大に発揮しててその均衡の上でいろんなものが止まってるんですかね。とどまるように見えていて全部が動いてるうちのある一点として見えてきてるって言うんで、エネルギー逆巻く感じですかね」

「特徴的なのは、この人どこも見てないんですね。見てるようでどこも見てない。ある種の八方にらみ性があって、この絵が権力者の背後を飾ったとしたら、その場にいる全員に視線が向けられてるような感じですかね」

唐獅子図屏風。

卓越した筆さばきと巧妙な計算。

天下一のために描かれたダイナミズム溢れる屏風です。

そんな永徳の向こうを張った絵師がいました。

 

 

蔵出し傑作選9作目。

松林図屏風。

作者の長谷川等伯はこちらも雪舟の5代目と名乗りましたが、等伯とは全く印象が違います。

使われているのは墨のみ。

その絶妙な濃淡で靄に包まれた松林が表現されています。

等伯の故郷。能登の松林だと言われています。

この作品。

東京国立博物館のあなたが見たい国宝アンケートで第1位に輝いたこともあります。

20年前。

日本画家の加山又造さんはこんな風に語りました。

「そばで見るとたいした筆遣いじゃないんですよね。こんなんで絵だって言えるかっていうふうに思うほどないんですよね。よくこんな絵を描きましたね」

日曜美術館でも何度も取り上げてきたこの作品。

なぜか惹きつけられるのは想像力を刺激する絵だから。

この屏風のファンが集まった熱い談義をどうぞ。

「展覧会で初めて松林図屏風見た時に立ち止まってしまって。目の前に立った瞬間からもうふはははってなって

あのこれほどその本物を

目の前で見たときのその力の強さは

今日からはないように見えるんですか

腕の一歩一歩を目で追ってきた時に

すごいバカな

「優しさと突き刺さるみたいなものが交互にはいっていって、見る人によっては心の安定みたいなものを感じるのかもわかんないけど私はすごい厳しいものを感じました」

その後近くで見ると

そういう感じが離れてみると優しい感じ

「私が等伯を好きなのは、なんとなくすごく胸がきゅっとなるようなちょっと寂しい感じが漂うんですね。

でもそれがちょっと

心地よいというそういう感じで

そのと白米を見てシンパシーを感じるんですよ。少女漫画っていうのは共感性で読者をつかむ。少女漫画少年漫画は読むと元気になる。熱が出るって感じなんですね」

 

「これはこの世とあの世をつなぐ絵だろうと思うんです。曼荼羅のようにね。遠くへ描いてある雪山がおそらく涅槃の世界で、そこに向かって、

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これ松は、僕は人だと思うんですよね。だから聖者の行進を思うんですよね。涅槃に向かってこの世での役割を終えた人たちが静かに歩いて行く。それを空気感が進んでいくというような構図だろうとか見てるんですけど。だからこの絵の前に立つとね、絵の中に連れて行かれるような感じがする。自分の心もそれにつれて絵のように静まってくる」

「これますますいい絵になっていくでしょうね。あと100年後に見たらどういう絵になっているか。だからこういうものすごいものは、描かれた後もどんどん成長していくんでしょうね。きっと」

 

「僕は全然わかんなかったけど、あれは八方を睨んでいる絵なんだと。権力者の背後から世界に睨みを利かせている。天下に睨みを利かせてるっていう風な絵。激しい動きの中の静止してる部分が見えてるんだって言う。絵は動画じゃないから静止したものとしてみるじゃないですか。山口さんの話を伺って、線は動いていないように見える、静止したものとして見てるんだけど激しく運動しているんだと」

加山又造さんの話では 

「絵は成長していくんだというメッセージって、彼の言葉は絵は成長していくってことは、私たちにも責任がある。私たちは絵を見て言葉を残す。その言葉をさらに次の世代が受け取って絵の感想。言葉が絵に栄養を与え、絵は成長していくってことなんじゃないかと思います。見る側は見続けなくちゃいけない。それを見た側は伝えて行かなくちゃいけないんだろうなっていう風に思いました」

それでは今回最後の傑作になります。

 

 

蔵出し傑作選10作目。

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岩佐又兵衛作「国宝・洛中洛外図屏風

時は江戸初期。

戦乱が終わり平和になった京都の町と郊外。洛中洛外を描いています。

祇園祭など京都の風物。

驚くのは描かれた人の数。

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なんと2700人以上。

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しかも一人一人仕草も表情も実に多彩。

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話し声まで聞こえてきそうな活気みなぎる群像劇。

ではじっくり見ていきましょう。

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まずは右上の建物。

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豊臣秀吉のお墓がある豊国廟です。

その前でお花見。

桜の下でちょっと一杯。

お重はもう空っぽです。

門前にはお茶売りの姿。

しかも2人。

商売敵が向かい合ってしのぎを削っています。

藍色で描かれた鴨川。

そこにかかる五条大橋です。

人々は踊っているよう。

手には桜の枝。

花見で上機嫌になってハメを外しているのでしょうか。

平和な時代実に楽しそう。

今度は京都御所の程近く。

ここ一条戻橋はあの世とこの世の境と言われ、人気の占いスポットでした。

占いをしてもらう女性。

真剣な顔つき。

ちょっと怖いくらい。

京のあらゆる名所が描きに描かれた屏風。

扇屋。

職人の仕草や扇の柄までわかります。

隣のお店には漆のお椀が並んでいますね。

そして普段は見られない二条城の中央。

まな板の上に魚でしょうか。

アニメーション映画監督の高畑勲さんは屏風の魅力をこう語りました。

「多岐にわたっていると思うのです。でもそれを食ってしまうのが人間の興味だろうと思います。ものをなんでも見てやろうじゃないかという精神の旺盛な人だったんじゃないかなって気がしましたね。取り澄まして趣味の高そうな人だけが優越感で鑑賞するんじゃなくて、もっと直接人の心に訴えてくる力があってね、それは野卑といわれ品が良くないようなところがあったとしても、ちょうど今の漫画、アニメに通ずるように、卑俗、大衆的っていますよね。それを待ってるんじゃないでしょうか。その人間に対する興味っていう」

洛中洛外図屏風

人々の会話まで聞こえてきそうな活気漲る群像劇です。

 

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「弓をいっている。三十三間堂ですね。ちょっと待って。

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裸で泳いでますよ。鴨川で川遊びですか。これ完全に裸体ですよ。五条大橋ですか。

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橋の上で踊って楽しんでる。でもその一方でも物乞いの人がいて。お坊さん達が読経してるんですね。

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これはなんか女性とちょっと不適切なことをされている僧侶がいらっしゃるように。通報した方がいいですか。聖も俗もね。貴賤も問わずすべてが超え描き込まれてるって言うか、これがその社会そのものなんだっていう風に強く感じます」

最初に見た一遍上人もいろんな人が描き込まれてましたよね。

「一遍に沿って描かれたのが聖絵だとすると、こちらはやや俯瞰した。俯瞰するって言うと神の視点で、現実から切り離された客観的な眼差しのように感じられるけど、これは俯瞰してるけど2700人すべてに対する熱。一人一人の熱を感じている。絵の中でうごめいている」

 

蔵出し傑作選の2回目ということで今回は鎌倉時代から江戸にかけて、5作品を見ました。振り返るとどうでしょう。

「書き手の個性がより強く表に出されてる。つまり誰がこの絵を書いたのかってことを見る側に意識させるって言うんですかね」

絵師の顔がようやく見えてくるようになったということですね。

 

取材先など

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

 

書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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