美の競演 -静嘉堂の名宝-
漆黒に浮かぶ大小様々な斑文。
青写真に光の角度によっては虹色に輝く曜変天目。
この神秘的な茶碗は中国南宋時代の建窯で作られました。
静嘉堂文庫美術館に納まる国宝の茶碗です。
こちらは同じ時代に建窯で作られたもう一つの茶碗。
油のしずくが水面に映ったような斑紋から油滴天目と呼ばれています。
茶碗の内外に波紋が現れ、曜変天目とは違った魅力を感じます。
二つの名品を比べることによってそれぞれの美しさがなお際立ちます。
「美術品同士が互いに競い合うというようなイメージで茶道具、絵画作品。様々なジャンルから、縁のある物同士、近い作風の物同士、それぞれの魅力を発する作品を比べて企画した展覧会でございます」
三菱創業の岩崎家が集めた美術品の数々。
互いの魅力を高め合う美の競演です。
漆を使い、和漢の宮廷の奏楽をテーマにした屏風絵。
左隻は中国・唐の故事、羯鼓催花。
玄宗皇帝が春の初めに曲を作り一斉に花を咲かせた場面。
右隻の主題は源氏物語の紅葉の段。
光源氏が舞う秋の夕暮れを描きました。
漆では出せない顔の白い色は一酸化塩を入れた油に顔料を混ぜています。
豪華な縁飾りには鈴鹿ながいの唐草に螺鈿の梅花模様。
季節が対照的に描かれ絵画と湿原が見事に結び作品です。
中国水墨画を基礎に鴎や鴨が丁寧に描かれる一方、波や岩は軽快な描写で対照的に描かれています。
探幽はまた余白の美しさという独自の表現を確立しました。
銀の上に一息に書き上げた波。
墨を弾いてしまう銀白に膠を塗り、勢いよく線を描くことで躍動感のある表現が生まれました。
狩野派と琳派それぞれの特色を生かした美の競演です。
世田谷区の静嘉堂文庫美術館で今月22日まで。
会場:静嘉堂文庫美術館
会期:2020年6月27日~9月22日
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