近代日本画の華 -ローマ開催日本美術展覧会を中心に-
今から90年前の1930年。
当時の日本画の主要画家80名が集結した大展覧会が開かれました。
会場はイタリア・ローマ。
世紀のプロジェクトの中心にいたのは巨匠、横山大観。
日本画の神髄を今こそ世界に知らしめる。
その思いに賛同した画家たちが派閥を超えて集まったのです。
資金面で後押ししたのが実業家、大倉喜七郎。
今の100億円とも言われる大金を提供しました。
大倉財閥が設立した大倉集古館でローマ日本美術展出品作を中心とした展覧会が開かれています。
ローマで注目を集めたのは動物画。
生命感あふれる表現が人々を魅了します。
京都画壇の巨匠、竹内栖鳳の《蹴合》
戦う軍鶏の一瞬の動きをとらえました。
勢いある筆さばきで艶やかな羽の質感までも表す卓越した技巧。
西洋の写実的な表現を日本画にもたらした青峰の名作です。
夕闇迫る中。
一羽のみみずくが梅の枝に止まっています。
全てを見透かすような橙色の目。
薄暮の淡い光は金泥と墨のグラデーションで巧みに表されています。
簡潔な画面に崇高さを漂わせる小林古径の代表作です。
風景画の力作も多く見られました。
その一つ川合玉堂の《秋山懸瀑》
ここで玉堂は中国水墨山水画の奥行きある自然表現を意識しながら、多彩な色彩を加えた近代的な風景画を描きました。
新しい東洋画を創造しようとしたのです。
「ローマ展の出品作にはのちにその作家の代表作になったような大作が多く含まれています。
日本や東洋画の画題や技法を下敷きにしながら描きかたは非常にリアルな西洋の自然主義的な表現というものを取り入れています。
伝統と革新というものが融合する様子というのが見て取れますのでどれも意欲作であるように思います」
ローマ展団長の横山大観が試行錯誤の末に描き上げた大作《夜桜》
満開の桜が月とかがり火によって幻想的な美しさを浮かび上がらせています。
その美しさを誇示するかのように正面向きに花を開かせる桜。
全ての道がローマに通じるように
世界の美術は日本画へ向かうのだと言った大観。
その気迫が画面いっぱいに溢れています。
この展覧会は東京港区の大倉集古館で9月21日まで。
会場:大倉集古館
会期:2020年8月1日~9月27日
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