月岡芳年 血と妖艶
江戸吉原の遊郭に押し入った男。
血まみれの刀を手に追い詰めたのは自分に愛想を尽かしをした遊女。
歌舞伎にもなった吉原百人斬りと呼ばれる事件を題材にした月岡芳年の物語絵です。
緊迫感の中に艶かしさが漂う傑作です。
幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年の展覧会が開かれています。
芳年の出世作となったのが兄弟子と共作した英名二十八衆句。
盗賊の男の手にはたった今、人を斬り殺した刀が。
歌舞伎や講談の残酷な修羅場を描いた血みどろ絵。
幕府と尊皇派が争う血腥い幕末の世相を背景に人気を博していました。
殺した男の顔の皮を剥ぎ取る四谷怪談の一場面。
思わず目を覆いたくなるほどの惨劇です。
ダイナミックな構図と緻密な描写で芳年は大衆の心をつかみました。
「浮世絵というものが、当時の歌舞伎ですとか講談の流行というものを捉えると同時に、人々が見たい絵、欲しい絵というそういった時代のニーズを芳年は汲み取って血みどろ絵や無残絵と呼ばれるで残酷な表現というものを、
誇張するような形で表現をしています。ですから芳年の時代を切り取る絵と言いますか、時代のニーズを掴み取るそういったところからこういう表現が出てきたんじゃないかなと思いますね」
銃撃を胸に受けよろける武将。
幕末の上の戦争で敗れ、彰義隊の姿をモチーフに描いたと言われています。
時代が大きく変わる中、芳年は現実の出来事を題材にしながらそれまでの浮世絵には無かった写実性を追求していきます。
美人画の連作《風俗三十二相》
江戸後期から明治まで様々な女性の姿を感情豊かに描いています。
鹿鳴館時代の貴婦人。
繊細に書いた黒い瞳と口元が快活な印象を与えます。
背中にお灸を据えその熱さに耐える夫人。
洗練された線描と大胆な画面構成は芳年の真骨頂です。
芳年は晩年、血みどろへの発展型とも言える浮世絵を残しています。
天井から吊るされた妊婦の腹を切り裂こうと包丁を研ぐ老婆。
吉利は一滴の血も描くことなく見るものに狂気に満ちた惨劇を予感させています。
東京原宿の太田記念美術館で10月4日までです。
会場:太田記念美術館
会期:2020年8月1日~10月4日
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